レビューメディア「ジグソー」

Windows 11対応、そしてこの並列性は特定用途では当面使える

昨年(2022年)前半までのメインPCのCPUは、こちらでプレミアムレビューさせていただいたAMD Ryzen™ Threadripper™ 1950X(以下1950X)。

コードネーム“Whitehaven”として開発されたこのCPU、ベースクロックは3.4GHzとさほど高くはなかったものの、最大ブーストクロックは、(意地でも?)同時期に発売された一般用のRyzen、コードネーム“Summit Ridge”を持つRyzen 7 1800Xを上回り、4.0GHzまで回る石で、16コア32スレッドの並列性もあって、普段使いでエンコードやダウンロード、解凍など複数のタスクを同時に走らせても、全く「詰まる」部分がなく、快適に使っていた。その後Ryzenは改良をすすめ、ライバル企業の脚踏みも味方して、「二番手」イメージを払しょくするほど性能を伸ばすのだが、自分としてはこの第一世代のZenマイクロアーキテクチャの1950Xで十分で、以下の構成で使っていた。

 

【スレッド立派PC(Rev.4.00-final-)】
 ・CPU:AMD Ryzen™ Threadripper™ 1950X
 ・CPUクーラー:ENERMAX LIQTECH ELC-LTTRTO280-TBP
 ・M/B:ASUS ROG ZENITH EXTREME
 ・メモリ:G.Skill TridentZ Neo F4-3200C16D-32GTZN ×2 Total64GB(16GB✕4)
 ・VGA:msi GeForce GTX 1080 GAMING X 8G
 ・システムドライブ:PLEXTOR PX-512M9PeGN ×2(RAID0)
 ・一時保管用データドライブ:SanDisk SD9SB8W-512G-1122 ×2(RAID1)
 ・長期保管用データドライブ:WD40EFRX-RT2 ×2(RAID1)
 ・光学ドライブ:Pioneer BDR-209XJBK/WS
 ・カードリーダー&USBフロントパネル:Bullet IOP525
 ・電源:CORSAIR RM850(80PLUS GOLD)
 ・PCケース:CORSAIR Carbide Air 540
 ・フロントファン1:ENERMAX APOLLISH VEGAS UCAPV12-BL ×2
 ・フロントファン2:ENERMAX T.B.VEGAS QUAD UCTVQ12P
 ・OS:Windows 10 Pro

 

構築後もチマチマと改良を進め、Ryzenで「効く」と言われているメモリ周りはOCメモリをあてて増量、グラフィックスカードも構築以降にソコソコいいやつに交換したので、最新ゲームをやるならともかく、CUDAを用いた演算支援であれば十分すぎる性能。どうしても「○○しながら、××する」という併行作業が多くなるメインPC用としては、この多スレッド対応性能は使いやすく、ストレージのひっ迫程度しか差し迫った問題がないので、当面そのままで使うつもりだった。

 

-2025年までは-

 

そう、問題はOS。2023年初頭でもまったく問題なく使える...どころか、他社も含めて普及価格帯のCPU相手なら多くの点でまだ凌駕する性能があるくらいなのにもかかわらず、このメインPC、Windows 11の要件を満たさず、ヴァージョンアップできないのだ。したがってこのままでは、最大で2025年10月...つまり今から2年半後には使えなくなる(ネットにつなぐのが必須の常用PCを、サポートなしのOSで使い続ける選択肢はない)。

 

メモリは64GB積んであって、要件の4GBを大きくクリア、グラフィックスカードはDirectX 12対応を果たしたMaxwell世代(GTX9XXシリーズ)の「次」の世代(Pascal)のGTX1080で、これはDirectX 12最適化が謳い文句の一つであったくらいなので、問題ない。TPM(Trusted Platform Module)2.0に関しては、後に回避の仕方も出回ったが、これは万一を考えて、物理モジュール

を安価に入手、導入済み。

 

残る要件のディスプレイ解像度やストレージの容量は、10年前のPCでも...いや、5年前のタブレットPCですらもクリアできるレベルであり、全く問題ない。

 

問題はCPU。

 

もともとMicrosoftの旧世代切り捨て策か、Windows 11要求要件は厳しかった。Intelでは2016年発売のCore i 7XXXシリーズ(コードネームKaby Lake)まで、AMDはさらに厳しく、2017年発売のZenアーキテクチャの製品までが非対応

