レビューメディア「ジグソー」

省電力かつパワフルなCPU

はじめに


 今回『Top Gun Review』に応募した当初は所有しているCore i7-2600Kと比較する予定でしたが、2600Kと比較されている方が多いためか後半になってもなかなかレビュアーに選出されなかったので、途中で応募内容を変更しました。比較対象を普段使いのサブPCに搭載しているCore i3-2100へ変更したところ、それが功を奏したのか見事レビュアーに選んでいただきました。ありがたいことです。

 

 というわけで、今回のレビューはCore i3-2100との比較です。ネットやTV録画、高解像度の動画視聴といった軽い作業ではi3-2100でも十分すぎるくらいなんですが、CPUパワーが必要な作業をする際に少し物足りなさを感じていました。 i5 3570Kへ換装することで、どれほど処理能力が向上するのか、そして消費電力ならびに発熱はどうなっているかという点でレビュー予定です。

 

 

パッケージ


 パッケージはインテル製品おなじみのパッケージで、特に言うことはないです。

 

 

内容は、

・CPU本体

・CPUクーラー

・マニュアル

の3点でこちらも特に変わったものは無く、おなじみですね。

 

 付属のCPUクーラーの固定方法はプッシュピンタイプです。このプッシュピンタイプは慣れるまで固定できたかがイマイチわからないですね…。

 

 ちなみに、このCPUは倍率ロックフリーのオーバークロック向けCPUですので、自作を始めてオーバークロックを試してみたいという方はCPUの購入の際に、サードパーティーの冷却能力に優れたCPUクーラーも同時購入することをおススメします。

 

 また、Ivy BridgeはCPUコアとヒートスプレッダの間がハンダではなくグリスのために、ヒートスプレッダへの熱伝導が悪くなっているようで、ヒートスプレッダとCPUクーラーの間のグリスと合わせて『ダブルグリスバーガー』なんて呼ばれたりしていますw

 このため、窒息系のケースやファンレスで運用を考えておられる方も、オーバークロック時と同様にサードパーティーのCPUクーラーを使用されたほうがいいと思います。

 

 CPU本体のヒートスプレッダ面です。コスタリカ産です。

 

 

スペック

 

 スペックを細かく見ていきましょう。まずは、製造プロセスが、32nm→22nmへと微細化されており、消費電力の低減が期待できます。

 

 ソケットはSandy Bridgeと同様にLGA 1155なので、Z68のマザーボードでも使用できます。ただし、そのマザーに対してIvyに対応したBIOSが提供されている必要があるので、Z68マザーでIvyを使用予定の場合はマザーがIvy対応のBIOSを提供しているかを確認してください。

 

 コア数とスレッド数は、SandyとIvy関係なく『i3=2コア4スレッド、i5=4コアスレッド、i7=4コア8スレッド』が基本なので、この辺は当然変化なしです。

 また、L3キャッシュが異なりますがSandy世代のi5もL3キャッシュが6MBだったので、この点も変化なしです。

 

 ターボブーストに関してもCore i3モデルはもともとこの機能を有していないので、ここも変化なしですね。

 

 倍率ロックフリーに関してはいわゆる『K付きモデル』が対応しており、倍率を変更することでCPUのクロックを上げてオーバークロックをおこなうことが可能です。

 メモリコントローラもIvyではデフォルトでDDR3-1600に対応しています。

 

 内蔵GPUの違いは、IvyとSandyの最大の違いのひとつでもあります。Sandy BridgeのデスクトップのCPUでは、K付きモデルが上位のHD 3000それ以外がHD 2000のGPUが内蔵されています。Ivy Bridgeも同様で、K付きモデルが上位のHD 4000それ以外がHD 2500のGPUを内蔵しています。

 

 TDPはSandyのK付きモデルの95Wから77Wへと下がっています。TDPが下がったことでCPUコア自体の発熱は低減したことが予想できますが、前述のとおりダブルグリスバーガー状態なのでTDPが下がったことを素直に喜べないのは残念です。

 

 両CPUの負荷時のCPU-Zのスクリーンショットを載せましたが、3570Kのターボブースト時のクロックが異なっています。これはCPUに負荷がかかるときに、それがマルチスレッドなのかシングルスレッドなのかによってクロックが異なります。

 

 ターボブーストは簡単に言えば、『熱や電力に余裕があればがんばっちゃうよ』という機能ですが、スペック上のターボブースト時のクロックは一つのコアが動作する最大のものであり、マルチスレッド対応のソフトを使用した場合は全コア全スレッドに負荷がかかるため、最大のクロックでは動作しません。自分も最初これを理解していなかったので、どこかの設定が悪いのではないかと疑っていましたw

 

 今回、シングルスレッドに負荷をかけたのはスーパーπで、マルチスレッド負荷はCINEBENCHでおこないました。

 

 

構成

 

・OS: Windows 7 Professional 64bit

・マザー:MSI Z77A-GD65

・メモリ:A-DATA AX3U1600GC4G9-2G

・電源:Scythe 超力2プラグイン 650W

・SSD:PLEXTOR PX-128M3

・HDD:ST2000DL003

         WD10EADS ×2

     HDP725050GLA360

・ケース:Corsair 300R

・その他:Intel EXPI9301CT

             PLEX PX-W3PE

 マザーは現在検証中なので、検証が終わったらもちものリンクを貼る予定です。

 

