レビューメディア「ジグソー」

統合VRによる、確かな省電力化

「新型は旧型と比べてどれぐらい省電力?~統合型Voltage Regulatorの実力~」をテーマに、新型CPU Haswell(i7 4770K)と、旧型CPU SandyBridge( i7 2600 )、

Nehalem( i7 870S )のアイドル、高負荷時の消費電力の違いや、演算性能を比較をしていきます。

 

 

<Haswellとは?>

intelの新しいマイクロアーキテクチャ(内部構造)で、

Coreシリーズでは第4世代CPUと成ります。

intelはココ数年Tick TockモデルというCPUの開発をしていて、

Tick:プロセスルールの微細化

       1枚のA4の紙に太いマジックで回路図を描くより、

       細いシャーペンで描いた方が小さく描ける。

       →細かく描けば1枚のA4用紙から回路を何個も作れるからオトク!

 

       →空いたスペースを使って、もっと多くの回路を付け足せる!

 

Tock:マイクロアーキテクチャの刷新

       あの回路はもう古い!

       最新の技術を投入してドドンと回路をフルモデルチェンジ!

     

こんな感じに改良を加えています。

これを1年毎に交互に繰り返す事により、

微細化とマイクロアーキテクチャの刷新を一歩一歩着実に進めている訳ですね。

ココの所のTick Tockの流れが下の様になります

Core→(Tick)→Penryn→(Tock)→Nehalem→(Tick)→Westmere

→(Tock)→Sandy Bridge→(Tick)→Ivy Bridge→(Tock)→Haswell

 

さて、ちょっと話が脱線しましたが、Haswellで何が変わったでしょうか。

今回のHaswellの特徴は3つあります

1:統合型VR(VoltageRegulator)の搭載

2:マイクロアーキテクチャの強化

3:統合GPUの向上(新たにGT1~GT3eまでのランク分けと、Irisブランドの投入)

                  *4770KはGT2のIntel HD Graphics 4600です。

今回は統合型VRのレビューなので、そこの所を説明しましょう。

 

統合型VR(Voltage Regulator)の搭載

HaswellはVoltage RegulatorをCPU上の一つのダイ(シリコンの板)に集約しました!・・・

Voltage Regulatorって何ですか?

電子回路をかじったことの有る人なら、三端子レギュレータの様な物言えば解るでしょう。

三端子レギュレータってなんやねん。

下の写真に写っている物です。

 

 

12Vの電源から5Vを作ったり、3Vを作ったり、

供給される電圧から目的の電圧に下げる物です。

このレギュレーターをCPUと同じ1つのダイにまとめ、

高速かつ、詳細に電圧を割り当てています。

適正な電圧を割り当てる事により、省電力化を実現しました。

下の図は大まかなイメージです。

解りやすくするため簡単に描いていますが、実際はもうちょっと複雑です。

 

 

<スペックを比較>

今回、比較するCPU+αのスペックが下の図に成ります。

データはintelのHPから参照しました。

 

4770K、3770K、2600、870S共に4Core 8Threadで、8MBのキャッシュを搭載したCPUです。

4770K、3770Kでは動作周波数、TB時の動作周波数は同じですがTDP(最大消費電力)がかなり上がっています。

2600とでは、動作周波数、TB時の動作周波数共に0.1MHzの向上と成っています。

TDPで比べると、4770K≒870Sと言う具合になりますね。

 

 

 

<まずは組み立て> 

今回のレビューにあたり、購入してきたお友達。

ほぼBUY MORE日本橋店のOPENセールで買い揃えてきました。

 

CPU:Core i7 4770K
MB:MSI Z87-G45 GAMING
Mem:CFD W3U1333Q-4G (DDR3-1333,PC3-10600 4GB)*2枚
GPU:ELSA GD650-1GERX2

OS:Windows 7 Professional x64
SSD:intel SSD X25-M G2 80GB
電源:玄人志向KRPW-G2-850W/90+
CPUクーラー:CoolerMaster Hypower 612

 

さて、今回のイカしたお友達、Core i7 4770Kちゃんです。

パッケージがゴソッと変わって、昔どこかで見たこと有るようなお顔が目立つパッケージに成りました。

 

 

 早速開けて見ましょう。

いつもと変わらず、CPU、CPUファン、説明書が入っています。

今回はCPUファンを入れる内箱の一部に紙が採用されていて、エコ(?)仕様に成っています。

 

シールはWindows 8 やiOS 7 で採用されているフラットデザインっぽく変更。

シンプルに成りました。

 

CPUは外観は以前とほぼ同じですね

 

ココの所、CPUクーラーは物凄く薄くなってます。

Core 2,初代 Core i7の時はもっと厚かったのですが・・・

本当に冷やしきれるのか心配に成りますが、技術の進歩なんでしょうね~

 

CPUとの接触面には銅が内蔵

 

MBは無駄にゲーム用

 

 

グラボはマルチモニタ派なので、2枚用意しました。

レビューでは1枚で動かし、3台のマシーンに載せ替えて使います。

 

 

 完成! ドヤァ!

