電脳猫ことcybercat、ジグソープレミアムレビュー「ジグソー杯・オーバークロック・コンテスト - インテル Core i7-2600Kレビュー」に参戦いたす!今回電脳猫に託された武具は倍率固定の封印を解かれた段平「インテル Core i7-2600K」とそれを支える大鎧「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3」。これらを用いて超快速マシンを組み立て、オーバークロックに関する手順を詳しく報告せよ、という下命を拝した。
この戦に関して戦況報告のためにたてられた項は三つ。
「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3」、「インテル Core i7-2600K」そして「ジグソー杯・オーバークロック・コンテスト A級ライセンス」。
いずれもお互いに関連し合っている項目のため、似たような報告となっては興味がそがれよう。
従って、電脳猫の各項の報告は以下の区分・順序で行う。
一、ASUS P8Z68-V PRO/GEN3(本稿)
この戦を支える鎧であるM/B、蒼縅の素性、特性、特徴などを分析・報告する。
かねてから所持する黒鎧「GA-Z68XP-UD4/G3」との比較を実施し、特徴を浮き彫りにする。
この項では獲物としてはあえて長期戦向けの旧武器「Core i5-2400S」を使い検証する。
一、インテル Core i7-2600K
鎧は「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3」で固定し、「Core i5-2400S」との性能比較を行う。
最高性能を狙う段平が長期戦向けの武具とその特色がどう違うのか、検証する。
一、ジグソー杯・オーバークロック・コンテスト A級ライセンス
上記二品を使ってオーバークロックの戦に参戦し武名を上げる。
使用機材や方法によって3段階の戦いを予定。
では本稿「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3」の語りに移らせていただく。「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3(以下PRO/GEN3)」はASUSTeKのIntel LGA1155用のM/Bである。チップセットには内臓グラフィック機能もCPU倍率上昇(対応CPUのみ)も使用可能なZ68チップセットを使う。
PRO/GEN3はASUS(ASUSTeK)のZ68チップセットを採用したATXフォームファクタのラインアップでは上から2番目となる(2012年1月現在:同社にはこのほかにエンスージアスト向けのExtendedATX/microATXフォームファクタの“Maximus IV”シリーズがある)。
また末尾の“/GEN3”はIntelの次世代CPU、コードネーム“Ivy Bridge”でサポートされるインターフェース、“PCI Express 3.0”対応を表す。GEN3はPCI Expressの第3世代にあたり、転送速度が1レーンあたり8Gb/sとGEN2の5Gb/sに比べて高速化され、帯域幅としては倍を確保している。
2012年1月現在、市場にはわずかにGEN3対応でないものも残っており、ASUSTeKのZ68チップセットを採用したATXフォームファクタラインアップは以下の通りとなる。大きく分けてCPU内臓GPU映像出力機能を持つ“P8Z68-V”シリーズとその上位機種として外部グラフィックボード利用前提の「P8Z68 DELUXE」がある。“P8Z68-V”シリーズは無印の「P8Z68-V」に外部チップ「Marvell 9172」により6Gb/sのSATAポート2ポートと「VIA 6308P」によりIEEE1394aのピンヘッダを2コネクタ備える「P8Z68-V/PRO」、PCIe X16スロットが1つに削られ、Bluetooth非対応、NICが「Realtek 8111E」によるものになるなどいくつかの機能省略が図られた廉価版「P8Z67-V LX」と「P8Z67-V LE」がある。廉価版2種以外は内部のPCIe X16スロット2つを、“PCI Express 3.0”化した改良版“/GEN3”がある。
