レビューメディア「ジグソー」

SSDの発熱で目玉焼きは焼けるのか??

今回は、インテル様の「インテルSSD100連発!マシンガンレビュー 2ndシーズン」のレビューアーに採用されましたので「Panasonic CF-W7DWJNJR」に「Intel SSD 320」120GBを組み込み、目玉焼きが焼けるのかを検証いたします。

【本日のメニュー】
前菜:HDD⇒SSDデータ移行のカルパッチョ、Paragon Hard Disk Manager Suite 10ソースがけ
サラダ:SSD換装のサラダ
スープ:SSD比較ベンチのポタージュ
主菜:HHD&SSDの目玉焼き
デザート:アライメントのスフレ

ではまず、データ移行法からお楽しみください。

今回の素材は

Let's Note Light2008年夏モデルで(以下W7と表記)、基本スペックは
 CPU:Core 2 Duo U7600/1.2GHz(2MB)
 メモリ容量:1GB
 HDD容量:120GB
 OS:Windows Vista Business
当方のモデルはこれにメモリを追加し

2GBのMaxにしてあります。
ちょうど120GB HDD⇒120GB SSDなので、容量的には大きくもなりませんが、不利なこともありません。

Intel製SSDには専用のデータ移行ソフト「インテル Data Migration Software」のダウンロード権がありますが、今回他の先行レビューにて既に解説されておりますので、あえて市販の「Paragon Hard Disk Manager Suite 10」

を使用してみます。これはDISKのRAWコピー機能やデータを保持したままのパーティションのリサイズ機能もあり便利なディスク操作ソフトです。

まずSATA⇒USB2.0変換アダプタケーブル

でIntel SSD 320(以下SSDと表記)をW7にUSB接続します。長時間に及ぶ作業のため、PCのAC電源接続はもちろん、SSDの方もSATA⇒USB2.0変換アダプタケーブル付属の電源ケーブルで給電しておきます。
PCもSSDもコンセントから給電します
PCもSSDもコンセントから給電します


接続直後はSSDはW7に認識されていませんので、これを認識させるため「コントロールパネル」⇒「管理ツール」⇒「コンピュータの管理」⇒「記憶域」⇒「ディスクの管理」とたどって、未割り当て領域を持つディスク=SSDをアクティブにしてやります。
未割り当て領域を...
未割り当て領域を...

プライマリパーティション(ディスク1)に
プライマリパーティション(ディスク1)に


なお今回Paragon Hard Disk Manager Suite 10はインストールせず、CD起動で操作を行いますのでCDをセットして再起動する際にやることがあります。

W7は省電力のため光学ドライブは起動時電源オフがデフォルト。そのため、CD(もしくはDVD)で起動させるためにはBIOSで2カ所設定する必要があります。再起動時「Panasonic」の文字が表示されている間にF2キーを押し、BIOSを起動させます。その際「起動タブ」の「起動順位」で「Optical Drive」(通常三位)を選択してF6キーをおして第一位まで持ってくるとともに
今3位になっているのを1位にする
今3位になっているのを1位にする
「メインタブ」の「DVDドライブ電源」をデフォルトの「オフ」から「オン」に変更します。
現在「オフ」を「オン」に
現在「オフ」を「オン」に
電源をオフにしたままですと、Windowsが起動後、CD/DVDドライブにディスクがあることがスキャンされることになるため、CD(DVD)起動はできませんので、注意が必要です。

これで起動すればParagon Hard Disk Manager Suite 10からの起動になりますので、「コピー」機能から「HDD RAWコピー」を選択し、ウィザードに従ってコピーを行います。
元ディスク(TOSHIBA MK1252GSX)の先頭パーティションはリカバリー用
元ディスク(TOSHIBA MK1252GSX)の先頭パーティションはリカバリー用
完了!
完了!
全体コピーに約2時間を要しました。

ここでせっかくParagon Hard Disk Manager Suite 10を使用したので、余分なことをやってみました。今回たまたまHDDとSSDの容量が完全一致していますが、SSDが128GBであった場合など、単純なRAWレベルコピーでは8GB程度の未使用域ができます。こういったところをParagon Hard Disk Manager Suite 10のパーティションサイズ変更機能を用いて、有効利用してやろう、ということです。空き領域の調査をすると、先頭にある修復用のパーティション、約2GBを確保してありますが、実際のデータは500MB程度しかないようです。ここを削ってWindowsのインストールパーティションに追加してやれば、わずかながら容量が増えます。万一使う際には(必要があれば)また戻してやる事としてこれを実行してみます。
1.5GBの空きをもつパーティションを選択して
1.5GBの空きをもつパーティションを選択して

拡大...これで109.8GBから111.3GBへSSDのWindowsパーティションの容量が増加しました。
これで準備は完了です。

W7のHDDの交換はノートPC、それも小型軽量を追求したモバイルPCとしては例外的に非常に簡単です。外すネジは5つ。いずれも小型(No.0)のプラスネジ

コレ一本でHDDまで到達できました。

まず、バッテリーをハズします。
PCの背側にあるストッパー二カ所を内側にスライドしながら
PCの背側にあるストッパー二カ所を内側にスライドしながら
バッテリーを背側にスライドして抜きます
バッテリーを背側にスライドして抜きます

