インテル(R)Core(TM)i7-4770Kプロセッサー「4×4 RACE RUNNER 40」の新機能1: 統合型 VR(Voltage Regulator)のレビューです。
第4世代 インテル Core プロセッサーでは、いままでマザーボード上にあった電圧レギュレータの一部をCPUに統合することにより、CPUコア、GPUコアなどの部分ごとに供給する電力を細かく制御できるようになりました。
これにより特にアイドル時の消費電力を削減でき、ノートPCやタブレットのバッテリー駆動時間が大幅に伸びるそうです。
コンセントからの電源供給で動くデスクトップPCではバッテリー稼働時間のようなわかり易い効果は体感しにくいと思いますが、今回は省電力=小型化可能という安易な思い付きで、第4世代 インテル Core プロセッサーの最上位品であるCore i7-4770Kを搭載したCPU性能に妥協しない小型PCを作ります。
CPUはもちろんCore i7-4770K(左)で、隣に置いてあるのは1世代前のCore i7-3770Kの空箱。
パッケージデザインは変わりましたが大きさは同じくらいでした。
CPUの見た目もほとんど変わらないように見えますが、Core i7-4770Kは対応ソケットがLGA1150に変更されたので、Core i7-3770Kなどが動いていたLGA1155のマザーボードには乗せられません。
CPUとソケットの切り欠きが合わないので、間違った組み合わせで設置する心配はありません。(破壊するほどの力でねじ込んだら知りません)
リテールクーラーはCore i7-4770KとCore i7-3770Kで同じ型番でした。
上に書いたようにマザーボードはCPUと一緒に発売開始されたLGA1150のものでないといけないので新規に購入しました。
Mini-ITXでシンプルなものがよかったのでASUS H87I-PLUSを選択しました。
SATA3.0ポートが6個もあること、LANコントローラにIntel I217Vであることなどが特徴です。
ASUS独自の省電力機能を持ったEPUというチップも搭載されています。
CPUクーラーはSamuel 17で4方向どの向きでも取り付けできましたが、配線のしやすさとメモリ抜き差しのしやすさを考慮してこの向きにしました。
マザーボードから2mmほどはみ出しますが、これくらいなら干渉するケースは少ないでしょう。
メモリはTLD38G2400HC11CDC01-VJ(DDR3-2400 4GBx2)です。
Origen AE Technology M10に入れたところです。
幅240×奥行き250×高さ106mmという小型ケースに最新のCore i7-4770Kが収まりました。
電源はケース付属の150WのACアダプターです。
SSDは固定する場所がなかったので耐震ジェルで2.5インチHDDにペタリと固定してます。
Core i7-4770Kの性能を見るためにまずは内蔵グラフィックを使用してベンチマークを取りました。
また、今回のレビューでは統合型VRというテーマがありますので、何パターンかで消費電力も計測しました。
ベンチマークと消費電力の比較相手には、CPUとマザーボードをCore i7-3770KとH77M-ITXに変更した環境でも測定を行いました。
DDR3-2400対応のメモリを使っていますが、H87I-PLUSでDDR3-1866以上の設定をするとなぜかPCが立ち上がらないのでDDR3-1600設定でテストしています。
(メモリの設定項目は3200MHzまであるのに、XMPプロファイルを選んでもDDR3-1600 11-13-13の設定しか出てこないのでもしかしたら項目があるだけで対応してない?)