 

 

 

 

<比較用マシーン>

マシーン1
CPU:Core i7 2600
MB:MSI P67A-S40(MS-7673)
Mem:CFD W3U1333Q-4G (DDR3-1333,PC3-10600 4GB)*2枚
GPU:ELSA GD650-1GERX2

OS:Windows 7 Professional x64

SSD:intel SSD X25-M G2 80GB
電源:KEIAN KT-720RS
CPUクーラー:APSALUS 120

 

マシーン2
CPU:Core i7 870S
MB:MSI P55A Fuzion
Mem:Silicon Power SP004GBLTU133S22(DDR3-1333,PC3-10600 2GB)*4枚
GPU:ELSA GD650-1GERX2

OS:Windows 7 Professional x64

SSD:intel SSD X25-M G2 80GB
電源:玄人志向 KRPW-L4-400W
CPUクーラー:リテール

 

純粋にCPUの電力を計るため、グラボを搭載せずに統合GPUのみで行いたかったのですが、

870Sは統合GPUを搭載しておらず、

2600もP67チップセットで統合GPUを使用できないため、

今回は3台とも同じグラボを搭載し、同じ様な環境に成るようにしてみました。

 

 

<アイドリング時の消費電力を比較>

今回の売り文句の一つである統合型VRについて検証しましょう。

検証方法は、電源を入れてデスクトップが表示されてから10分間、5秒間隔で消費電力の測定を行います。

なお、実験の際は新規インストールを行ったOSに、6月23日現在最新のドライバとMicrosoftの更新パッチを当て、LANケーブルを外した状態使用し、電力の測定にはリーベックス社のET55Dを用いて実験を行いました。

結果が下の図に成ります。

 

4770Kは45Wで推移しているのに対し、2600は53W程度で推移しています。

870Sは300秒を過ぎた辺りから急激に消費電力が上がってしまいました・・・

バックで何を処理していたのか・・・

300秒までの所を見ると、870Sは概ね58W程度で推移しています。

 

2600に搭載している水冷は、ポンプ:MAX 3W、ファン:平時1W未満なので、

それを考慮しても、約5W程度4770Kが消費電力が少ない事になります。

 

また、3台とも最初の200秒で3回、急激な消費電力の上昇が見られますが、

タイミングが似ている所と、新しい世代に成るほど消費電力の上昇が抑えられている所が興味深いです。

特にHaswellは他のCPUに比べて圧倒的に消費電力の上昇が抑えられています。

コレが統合型VRの力なのでしょうか。

  

 

<ベンチマークで比較>

今回は3DMark ver1.10と、FF XIV(新生エオルゼア ベンチマーク ワールド編)の2つで測定しようと考えていましたが、3DMarkを起動しようとした所、一台エラーを吹いて測定出来なかったので、FF XIVのみに成りました。

設定は、解像度1680x1050(WSXGA+)のフルスクリーン、最高品質で行いました。

 

スコア結果

4770K:3235  ポイント

2600 :3148  ポイント

870S :2910  ポイント

僅かではありますが、それぞれ100ポイントほど差が出ました。

 

ついでにベンチマーク時の消費電力も測ってみました。

 

 

平均消費電力

4770K: 96.2 W
2600 :112.2W
870S :123.8W

 

アイドリング時と違い、4770Kと2600では15W以上差が出ていますね。

4770Kは他のCPUとくらべて、グンッと消費電力が低いです。

 

<感想>

今回の比較では、統合VRを搭載した第4世代のHaswellが、

旧世代のCPUにくらべて、かなり省電力であることが分かりました。

Haswellについてintelは、

”統合VRにより、ノートPCのバッテリー駆動時間が飛躍的に向上した”

と語っていますが、結果を見るとあながち嘘では無いようです。

 

本当はアイドリング時の他にもサスペンド時の消費電力も測りたかったのですが、

高精度で1W未満の交流の電力を計る方法が無かったため断念しました。

一応、EuP指令2013(*PDF)ではスタンバイ時の消費電力が0.5W未満と成っているので、

Haswell搭載のMBがどれほど省電力かを試してみる価値は有ると思います。

また、シャットダウンよりスリープが省エネと言う話がありますが 

XPの時代と比べてWindows7, 8は高速に起動、シャットダウンが出来るように成っていますし、SSDの普及なども含めると以前とは大きく変わっているので、その点も踏まえて実験をしてみるのも面白そうです。

             

さらに、4770Kに搭載されている統合GPUはGT2(Intel HD Graphics 4600)ですが、

GT3(Intel HD Graphics 5000,Intel Iris Graphics 5100)、

GT3e(Intel Iris Pro Graphics 5200)と、まだまだ隠し球を持っているようです。

じわじわとHaswellを搭載したノートPCの興味が湧いてきますね。

 

 

<最後に>

最後になりますが、今回はこのようなレビューの機会を提供して頂いた、zigsow様、intel様、誠に有難うございます。

また、最後まで読んで頂いた皆様には厚く御礼申し上げます。

コメント (4)

  • bibirikotetuさん

    2013/06/29

    おつかれさまでした~

    なんて読みやすくて判りやすいレビューなんだ!
    と感心しながら読ませていただきました。
  • 南部町さん

    2013/06/29

    >>bibirikotetuさん
    乙有りです~

    >なんて読みやすくて判りやすいレビューなんだ!
    国語赤点の俺にそんな嘘は通用しないぞ!
    なので、レビューに間違いあれば、ぜひ指摘してください
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