レビューメディア「ジグソー」

2500T?1260L?SandyBridgeの全力を見せてやる!

最速っていいたいけど
最速っていいたいけど

いや、「最速クロック」ならXeon E3-1290が存在しているし、「i7の最高級」なら3XXX系が出ちゃったし、こんな言い回ししかできなかったのですよHAHAHA。

と言うわけで今回のプレミアムレビューは現状SandyBridgeのCoreシリーズとしては最高性能になる2700K。これより上位のSandyBridgeEはなかなか高価になり、XeonE3-1290は入手困難な上やはり高価。一般的な選択肢なら最速クラスといって過言ではないだろう。

手持ちのSandyBrdigeはTDP45W版のCore i5 2500T(以下2500T)&Xeon E3-1260L(以下1260L)という「あえて性能を下げた異端児」。TDP45WというリミッターをかけていないSandyBridge、そしてHD3000グラフィックを触るのは初めてなのでその性能(と消費電力)が楽しみだ。

セットでASUS P8Z68-V PRO/GEN3とSSD510も渡されているのだが、特にこのCPU編はマザー&SSDの出番がほぼ無いのでそれぞれのレビューをご参照頂きたい。



それではCPU編
それではCPU編


やはりまずはこの2700Kに絞ってみてみよう。実際完成したPC等については後々SSD編&マザーボード編で書く予定。
カタログスペック比較
カタログスペック比較


さて今回は「具体的なソフトウェアを使っての使用感」。とはいえ「数字」として結果が出ないと私の文章表現力ではその破壊力が伝わらない。そこでCPUパワーには画像加工ソフト「PhotoShopエレメンツ」の処理速度、HDグラフィックスには軽量な3Dネットゲーム「スカっとゴルフパンヤ」のフレームレート計測を行ってみる。

当然比較対象は1260L&2500T。またCPU以外の環境を統一するため特記無い限りはASRock Z68 Pro3-MG.Skill F3-12800CL9D-8GBSR2(DDR3 1600 4GB*2)を使用…っておい、このプレミアムレビューのASUS P8Z68-V PRO/GEN3はどうしたって!?

ホント申し訳ないんですが、消費電力計測の条件をそろえて過去のデータ流用したかったのと、P8Z68-V側は1260LがCPUサポート表に載ってない(たぶん動くけど)ので。
※Z68 Pro3-MはBIOS1.4からさりげなくCPUサポート表に1260Lが追加されているのだ。

言い訳タイムはこの辺にして…フォトショップのバッチ処理でそのCPUパワーを見てみよう。



Part1 CPUパワー編
Part1 CPUパワー編

まずフォトショのバッチ処理とはなんぞや?となりそうなので一応説明しておくと、要は大量の画像に対して同じレタッチ処理を施すこと。エレメンツの場合そのバッチ処理がより簡単な操作でできるようになっており、処理したいフォルダとリネームパターン、保存時の圧縮処理や自動レベル補正等を一括処理できるのだ。
但し自由度は無いので、より細かいレタッチをバッチ処理するにはエレメンツではないフォトショップが必要になる。ただ今回はCPU性能の計測なのでむしろ設定が固定されるエレメンツの方が都合がいい(ラク)という訳。

今回はコンパクトデジカメRICOH CX3で撮影した100枚のJPG画像(3648*2736px)をWEBで扱いやすい640*480の解像度に、更に自動レベル補正&コントラスト補正の上JPEG再圧縮を行う設定にした。

そしてもう一つチェック項目として「フィルタ処理」を行ってみよう。今回使用する画像は4500*3200pxという先ほどの写真より更にでかいイラスト画像。
元サイズは4500*3200px
元サイズは4500*3200px

これに「放射状ぼかしフィルタ ズーム 高画質 強さ50」をかけてみる。とにかくこのぼかし処理は重くCPUパワーに依存するので、普段使うときは完成後に解像度を下げてから行ったりするのだが…ちなみに私がフォトショップ用に使っているCore2DuoE7600マシン上で同じ事をすると1分7秒もかかる。


