テーマは"新機能3: 統合グラフィックス"について。
ゲームプレイにおいてHaswellの内蔵GPUがどれだけ"使える"かどうかをテストしてみたいと思う。
○開梱
まずは本題に入る前に製品外観から見ていこう。
上半分は一目見てintel製CPUだとわかるおなじみのパッケージ。青を基調とし、ダイをイメージした黄色いポイントが入った物だ。
そしてこの第四世代Core iシリーズでは前世代までと比べて少々前衛的なデザイン・・・といえるかもしれない下半分が特徴だ。
"What Will You Make?"のメッセージは"このCPUを使えばあなた次第で何でも創り出せますよ?"ということだろうか。
パッケージ上面にはCPUを見られる窓。
なぜかいつもズレているのはアメリカ製品故か・・・?
正面から背面へぐるっと回り込むと左側面にはスペック概要、背面には説明書きが。
そして右側面には製品固有のシリアルナンバー等が記されている。
封印を切り中身を出してみよう。
薄手の段ボールに囲まれたインナーとCPUクーラー、説明書が顔を出す。
内容物はCPU、CPUクーラー、説明書の三点だ。
CPUクーラーはおなじみプッシュピン式のものだ。
自作向けだけでもかまわないのでネジ式に変更してもらえない物だろうか・・・?
そして主役のCPU本体だ。
見た目はLGA1156、1155から大きくは変わらず、左右の切り欠き位置によってソケットを変更してある。(もちろん裏面のピン数も違う)
物理的な形状が違うためこれまでのCPUソケットとの互換性は無い。
CPU表面には型番、クロックなどが記されている。
そのなかでも普段見慣れない"SR147"という文字列があるが、これはsSpecと言いCPUの型番を(ここではCore i7 4770K)五文字で表した物だ。同じ型番でもマイナーチェンジ(たとえばステッピング変更など)でもsSpecが変わるので詳細な仕様を知ることができる。型番などの記述が読めなかったりした場合にはこちらからもしらべてみるとよいだろう。
○組み込み
ここからはCPU組み込み時の注意点を簡単に説明しよう。
基本的に今までのLGAソケットに対応するCPUと変わらない。
CPUを押さえる金属パーツを開き、ピンを曲げないように慎重にCPUを乗せてやればいい。
マザーボードと平行に落とすのではなく一辺を合わせて倒すようにすれば失敗が少ないように思う。
そして赤丸で囲んだ部分がCPUの方向を合わせる主なポイントだ。
角の三角形をマザーボードのマークと合っているかどうか、二カ所の切り欠き位置がソケットの出っ張りと合っているかどうかを確認しよう。
そして押さえを倒し少々硬めのロックレバーを倒してフックに引っかければCPUの装着は完了だ。
余談だが今回のレビューではMSI製マザーボードを使用しているおり、これに添付されているCPUソケットカバーが秀逸なので記しておく。
参考URL http://www.kotaku.jp/2013/07/bikini_msi_girl.html (夏なので涼しげ?な動画を)
動画開始1分ほどのところに注目してほしい。
カバーを取り付けたままCPUの押さえを開閉でき、CPUを取り付ければカバーが押し出されて外れるという仕組みだ。
これならカバーを取り外すときにピンを傷めることはないし、カバーをはずしたまま作業ということもない。
デリケートなLGAソケットに対して非常にありがたい仕組みとなっている。
さらに余談になってしまうが、リンク先の記事でもつっこまれているように、CPUは絶対ああいう風につまんではならない。
PCパーツ(というより電子部品全般)を取り扱う際には端子部分を素手で触れてはならない。
端子自体は金メッキされていることが多いので腐食とは無縁だが、手についた汚れ、脂分などが付着してそれが腐食したりして電気の流れを妨げてしまうことがあるためだ。
本当は素手で作業することもご法度なのだが、素手で作業するのであればせめて基盤の端を両手ではさむようにして基盤表面に触れないようにしたい。
