IntelのCPUは第2世代のSandy Bridge、第3世代のIvy Bridge、第4世代のHaswellとここ2、3年の間、飛躍的に進化し続けてきた。
自分は、ここzigsowのお陰で、第2世代最高峰のCore i7-990X Extreme Editionを使っているが、第3世代に関しては上位機種を使っておらず、メーカパソコンに搭載されている下位機種は複数使っている身としては、久しぶりに発売前からこの第4世代上位機種に興味を持っていた。
しかし、何故橋(Bridge)から、井(Well)に変わっただろうか?(笑)
♪♪ 今回は応募した直後にちょっと後悔したがある:
ウルトラブックや手書きタブレットの応募に影響するのでは。
見事に影響があったようだ。
それから、当選しないだろうとも思った。
気を取り直して、こちらのレビューをしよう。
♪♪ 今回のお題は「統合グラフィックス」だ。
「統合グラフィックス」は、第4世代CPUの言われている4つの性能向上のうちの一つで、技術的には計算ユニット数の増加、グラフィックスメモリの増強などで実現し、このCPUでは第3世代のHD4000からHD4600にグレードアップしたという。
この統合グラフィックスに対して、パフォーマンスだけでなく、特に消費電力の観点からも評価を行ってみた。
♪♪ パフォーマンスと消費電力(エネルギー)について
個人的には、CPUに限らず、電気を使うすべての機器、デバイスに対して、パフォーマンスとともに消費電力、つまり単位消費電力のパフォーマンスを重視する。無駄に消費電力が高いということは、パフォーマンスに寄与しないエネルギーが熱に変わって、機器やデバイスの環境を悪くすることも意味するから。
最大能力(性能)は目標であるので、評価する際の一つの観点になるのは当然だが、目標を達成するにはどれだけのコスト、そしてエネルギー(消費電力)がかかるかというもう一つの観点からの評価もこれからますます必要不可欠であろう。しかも、世代も異なるCPU間の比較は、ただ単に最大性能で行うのは、単純すぎて、場合によっては意味がないことになる。だって、新しい世代の製品が旧世代より上というのは当たり前ではないか?もちろん、単位消費電力の性能が高くても、目標の性能が実現できないようでは、意味がない。
同時にまた、異なる世代の製品でも、パフォーマンスの差が大きくても、エネルギー利用効率の観点から、その進化の具合、そして、今後の改善すべき方向性がある程度見えるのではと思う。
■ レビューの主な内容
★ 本体とスペック
★ 評価用PC構成
★ 比較対象
★ 総合評価
★ 統合グラフィックス
★ 各種スコアと消費電力の関係
★ まとめ
■ Core i7-4770K本体とスペック
Intel製品情報
スペック抜粋
※Tcaseというのがあるが、CPU自体がどれくらいのCore温度で壊れてしまうかが気になる。
■ 評価用PC構成
自分の使っているもっともスペックの高いCPUで、第2世代のSandy Bridge系Core i7-990Xと比較するために、CPU、マザーボードとメモリだけ変えて、評価用PCを組上げた。
OS:
【DSP版】Windows 8 Professional 64bit DVD日本語版
マザーボード:
初めて導入したASRockのMini-ITX対応のマザーボード
LGA1150対応のマザーボードを持っていなかったから、新調することにしたが、第4世代CPUの高性能化、省電力化のメリットを生かし、コンパクトなPCを組もうとして、丁度使用中のPCケースがMini-ITXにも対応していることを考慮し、Mini-ITX仕様のこのマザーボードを運良く入手できたので、決定。
メモリ:
デュアルチャンネルのADATA製品
できるだけ近い構成で比較するためには現在使用中のトリプルチャンネル仕様のメモリを2枚使っても良かったが、とりあえずこちらで。
ブートドライブ:
インテル® SSD 510 120GB
データ用ドライブ:
日立 HGST 3.5inch 7200rpm 2.0TB 64MB SATA 6.0Gbps 0S03191
ビデオカード:
MSI GTX560Ti搭載 N560GTX-Ti Twin Frozr II/OC
やや古いが、まだまだ現役で高性能を発揮できる。統合グラフィックスとの比較対象として使う。
PCケース:
ABEE smart J01 シルバー ハイブリッドUSB3.0 ATXケース SME-J01-S
こちらはATX、Micro ATXとMini ATX対応で、とりあえず評価用に使うことにした。
電源ユニット:
アビー ZUMAX 750W ATX電源 ZU-750B-KA
容量に余裕のあるPLUS 80 Broznzeクラスだが、Haswell対応かどうか不明だ。一応Haswell対応確認済みの