使用するPhotoShopエレメンツのバージョンが4.0と古いのだが、一応マルチタスクには対応しているので(よりマルチタスクに最適化された最新版と比べると差が出難そうだが)、しっかり4コア8スレッドの破壊力を出してくれるはず。
念のためバッチ処理時にストレージ速度がボトルネックにならないかSSDとHDDでテストを行ったが差は見られなかったので純粋にCPUパワーでの勝負となる。

更にせっかくの「K」なので動作倍率を42倍…4.2GHzに固定した際も計測してみた(以下2700K@4.2GHz)。本来SandyBridgeのKシリーズというとTurboBoostテクノロジを利用したOCの方が実用的なのだが、実は単なる倍率固定モードだと気づいたのはある程度データを取った後だったのでそのままやってしまっている。
単位は秒数。つまり短いほうが早いのよ
単位は秒数。つまり短いほうが早いのよ

ご覧の通り(当然の結果だが)2700Kの処理速度の速さは45W版2種を引き離している。興味深いのはバッチ処理において、2500Tと1260Lの差が大差無いのに2700K&2700K@4.2GHzそれぞれの差が大きいこと。より「実クロック」に処理速度が左右されているようだ。
一方フィルタ処理はHTの恩恵が大きくでていて、実クロックでは大差無い2500Tと1260Lの差が大きくなっている。2700K@4.2GHzでは更なるタイム短縮を行っていて、E7600(1分7秒)が1枚処理する間に4枚も処理するのだ。

ちなみに完成品
ちなみに完成品

え?こんなボケボケ画像何に使うんだって?最初の画像に重ねると…
ぐおおおおおん!  …って遊んでないで次いってみよう。
ぐおおおおおん!  …って遊んでないで次いってみよう。


2500Tレビューでも行った動画エンコード速度も確認しておこう。640*480、3分間のMPEG動画をAviUtl+拡張H264プラグインの組み合わせてWebで使える程度のファイルサイズまで圧縮させてみる。
短い方が高速なのよ
短い方が高速なのよ

こちらはHT、動作クロック共に順当にタイムを縮めている。もちろんGPUエンコーディング等選択肢は増えているのだが、以前同じようなエンコードを開始したら夕飯でも食べに行ってたレベルなので恐ろしい。

参考までに3Dmark06のCPUスコア。

Core i5 2500T :4275
Xeon E3-1260L:4950
Core i7 2700K :6804
2700K@4.2GHz:7799

エンコードやバッチ処理に準じた、順当なスコアと言える。てか全体的に高いヨ。




Part2 内蔵グラフィックス編
Part2 内蔵グラフィックス編


さてお次は内蔵グラフィック。2500T&1260Lの内蔵グラフィックはHD2000。一方今回の2700KはフルスペックとなるHD3000となる。
HD2000はいくら以前のインテル系内蔵orオンボードグラフィックより性能が向上したとはいえ、いざ「ゲーム」をしようとすると中々厳しい面を感じずにいられなかったのだが、HD3000ならばどうだろう。本音を言うと数字が1000増えたくらいで大差ないのではないかと思っているのだが…

今回はインターネットゴルフゲーム「スカっとゴルフパンヤ」プレイ時のフレームレートをFrapsで計測してみる。サービス開始から7年と古い設計のゲームで、古いPCやロースペックのPCでもプレイできる事からこのように「グラフィックボードを挿さない構成」でプレイする人も多い。
とはいえさすがに大量のキャラクターが描画されるチャットルームや、オブジェクトの多い最新コースではフレームレートの差が出るだろうと踏んだ訳だ。むしろこの程度でネを上げるようではゲーム用途として使うには厳しいだろう。



計測場面はオブジェクトの多い最新コース「WizCity」を使い、ヘリコプターでキャラクターを登場させるシーン(以下ヘリ)。そして恐らくパンヤで一番重いであろう25~30人程のユーザーが同時接続する露店ルームを30秒間うろついてみた(以下露店)。露店に関しては刻一刻と状況が変化してしまうので、正確さで言うとヘリの方が確かだ。
MSI N220GT-MD1G LP&FORSA NH-96GT512E32
MSI N220GT-MD1G LP&FORSA NH-96GT512E32

