レビューメディア「ジグソー」

この機能でこの価格は…スゴイ!けれども…

今回はプレミアムレビューのステラナビゲータのレビューをしたいと思う。

まずはじめに、今回のレビューで送付されてきたのは、ステラナビゲータ単体ではなく、ステラナビゲータ9に加えて4,725円の公式ガイドブックが付属し、定価が19,950円となっているセット品だった。単体は実売で13000円前後、セット品が実売で16,000円前後となっているのだが、ステラナビゲータシリーズのユーザーでなければ公式ガイドブック付属品を購入した方がいいだろう。

なお、このステラナビゲータは、ノートブックとデスクトップPCなど、自身所有の複数台のPCで利用する場合でも、同時に使用しないという条件で1ライセンスで複数台のPCにインストールし、使用することができる。



■Windowsへのインストール

Windowsへのインストール一般的なInstallShield Wizardによるインストーラが付属するのでとても単純で簡単。まず何か問題が出るようなことはないだろう。
よくあるタイプのインストーラ
よくあるタイプのインストーラ
インストールに必要な容量は、デフォルトの状態で約1GB、より詳細な拡張構成カタログや地形データのインストールなどフルインストールを行うと約5.8GBと非常に大きなサイズとなるが、昨今のHDD/SSDの容量を考えればすべてインストールしてしまっても問題はないだろう。サイズが大きいものは拡張構成カタログなので、インストール容量を少なくしたい場合でも地形データくらいはインストールしておいた方がよさそうだ。
標準のままだとおおよそ1GB
標準のままだとおおよそ1GB
フルインストールで5.8GBとなる
フルインストールで5.8GBとなる


■起動

ステラナビゲータを起動してみると、現時点での星空が表示され、今日の暦や月齢、太陽系の出、入り時間などが表示される…のだが、はっきりいって、何をしていいのかわからない…なんというか、遊びに出たはいいものの、さあ遊べと言わんばかりに突然だだっ広い広場に放り出されたものの、何をしていいのかわからないというような状態だ…。最近のアプリケーションでは初回起動時にはチュートリアル的なものが起動することが多いので、どうしていいものやらわからなくなってしまう。
どうしていいのかわからない…
どうしていいのかわからない…
画面上部のファイルメニューを探っていくと、コンテンツの中にガイダンスという項目があったので、これを起動してみると、ちょっとしたチュートリアル的なメニュが表示されるようになる。
ガイダンスを表示させることができた
ガイダンスを表示させることができた


■いったいなにができるのか?

ステラナビゲータ Ver.9を使って、いったい何ができるのか…。これを把握するのに時間がかかった。というのも、あまりにも多くのことができるからだ。

正直言って、定価で15000円程度の価格から想像していたものは、天体表示と星座表示、それとちょっとした天体解説くらいのものだと思っていたのだが、これは良い意味で大きく裏切られた。

が、その結果として、できることが多すぎて立ち往生してしまったのも事実だ。ということで、いったいどんなことができるのか…。


●天体の表示
これはアプリケーションの名前からもできて当然だろう。時間や場所を指定して、その時その場所でどのような星空となっているのかを表示できるというもの。また、対応したGPSを接続することで、場所に関しては自動的に設定できるようなオプションがある。しかし、iPad用のアプリであるiステラHDなどのように、PCの方向や角度などを検知して表示させるような機能は無いので、そういった使い方をするのであれば、iステラHDの方が向いているだろう。
星座線はもちろんのこと
星座線はもちろんのこと
星座絵の表示もできる
星座絵の表示もできる
天体以外にも人工衛星の表示もできる
天体以外にも人工衛星の表示もできる
実際に撮影した写真と比較してみて何等星まで写っているのかを比較してみた
実際に撮影した写真と比較してみて何等星まで写っているのかを比較してみた


●過去・未来の天体状況の再現
天体の表示に関連するものだが、時間と場所を指定することで過去や未来に起こりうるであろう天体事象を再現させることができる。たとえば日食や月食といったものがどのように見えるのかなどを再現させることができる。

