レビューメディア「ジグソー」

巨大なsTR4プラットフォームのCPUダイを完全カバー。先代より魅力を増したアピアランス。あとは耐久性がどうか。

AMD Ryzen Threadripper専用となるソケットTR4(sTR4)。そのsTR4に鎮座する、およそ7×5mmとなる巨大なCPUを完全にカバーする冷却ブロックを持つ簡易水冷、Enermaxの「LIQTECH TR4シリーズ」。

 

他の「sTR4対応」簡易水冷が、もう少し小さな他CPU用の冷却ブロックを持つ機種に、単にsTR4用固定金具をつけただけの小改良品でお茶を濁す中、ヒートスプレッダすべてを覆える状態のものを新たに開発したのが「LIQTECH TR4シリーズ」。冷却性能も申し分なく、12cmファンを2つ使う「LIQTECH TR4 240」と3つ使う「LIQTECH TR4 360」、14cmファンを2つ使う「LIQTECH TR4 280」は、いずれも高い人気を博した。

 

cybercatも280サイズの「LIQTECH TR4 280

を入手し、その高い性能を享受していたのだが...

 

...GWくらいから、そのメインPCの挙動がおかしくなってくる。

・プチフリ多発

・基本24時間稼働なのだが、会社から帰ると落ちていることが多くなってきた

・通電している(M/Bのイルミは光っている)のに画面が点かない

・CDのリッピングに異常に時間がかかる

 

2番目と3番目は前メインPCのビデオボード

が逝かれたときの症状に近く、休日に一つずついろいろなパーツを変更して検証した。

 

電源を予備のものに換えたり、ビデオカードも別のものにしたりと、いろいろやったがわからず。

 

前回おかしくなったときはビデオカードのファンだったけれど、ファンはビデオカードのはもちろん、CPUのも前後ケースファンもすべてきちんと回っているし、手を当てても風は来ている。前メインPCで使っていた簡易水冷は、

最後にはポンプの音がしなくなって果てたが、まだしているので、たぶんコレジャナイよね?

 

原因不明。このまま様子見るか...と諦め、ただ、せっかくケース開けたのだからCPUグリスを塗り直すかと冷却ブロックあたりを触ると、妙に冷却ブロックとチューブの接合部のあたりだけ局所的にやけどするほど熱い。一方、冷却ブロックの逆の辺は、ついさっきまで稼働していたCPUに密着していたとは思えないほど冷たい。

 

疑問に思い、再度組み込んで温度監視ソフトで観察すると、

・PCを起動させた直後で60℃

・普通のWebブラウジングで70℃

・CDリッピング時85℃超

と、とんでもなく高温。

 

この簡易水冷「LIQTECH TR4 280」は、元はOCCTを30分回してもCPU温度を40℃以下に保つ性能があったはず(レビュー参照)。これは、おかしい!とWebの情報を収集。

 

すると、(初期型では)使っているうちにクーラントが固まって循環不良となる個体があるというような記事を発見。Amazonのレビューでもいくつか同様の報告がチラホラ...。そこで、本品購入からまだ保証期間の2年を経過していなかったので、Enermaxの日本法人に修理を依頼した。

 

すると、一週間もしないうちに送られてきたのが、本品「ELC-LTTRTO280-TBP」。

地味なパッケージだった無印(いわゆるⅠ)と比べて、カラフルなⅡの箱
地味なパッケージだった無印(いわゆるⅠ)と比べて、カラフルなⅡの箱

 

基本部材はパッと見同じだが...
基本部材はパッと見同じだが...

 

LEDコントロール系の部材が増えている
LEDコントロール系の部材が増えている

 

曰く、「本製品(ELC-LTTR280-TBP)は販売終了につき、後継機種のELC-LTTRTO280-TBPにて新品交換対応」とのこと(注釈-カッコ内-は当方によるもの)。

 

もう少し詳しいトラブル解析報告が欲しかったような気もするが、まぁ、そういうことなんだろうな、と言うことで、本品を使うことに。

 

LIQTECH TR4 IIシリーズ」に分類される「ELC-LTTRTO280-TBP」の、ELC-LTTR280-TBPとの一番大きい違いはイルミネーション。

 

ELC-LTTR280-TBPも一応、水冷ブロックの「Enermax」の文字が白く光ったが、「それだけ」で、特に「装飾的効果」はなく、通電確認程度だった。

 

それがELC-LTTRTO280-TBPでは、その「Enermax」の文字がRGB LED照明となり、それに加えて水冷ブロックを取り囲むように、ぐるりとLEDの発光部がある。

