AMD Ryzen Threadripper
はマルチタスク性能に優れたプロシューマー用CPU。その圧倒的なスレッド数を活かして、並列処理が効く圧縮・解凍・エンコード・画像処理などを行うのに適したCPU。
AMDのCPUに2017年より採用されているZenアーキテクチャに基づいたCPU=Ryzenを、二つ詰め込んだような構造のRyzen Threadripperはパッケージとしても巨大で、対応ソケットとして「Socket TR4」という新しい規格を採用する。
この「Socket TR4」、今まで見たことがないようなソケットの大きさだが、それに対応するRyzen Threadripperもかなり巨大。ヒートスプレッダだけで名刺サイズほどあり、既存のCPUクーラーでは全部がカバーできない。一応既存売れ筋CPUクーラーの中にも「対応」とリストアップされているものもあるが、単にリテンションキットがsTR4に適合するだけというモノも多く、冷却ブロックでヒートスプレッダすべてを覆えない状況では、冷却ムラによる性能抑制や寿命への悪影響が考えられる。
2018年3月の現時点では、Ryzen Threadripperの広大なヒートスプレッダを覆い尽くせる冷却ブロックを持つCPUクーラーはおそらく2系統のみ。ひとつはNoctuaのリリースした空冷CPUクーラー「NH-U TR4シリーズ」。そしてもう一つがEnermaxの簡易水冷、「LIQTECH TR4シリーズ」。
後者に関しては、12cmファンを二つ使う「LIQTECH TR4 240」と3つ使う「LIQTECH TR4 360」がRyzen Threadripper発売後ほどなくリリースされたが、昨年(2017年)末、もう一機種が追加された。
それが「LIQTECH TR4 280」。14cmファンを2つ使う280サイズのラジエーターを持つ本品は、「LIQTECH TR4 240」と大差ない設置面積ながら、より強力な冷却が期待でき、今回ケースに選定した「CORSAIR Carbide Air 540」
は天板に14cmクラスのファンを2つ並べて設置できるスペースがあるため、こちらを選択した。
現在取扱い店舗が多くなく、しかもかなり品薄な「LIQTECH TR4シリーズ」。その中でも新発売の「280」が一番品薄。手近なPCショップを覗いてみたが、240と360は置いてあっても280はなく、通販で即日発送できる販売店から入手。
箱は「LIQTECH TR4シリーズ」共通のグレーの地味な箱に入ってくる。
入っているのはラジエーターと一体化した冷却ブロック&ポンプ、14cmファン(UCTBP14P-C)ふたつ、sTR4に対応したリテンションキットとファンの取り付けネジ、二又ファンケーブル、ペリフェ
ラル4P⇒ファンコネクタ変換ケーブルと説明書。
結構高性能なグリス(Dow Corning TC-5121)が入っているのはウレシイ
冷却ブロックとラジエーターをつなぐチューブは、40cm。ぐにょぐにょと柔らかいわけではないが、反発力が強すぎるということもないので、取り回しが大変、ということはない。ただ今回はH100iのように後ろひねり回し(冷却ブロックのケース前方側から出るクーラントチューブをひねって、上方設置のラジエーターのケース後ろ側に持ってい行く方法←冷却ブロックのトップが隠れるのでイルミなどは楽しめないが、M/B上方でクーラントチューブが収まるのでコンパクト)では、むき出しのケース後方ファンに当たってしまったので、ひねらない逆廻しにする必要があった。
銅製のコールドプレートは73mm×63mmで、Ryzen Threadripperの70mm×50mmという巨大なヒートスプレッダを全面カバーする。
Ryzen Threadripperのヒートスプレッダは横7cm...