今回電脳猫のオーバークロックの戦に臨む「インテル Core i7-2600K」を支える鎧は「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3」、すなわちCPU内臓GPU映像出力機能を持つものとしては最新、最高性能のモノとなる。では蒼縅こと「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3」の詳細を見ていこう。
まず「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3」のセット内容は以下の通り。
・M/B本体
・説明書(日本語で詳細なもの)
・ドライバDVD
・SATA 6Gb/s ケーブル(2本、白)
・SATA 3Gb/s ケーブル(2本、黒)
・SLI ブリッジ
・USB 3.0 ブラケット
・Qコネクタ(組み立ての項で詳説する)
CPU周りの16フェーズ(12+4)のデジタル電源回路は美しく蒼く輝く放熱板で覆われているが、CPIUソケットからの距離は2.6cmと比較的近い。しかし高さも十分抑えられており、CPU取り付けに邪魔になることはなかった。M/B上の主なチップは以下の通り。
PRO/GEN3を“GEN3”たらしめているのが、このPCI-E Gen3.0スイッチチップである「ASMedia ASM1480」GEN3であるのはPCIe X16スロット2つのみなので事実上ビデオカード専用と言えるだろう(もともとそんなに高転送能力を要求するものは他にない)。
そしてASUSの中級以上のM/Bで採用が増えているのが安心・高性能なIntel製NIC。このM/Bでは「WG82579V」が搭載されている。
対応機器の広がりと低価格化で最近必須となっているUSB3.0のコントローラーには「ASMedia ASM1042」が採用されている。バックパネルに2ポート、内部コネクタとして1つ(USBポート2ポート分)あるため2チップ実装されている。ただこの内部コネクタの位置が付属品と合っていないようだ。付属品としては上記のようにバックパネル側の拡張スロットカバーに出す「USB 3.0 ブラケット」が付属するが、内部のコネクタの位置はむしろフロントベイ側に出すのに適したところ。ここは多少のコストアップになっても無印の「P8Z68-V」との差別化を明確にするため、上位機種「P8Z68 DELUXE (/GEN3)」で付属する「フロントUSB 3.0ボックス」を同梱して欲しかったところだ。
とは言っても「USB 3.0 ブラケット」のコード長は十分で、リアパネル側に出すのが困難なわけではないのだが。
無印の「P8Z68-V」とPRO/GEN3を分けているのがひとつはIEEE1394の有無。日本ではだいぶ廃れてきた規格だが、DVカムなどがある場合などには使い道があるだろう。ただし、内部コネクタ仕様なのでPCケース側にポートが必要だ。この機能は「VIA VT6308P」で担保する。
無印の「P8Z68-V」とPRO/GEN3のもう一つの違いは、内部ポートとして「Marvell 9172」により6Gb/sのSATAポート2ポートが追加されているところだ。
オーディオチップは定番とは言え「Realtek ALC892」で大きな期待はできない。
最後に見慣れないチップが...それは高精度オーバークロックチップであるASUS「TPU」!これが後述する統合ツール「AI Suite II」と相まって、簡単で安全なオーバークロックを成立させる。
その統合ツール「AI Suite II」で制御する方法もあるが物理的にオーバークロック向けセッティング、もしくは省電力向けセッティングをM/B上で行うのが2つのディップスイッチ「TPUスイッチ」と「EPUスイッチ」だ。バックパネル外側は素っ気なく、色分けなどはされていない。一応刻印はあるものの、セッティング後は後ろになるため、USB2.0と3.0の見分けなどがやりづらいと感じた。一方そのパネルの裏は秀逸だ。一般的なバックパネルは、M/B側と密着させるためにパネルの一部が折り曲げられている程度のものが多いが、本品は断熱素材のクッションが裏一面に貼ってある。バックパネルとM/Bのスキマには埃が溜まりやすいが、ほとんどスキマができなかった。