この機能は、過去、未来ともに数千年、それ以上の年月を超えて再現でき、非現実的ともいえるような時間を設定して楽しむのも面白い。学術的な利用もできるのだろう。
歴史的なハレー彗星の軌道や…
歴史的なハレー彗星の軌道や…
某女優と某ハイパーメディアクリエーターでも騒ぎになった奄美大島での皆既日食なども再現できる
某女優と某ハイパーメディアクリエーターでも騒ぎになった奄美大島での皆既日食なども再現できる



●プラネタリウム番組
18のプラネタリウム/10のBGV番組が収録されている
18のプラネタリウム/10のBGV番組が収録されている
18ものプラネタリウム番組が収録されているだけでなく、10のバックグラウンドビジュアルが収録され、そのほかにもインターネット経由でコンテンツライブラリに接続することで、番組を無料で追加していくことができる。
コンテンツライブラリよりプラネタリウム番組などを追加できる
コンテンツライブラリよりプラネタリウム番組などを追加できる
正直言って、このプラネタリウム機能だけでも、定価分程度の価値は十分にあると感じられた。


●望遠鏡やカメラのレンズ・画角をシミュレート
今回のプレミアムレビューで一番活躍してくれるのはおそらくこの機能だろう。
焦点距離とカメラの機種か撮像素子のサイズを指定撮影範囲がわかる
焦点距離とカメラの機種か撮像素子のサイズを指定撮影範囲がわかる
たとえば画像の例では、私の持つα33とほぼ同等の撮像素子を持つα300で焦点距離50mmのレンズを使った場合にどうなるかという例。オリオン座であれば画面いっぱいに撮影できる良いサイズだということがわかる。

カメラを構える前に、どのレンズを利用し、どういった構図が取れるのかというのを事前に準備ができる利点は大きい。特に星空のように暗かったり、どの程度の範囲が映り込むのかが分かりにくく、ズームレンズを使いづらい状況で構図を決めるのが難しいような画を撮影する際にはこの機能は素晴らしく機能してくれるだろう。筆者が今回の使わせていただいた中で一番気に入ったのはこの機能だ。


●望遠鏡のコントロール
筆者は望遠鏡を所持していないので試すことはできないものの、PCと連携できる望遠鏡を接続することで、ステラナビゲータで指定した天体を追尾させるようなこともできるのだとか。


●天体辞典
クリックした天体の詳細をその場で確認できる
クリックした天体の詳細をその場で確認できる
天体辞典も内蔵されており、右クリックしてメニューから天体辞典を選ぶことで、その天体の詳細がすぐに確認できる。どういった星なのか、何等星なのかなどというのも一目瞭然だ。


■ユーザーインターフェースについて
リボンインターフェースが採用され、わかりやすいようにも見えるのだが、その機能を1つ1つしっかり覚えていなければ、結局どのボタンで何ができるのかみたいなことが、一見さんにはわかり辛いと感じられた。メニューにはあるがリボンにはない項目であったり、またその逆であったりと煩雑に感じることも多く、もう1ひねり欲しいところ。

そして1つ大きな問題があったのだが、Windows Vista以降のOSでは、画面の大きさと解像度に応じて、表示される画面のDPIを変更できる機能が用意されており、17インチ、フルHD(1920x1080)のノートPCで、Windows XP以前のOSでは通常96dpiのところを、Windows7の標準設定では125dpiに設定されており、それでも文字が小さいので更に133dpiに拡大して使用しているのだが、ユーザーインターフェース周りが96dpiでのみ利用されることが前提とされたデザインが施されているため、カスタムDPIを設定してしまうと、メニューなどのインターフェースの文字が画面外にはみ出てしまうなどして、文字が読めなくなってしまったりしてしまうのだ。
カスタムDPIを設定して文字を大きく設定してしまうとUIが崩れてしまう
カスタムDPIを設定して文字を大きく設定してしまうとUIが崩れてしまう
最近では小さなサイズでフルHDといったような液晶モニタも増えてきたので、この問題は早急に解決してほしいところだ。