 

そして、1950XはこのZenアーキテクチャに属する。

 

当初はWindows 11対応がZen2以降という話が流れたが、これなら(対応CPU少なすぎダロ、という点を除けば)まだ納得ができる。

 

しかし、最終的にAMDのCPUに関しては、Zen以前非対応、Zen+以降対応と分けられることになった。

 

Zen+とは、初代Ryzenの一年後にリリースされた“Pinnacle Ridge”、“Colfax”シリーズのことで、「第2世代Ryzen」と呼ばれるもの。

 

しかし、アーキテクチャ名がZen「2」にならなかったのは、プロセスルールの微細化がメインで、多少対応メモリが高速化した程度の改良型Zen、いうなればZen1.1とでもいうべきものだったから。

 

【ZenとZen+の違い】

・プロセスルールを14nm⇒12nmにシュリンク
・それにより最大動作クロックの向上と、動作電圧の低減を実現
・メモリは従来のDDR4-2666からDDR4-2933対応

 

これは当時AMDのCTO、Joe Macri氏も明言していたが、Zen+の高速化はキャッシュ/メモリレイテンシーを削減したこと「だけ」で得られており、内部構造的には一切手が入っていないということだった。つまり、プロセスルールの微細化が、駆動に必要な動作電圧の低下をもたらし、電圧を過剰にかけなくてもクロックが上がることになり、それに合わせて対応メモリのクロックを上げた「だけ」のものだったはず。

 

しかし、Windows 11必要要件ラインは、Zen+とZen2の間(もしくはExcavatorとZenの間)ではなく、最も違いが少ないと言われたZenとZen+の間に引かれた。

 

この要件はFixされてしまったので、メインPCを2025年で使用終了するか、CPUを差し替えて延命するかの二択になってしまった(もともとメインPC自体は近々更新しようと考えてはいたが、2025年までにサブPC降格....ではなく、使用終了、というのでは、結構PCの繰り回しが変わって来る)。

 

では、CPUを差し替えるか....としても、元々、ZenとZen+の間には大きな差がなく、買い替え需要もそこまではなかったのか、中古のCPUのタマが少ない(Ryzenならまだしも、Ryzen Threadripperなので)。すでにRyzen ThreadripperはZen3アーキテクチャを採用した“Chagall”世代(Ryzen Threadripper PRO 59XXシリーズ)に切り替わっており、前々世代となるZen+アーキテクチャ採用の“Colfax”世代(Ryzen Threadripper 29XXシリーズ)は中古市場からも消えようとしていた。かといって、市場にまだある前世代=Zen2アーキテクチャのRyzen Threadripper 39XXシリーズ(“Castle Peak”世代)は、そもそもソケットが変更されていてM/Bからの刷新が必要。さすがにそこまでかけてRyzen Threadripper環境を維持する意味はないので、安く中古のZen+世代のRyzen Threadripperが出たら差し替えするか....と様子見モードに。

 

ただ、今が16コア32スレッド1950Xなので、Zen+世代でもコア数が少ない2920Xは避けたいなぁ...なんて考えながら中古市場を眺めること数ヶ月、ちょうどWindws 11対応CPU要件がFixしたせいか、暴落するZen世代をしり目に、Zen+世代はなかなか下がらず、コア数下位の2920Xや8万程度の値が付いた2950Xをいくつか見送った後出てきたのがこいつ。

 

Zen+世代Ryzen Threadripper最強(あるいは最凶w)の、AMD Ryzen™ Threadripper™ 2990WX(以下2990WX)。

 

実に32コア64スレッドと、スレッド立派な?従来のRyzen Threadripperをさらに2つ同じCPUに収めたような強引な造り。それでいて(ベースクロックは3.0GHzと控えめながら)最大ブーストでは4.2GHzまで回るという無茶振り熱血系。そして、TDP250Wと力技で高性能を得たのがありありとわかる設定という、実に頭おかしい漢らしいCPU。

1950Xと2990WXのCPU比較。スレッド数とかTDPとかイロイロおかしい。
1950X2990WXのCPU比較。スレッド数とかTDPとかイロイロおかしい。

 

ただ、Socket TR4のM/B、ASUS ROG ZENITH EXTREME(X399プラットフォーム)

では望みうる最高のアップグレードパスでもある。しかし、初値23万円超で出てきたこのCPU、タマが少ないこともあってか値崩れせず、大手中古PCパーツ販売店では今でも中古で10万円以上する。

 

それが半額の5万円でオークションにでてきた。

 

動作保証なしのジャンク扱い(返品不可)だったが、以前使っていた時は正常動作だった...ということで、賭けてみることに。....果たして??