他にもSATA 3Gb/s ケーブルとSATA 6Gb/s ケーブルが色分けされているなど細かな心遣いがされている。
それだけに追加USB3.0ポートが拡張スロット仕様であったことと、バックパネル外側の素っ気なさが残念だった。仕立てに関しては黒鎧こと「GIGABYTE GA-Z68XP-UD4/G3」
との比較を実施するため全て共通の武具を装着した。つまりCPU:Intel Core i5-2400S
CPUクーラー:CORSAIR CWCH80(簡易水冷)
メモリ:W3U1600F-4G
HDD:WD Caviar Black 1002FAEX
電源:超力2プライグイン 750W SPCR2-750P
OS:64bit版Windows 7 Professional (SP-1)
の組み合わせ。M/Bが変わったためかそのままではOSが正規品扱いにならなかったので、つなぎ替えでなく再度クリーンインストールしたが、光学ドライブレス仕様のためインストールは例によってWinToFlash
を用いた。
組み立ては特に他と異なっているところはなかったが、「Qコネクタ」という付属品が大変便利だ。電源スイッチからのリード線やリセットスイッチのそれ、HDDアクセスLED等のコネクタは小さく細いので、M/B取り付け後に差し込むのは少しやりづらいが、それらをこのコネクタに刺した後一気にM/Bに差し込むと非常に操作性が良い。
背面ポートはD-subが装備されているのが古めのディスプレイも守備範囲にする一方、オーバークロック向けの機能やチップが満載されているわりには、CMOSクリアボタンが装備されていないのは片手落ちかもしれない。ただまな板上での動作などにも対応できるよう、電源スイッチとリセットスイッチがM/B上にある。特に後者は最近PCケースから省かれる傾向にあるため、重宝するかもしれない。
バックパネルにある青色の突起はBluetoothのモジュールだ。これはユーティリティインストール後に使用可能となる「Bluetooth Suite」で使う。今回ためしにワイヤレスヘッドセット
をカップリングしてみた。ヘッドセット側のカップリングボタンを押して待つと...Bluetooth対応機器はヘッドセットの他にもキーボードやマウス等もあるが、全てをワイヤレス化したい際に接続用のドングルでUSBポートが埋まってしまう、と言うことはなくなるためワイヤレス派には良いかもしれない。
またトラブル時に頼りになるのが各種警告LEDだ。CPU、メモリ、ビデオカード、ブートデバイスの異常を検知し、ボード上のLEDが点灯する。今回電脳猫の遅参の原因となるトラブル遭遇時には原因切り分けに大変有益な情報源となった。黒鎧との比較だが、性能比較の前に外形と機能の比較を行いたい。一番大きな差は拡張スロットの数と配置だ。黒鎧GIGABYTE GA-Z68XP-UD4/G3はCPU周りの電源回路が下まで伸び、PCIe X16スロットの上にはスロットがない。一方蒼縅こと「P8Z68-V PRO/GEN3」は7枚分のスロットが用意されている。これは最高描画性能を追求するため、3スロット占有型のビデオカードを2枚積んだ時もまだPCIe X1が一枚積めると言うことであり、さらなる拡張性を約束する。
またその1枚分の差はPCIe X4スロットの追加(X16形状:上の図で「7」のスロット)と言う優位性を確立しており、RAIDボードの導入なども可能となっている。ただし、このスロットは二つのPCIe X1スロット、USB3.0の内部コネクタ、バックパネルのeSATAポートと帯域を共用しているため、X4モードで使う場合は他のコネクタは全て死ぬ。デフォルトではX1動作に設定されており、ビデオカードの大部分が採る2スロット占有の外形によってアクセスできない上側のPCIe X16(青色:上の図では「2」のスロット)の下のPCIe X1(同「3」のスロット)が殺されているので、CPU内蔵ビデオ機能を用いてスロットを別用途で使いたい場合は注意が必要だ(設定によって内部スロットを全てアクティヴにすることも可能)。
性能の差はいかほどのものだろう。
「ジグソー杯・オーバークロック・コンテスト」では戦果判定は「Futuremark 3DMark Vantage」指定だが、比較のため前回と同様、
・起動
・CINE BENCH 11.5 Open GL