...縦5cmなので、73mm×63mmのコールドプレートで完全に覆える
冷却ブロックトップの「ENERMAX」ロゴは通電すれば光るが、単にそれだけで、Corsair Linkの設定如何では簡易温度計/温度警告灯として使えるCorsairの簡易水冷や、NZXTのKRAKENのように装飾用イルミ発光が充実しているというわけではなく、単なる通電確認なのは光りモノスキーの方々にはやや物足りないか。
クーラントチューブを前まわしにしたので、すっきりしたレイアウト
性能的にはガッツリ冷える。対象CPUが異なるので単純比較は出来ないが、CORSAIRの簡易水冷Hydro Series H100iで冷却したIntel Core i7-5960X Processor Extreme EditionでOCCTを30分回したところ、20℃⇒38℃へ上昇したが、同じ事をLIQTECH TR4 280で冷却したAMD Ryzen Threadripper 1950Xで実行すると、25℃スタートのピーク38℃と不利な条件で同等の温度に抑えた。ちなみにグリスに関しては添付品を使わず、H100iに合わせてArctic MX-4を使用。
一方OCCT実行時の騒音は、H100iがピーク65dB、平均33dBなのに対して、LIQTECH TR4 280はピーク63dbで平均35dB。平均騒音はやや大きいが、H100iよりファン径が大きいのが影響するのか、高回転時の音が耳障りでなく、聴感上静か。これはひょっとするとラジエーター周辺やファンのねじ止め部分に灰色のゴム系クッションがあるのが、耳障りな系統の騒音の消音に役立っているのかもしれないけれど。
2ファンまでのRyzen Threadripperに使える簡易水冷の中では間違いなく最推しです。
CORSAIRのAir 540とLIQTECH TR4 280のフィッティング情報はないが、この通りピッタリ!!
※...と思っていたのだが...
2019年5月ごろから、プチフリ多発、CDのリッピングの時間異常伸長、帰宅時につけていたはずのPCが落ちている..など不調多発し始めた。いくつかの症状は、以前ビデオカードのファン固着でビデオカードが熱暴走したとき、あるいは会社PCで電源が逝かれたときの症状に似ていたので、時間が空いたときにひとつずつパーツを付け替えて検証。そのときにポンプの音もしているし、ファンも回っているが、「せっかくケースを開けたからグリス塗り直すか」とLIQTECH TR4 280を触ると冷却ブロックがまだらにすごく熱い部分と、冷えてる部分がある。おかしいと思いCPU温度監視のアプリを走らせると、重作業をしていないのに85℃オーバー。グリス塗り直しても変わらず。
⇒保証期間内だったので、ENERMAX(エナーマックス)日本法人 株式会社クーラージャイアントに送ったところ、後継機のENERMAX LIQTECH ELC-LTTRTO280-TBP
へ新品交換となった。対応は問題なかったが、同社は「センドバック方式(送料相互負担)」採用のため、片道の送料は自己負担であることは心に留めておく必要がある。
【ELC-LTTR280-TBP仕様】
コールドプレート材質:銅製
ポンプベアリング:セラミック nano Pl bearing
モーター回転数:3000rpm
定格電圧:12V
定格電流:0.4 A
平均故障間隔(MTBF):10万時間
ラジエター材質:アルミ
ラジエターサイズ:313×140×28mm
チューブ材質:ポリアミド (PA) 系ゴムチューブ
チューブ長:400mm
重量(ファン除く):1260g
互換ブランケット:AMD TR4 / SP3
付属ファンサイズ:140×140×25mm
ベアリング:ツイスターベアリング
ファンスピード:500~1500rpm±10%
エアフロー:31.86~80.71 CFM、54.13~137.13 m3/h
静圧:0.960~4.812 mm - H2O
ノイズレベル:14~28 dBA
コネクタ:4 pin PWM
保証:2年間
-------------------------
2019/07/16 耐久性追記/持っていたものに移動
風量豊かでよく冷える。何より精神衛生上良い。
風量は豊か。自席横の床にケースを置いて、上方排気にしていると寒いくらい。現時点ではオーバークロックしているわけではないので、そういう非常時の冷却性能は未知数だが、なによりRyzen Threadripperのヒートスプレッダを完全に覆える73mm×63mmのコールドプレートは、「まだら冷却」の可能性を排除するので、精神衛生上良いかな。
保証期間内に逝かれるとは...良心的というか何というか
週の半分以上つけっぱなしで、「ほぼ」24時間可動とは言うものの、1年3ヶ月というのは短命過ぎる。
-
購入金額
17,499円
-
購入日
2018年03月04日
-
購入場所
ビックカメラ楽天市場店
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。