 

Ryzen Threadripperのパッケージは、AMDの最上級CPUらしく凝った造りで、前回レビューした“Whitehaven”シリーズの1950Xも「開けたらきれいには閉められない」造りだったが、この“Colfax”シリーズのRyzen Threadripperも同じで、元はかなりディスプレイにも気を使った無駄に大きな箱に入っている。ただ重要なのは、CPUをソケットに固定するときに使う規定トルクで締められるドライバー。今回入手した品は、最外装の化粧紙の部分は当然破ってあったが(そうでないとCPUまで到達できない)、このドライバーも含め、説明書やCPUクーラー用固定金具などすべて揃っており、外装も化粧紙も含めてすべて残されていて、前使用者が丁寧につかっていたのが感じられる。

1950Xのパッケージよりさらに巨大な箱
1950Xのパッケージよりさらに巨大な箱

 

パッケージは大きいが、必要なのはこの二つ
パッケージは大きいが、必要なのはこの二つ

 

絶対必要なトルク調整機能付き特殊ドライバーだけでなく、全て揃っている
絶対必要なトルク調整機能付き特殊ドライバーだけでなく、全て揃っている

 

本来安い2950Xを探していたハズなんだけれど....
本来安い2950Xを探していたハズなんだけれど....

 

とりあえず、BIOS(UEFI)を第2世代Ryzen Threadripper対応のものか確認する。どうやら、2018年8月10日リリースのROG ZENITH EXTREME BIOS 1402から第2世代Ryzen Threadripperには対応しているみたい(support AMD 2nd Gen Ryzen™ Threadripper™ processors)で、取りあえずOK。上手く動けば、Windows 11対応を謳う(Support Windows 11 by default)2021年9月16日リリースのROG ZENITH EXTREME BIOS 2201にアップしようかと。

 

次にPC分解してM/Bを摘出、1950Xを外して、2990WXを挿入。このトレーごと交換、ソケット押さえ金具に書いてある順番で、規定トルクでネジの外し/締め、というのは1950Xとまったく変わらないので、何も問題ない。

このオレンジ色のトレーごとスライドして装着
このオレンジ色のトレーごとスライドして装着

 

ちなみに倍もコアが入っているのに、表から見ただけでは刻印以外違いはない
ちなみに倍もコアが入っているのに、表から見ただけでは刻印以外違いはない

 

裏のコンデンサーの配置はわずかに違うが、正確に覚えていないとわからない
裏のコンデンサーの配置はわずかに違うが、正確に覚えていないとわからない程度の差

 

で、組み直してスイッチオン!

 

....起動しませんがな(^^ゞ

 

ハズレ引いたか?と一瞬青くなったが、性能アップのためにいくつか変更してあるBIOS(UEFI)の設定を、ストレージのRAID設定以外初期化して試してみることを思いつく。

 

そうすると起動した!

ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ...焦ったぜ....
ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ...焦ったぜ....

 

どうやら、G.SkillのOCメモリ

を使うために読み込んでいるXMP設定では動かないようだ。そういえば「第2世代Ryzen Threadripperはメモリ回りが厳しい」と当時の記事で見かけた気がする。元々、このOCメモリ、4枚組のセット売りのものではなく、同一製造時期の2枚組販売の同一品番メモリをふたつ、4チャンネルのX399環境で使っているので、ビミョーな差で上手く回らないのかもしれない。

 

メモリ設定を、XMP設定の3200MHz CL16-18-18-38(1.35V)から、メモリのデフォルトの2133MHz CL15-15-15-36(1.2V)に落とすと起動するようだ。

 

Windows 11互換性チェックツール(PC正常性チェックアプリ←このアプリ名なんとかならんのかw)で調べると、無事要件クリア。

これでWindows11もOK
これでWindows11もOK

 

数日後にはなったが、Window 11アップグレードの案内も落ちてきた。

 