も用意しており、時間があれば、じっくり検証したい。
ディスプレイ:
TOSHIBA LED REGZA 22V型 地上・BS・110度CSデジタルハイビジョン液晶テレビ USBハードディスク録画対応 22RE2
比較対象の旧PCには以下の3点のパーツが評価用PCと異なる:
マザーボード:
CPU:
インテル® Core™ i7-990X プロセッサー エクストリーム・エディション
第2世代のSandyBridgeタイプだ。
メモリ:
ARCHISS デスクトップPC用メモリ DDR3-1333 4GB x3枚セット AS-1333D3-4G-S(X3)を2セット使った最大メモリ構成になっている。
マザーボードへの取り付け
ASRockのZ87E-ITXは恐らく今のところ、もっとも実装機能が多い(高密度な)マザーボードではないかと思う。しかも、唯一のPCIスロットにちょうどグラフィックボードが取り付けられた。これで統合グラフィックスとの比較条件もそろっちゃうので、都合がいい。
ケースはレビューが終わってから、小型のものを購入するつもりだが、とりあえずこの大型ミドルケースで評価することにした。
メモリは思ったほど速くないので、これも後で高速なやつに変更して確認したい。
■ 評価方法
当選してから、Core i7-990Xには内蔵グラフィックスがないことを思い出したので、今更第3世代の上位機種を調達するのもと考え、比較対象のCPUとして、Core i7-990Xのほか、第3世代の下位機種のCore i3-3220(HD2500)とCore i3-3217U(HD4000)も使うことにた。
Intelサイトのプロセッサー比較ツールで各対象CPUの主なスペックをまとめてみた:
それから、評価対象のCPUとGPUの組み合わせが下表の通りだ:
統合グラフィックスのみのパフォーマンスと、グラフィックスボードGTX560Tiのパフォーマンスの比較も行った。
パフォーマンス評価には
・Windowsエクスペリエンス・インデックスWEI
・CINEBENCH 11.5 R
・3DMark Basic Edition
・Final Fantasy XIV, A Realm Reborn, Benchmarkワールド編
・OCCT4.4.0
を使った。
各種評価の際、PC全体の消費電力を測定すると同時に、CPUID HWMonitorを走らせて、CPU温度とPackage Powerデータも収集し、比較した。
PCの消費電力測定には
を使った。
各種パフォーマンススコアの比較と、それぞれスコアを消費電力で割った値の比較を結果にまとめた。
本来は、パフォーマンスと消費電力だけでなく、統合グラフィックスとグラフィックボードのサイズ、コスト、静音性などの評価も必要だと思うが、今回はそこまでできなかった。
■ 評価用PCのセットアップと基本パフォーマンス
最初の起動直後では、マザーボードとCPUとメモリが変わったため、Windowsのライセンス認証が無効になった:
評価用PCでは、まずCore i7-4770Kの内蔵GPUではなく、GTX560Tiを使っているため、CPUのスコアが8.1で、Core i7-990Xの8.3よりやや低く、4GBしか積んでないメモリのスコアが5.9(WEIのスコアは64bitのOSと4GB以下のメモリの場合5.9に限られるため)と低いが、グラフィックススコアが同じだ。
問題ありのドライバは主にマザーボードのオーディオや無線LAN関連で、Microsoftのオンライン検索自動更新でも解決できなかった。Intelサイトの検出ツールとASRockのサポートDVDから当てることで解決した。
■ パフォーマンスとPC消費電力
★ Windowsエクスペリエンス・インデックスWEI
主に消費電力と発熱量に寄与すると思われるCPUスコアとグラフィックススコアの結果をまとめてみた:
お分かりのように、Core i7-990XとGTX560Tiの組み合わせに比べて、CPUパフォーマンスがちょっとしか差がないのに、Core i7-4770K単独でのPC消費電力が前者の半分程度しかなく、Core i7-4770KとGTX560Tiの組み合わせでも前者の4分の3程度と低かいことから、
★ CINEBENCH 11.5 R
前記のWEIとは、評価の仕組みが異なるためか、CPUやOpenGLのスコアと消費電力効率の傾向が異なるが、Core i7-4770K単独と、Core i7-4770KとGTX560Tiの組み合わせの消費電力効率がCore i7-990XとGTX560Tiの組み合わせより断然高いことが分かる。特にOpenGLではCore i7-4770KとGTX560Ti相乗効果が明らかだ。
★ 3DMark Basic Edition