・CINE BENCH 11.5 CPU
(負荷は高いが消費電力のブレが少ないテストのため目視で瞬間消費電力を記録)
・スクリーンショット取得
・FF14ベンチLOW
・スクリーンショット取得
・FF14ベンチHIGH
・スクリーンショット取得
・3DMark06 Advanced Edition 1.2.0
(負荷の高いHDR2 - Deep Freezeのシーンで目視で瞬間最大消費電力を記録)
・Webアップロード&スクリーンショット取得
・シャットダウン
-所用時間約30分-
のセットを評価に用いた。前回GA-Z68XP-UD4/G3では簡単オーバークロックツール「EasyTune6」を使い、少し追い込んだので、こちらも統合ツール「AI Suite II」を用いて簡単オーバークロックを実施した。同アプリケーションに含まれる「TurboV EVO」の「Fast」と「Extreme」のワンボタンオーバークロックを試みた。しかし実行してみると「Fast」と「Extreme」の比較で後者の方が低いデータになった。前者は専用チップTPUにより状態把握し、安全にオーバークロックできる周波数を割り出すが、後者は負荷⇒パス⇒より上位設定...とトライアンドエラーしながら上限を探るモードで一般的には「Extreme」の方が好スコアが狙える。しかしトライがNGであった場合、「2つ前の設定に戻される」仕様。したがってその部分で差異が出てしまったのかと察する...
そのため本項では「Normal」と「Fast」の結果のみを記載する。結果は...これらベンチマークではCPUに劣らずGPU機能も評価されるため、スコアは「GA-Z68XP-UD4/G3」の詰めた設定の方が本品を凌駕したが、詳細をよく見るとCPUの性能は当機の方が高い。またNormal時の消費電力もGA-Z68XP-UD4/G3の方が低かったが、CPUに負荷をかけるCINE BENCHのCPUの結果と、GPUに高い能力を求める3DMark06 Advanced Edition 1.2.0のシーン、HDR2 - Deep Freezeでは結果が逆転している。すなわち、同じ石を用いても、ビデオ機能を向上させてスコア改善を図る「GA-Z68XP-UD4/G3」に対して、主にCPU機能を増強させて処理能力改善を図る本品の差が出た形だ。
このCPU寄りのスコア改善は、今回の戦いの約束事『「Futuremark 3DMark Vantage」結果の「CPU Score」部分のスクリーンショット』で有利に働く可能性が高い。今回新たな鎧、“蒼縅”「ASUS P8Z68-V PRO/GEN3」が最高スコアを狙うに頼りになるヤツだと言うことが確信できた。きっと戦いのさなか、頼れる性能で護ってくれるだろう。
このたびオーバークロックの戦いに臨む電脳猫に力強い味方となる武具を託してくれたインテル株式会社様並びにzigsow事務局様、そして何よりトラブル時にも力強い声援を贈ってくれたジクソー衆、とりわけおものだち方に感謝をいたす。
次は倍率ロックの枷を外した大段平、「インテル Core i7-2600K」を試してみよう...
はにゃさん
2012/02/05
スロット配置の構成とかまじまじとみたことがなかったのですが、
一枚ほしい!
cybercatさん
2012/02/05
>スロット配置の構成とかまじまじとみたことがなかったのですが、
スロット配置は以前「GA-Z68XP-UD4/G3」のレビューでも触れましたが、X16スロットの下側は普通使わない(使えない)ことが多いので、このM/Bはその上にX1スロットがあるところや一番離れた位置にX4スロットがあるのはPCIeボードを積むという観点から言うと秀逸ですね。
はにゃさん
2012/02/05
1. PCIe x1
2. PCIe x16
3. PCIe x1
4. PCI
5. PCIe x16
6. PCI
7. PCI
でした。
どんだか PCIが好きなんだ…このマザーwww
7が PCI から PCIe x4に変わってるんですね。
この配置結構やり易いので、一枚ほしい気がしますね。
若干高価ですが、Bluetooth内蔵は何気に便利ですし、安いマザーと違って付属品がちゃんとしていますから、お買い得です。
cybercatさん
2012/02/05