天体写真では高感度を必要とするためノイズ低減を目指し撮像素子を冷却する！実はそんなに珍しい事ではありません。高感度撮影が必要なケースではビデオカメラも含め良く行われています。そのような必要性のある科学者や技術者、工業デザイナーには常識なのですが、一般的にはあまり知られていないのかと思い少し解説をさせていただきます。
例えば撮影画像のノイズを嫌う場合撮像素子を冷却するのは一般的な方法です。天体写真だけの事ではありません。実はコンパクトデジカメのデザインにも影響しています。下は初期のカシオＥＸＩＬＩＭです。一世を風靡しブランドを確立するに至ったモデル。
初期コンパクトデジカメ
デザインのアクセントになるくらい思いっきり外側角へレンズ（撮影光学系と撮像素子、以下レンズ）が付いています。これは必ずしも奇を衒ったわけでは無く理由があります。レンズはなるべく外側に付けたいんです。それは機器内部で発生する熱から遠ざける。また冷えやすい部分に配置したいという事なんです。
「最近のはそんなじゃないでしょ？」では上記を意識して最新機種を見てみましょう。
光学電動ズーム付きデジカメ
レンズは上下方向真ん中あたり？いえ、カメラの高さがレンズユニットを納めるぎりぎりの高さです。そしてその大きなレンズユニットは思いっきり端へ寄せています。つまりレンズを可能な限り外側へ設置しているんです。
これが工業デザインというやつなんです。外見の美しさ、操作のしやすさ、そして可能な限り性能を良くするデザイン。 コンパクトデジカメも撮像素子をなるべく冷やすためデザインが工夫されているのです。
最近のモデルでもズーム機構が無くコンパクトな撮像ユニット（レンズだった＾＾；）を使用する場合の例を挙げておきましょう。
タフネスデジカメ
天体撮影で撮像素子を冷却するのもコンパクトデジカメのデザインも同じ物理法則に影響されているわけです。
ガイド星を追うのに相当する技術は産業分野ではもっと高度な方法がとられていますので、いつか天体写真に使われるときがくるかもしれません。というかやってみようかな。カメラに写ったガイドの位置を画像処理により確定し、そのガイドを一定位置に維持するように連続制御します。これも産業用途ではそれほど特別な事では無く、最新制御理論を使うまでも無く行われています。
そういえば天体観測のための巨大反射望遠鏡では反射鏡の重力によるゆがみを取るために鏡保持部分を似た方法で制御していたような記憶があります。かなり精度の高い補正が必要ですから産業用用途同様の方法がとられているのでしょう。つまりもう天体観測に利用されているのでありました(#^.^#)
きっとアマチュア用にももっと高度な制御機器が普及していくんでしょうね。
撮像素子前のフィルターは逆に天体撮影には邪魔になる。ではそんなもの何故付けているのか。講座でも少し触れられていましたが、赤外線領域まで映り込むため赤系が強くなりコントラストが深くなってしまう。また、撮像素子のダイナミックレンジが目に見えない、本来必要ない領域に消費されてしまう。
そして、少し他の事情もありまして、白黒用コントラストフィルター、これは赤領域よりも短い波長の光を排除する事でよりコントラストが強調された写真を撮るため銀塩フィルム時代に使われていましたが、これを付けると赤外線が他の色が写らずに・・・
まぁいいや。
Vossさん
2011/11/20
CCDへの熱って、この大きさでも配置次第で化けるもんなのですな。
ちゃなさん
2011/11/20
熱の影響は撮像素子に限らず色々なケースで以外とあるんです。温度分布にムラがあるとそのムラは結果に正直に出てきてしまう。たかが温度でも面白いものです。物理法則の影響が身の回りの物のデザインにも影響する。この辺のおもしろさを小学校や中学校の先生はもっと勉強していただきたいなと憧れます。
ねおさん
2011/11/20
コンデジのデザインにそんな理由があったとは・・・
思った以上に身近なことなんですねぇ
ちゃなさん
2011/11/20
コメントを有り難うございます。
超ハイレベルで自分とは無関係だろうと思われる事でも、実は身近で普通に使われている物の設計と同様の話であったりするんですね。そして、そう考えると超ハイレベルと思える事も少しずつ背景技術を理解していけばとても楽しく新たな世界を体験できます。わくわくしてきます。