■頻繁なアップデート
アプリケーション本体ではないが、恒星データなどがかなり頻繁にアップデートされており、ネット経由で簡単にアップデートすることができる。これはとても魅力的に感じられた。アプリケーションの起動時に自動的に確認してくれ、アップデートもボタンを押すだけと非常に簡単だ。
起動時に更新データがあるとアラーとを表示してくれる
起動時に更新データがあるとアラーとを表示してくれる
更新もボタンを押すだけと簡単
更新もボタンを押すだけと簡単



■とにかく多機能…天体好きには必携のアイテム…だが?
ステラナビゲータはできることが多く、天体好きであれば必携のアイテムだろう…だが、初心者目線で見ると、正直言って、多機能すぎてよくわからない部分も多い。

公式ガイドブックも416ページにもわたる参考書並に分厚い本となってしまうほどにできることが多く、そのすべてを把握するまでには、年単位の時間が必要なのではないかと感じさせられるほどだ。

また、初心者向けに簡単に使い方を覚えていけるようなチュートリアルも特に用意されていないので、人によっては、インストールをしたはいいものの、よくわからずに使わなくなってしまう…というシナリオも想像できる…。このこともあり、ステラナビゲータのシリーズを触ったことがないのであれば、できれば公式ガイドブックとのセット品を購入するべきだとは思うのだが、この公式ガイドブックも結構な難易度だったりする。

例えば、公式ガイドブックの「これだけは知っておきたい基礎的な天文知識」という項が57ページもあり、その内容も専門用語が出てくるような内容で、天文学に触れたこともなく、ただ漠然と星空が好きという人であれば投げ出したくなってしまう人もいるだろう。

機能的には非常に多機能で、かなりの高度なことができるのはいいのだが、もう少し素人や初心者に配慮したなんらかの対応策が欲しいところだ。筆者もこのソフトの1/10どころか1/50も使えているかどうかは怪しいところだ。

価格的には公式ガイドブックを入れても2万円以下のソフトとは思えないほど多機能で、天文学、天体好きにはたまらないソフトだと言えるのは間違いないのだが、もう少しだけ初心者やビギナーにも優しい機能があれば、これから始めてみたいという人にも最高のソフトになったのではないだろうか?

29人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (9)

  • aoidiskさん

    2011/10/19

    『ただ漠然と星空が好きという人であれば投げ出したくなってしまう人もいるだろう。』
    まさしく そのような一人なので、
    このソフト、時々、雑誌で目にすると、いつか欲しいな、自宅でプラネタリウムか?
    神話の世界をひもとき、見るのもいいなと・・
    あこがれのソフトではあったのですが・・・
    敷居が高いなと思っていたら、そうなんですね。
    敷居は本当に高かったんだ。
    有り難うございます。よく分かりました。
    レビューお疲れ様です。
  • anzuさん

    2011/10/19

    敷居が高い…というか、私のようなズブの素人でもある程度は使える様にはなりましたので、内容の自体の敷居はそれほど高くないとは思うんですが、入り口が狭いというか、入り口がうまく作れていない、そんな印象ですね。

    内容は素人~学術的な使い方まで多種多様な使い方ができる優れた内容になっているのは間違いありません。それだけにそれ相応の初心者向けのチュートリアルさえ充実していれば…と強く思います。

    それこそ、プラネタリウム番組だけをただ眺めているだけでも楽しめるような方にも楽しめる内容になってはいるんです。

    ただ、いかんせん入り口が難解となってしまっているのが大きな問題ですね…。公式ガイドブックももう少し柔らかめな初心者向けの編集をした初心者向けの版があってもよかったんじゃないだろうか?なんても思ってしまいましたね。とにかくこの入り口さえ何とかしてしまえば、その先には素晴らしい世界が待っているはずですよ。
  • 我輩!テトであーる♪さん

    2011/10/19

    こんなすごいソフトあるんですね♫
    勉強になるました!!
    プラネタリウム機能、過去、未来の再現とすごい機能ですね
    これだけでも私のは十分かもです。
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