当然比較としてHD2000搭載の2500T(1260Lは大差ないので割愛)、そして2700KにローエンドグラフィックボードMSI N220GT-MD1G LP(GeForceGT220)や若干古いFORSA NH-96GT512E32(GeForce9600GT補助電源無し)を搭載した時のフレームレートを計測を行った。
パンヤフレームレート計測結果
パンヤフレームレート計測結果

意外にもHD2000と3000で差が出ている。露店のフレームレートに関しては初回計測時何故かHD3000が9600GT以上のフレームレート(平均48FPS)をたたき出してしまったので誤差はかなり大きいと思っていただいた方がよさそうだ。ヘリに関してはまったく同じ場面を再現できるだけに順当なフレームレートを記録していて、ほぼGT220と同等と言える。

まあ露店シーン最低値を除いて一つの目安である30FPSを下回っている箇所は無いのでさすがにこの手のライトゲームであれば、HDグラフィックスでも十分プレイ可能という訳だ。かつてのインテルチップセット内蔵グラフィックと比べるとその進化は衝撃的と言える。

しかし参考として重量級ネトゲのFF14ベンチLowスコアをとってみた。ここではCPUの影響も想定して現行(に近い)ミドルレンジVGA PowerColor Radeon AX5750 1GBD5-NS3DH(RadeonHD5750)を搭載した各CPUのスコアも載せておく。旧型…というにはまだ現役クラスの性能ではあるデュアルコアCPU Core2Duo E8400(のスコアも追加しておいた。

FF14スコア
FF14スコア


さすがに内蔵グラフィックは厳しい。FF14ベンチではHDグラフィックス側のフレームが安定せず、特にHD2000は静止画状態になる事が多かったのでスコア以上に体感差は大きい。とはいえこのラインナップだと9600GTがやっとこさFF14プレイ目安の2000を越えている程度。
また、今回上げた中では性能が一回り高くなるHD5750を装着した場合でも、スコアは各CPUで極端な差は出ていない。E8400でもグラフィックボードさえ性能がよければそこそこのスコアは叩き出しているのだ。やはり最近の高画質3Dゲームをやるにはグラフィックボードを重点的に強化するべきなのだろう。

また性能云々以前に、どうしてもゲーム開発側はGeForce&Radeonを前提に開発するのでIntelグラフィックは表示乱れ等が起こっても対応が後手になる事が多い事にも注意しておきたい。




Part3 消費電力編
Part3 消費電力編

                  /おい俺目立ってないぞ!\
                  /おい俺目立ってないぞ!\

では最後に個人的に一番気になる消費電力。


計測方法は前回の2500Tレビュー時に完全準拠(というかデータ使いまわし)、マザー、メモリ、CPUのみ計測用の80PLUSスタンダート電源より供給し、ワットモニターによる計測を行う形になる。

各構成一覧 確認したい方はクリックで拡大どうぞ
各構成一覧 確認したい方はクリックで拡大どうぞ

繰り返しになるが1260L&2500Tとの消費電力差を正確にするために、今回のレビュー用として用意されたASUS P8Z68-V PRO/GEN3ではなく、2500Tレビュー時に使用したASRockZ68 Pro3-Mで2700Kの計測を行っている。
グラデーション入りました&先端の暗い部分はVGAカードアイドル推定値
グラデーション入りました&先端の暗い部分はVGAカードアイドル推定値


フルスペックといえど、アイドル時の消費電力の低さは低電圧版2モデルとほぼ差はない。HD2000&3000の差もアイドルに関しては無視できると言う事だろう。4.2GHzの場合もアイドル時は1.6GHzまで低下するので影響は殆ど無い。さすが消費電力効率に優れるSandyBrdgeといったところ。