無事起動したので、ベンチ取得。今回、2950Xを探すつもりが、予定外に安く2990WXが手に入ったので、交換することにしたが、当時のレビューでも1950X⇒2950Xは買い換えるほどではないにしても、順当に全性能がわずかにアップするが、一方1950X2990WX(もしくは2970WX)は、単純な上位下位ではなく、環境と使用ソフトによって、得手不得手、適不適があり、必ずしも全ての性能が1950X2990WX(2970WX)にならないとの事だった。

 

今回、取得したのは3DMarkPCMark 8PCMark 10CINEBENCH R15CINEBENCH R20CINEBENCH R23FF XIV 暁月の終焉ベンチマーク7-Zip ベンチマーク

 

なお2990WXベンチ取得時のパーツは、1950Xの時の「Rev.4.00-final-」と同じ構成だが、前述の通りメモリのクロックはOCの3200MHzから、デフォルトの2133MHzに下げてある。「メモリスピードが効く」Zen系のアーキテクチャで、これがどういう影響を与えるか。

 

まず3DMarkだが、元々グラフィックス性能重視のゲーム系ベンチマーク、純粋にCPUのマルチスレッド性能を観るCPU PROFILEのそれもMax threads以外分が悪い。あと、Time Spy ExtremeのCPUの部分だけかろうじて良いという感じか...元々、Zen⇒Zen+の性能上昇は、キャッシュ/メモリレイテンシーの削減だけで得られているらしい。それでも1950X直接後継の2950Xはベースクロックもブーストクロックも上昇しているので、(差はわずかかも知れないが)順当に性能アップしただろうが、2990WXはブースト時の最大周波数こそ4.0GHz⇒4.2GHzと5%上昇しているが、平時のクロックは3.4GHz⇒3.0GHzと逆に1割以上低下している。これに以前はオーバークロックメモリを当てて性能を底上げしていたものがメモリクロックも2/3になってしまったのだから、純粋に多スレッドを使うベンチ以外では2990WXの良さが見えないのだろう。

3DMark系(数値が小さい方が高性能な項は比は逆数)
3DMark系(数値が小さい方が高性能な項は比は逆数)

 

実際のアプリ使用時に近いと言われるPCMark系はどうだろう。

 

まず、PCMark 8(Home accelerated 3.0)。これは見事なまでに誤差。CPU換装によるメリットはまるで見られない(逆にデメリットもない)。

ほとんどCPU交換の効果無し??
ほとんどCPU交換の効果無し??

 

次にPCMark 10。こっちの方は....微減かな。PCMark 8よりも新しいベンチマークなので、マルチスレッドの使い方の比率が大きくなっているかと思ったがさほどではないのか、それとも流石に64スレッド使い切るアプリは民生用ではほとんどないので、中途半端なマルチスレッド使用で、ベースクロックが低いのが災いしたか....あまり良い成績ではなかった。

baom
むしろ悪化しているのだが?

 

一方、マルチスレッド化がトレンドになってから、AMD御用達ベンチマークとなっている?、

CINEBENCHは、R15R20R23いずれも順当な上昇。R23の「MP Ratio」の比が169%となっているが、ほぼこれに近似の1.7倍程度のスコアを叩くものが多い。「CPU (Single Core)」が103%と微増しているが大差ないところもZen⇒Zen+の進化内容からすれば納得だし、16コア32スレッドの1950Xで「MP Ratio」が16.18と約半分しかスレッドが使えていないのが、32コア64スレッドの2990WXでは27.32とさらに4割程度に落ちてしまっているのも同傾向。ただ、同時にさせる仕事が多くて、かなりスレッドが立てば、2990WXの良さが出そうではある。

CINEはさすがに2990WX圧勝
AMDのプロモーションにも使われるCINEBENCHはさすがに2990WX圧勝

 

ゲームベンチであるFF XIV 暁月の終焉ベンチマークの結果は、3DMarkと同様に低下した。

 

圧縮解凍ソフトの7-Zipベンチマークは面白い結果に。1950Xのレビューに、「(比較対象とした)IntelのCore i7-5960X EEとは傾向が違い、圧縮が不得手で、展開は得意な傾向」と分析したが、今回さらにその傾向が進んで、圧縮はむしろスコアが悪化したのに、展開はスコアアップで、トータルとして大差ない...という結果。圧縮と展開ではマルチコアの使い方が違うのだろうか。

 