この評価では、さすがのGTX560Tiがゲームの本領を発揮した結果になった:スコアも消費電力効率もCore i7-4770Kを上回ったのだ。ただし、Core i7-4770KとGTX560Tiの組み合わせのほうがCore i7-990XとGTX560Tiの組み合わせよりもスコアと電力効率とも上だった。これは二つのGPUの相乗効果の現れであろう。
★ Final Fantasy XIV, A Realm Reborn, Benchmarkワールド編
★ OCCT4.4.0
■ パフォーマンスとCPUパッケージ消費電力(順次データをアップする予定)
これまではPC全体の消費電力を見てきたが、マザーボードやメモリなどほかのパーツの影響もあるので、CPUの評価においてはやや「不公平」であろう。そこで、ここからはハードウエアモニタリングソフトのCPUID HWMonitorから読み取ったPackage PowersデータでPC消費電力を置き換えて、比較してみた:
★ Windowsエクスペリエンス・インデックスWEI
★ CINEBENCH 11.5 R
★ 3DMark Basic Edition
★ Final Fantasy XIV, A Realm Reborn, Benchmarkワールド編
★ OCCT4.4.0
・統合グラフィックスHD4600に消費した電力
HD4600のOC時のCPU消費電力の71.58Wから、GTX560Ti使用時のCPUパッケージ消費電力の64.55Wを引くと、HD4600に消費した電力が12.03Wの計算になる。
一方、GTX560Tiの消費電力が最大180W(ファンなどの電力を差し引いても)、HD4600の10倍以上相当だと考えて差し支えない。スコアの差は3倍程度なので、効率的にはHD4600のほうが上だ。サイズも重量も全然違うので、グラフィックスボードの更なる進化もコンパクト化、省電力かも期待できるはず?
■ 発熱量とOC
OCCTテストにおいては、デフォルトでCPUコアの上限温度が85℃に設定されており、これは一つの安全の目安であろう。冷却をきちんと行っている場合、90℃とかまで上げてもよかろうが、付属の冷却ファンだけではちょっと不安だ。
最初はCPUもGPU(3D)も普通に10分間(1+6+3)のテストをパスしたが、いつの間にか、CPUのみのテストでは2分少々から3分少々の間で85℃を超えてしまうCoreがあるので、設定によりテストが止まってしまうようになった。CPUの消費電力を確認すると、TDPの84Wを下回る64W程度しかなかった。 よく確認したら、ほとんどがターボーブースト機能が働いて、CPUの作動周波数が3.5GHz以上になった状態でCore温度が85℃を上回っていることが分かった。
これは可笑しいじゃないか?
グリースの性能、塗布、ファンの回転速度、風量などなどが考えられるが、
Z87E-ITX付属のユーティリティソフトA-TuneでCPUファンの速度を変えても、効果が得られなかった。
・付属ファンの冷却性能と本体性能(発熱量)のアンバランス
A-Tuneで実測したところ、90%の電力でファンがもっとも高速回転と分かったので、それに合わせて、CPU温度が70℃になったところから、ファンが最高速で回転するように設定したが、効果が得られなかった。
温度上昇が速い:
定格範囲内でのOCでも、付属ファンの能力が足りないことが判明した。残念ながら。
一方、GTX560Tiを使ってのGPU (3D)が成功した:
それでも各Coreの温度が85℃ぎりぎり、CPUの消費電力が64.55Wだと分かった。
■ まとめ
CPUの評価において、パフォーマンスだけでなく、各種評価における消費電力と消費電力効率の比較結果から、Core i7-4770KはCPUとしての総合性能が高く、統合グラフィックス性能も向上した製品であることが分かった。
★ 良かった点
・CPU性能の向上
・軽めのゲームまで対応できる、進化した統合グラフィック性能
・省電力性能の向上
★ 改善して欲しい点
少なくとも、付属のCPUファンだけで定格使用ができるよう、または、例えば、30%のTurbo Boost使用が可能なレベルにしていただきたい。
Intel Extreme UtilityやTurbo Boostユーティリティソフトなど非対応になっている状況も解消して欲しい。プロセッサー診断ユーティリティのIPDTも使いたい。
【2014年1月7日 追記】
Windows 8.1 Professional 32 bitをWindows 8 Professional 64 bitに対してデュアルブートの形でインストールして、正常に稼動することが確認できた。
Microsoftの最新のクラウドとタッチ操作対応のOffice 2013も導入して使えることを確認した。
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