ここで一度おまじないで電源スイッチをスライドさせて、残留電力を完全に使い切ります。
次にネジはPCを開けてキーボード側の上方中央の1カ所
裏は4カ所のネジを取り去ります。

ネジの大きさはいずれも同じながら、キーボード側は頭が銀色の皿ネジ(少し長い)、ゴム足中のネジは鍋ネジ(頭が丸い)、他は無着色の皿ネジと3種類ありますので、きちんと仕分けしておきましょう。
混ざらないように管理
混ざらないように管理

ストレージカバーをスライドさせます。


カバーをとると保護スポンジに包まれたHDD本体が姿を現します。コネクタ部分に無理な力をかけないように気を付けながら、保護スポンジを抜き取ります。

これでHDDが露出しましたので、注意してコネクタをハズします。

代わりに今度はSSDを装着して..

バラした逆順に組み上げます。ポイントとしてはまず通常のドライバーでなく精密ドライバーを用意すること、戻す時には似たようなネジが3種類あるので、それを間違えないようにすること、くらいでしょうか。難易度は完全初級編です。

最後に起動後することとしては、単に「コピー」でHDDからSSDへ内容を移してあるだけですので、SSDのアクティベーションを行います。といってもBIOSの「終了タブ」から「コンピュータの回復」を選択し、「システム回復オプション」を選択するだけです。

これでこのSSDはアクティブになりました。


次はこの換装でどれほど性能が変わったのかを検証します。
まずはお約束のnanopicoちゃんで...
元HDD(東芝MK1252GSX)
元HDD(東芝MK1252GSX)
元HDDは東芝のMK1252GSX、5400回転でバッファ8MBのモデル。これがSSDになると...
Intel SSD 320
Intel SSD 320

...まさに桁違い。いずれも1桁以上、項目によっては2桁以上の大幅なベンチ数値向上でした。
では、実際の体感速度ではどうでしょうか、使うに当たって最もやる操作、つまり「起動」と「終了」、および、使えるようになる時間の測定のため、実際のアプリケーションを立ち上げ、使えるようになるまでを検証しました。「スタートアップ」に「Microsoft Word 2007」を組み入れ、電源スイッチを入れてからどの程度で「使える」ようになるのかを、最初の一文字を確定できるまでの時間で比較しました。
測定はアンチウイルスソフトなどのアップデートによる誤差を避けるため、無線LANオフで3回測定しその平均を取りました。
「ようこそ」の表示までは差がない
「ようこそ」の表示までは差がない
こちらは驚くほどの差はありませんでした。(自動ログオンを切っているので)「ようこそ」の表示が出てきますがここまでは計測誤差内。シャットダウンもHDDの3回目計測が原因不明のタイム悪化があり足を引っ張っていますが、これを除けばほとんど変わりません。wordで1文字確定できるまでは多少改善し、1割くらい(平均8秒)改善していますが「激速!」という感じではありませんでした。
ただ、起動後長く使っていると感じられた重さや引っかかりのようなモノは感じられず、数値には表れませんでしたがサクサク感は向上しました。
これは2MBに増設してあるメモリが今回の検証法では効いて、HDDとSSDの差を補ってしまったが、長く使うとテンポラリファイルがあふれ、HDDに書き込みに行く時に引っかかる、というような事なのかもしれません。

なお重さの観点では、初期のSSDは薄型HDDより重めのことも多々ありましたが、今回の東芝のMK1252GSXとIntel SSD 320では、むしろ14gSSDの方が軽くW7のモバイル性を損なうことはありませんでした。またこの14gの差はW7の約1260gという重量からすれば1%強に過ぎず、重量配分や重心の変化はありませんでした。
元HDDは94g
元HDDは94g

SSDは80G
SSDは80G
W7本体1253g(SSD装着時)
W7本体1253g(SSD装着時)



回転する(物理的動作がある)HDDに比べてSSDは動く部分がありません。そのためここで熱さがどう変化し、目玉焼きを焼く事ができるのかw検証しました。

《レシピ》
満充電(Ecoモード=バッテリーの8割までしか使わずバッテリーの寿命を延ばす、はオフ)でバッテリー起動後、OCCTを10分回し、終了後直後にあらかじめディスクにダウンロードした約10分のYouTubeファイルを音量「3」で再生する(使用ソフトWoopie Video DeskTop)。
再生終了後PC裏面の温度を非接触型赤外線温度計

で測定する。
OCCTとWoopie稼働は、洋服を着た膝の上での操作を再現すべく、綿トレーナーの上で実行する。
トレーナーの上でOCCT実行中
トレーナーの上でOCCT実行中

ようつべファイル..さてアーティストは誰でしょう??
ようつべファイル..さてアーティストは誰でしょう??


