世の中PC用入力デバイスというのは山ほど販売されている。マウスだけを見てもそのバリエーションは非常に多く、家電量販店に行くと1棚全部がマウスなんてよくある話だ。
少なかったボタンはスクロールホイールを持った3系統へ。
座標取得はボール式から光学式に。現在の基本形が登場して10年以上は経つだろう。基本形が出来上がった市場では何か「アピールポイント」がなければ生き残れない。
光学式より進化を試みたレーザーマウスや青色光学センサーマウス。
横スクロールホイールに進む&戻るボタンを追加したマウス。
ケーブルを廃した無線マウス&ブルートゥースマウス。
斬新なエルゴノミクスデザインを採用したマウス。
ホイールの代わりにタッチパッドを搭載したマウス。
可搬性を重視して折りたたみ構造を持ったマウス。
多彩なマクロを登録できる多ボタン多機能マウス。
何種類ものカラーバリエーションを用意したポップなマウス。
車やキャラクターをデザインした面白マウス。
ぱっと思いついただけでこんなにもマウスが溢れている。
更にポインティングデバイスという範疇にくくればトラックボールやペンタブレット、トラックポイント・タッチパッド一体型キーボード等もう群雄割拠どころの話ではない。
ここまで来ると「アピールポイント」もネタ切れしそうなものだが、実にシンプルでありながら、他製品では見られない特徴を持ったのがこの"サイレントマウス"なのだ。
あいも変わらず長い前置きになってしまったが、やっと主役の登場だ。 同社からはサイレントマウスシリーズとして有線・多ボタンモデルの「SEI-101J」と小型・ワイヤレスモデル「JNL-202J/DG(ダークグレイ)&PW(パールホワイト)」の3種がリリースされているが、パールホワイトのワイヤレスモデルが今回の現品。
サイレントマウスをサイレントたらしめるクリック音は確かに小さく、低音域の「コトッコトッ」といった音。押した「感触」は間違いなくマウスのクリックのそれなので不思議な感覚だ。
一般的なマウスは「カチッカチッ」と高い音が出るものが多く、これが案外遠くまで聞こえてしまう。図書館や新幹線でカチカチカチカチ押していたら…目立つこと請け合いだ。 もちろん家族が寝静まった深夜にパソコンを使う時にもメリットとなるし、リビング等同じ部屋で家族がテレビを見ている横でマウスを使うときなど、「静かさ」が活躍する場面は多い。
特に外出時のシチュエーションを意識されているのか全体的な特徴もモバイルマウス寄りだ。
全長が抑えられマウスとしては小柄な部類なのだが、純粋な小型マウスと比べると甲高で幅も広い。ちょうど中型マウスの後方をカットしたようなデザインと言える。
なので持った感じは見た目より大きく、小型マウスという感じはしない。但し後方がカットされている分、手首がストンと落ちてしまい違和感を感じる。いわゆるつまみ持ちに適したタイプだが、家で長時間使うにはパームレストの併用が望ましい。
ボタン配置は普通の2ボタンホイールマウス。ホイールは縦方向のみのシンプルなもので、もちろん音は(普通に)静かだ。サイドボタンも無い…と思いきや。
こんなところに戻るボタンが! ホイール後方中央にボタンがあるマウスはそう珍しくないが、基本的には解像度切り替えや、特殊マクロ等使用頻度の低い用途に使われる位置だ。
確かにコレに慣れれば使えるのだが、これに慣れてしまうと他のマウスを触ったときに誤操作を引き起こす可能性が高い。確かに無いよりはいいのだが、複数のマウスを併用する際にこの特殊配置はデメリットとなってしまう。
レシーバーは最近定番の超小型タイプだが、収納時のマウスの形状にあわせてナナメにカットされている点が珍しい。
容積的には一般的な極小レシーバーと大差ないので、張り出し量という点では別メーカー製極小レシーバーより長くなってしまうが、十分に小さくネットブックでも気にならない。
電波到達距離は2m程度まで動作を確認。一般的な用途ならまず不足する事はない。
使用電源は単四電池2本。
電源スイッチは持たず、レシーバー側に電源供給がされると光学センサーが連動して動作する仕組み。電源オンオフに関してはユーザー側は気にせず、有線マウスと同じように使用できる。 しかしレシーバー側と電源連動するという事は恐らくマウス側でも「待機電力」が発生している可能性があり、電池消耗が心配だ。
更にセンサーは従来型の赤色可視光学タイプ。こんなに盛大に光っていると電池(単四電池2本使用)の消耗が心配になる。
そこでレビュー期間中にその答えを出せないかと、あえて付属のアルカリ電池ではなく容量の少ないエネループライト2本を装着…1ヶ月で電池が無くなった。やはりレーザー式や電源スイッチを持ったタイプと比べると消耗が大きい。