アイドルとOCCT実行中の消費電力
CPU :i7-4770K i7-3770K
アイドル : 20.5W 21.1W
OCCT(PS): 144W 136W
アイドルでは微減、負荷時はまあ増えていますね。
アイドル時も想像していたより減りません。
まあグラフィックカード足したら結構アレだったんですが、それは後から外部グラフィック編として追記します。
OCCT(PS)で負荷をかけた時の電力が増えているのはグラフィック周りの強化分が影響してるのかと思います。
TDP(熱設計電力)が77Wから84Wに増えてるので、発熱の元である消費電力も少し増えるのは想像通りですね。
負荷時の電力が少しくらい増えていても性能が上がっていれば許せるだろうということでここからはベンチマークを見ていきます。
Windows8 エクスペリエンスインデックス
Core i7-4770KとCore i7-3770KはCPUのコア数と動作周波数が同じですがプロセッサとメモリの点数が0.1アップしています。
グラフィックス性能は5.9→6.6へ大幅にアップしました。
ゲーム用グラフィックスも0.1の微増です。
とりあえずCore i7-4770KはCPU性能とグラフィック性能の両方ともCore i7-3770Kより上がっているようです。
CINEBENCH R11.5
このテストでもすべての項目でCore i7-4770Kが良いスコアを出しています。
ちなみにCPUの8.07ptsというのはCore i7-3770Kを4GHzにOCしたときと同じくらいのスコアです。
定格のCore i7-4770Kは4コアに負荷が掛かる場面ではターボブーストにより最大3.7GHzまで動作周波数が上がっていますが、それがCore i7-3770Kの4.0GHz並なので結構な上がり具合だと思います。
CINEBENCH R11.5実行中の消費電力は次のようになりました。
i7-4770K i7-3770K
OPEN GL実行中の最大値 66.6W 63.7W
CPU実行中の最大値 90.8W 87.3W
だいたい同じくらいの電力ですが、どちらもCore i7-4770Kの方が3Wくらい高いです。
性能の上がり方に比べれば小さな差だと思います。
3DMARK11
3DMARK06
3DMARK11と3DMARK06のどちらもCore i7-4770Kの完勝です。
どちらも全項目でスコアアップしてくれているので比較も楽でした。
PCMARK7
PCMARK7もCore i7-4770Kの方が良いスコアです。
各テスト項目の結果を以下に貼っておきます。
Video playback: 24.0fps 24.0fps
Video transcoding - downscaling: 23247.5kB/s 22176.4kB/s
System storage - gaming: 17.2MB/s 16.7MB/s
Graphics - DirectX 9: 28.6fps 21.3fps
Image manipulation: 24.3Mpx/s 23.9Mpx/s
System storage - importing pictures: 29.4MB/s 29.6MB/s
Web browsing: 25.1pages/s 19.9pages/s
Data decrypting: 190.1MB/s 182.4MB/s
System storage - Windows Defender: 5.66MB/s 5.62MB/s
CrystalMark 2003R4
CrystalMark2004R3のスコアも大幅アップです。
グラフィック系のD2D、OGLのスコアの伸び率が特に良いです。
メモリの設定はどちらも同じなのにメモリアクセスの速度も大分上がっていました。
CPU性能も上記項目より上げ幅が小さいもののちゃんと上がっています。
FINAL FANTASY XIV: A Realm Reborn ベンチマーク ワールド編
FFXIVの新しいベンチマークです。
解像度1280x720、最高品質の設定でテストしました。
Core i7-3770Kで設定変更が必要という評価だったのが、Core i7-4770Kでは普通という評価になりました。
設定変更が必要の説明は「ゲームプレイは可能ですが、全体的に動作が重く感じられます。グラフィック設定の調整が必要で、調整により改善される可能性があります。」で、普通の説明は「標準的な動作が見込めます。」となっていました。
Core i7-4770Kの平均フレームレートは16.076、Core i7-3770Kは10.329でした。
スコアアップの割合は大きいですが、快適という評価までは届かなかったのでプレイする場合は設定を少し下げた方が良いかもしれません。
PHANTASYSTAR ONLINE2 CHARACTER CREATOR
PSO2ベンチマークのVer1.0です。
1280x720サイズ、設定はデフォルトです。
動画エンコード
録画した長さMPEG2-TSファイル(1440x1080, 長さ10分=600秒)をffmpegを使ってH.264 (1280x720, 長さ10分)にエンコードして掛かった時間と最大消費電力を計測しました。