この部分は大きく進化
この部分は大きく進化

 

アドレッサブルRGB LED対応で、その機能を持つM/Bと同期させることも、コントローラーで独自の数パターンから選んで発光させることも出来る。

 

 

あと、流量(最大450 L/h)とポンプに採用されているベアリング(Ceramic nano Pl bearing)は変更ないものの、ELC-LTTRTO280-TBPのポンプは「EF1ポンプ」と新たに名付けられていることから、改良が加えられているのかもしれない(パッと見違いはわからないが、HP上の説明で用いられている挿絵も違うので期待をこめて)。

 

一応、前回同様OCCT回してみた。前回はまだ春先で、20℃ない室温で、コアの温度は25℃スタートのピーク38℃だったが、今回は室温28℃でコア温度は31℃スタートの59℃ピーク。OCCTがヴァージョンが違うとはいうものの、結果としては素晴らしく良いわけではない。騒音も、ピーク63dbで平均35dBだったELC-LTTR280-TBPに対して、ピーク65dbで平均40dBとELC-LTTRTO280-TBPはここでも不利。まあ、ELC-LTTR280-TBPがもはや手元にないので、同条件での比較はできないため、いずれにせよ「参考値」だが、少なくとも前モデルに比べて飛躍的に性能向上しているわけではないようだ。ただ、性能的にはこの程度でよいので、耐久性が他の簡易水冷のごとく4~5年もてば。

 

旧型のELC-LTTR280-TBPは冷却不良で交換したら、交換品も短命だったと言う話もあるみたいだが、まあクーラント液の変更というのは、最も簡単な性能向上なので、「2」になるときに手が入っていると思いたい。また、24時間稼働に近い使用法になると思われるので、「2」への改善内容としては、イルミより耐久性の改善を期待。

 

【ELC-LTTRTO280-TBP仕様】
コールドプレート材質:銅製
ポンプベアリング:セラミック製ベアリング
モーター回転数:3000 RPM ± 10%
定格電圧:12V
定格電流(ポンプ):0.4 A
平均故障間隔(MTBF):10万時間
ラジエター材質:アルミ
ラジエターサイズ:313×140×28mm
チューブ材質:ポリアミド(PA)/ゴム製
チューブ長:400mm
重量(ファン除く):1260g
互換ブランケット:AMD TR4 / SP3
付属ファンサイズ:140×140×25mm
ベアリング:ツイスターベアリング
ファンスピード:500~1500rpm±10%
エアフロー:31.86~80.71 CFM、54.13~137.13 m3/h
静圧:0.960~4.812 mm - H2O
ノイズレベル:14~25 dBA
コネクタ:4 pin PWM
保証:2年間
・アドレッサブルRGB LEDライティングシンクロ機能対応
・ENERMAX RGB LED コントロールボックス採用

 

LIQTECH TR4 IIシリーズ / ELC-LTTRTO280-TBP

 

覚え書き。2019年7月16日現在のメインPC仕様

【スレッド立派PC(Rev.3.30)】
 ・CPU:AMD Ryzen™ Threadripper™ 1950X
 ・CPUクーラー:ENERMAX LIQTECH ELC-LTTRTO280-TBP(本品)
 ・M/B:ASUS ROG ZENITH EXTREME
 ・メモリ:Crucial CT8G4DFD8213 8GB DDR4-2133 ✕8 Total64GB
 ・VGA:msi GeForce GTX 1080 GAMING X 8G
 ・システムドライブ:PLEXTOR PX-512M9PeGN ×2(RAID0)
 ・一時保管用データドライブ:SanDisk SD9SB8W-512G-1122 ×2(RAID1)
 ・長期保管用データドライブ:WD40EFRX-RT2 ×2(RAID1)
 ・光学ドライブ:Pioneer BDR-209XJBK/WS
 ・カードリーダー&USBフロントパネル:Bullet IOP525
 ・電源:CORSAIR RM850(80PLUS GOLD)
 ・PCケース:CORSAIR Carbide Air 540
 ・OS:Windows 10 Pro

更新: 2019/07/12
冷却性能

ちゃんと動いていれば、ま、問題ない。

環境(外気温)のせいなのか、いわゆる「Ⅰ」取り付け時の検証結果は上回らず、この部分が大きく「進化」しているということはなさそうだ。

ただOCCTのような高負荷でも60度ソコソコなので、問題はない。

あとはどれだけ「保つ」か。

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2019年06月28日

  • 購入場所

    クーラージャイアント

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