静かなクリックスイッチを除けば極々普通のマウスで、3000円という価格は少々割高感を感じてしまう。しかし「静かなマウス」を求めた場合唯一無二の貴重な存在であることは揺ぎ無い事実。家族と同じ空間で使うリビング用PC、使う場所を選べないモバイルPCにおいては、価格差を補って余りある貴重なマウスなのだ。
但し私の個体は使って僅か2週間程度でホイールの動作不良が起きてしまった。ホイールを下に回していても一瞬上が入力されるよくあるアレだ。適当にホイールを押し込んだりしていたら元に戻ったので、持ち歩き用マウスとして現在も使用しているが、この手の症状は再発の可能性もあるので様子見中だ。
最後になりましたが レビューの機会を頂いた関係各社様、Zigsow運営局様、そして蛇足の多いレビューをご覧頂いきました皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。
またおまけか。
まあ、文章で静かだと言い張ってもピンときません。しかし音声計測機材なんぞ持っていない。というわけでその辺にある機材で音を「可視化」してみることにした。
使うのは毎度撮影に使っているデジタルカメラ「RICOH CX3」の動画撮影モード。小さいものだがマイクがついており、一応音声も録音される。そこでCX3の前5cm程度の場所でクリック音を出し、録音したファイルから音声を分離。Windowsメディアプレーヤーの視覚効果「バー」のスクリーンショットを取るという超手抜き。
当然比較対象も用意した。
SANWA MA-E3BK…最も使用時間が長い愛用マウス。中身はA4TECH製。
Microsoft TOUCH MOUSE…使って見たら気に入ったタッチパッド内蔵ハイテクマウス。
Logicool M185RD…ワイヤレスながら1000円を切る実売価格のお買い得マウス。
それぞれのバー左6本くらいは環境音(低い風音)なので無視するとして、ぶっちゃけサイレントマウスは今回の計測方法では殆ど音を拾えていない。低い「コツッ」という音なので風音に紛れ込んでしまったようだ。クリック部が大きくやはり低音気味なTOUCH MOUSEもバーの動きが鈍いがサイレントマウスのバーの少なさは際立っている。
ちなみにバーだとMA-E3BKが一番大きな音を出しているように見えるが実際の使用ではM185RDのほうがバネの戻り音も入るのでうるさく感じる。つまりあまりこのグラフ役に立ってな…ゲフンゲフンn。
ついでにもう1個グラフを用意してみた。
メカニカルキーボードはともかくプチプチとキーホルダーはなんなんだ。私は相変わらずふざけてますけどこのマウスの静かさはホンモノです。メンブレンキーボード&静音PCと組み合わせればあまりに静かなPC環境を構築できるでしょう。
aoidiskさん
2012/07/12
あの独特のグニグニ音になれるまでは、
自分は、耳障りに感じておりましたが、
なれると、やはり静か・・・
実際静かなのがわかると、 より納得ですね。
下小川さん
2012/07/12
WMPバーのスクショは思いつきでやったので参考程度という感じですが、デジカメのマイクでは殆ど音が拾えなかったのは本当で、録音ファイルのクリックタイミングを何度も聞き逃すハメになるくらいでした。
yopiyopiさん
2012/07/12
圧倒されました。
私も今日マウスを持ち物に登録して
レビューした気になっていましたが
こういうふうに比較したりすると分かりやすいですね。
参考になりました。
きっちょむさん
2012/07/12
ボイスレコーダー買わないと駄目かなって思ってましたが、
よくよく考えればカメラで撮って動画編集か音楽編集ソフトを使えば、
こんなこともできるんですね。
kazgbさん
2012/07/12
妙に凝ってると思ったら例の品ですね。
音のとり方が手抜き!?
いやいや・・・これは発想がすごいですね。
ウィンドウズメディアプレイヤーあればできちゃうんですねぇ。。。
音比較時の参考にさせていただきます。〆(.. )
しかし静マウスなかなか良さそうですね。
実は仕事用にほしかったりします。
ほら・・・誰か近づいてきた時にとっさにクリックする音がすると隠しているようで・・・
いや、隠しているんですが!
下小川さん
2012/07/12
毎回私の持ち物登録が蛇足というか無駄が多いのですが、単体だと書く事が少なくなっちゃうんで比較対象用意するのはいいですよね。…実は肝心の大きさ比較写真撮り忘れちゃってるんですけど!
音に関してはまさに思いつきですね。せめて環境音を拾いにくいマイクを使用すればいいのでしょうが、PS3用のヘッドセットくらいしかなかったので、映像でも確認できるカメラを使いました。
逆に一時停止&環境音対策さえできればWMPのバーでも相対的な比較はある程度できるかと。
クリック音が小さいのは意外と活用できるパターンが多いんですよね。それだけにちょっとマウスとしての基本品質(ホイールや電池の持ち)が大手サプライメーカーと比べると価格に対して劣ってしまうのが惜しいところです。