本当は処理中のトータル電力量が計測できればいいんですが、ワットモニターでは無理なので。
i7-4770K i7-3770K
変換にかかった時間 : 198秒 224秒
変換時の最大消費電力: 100W 94.2W
Core i7-4770KはAVX2という新しい拡張命令に対応したこともありCore i7-3770Kより13%ほど早くエンコード処理を終えました。
消費電力は、やはりCPUをフルに使う場面なので最大値を見ると増えています。
Core i7-4770Kでの時だけAVX2が有効になっているのはffmepg実行時のログからわかります。
Core i7-4770Kのログ
>[libx264 @ 00000000026ce840] using cpu capabilities: MMX2 SSE2Fast SSSE3 SSE4.2 AVX AVX2 FMA3 LZCNT BMI2
Core i7-3770Kのログ
>[libx264 @ 00000000028ee840] using cpu capabilities: MMX2 SSE2Fast SSSE3 SSE4.2 AVX
・Core i7-4770Kは前世代のCore i7-3770Kより性能アップしているのは確か
・内蔵グラフィック使用時の消費電力はアイドル時に微減、負荷時は増えている
・エンコード速度はCPU性能のアップと、AVX2の追加で高速化
・ACアダプターは大容量150Wのものを使い、HDDは2.5インチという制限はあるが小型のMini-ITXケースでも最新のCore i7-4770Kを使った強力なPCが組める
ここまでテストしてきた構成から(150WのACアダプターでは電力不足になるので)電源をEA-550 PLATINUMに変更した上でRadeon HD7750グラフィックカードを追加してテストをしました。
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初めに補足しておきます。
今回のテストするまで知らなかったんですが、アイドル~高負荷のどちらの時も150W ACアダプターよりEA-550 PLATINUMの方が効率が断然良かったです。
上で書いた内蔵グラフィック+ACアダプターのアイドル電力が20.5W、OCCT負荷時が144Wでしたが、内蔵グラフィック+EA-550 PLATINUMだとアイドル 19.8W、OCCT負荷時 117Wでした。
なので上で書いた内蔵グラフィック+ACアダプター使用の電力と、これから書くRadeon HD7750+EA-550 PLATINUM使用の電力を単純に比較してしまうとおかしなことになるので注意してください。
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アイドルとOCCT実行中の消費電力
CPU :i7-4770K i7-3770K
アイドル : 23.6W 30.1W
OCCT(PS): 133W 144W
Radeon HD7750グラフィックスカードを追加した状態ではアイドル、OCCT負荷時ともにCore i7-4770Kの方が省電力になりました。
アイドル時の差が大きいです。
グラフィックカードを積んでいて30Wを大幅に下回る消費電力には驚きです。
新CPU+新チップセットの効果恐るべし。
OCCTの負荷時についても内蔵グラフィック使用時とは違いCore i7-4770Kの方が消費電力が少なかったです。
Windows8 エクスペリエンスインデックス
グラフィックカードを追加してもCPU、メモリのスコアは変わらず。
グラフィックス、ゲーム用グラフィックスのスコアがどちらのCPUも同じ値になりました。
CINEBENCH R11.5
CINEBENCHI R11.5もグラフィックカードの影響で両方のOpenGLスコアが伸びてCPUによる差がなくなっています。
CPUスコアについては少しスコア減少していますが、Core i7-4770KとCore i7-3770Kの差は大きいままです。
CINEBENCH R11.5実行中の消費電力は次のようになりました。
i7-4770K i7-3770K
OPEN GL実行中の最大値 92.6W 102W
CPU実行中の最大値 83.7W 92.0W
アイドル、OCCTと同様に消費電力はi7-4770Kの方が少ない傾向になりました。
3DMARK11
3DMARK06
3DMARK11、3DMARK06はRadeon HD7750を使うことで、グラフィック性能がほぼ同じになったためスコア差が縮まりましたが、それでもCore i7-4770Kの方がスコアが上です。
PCMARK7
PCMARK7も多少スコアの差が縮まっています。
なぜかこのテストは内蔵グラフィックを使っているときのほうがスコアが良いです。
CrystalMark 2003R4
このテストもCPU、メモリの性能はCore i7-4770Kが高い結果になっています。
2Dグラフィックの性能は、上に貼ったCore i7-4770Kの内蔵グラフィックのスコアの方が高いようです。