消費電力も推定するため再生終了後バッテリー残量も確認する。

W7は裏側から見ると左上がストレージエリア(今回HDDからSSDに換装)、右上がバッテリーエリア、右下~中央がCPUエリア、右端が廃熱孔となります。
裏から見たW7
裏から見たW7

レシピ通りのテストを換装前後で実行しましたが、換装前のテストは室温26.1℃、換装後のそれは25.8℃と若干の差があることから絶対的な温度ではなく、負荷前(満充電直後の温度)と負荷後の温度差で評価しました。
W7の裏に温度計測点の目印に縦方向に9本、横方向に7本の糸を等間隔に渡し、固定します(ピッチは端のみ1.5cm、他の間隔は3cm⇒その交点での計測温度をその3cm四方の温度と表現)。
63測定ポイント
63測定ポイント
糸はテープで固定(^^ゞ
糸はテープで固定(^^ゞ

負荷前⇒負荷後の温度変化を図にしてみました。3℃刻みで色を変えてあります(上昇3℃以内を黄色、3℃超~6℃以内を薄いオレンジ、6℃超~9℃以内を濃いオレンジ、9℃超~12℃以内を赤、12℃超をピンク)。
HDDはCPUエリア、廃熱孔周辺を中心に20エリアも、9℃以上の上昇を示したエリアがありました。
ストレージエリアも4~5℃の上昇
ストレージエリアも4~5℃の上昇

CPUエリア>廃熱孔>ストレージエリア>バッテリーエリアといった感じです。
次にSSD換装後はこうなりました!
ストレージエリアの上昇が抑えられてます!
ストレージエリアの上昇が抑えられてます!
全体の温度上昇も低いのは、ボディ全体で放熱する構造でもあるせいか、もしくは実験日が異なるので温度湿度の差か判りませんが、温度差そのものが少なく、なによりストレージエリアとバッテリーエリアがほとんど同じ温度差で最大でも3℃以内の上昇と言うことでSSDの低発熱が証明されました!!
温度的にはHDDの負荷後最高温度39.6℃、低温やけどに留意しなければならない「体温以上(36.5℃以上と規定)」のエリアも13エリアに及んだのに対して、SSDは最高38.5℃、36.5℃以上エリアも7エリアとほぼ半減、膝が熱くなるなどの不快な状態が抑えられ、快適性は大きく向上しました。バッテリー残量は意外にも両方とも100%⇒91%の変化で、この程度の負荷では大きな差は出ませんでした。

が、肝心の目玉焼きは....タンパク質の熱変性温度は43℃程度以上、不可逆的な変性(つまり白身が不透明の白色に変わる、ということ)を与えるために一般に用いられる温度は56℃。..残念ながらSSDはおろかHHDでも、目玉焼きは単なるぬるい生卵以上にはならないと思われますorz。
またできあがった目玉焼きの保温に使う際も、HDDの方が暖かいものが食べられると思います...。
*PCを目玉焼きの保温器として使う場合は自己責任でw
*PCを目玉焼きの保温器として使う場合は自己責任でw



最後に、SSDにおけるアライメントの性能に与える影響についての報告を見て、アライメント調整をしてみました。使用ソフトは「Paragon Alignment Tool 3.0」。少しでも安いのを、と、英語版を落としました。
アライメント実行中...
アライメント実行中...

Vista以降、特にニIntel製SSDではあまりアライメントにうるさくないと言いますが....なのぴこは...
アライメント前
アライメント前
アライメント後
アライメント後
ほとんどの項目で値が数%上昇!
実使用では...例の起動/終了、Wordの一文字確定で比較してみました...
わ、悪くなってるぢゃないか....
わ、悪くなってるぢゃないか....

ま、まさかの悪化です。起動/終了は誤差範囲内も、Wordの一文字確定は明らかに悪くHDDの平均と大差なし...orz。ただ今回うっかりしていて、アライメント調整前に一度無線LANをONにしてしまったため、セキュリティバッチ更新はもちろん、月イチのWindows Updateが入ってしまったため、完全な同条件でないのが悔やまれますが....アライメント調整は少なくともVista Businessにおいては、劇的なモノではなく、おまじない程度であるようです...

【まとめ】
今回Intel様よりご提供いただいた 「Intel SSD 320」120GBをレビューさせていただきました。
可動部のないSSDならではの低温で快適なPCの構築ができました。
残念ながら動作の快適性を数値で表すことはできませんでしたが、長時間連続で使い込んでもサクサク感が変わることなく、ベンチマーク通りスピーディーで快適なSSD環境の構築ができました。

このレビューが皆様の参考となれば幸いです。

最後になりましたが、今回このような機会を与えていただいたzigsow事務局様、Intel様、またレビューのアイデアの提示やレビューアップまでの応援など常に支えとなってくれたおものだちの皆様はじめzigsowerの方々に感謝いたします。

ありがとうございました。

コメント (30)

  • cybercatさん

    2011/06/19

    ナンチャンさん、コメントありがとうございます。
    >考えましたね(*^O^*)
    温度と重さで行こう!とは最初から考えていたんですが、目玉焼きを焼いたのはある人からの指示ですw
    とりあえず宿題がなくなったので、またのんびりやりま~す。
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