今回のレビュー対象はCore i5 3570Kということで、本来ならば倍率ロックフリーという特性を活かして性能向上を狙うべきではあるのですが、そこを敢えてあまり高い周波数を狙わず、普段使っているCeleron G530程度の発熱でどこまでの性能を引き出せるかに注目してみました。
なぜ今回発熱に着目したのかといえば、理由は2つあります。まず1点は、H77/Z77辺りのチップセットを搭載したMini-ITXのマザーボードと組み合わせてDLNA配信サーバー兼空き時間にエンコードさせておくためのPCを構築しようと考えているためです。当然24時間稼働が前提となりますので、発熱を抑えなければその分故障率が上昇してしまいます。そしてもう1点は実に単純な話で、私の部屋に冷房がなく、真夏に発熱の大きいPCを使いたくないからです。メインPCはCore i7-970搭載で、性能には十分満足しているのですが、使っていると間違いなく部屋の温度が上昇します。さすがにこれ以上熱源を増やしたくないはないのです。
それでは早速レビューに入りたいと思います。
届いた袋の中身です。エアキャップに包まれたリテールBOXのCore i7-3570Kと、zigsow様からのレビューに関する指示等が記載された文書が入っています。
外箱を正面から。
側面のラベルにS-Spec等が記載されています。今回のCPUは「SR0PM」となっています。
最終的にはMini-ITXのマザーボードと組み合わせることを前提にしていますが、現時点ではまだマザーボードは用意できていません。とりあえずIvy Bridge世代のマザーボードとなる、MSI B75A-G43と組み合わせて検証を行いました。このマザーボードには元々Celeron G530を組み合わせていましたので、この従来環境と性能等の比較を行います。
1.まずは性能の検証
とりあえずどちらのCPUも定格動作で性能を検証してみました。
コア数が2倍、定格動作周波数が1GHz差ということもあり、Windows7のエクスペリエンス インデックスではある程度明確な差が現れました。
次にベンチマークとして「FinalFantasy XIV オフィシャルベンチマーク」を利用した測定です。今回はあくまでCPU自身の性能に着目するため、CPU内蔵のグラフィック機能は利用せず、GPUはGeForce 9800 GTに統一しています。
CPU以外は全く同じ環境なのですが、はっきりとした違いが出ています。数値上の違いも大きいのですが、実際に描画内容を比較すると、Core i5-3570Kの方がフレームレートが極端に落ち込む場面がなく、実際のゲームでの快適性に大きく差が付きそうな印象でした。
2.問題は発熱
前提条件としては、リテールクーラーを使った場合の発熱ということです。それぞれのCPUに添付されていたCPUクーラーです。
外観上、一見大差の無い両者ですが、Core i5-3570K標準添付の方は中心部が銅柱です。
今回のレビューはCore i5-3570Kの性能に浸ることが目的というわけではありません。高いCPUを使えば性能が向上するのはごく当たり前の話です。大事なのは発熱を増やさないこと。そこで、ぞれぞれの負荷をかけた状態での発熱を比較しました。
Celeron G530は負荷をかけた状態でもCPUコアの温度は50度台で収まっていますが、Core i5-3570Kの方はまだ処理能力に余裕がある状況であっても70度台に達してしまいました。これはいけません。私の部屋がますます灼熱地獄と化します。
とりあえず目安としてCeleron G530の定格周波数である、2.4GHzでの動作を試してみました。なお、B75A-G43ではCPUへの供給電圧を下げる設定はできませんので、周波数の上限を下げて電圧Autoという形にしています。
実はベンチマークへの影響はそれほど大きくはありませんでした。
温度の最大値は周波数を下げる前のものが含まれていますので若干高めに見えますが、実は動作周波数を揃えると、コア数が2倍となりキャッシュが大幅に増えるにもかかわらず、ほぼ同等水準の発熱で収まることになります。この辺りがコアの世代が進化した表れなのかもしれません。
この状態でTMPGEnc2.5(フリー版)を使って動画エンコードを実行してみました。フルHDのMPEG2ファイルをフルHDのままDivX形式のAVIに変換させたのですが、この場合のCPU温度は60度台前半というところでした。Mini-ITXのようにエアフローの悪い環境で使うのならば、この辺りが安定して使い続けることが出来る限界なのかもしれません。
MSIのマザーボードに用意されているOC Geneを使って若干オーバークロック状態で動かした際の温度は以下の通りです。
OC Gene有効時には3.7~3.8GHzで動作しているのですが、この状態で同じようなエンコード作業を実施すると、CPU温度が80度を超えてしまい、さすがにこの状態で24時間稼働は無謀といえるものでした。また、動作周波数を定格の半分となる1.7GHzとしてみましたが、2.4GHz時と特に発熱は変わりません。周波数を落としすぎてもあまり意味は無いようです。
とりあえずB75A-G43を使っての検証はここまでとします。続きはMini-ITXのマザーボードを仕入れてから追記していきます。
3.DLNAサーバーの構築
DLNA配信サーバーと表現していますが、実際には自宅内のファイルサーバーでもあり、VPNのホストでもあり、TV録画機でもあるわけで、この1台にはそれなりに多くの役割を背負ってもらうことになります。
今まではCore 2 Duo E8400+Intel DG41MJという組み合わせでこの役目をこなしていたのですが、夏になって気温が上がってくるとCPUの動作温度がかなり厳しくなってきていたため、ここを何とかするのが急務でした。そこでこのCore i5-3570Kを中心に、新たな環境を構築しました。
OSはどういうわけか余っていた、Windows Server 2008 R2を利用しました。公開用のサーバーではないので敢えてこれを使う必要は無いのですが、新たに何か買い足すのも何か勿体ない気がしましたのです。リモートデスクトップなどは意外と使うので、Windows7よりは使い勝手も良いですし。
なお、ドメインコントローラーなどはネットワーク内に別にありますので、このWindows Server 2008 R2はクライアント的な構成で設定されています。セットアップ手順はクライアントOSとそれほど大きな違いはありません。
ハードウェアは次のパーツで構成されています。
導入したのはVPNサーバーソフト「UT-VPN」。「PacketiX VPN」のオープンソース版です。主に出先からモバイルルーター等を介して自宅のLANにアクセスする際に使います。
DLNA配信には少々古めの「TVersity」。最近のバージョンは有償化されてしまいましたが、少し前まではフリー版が存在していました。
ここまで構築して運用を開始し、CPUの温度を測定してみたのですが、クーラーのグリス塗布を見直した成果が出たのか、CPU温度が予想以上に低いのです。
この水準で収まっているのなら、電圧を下げてまでクロックダウンする必要も無いような気がしています。後ほど挑戦してみるつもりではいますが、後回しにしても問題の無い水準と思われますので。その辺りの実験結果は次回更新にて記載します。
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