 

ベンチマーク

 

エクスペリエンスインデックス

 プロセッサの数値は7.1→7.5へとアップしています。グラフィックスは両方とも6.5へとアップしました。ただ、エクスペリエンスインデックスはあくまでも参考程度なので、具体的なベンチのスコアは次から。

 

CINEBENCH

 CINEBENCHの結果は驚きのダブルスコアです。クロックの違いはもちろんですが、i3-2100は4スレッドとはいえあくまでも2コアなので、その差がダブルスコアという結果にあらわれたのでしょう。

 

 動画エンコード等のマルチスレッド作業はコアとスレッド数が多いに越したことはないので、エンコード等が目的ならば、素直にi7をおススメします。しかし、エンコードをしないもしくは時々しかしないが、マルチスレッド対応のゲームをするといった場合などにはi5の方が適していると言えると思います。

 

PC MARK7

 PC MARK7の結果は1400程度アップしました。単純にCPU性能が上がっただけではなく、内蔵のGPUもHD 2000からHD 4000へと変わったことも含めて、1400のアップという結果につなっがたのでしょう。

 

MHF 大討伐

 MHF 大討伐のスコアは3倍という結果です。インテルのCPU内蔵GPUの性能が大幅に向上したことが確認できます。

 ただ、これでもローエンドのグラッフィックカードには届かないと思うので、ブラウザゲームを除いて内臓GPUでゲームをするのはまだまだといった印象ですね。解像度を下げれば、MHFはプレイできるかもしれませんが…。

 

3D MARK Vantege

 3D MARK Vantageは、総合で4倍もの数値です。内訳を見るとグラフィックスで3倍以上、CPUで2倍以上であり、CINEBENCHやMHF 大討伐ベンチの結果がそのまま反映されたような数値ですね。

 

3D MARK 11 Performance

 ※HD2000はDirectX11に対応していないので、3570Kのベンチのみです。

 

 負荷が高いExtremeではなくPerformanceでこの数値なので、内蔵GPUはやはりまだまだまだなと感じさせられますね。

 

 

温度&消費電力

 

※室温27℃・CPU温度は一番温度の高いコアの数値

 

 まずは、温度を見ていきましょう。

 全体で見ると3570Kの温度が高いですね。ただし一つ一つ見ていくと、アイドル時やTSファイル再生といった負荷が低い時はi3-2100よりも温度が低くなっています。

 一方、ベンチ等で負荷がかかった際にはTDPの数値やターボブーストが影響して温度が高くなっていますね。

 

 ただ、定格クロックである程度しっかりしたCPUクーラーを使用すれば、ダブルグリスバーガーの影響は感じられません。

 今回、マザーボードの検証もあるのでオーバークロックの検証はまだ出来ていませんが、オーバークロックするとダブルグリスバーガーの影響が見えてくるのかもしれません。

 

 次は消費電力です。

 消費電力も低負荷時はi3-2100とほぼ同じ、負荷時はi3-2100よりも高く、温度の時と同じような傾向ですね。

 

 具体的に見ると、負荷時は+20Wほどi3-2100よりも高くなっており、性能相応の消費電力といったところでしょうか。

 

 しかし、ベンチマークの結果も考慮すると、+20Wほどの消費電力差であれだけの性能差が出ていることは、すばらしいの一言ですね。ワットパフォーマンスが高く、Ivy BridgeがSandyよりも省電力化されたといえるのではないでしょうか。

 

 

まとめ

 

 今回はベンチ・温度・消費電力と見てきましたが、3570Kはi3よりもサブPCに向いているのではないかと感じさせられました。個人的にサブ機=普段使いという考え方で、アイドルや低負荷時の消費電力はなるべく低めがいいと考えています。3570Kは低負荷時の消費電力はi3-2100とほぼ同じな上に温度も低く、私のサブ機に対する要望を満たしています。

 

 一方、負荷時の消費電力はi3-2100より高いですがサブ機では高負荷が長時間かかるような作業はしないので、あまり気になりません。メインマシン程のパワーは必要ないけどサブマシンでは力不足といったような場合、その間を埋めてくれるのがこのCore i5だと思います。

 ACアダプタ等で負荷時の消費電力に気を使わなければならない場合は、絶対的に消費電力が低いi3の方が良いですが、SFXやATX電源を使うのであればi3よりもi5を買ったほうが結果的に満足できると思います。

 

 CPU性能や消費電力には満足ですが、内蔵GPUの性能は物足りないですね。これ以上性能が上がるとグラフィックカードのローエンド市場を喰ってしまうので、今くらいの性能がちょうど言いといえばそうなのでしょうが…。

 BF3を低解像度・60fpsでバリバリ遊べるくらいの性能を内蔵GPUに求めたりはしませんが、せめてLlanoを上回るくらいの性能があればなとは思いますね。

 

 一つ言えるのは、内蔵GPUの性能がSandyからアップしたといっても過度に期待してはいけないということです。低解像度でもある程度のfpsでゲームをしたいと思うなら、素直に補助電源なし又は補助電源1本の1万円前後のビデオカードを購入したほうが良いです。

 

 現在、マザーを検証中なのでこちらが終わったらオーバークロックに関しても記載予定です。

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