では、今ドン底まで落ちているメモリクロックを少し上げてみることにする。一応、2990WXはZen+世代共通の「最大メモリー速度:Up to 2933MHz」という対応。ということで、マニュアルで2933MHzまでメモリクロックを上げてみた(G.Skill TridentZ Neo F4-3200C16D-32GTZNはXMP設定で3200MHzのプロファイルを持つが、2933MHzのものは持っていないので、UEFIで直接制御)。すると、無事起動。

 

このメモリの高速化、「メモリのスピードが効く」Zen系アーキテクチャにどれくらい影響があるのだろう。全く同じベンチ類で比較してみる。まず3DMark。ほぼ全ての指標で上昇が見られる。上昇幅は数%程度の微増レベルから、2割以上の明確な差まであるが、だいたいのべて1割程度の上昇。

メモリ以外同条件でメモリクロック上げると流石に全項目上昇
メモリ以外同条件でメモリクロック上げると流石に全項目上昇

 

次にPCMark系のPCMark 8は....「Writing」以外ほぼ誤差かな....

PCMark 8はあまりメモリを使ってないんだろうか
PCMark 8はあまりメモリを使ってないんだろうか

 

PCMark 10の方は....8同様に「Productivity」系のスコアが明確な向上、あと映像処理系の「Digital Contents Creation」が向上しているものが多い。一方、「Essentials」系のスコアは振るわず、むしろ悪化しているものが多い感じ。PCMark系の結果からは映像処理やExcelたくさん開いたときなどは、メモリスピードが速いと処理速い、ということか。

PCMark 10はあきらかに悪化しているのがあるが、突発的事由??
PCMark 10はあきらかに悪化しているのがあるが、突発的事由??

 

CINEBENCHは悪くこそなってはいないものの、CPU系のスコアはほぼ誤差+α程度。FF XIV 暁月の終焉ベンチマークはそれよりは上昇しているが1割未満。

7-Zipベンチマークの動きが面白い
7-Zipベンチマークの動きが面白い

 

一方、7-Zipベンチマークは2~3割の明確な上昇で、さすがに64GBもメモリ積んでると、こういった圧縮・展開はメモリ上で大部分の作業が終わるのか、メモリ高速化がダイレクトに効いた。

 

では、このメモリをZen+系CPUのメモリクロック定格最大の2933MHzで動かしたものと、従前メインPCの状態=OCメモリ状態の1950Xの比較をしてみよう。

 

3DMarkはCPU PROFILE以外はさほどに振るわないが、CPUのスコアも、Fire Strikeのように、昔からあるベンチマークは明確に悪いが、新しいベンチほど落ち込みが少ない(Time Spy Extremeに至っては大きくスコアを伸ばしている)ということで、ベンチマーク側のマルチスレッドの使い方と多コア使用時のベースクロックの低下のどちらが優勢かという問題だと思われる。

最終的な上昇(あるいは低下?)幅はこんなモン
最終的な上昇(あるいは低下?)幅はこんなモン

 

PCMark系のスコアはPCMark 8はOffice系ソフトでの使い勝手を測る「Writing」が明確に伸びている一方、PCMark 10の「Productivity」は「Writing Score」が足を引っ張って1割未満の伸びにとどまる(いずれもベンチマークは一度しか取得していないので、PCMark 10の値の悪さは突発値の可能性もあるが)。そしてその他の指標はメモリクロックをOCした2990WXで、ようやくメモリクロック3200MHzの1950Xとほぼ同じ、という感じ。

PCMark 8で延びたWritingが.....
PCMark 8で延びたWritingが.....

 

...PCMark 10で芳しくないのはなぜだろう??
...PCMark 10で芳しくないのはなぜだろう??

 

相変わらずCINEBENCH系は、16コア32スレッドの1950Xと32コア64スレッドの2990WXの差が激烈に効いて、大幅上昇。FF XIV 暁月の終焉ベンチマークはメモリ高速化によって元の1950X+OCメモリにほぼ匹敵。7-Zipベンチマークはメモリ高速化してすら圧縮性能は悪化、しかし展開は性能向上が大きく、トータルとしては上昇。

やっぱAMDのCPUはCINEBENCH番長だな...
やっぱAMDのCPUはCINEBENCH番長だな...