FINAL FANTASY XIV: A Realm Reborn ベンチマーク ワールド編
FFXIVはグラフィックカード追加でスコアが大幅にアップして、どちらのCPUでも評価 快適になりました。
CPU同士の差を比べるとここもCore i7-4770Kのスコアが少し高いです。
PHANTASYSTAR ONLINE2 CHARACTER CREATOR
PSO2ベンチマークも他と同じ傾向です。
もう順当すぎて何を書いていいのやらです。
動画エンコード
測定条件は内蔵GPU使用のときと同じで、録画した長さMPEG2-TSファイル(1440x1080, 長さ10分=600秒)をffmpegを使ってH.264 (1280x720, 長さ10分)にエンコードして掛かった時間と最大消費電力を計測しました。
i7-4770K i7-3770K
変換にかかった時間 : 195秒 223秒
変換時の最大消費電力: 91.9W 96.4W
Radeon HD7750使用のOCCT(PS)と同様にエンコード時の最大消費電力はCore i7-4770Kの方がわずかに低い値になりました。
速度も上がっているのでCore i7-4770Kの方が電力効率が良さそうです。
エンコードにかかった時間は各3回計測した平均値ですが、内蔵グラフィック使用とRadeon HD7750使用では1~3秒ほどの速度差(誤差?)がありました。
ひととりCore i4-4770Kを試してみて、性能面についてはCore i7-3770Kより進化しているのを感じしました。
統合VRによる消費電力コントロールについては、最初の内蔵グラフィックを使ったテストでは、あまり実感できずにちょっと期待はずれでした。
しかし、グラフィックカードを追加したときには大きな差が出ていることから電力制御についても進化しているのだろうと思います。
アイドル状態の機能の電力を細かく制御する仕組みのようなので、自作PCのような汎用的な組み合わせよりも、メーカー製PCなどで専用設計された組み合わせの方が効果があらわれるかもしれません。
負荷時の電力については、GPUを強化した分の電力増加は確実にありました。
外部グラフィックを利用したときはCore i7-4770Kの方が消費電力が低くなるのでCPU部分については性能が上がっているのにそれほど電力増加がないのではないかと思います。
Sandy BridgeからIvy Bridgeのときと違い、Haswell CPUを使う場合は、マザーボードの交換が必須になるため気軽に乗り換えることが難しいですが、新たにPCを組むなら性能面からもCore i7-4770Kおすすめです。
mkamaさん
2013/06/25
自分(自腹レビュー)は
Haswellの特徴であるアイドル時の省電力が
うまく測定できませんでした。そこらへん、どうでしたか?
(アイドル時の「(3770K)より深いCステート状態」の消費電力)
またネットで調べるとプラットホーム・アクティビティの配置調整が
Windows7とWindows8のOSの違いもあるみたいです。
しろさん
2013/06/25
レビューではH87I-PLUSのCステートの設定はC7sを設定して確認しました。
デフォルトでC7 Report値がC7sになっていたと思います。
ちょっと今は確認できないので後ほどC7 Report Disableなど設定変更して試してみます。
しろさん
2013/06/25
内蔵グラフィック使用(ACアダプタ)
C7s/C7s Disabled/C6
20.5W 26.1W
Radeon HD7750使用(EA-550 PLTINUM)
C7s/C7s Disabled/C6
23.6W 30.8W
H87I-PLUSでは「CPU C7 Report」と「Package C State Support」を使わないと消費電力が増えるのでC7ステートの設定は効いているのだと思います。
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i7-3770K+H77M-ITXと比べると、内蔵グラフィック使用の時はC7s/C7sの設定で同じくらいの消費電力で、Disabled/C6だとH87I-PLUSの方が電気食い。
Radeon HD7750使用の時はC7s/C7sにするとH87I-PLUSの方が省電力で、Disabled/C6の設定だと同じくらい。
mkamaさん
2013/06/26
>「CPU C7 Report」と「Package C State Support」の設定を変えて消費電力を計測しました。
どうもありがとうございます。
参考になりました。
jakeさん
2013/06/29
かなりカツカツっぽいですね。
しろさん
2013/06/29
どういたしまして
ご参考になったのなら幸いです。
jake さん
最初にOCCTやるときは緊張しました。
でもOCCT回している時のACアダプターの入力側の計測で144Wでなので、
出力側は2割減~1割減の115W~130Wというとこではないでしょうか。
ベンチマークや動画再生では100Wもいかないので普段使いでは
早々にACアダプターを壊したりということはないと思っています。