一方負荷時は130Wと2500Tの倍以上の数値を記録した。とはいえこの数値も過去のCPUと比べると極端に大きい数値ではない。いかに高効率化が進んでいるかが伺える。
さすがに4コア4.2GHz駆動だと166Wと相応に上昇するが、それでも王者PentiumDには勝てないのだ。どちらにせよ前半の圧倒的な性能を考えれば納得の消費電力と言える。




まとめ
まとめ

こうしてみると「さすが2700K」という感じだが、逆に1260L&2500Tに対しても体感速度差を感じない場面も少なくなかったのが正直な感想。
WEBブラウジングや動画視聴はもちろん、フォトショップのフィルタ以外の操作等2500Tでもストレスは感じない。リミッターをかけているとはいえSandyBridgeのクアッドコアであることは変わりないのだから、すでに私にとっては十分すぎる性能を持っていたのだろう。

しかし動画編集や3DCG、今回上げたような大量の画像処理やエンコード等、かつてはワークステーションで行っていたような作業をサクサクこなせるCPUが手を出しやすい価格で手に入り、電源ユニットにも極端な負荷はかからないのだ。趣味でやるにしても性能はあるに越した事はない。
6コアi7程電源やコストがシビアではなく、手に入りやすい価格帯で高いCPU性能をたたき出すこの2700Kは(2600Kとの価格関係次第だが)定番アイテムの一つとなり得る実力を持っている。

一方内蔵グラフィックについてはHD2000と3000の差が見られたのが正直意外だった。
しかし実際問題HD3000でプレイ可能なライトゲームでは明らかに2700Kはオーバースペックだし、2700Kをぶん回すゲームだったらVGAは必須。どちらかといえばこのHD3000、低価格帯のCPUでその恩恵に預かれる場面が多いのではないだろうか。ローエンドCPUにHD3000搭載モデルが少ないのが悔やまれる。

またHD5750を搭載した場合のFF14ベンチを見る限り、GPUの比重が大きく他CPUと比較してもスコアの上昇はあまり大きくないので、もし3DゲームにこのCPUを生かすなら、相応のランク(現行ミドルハイレンジ以上)は組み合わせておきたい。

余談:4.2GHz駆動について
余談:4.2GHz駆動について

特に言及してなかったが、Z68 Pro3-Mの電圧オート設定であっさり駆動してしまった。そのせいで尚更ターボブーストによる4.2GHz駆動ではなく倍率固定の全コア4.2GHz駆動だと途中まで気づいていなかったのだ。

しかし注意すべきはその発熱。全コアを4.2GHz駆動にしてしまったため、テスト用のシリコンシート+ETS-T40-VD(ファンを低回転のモノに交換済み)ではPrime95を回した際温度が70度近くなり、最初の10秒程で4.0GHz駆動に自動制御で低下した。
エンコードやフォトショップでは同じフル稼働でも低下は見られなかったのでさすが負荷テストの定番といったところか。
まあ元々徹底的に静音化セッティングしたPCを設定そのまま2700K&42倍に変更、しかもテスト用のシリコンシートという悪条件が重なったせいなのできちんと冷却系を準備すれば全コア4GHzオーバーの常用も余裕だろう。

同じ4.2GHz設定でも655Kは熱は少ないが電圧設定に若干苦労したので、電圧オート状態であっさり全コア4.2GHz駆動する2700Kはお見事。冷却系を煮詰めればより高いクロックでの常用可能性も感じさせてくれた。

最後になりましたが、Zigsow運営局様、Intel様、この度はレビューの機会を頂きありがとうございました。



…え、オチがないって?CPU編「くらい」マジメにやらないとダメかなーと思ったんで。あ、いや他のもマジメにやりますって!じゃあ箱くらべとくんで!
背くらべならぬ箱くらべ
背くらべならぬ箱くらべ

実はSandyのボックスが家に来たのはじめてなんですよね。2500Tも1260Lもバルクのみだったんで。それにしてもどんどん小さくなってきて、今やほぼクーラーのサイズまで小さくなってますねえ。そのうちクーラーがZIP圧縮された状態になるんじゃないか?
らめえ
らめえ

FX缶にマトリョーシカできるか試したんですけどギリギリムリでした。