 

なお、メモリクロック2933MHz動作だと、数度ベンチ中に途中終了したり、使用中にブラウザが落ちることがあったりしたので、若干安定性を欠く。OCメモリではなくJEDEC準拠のDDR4-2933メモリならもう少し安定するのかな。

 

32コア64スレッドというサーバークラスの並列性を持つRyzen Threadripper 2990WX。今では1950Xとおなじ16コア32スレッドという並列性はハイエンドPC用CPUに降りてきたが、32コア以上は未だにエンスージアスト用。ただそれだけに「使い切る」環境がないのも確かか...

 

結局、メモリ高速化して使えばOCメモリを使った1950Xと一長一短でほぼイーブン、素のクロック2133MHzのままだと、マルチスレッド性能はつよつよなものの、実使用としては64スレッドもの並列性を使い切れるアプリがないのか、若干性能低下....という感じかな。

 

ただ、Windows 11対応になったのは大きく、これで2025年問題に悩まされずに済む。そしてその時点でも、32コア64スレッドの並列性はまだ「使える」はずで、動画変換や画像編集専用機として豊富なWindowsアプリを使用できるというのは、今後のPCの繰り回しの自由度を高める。

 

今回の換装で一番大きいのは、無事PCの延命に成功...という部分なのかな。

 

【2×スレッド立派PC(Rev.5.00-Re-born-)】
 ・CPU:AMD Ryzen™ Threadripper™ 2990WX(本品)
 ・CPUクーラー:ENERMAX LIQTECH ELC-LTTRTO280-TBP
 ・M/B:ASUS ROG ZENITH EXTREME
 ・メモリ:G.Skill TridentZ Neo F4-3200C16D-32GTZN ×2 Total64GB(16GB✕4)
 ・VGA:msi GeForce GTX 1080 GAMING X 8G
 ・システムドライブ:PLEXTOR PX-512M9PeGN ×2(RAID0)
 ・一時保管用データドライブ:SanDisk SD9SB8W-512G-1122 ×2(RAID1)
 ・長期保管用データドライブ:WD40EFRX-RT2 ×2(RAID1)
 ・光学ドライブ:Pioneer BDR-209XJBK/WS
 ・カードリーダー&USBフロントパネル:Bullet IOP525
 ・電源:CORSAIR RM850(80PLUS GOLD)
 ・PCケース:CORSAIR Carbide Air 540
 ・フロントファン1:ENERMAX APOLLISH VEGAS UCAPV12-BL ×2
 ・フロントファン2:ENERMAX T.B.VEGAS QUAD UCTVQ12P
 ・OS:Windows 10 Pro

 

【AMD Ryzen™ Threadripper™ 2990WX仕様】

CPUコア数:32
スレッド数:64
Base Clock:3.0GHz
Max Boost Clock:4.2GHz
L1キャッシュ合計:3MB
L2キャッシュ合計:16MB
L3キャッシュ合計:64MB
プロセスルール:12nm

ソケット:sTR4
TDP:250W

メモリータイプ:DDR4(最大2933MHz)
メモリー・チャネル:4

更新: 2023/02/18
将来性

Windows 11対応になったので、延命できた

同時に並列つよつよマシンにできたので、新メインPCができたら、エンコードや動画変換等並列動作とメモリの広さが「効く」アプリ専用機としての道も開けた。

 

そうなると、ストレージは増強しないと心もとないけど。

更新: 2023/02/21
マルチスレッド性能

とりあえず並列処理ベンチ番長

民生用PCとして、そこまで並列性が要求されるシーンがあるかどうかは不明だが←ダイナシw

  • 購入金額

    50,000円

  • 購入日

    2022年06月15日

  • 購入場所

    ヤフオク!

コメント (2)

  • jive9821さん

    2023/02/17

    CPU入れ替えはされるんだろうなと思っていましたが、
    2990WXは意表を突かれました。

    これくらいの尖ったCPUだと満遍なく高性能という訳に
    行かないこともありますが、32コア64スレッドはロマンを
    感じさせる数字ですし、これが5万円なら文句なしと思います。
  • cybercatさん

    2023/02/17

    更新なら順当にシングルスレッド性能が上がったZen3以降のRyzen 7~9で十分...どころか多くのシーンではそちらの方が高性能でしょうが、最近M/B価格も上がっているのですべて刷新と言うより安いので...

    というか、CPU差し替えだけで延命できる、それが当時最強並列処理を誇ったCPUでできる、というなら行かない手はないですよねw

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