もし静電気等でパーツが壊れてしまってもユーザーの過失なので保障が効かないことは言うまでも無い。
○ベンチマーク
それでは実際に作動させてのレビューに移る。
ゲームプレイにおいてHaswellの内蔵GPUがどれだけ"使える"かどうかの検証なので、解像度を今主流のフルHD(1920x1080)にあえて限定。
また、垂直同期はfpsが制限されてしまうので設定を無効にしてある。
比較対象として手元にあるVGAでもベンチマークスコアを取得した。
検証するゲームは以下の四種類だ。
・PORTAL 2
・Left 4Dead 2
・DiRT Showdown
・Grand Theft Auto 4
アクション性の高い、かつfpsが重要なタイトルを主に選択した。
検証環境は以下。
検証結果として"使える"としたものから並べていく。
・Portal 2
壁に青、赤の一組の穴を開けてそこを通り抜けてゴールを目指すという一人称視点のアクションパズルゲームだ。
あるステージにおいて一定のコースを歩いた時のfpsをまとめた。
AAを効かせると大きくスコアが変わるため(要するに負荷が高い)AAの設定別にもスコアを取得した。
オブジェクトの動きが少ないため比較的軽く、AAなしであればテクスチャ品質を最高に設定しても快適にプレイできた。
しかしAAをかけるととたんにfpsが落ち込むため、AAはx2程度に抑えてfpsを見ながらテクスチャ品質を普通~高に上げてやれば良いだろう。
以上の結果からHD4600はPortal 2において"使える!"と言えるだろう。
・Left 4 Dead 2
言わずと知れたゾンビ系FPSだ。
たたみかけるように襲ってくるゾンビ達にパニックになったプレイヤーも少なくないだろう。
涙をのみあえて仲間を犠牲にしたことも何度か・・・
最初のステージ、デッドセンターをプレイした際のfpsを取得してある。
Left 4 dead 2は大量の動き回るオブジェクト(もちろんゾンビ達のことだ)を処理するため、基本的にPortal 2よりも重いゲームといえる。
推奨設定から解像度を変更する程度ならばfpsは100を超えてくるので全く持って問題は無い。
しかし2x MSAAを適応するとfpsが落ち込むのはPortal 2と同様。やはりAA処理自体が重い処理であることがわかる。
テクスチャ品質を上げていくと如実にfpsが下がっていくのであまり設定を上げることはできなさそうだ。
従って、HD4600はLeft 4 dead 2においてAAをかけずにテクスチャ品質も抑えれば"使える!"と言えるだろう。
・DiRT Showdown
さて、三番目はこれまでのFPS形式のゲームではなくレースゲームだ。
一瞬の判断を要求されるのはFPSゲームとは変わらないが、レースの始まりから終わりまで気の抜けないという点ではより集中力を要するため、ストレスの元となるfpsの低下は許されない。
DiRT Showdownはストイックなイメージのある同タイトルシリーズの中でもシフト操作不要、ブースト有りというカジュアル寄りのタイトル。
スコア取得はゲーム内に用意されているベンチマークモードを利用して行った。
ベンチマークを走らせるごとに状況が変わるため、正確さにはいささか欠けるがだいたいの指標としては十分機能すると判断した。
ただし、クラッシュなどにより大幅に計測時間が異なる場合(具体的には44~45秒から外れた場合)のスコアは破棄してある。
各種設定はプリセットを利用した。
AAの適用も設定項目にあるが、AAなしの結果が芳しくないため今回は省略した。
結果としてはLow設定を超えるとfpsが落ち込み、プレイに耐えられなくなる。
Low設定と言っても大きなオブジェクトなどは省略されないため、描画無密度は悪くはない点は注目しておきたい。
しかし最低fpsが33fpsまで落ち込むので通常プレイでもfpsが気になるため各種設定をもう少し下げてやった方が良いように思う。
さすがにこのあたりとなるとHD4600では辛くなってくるところだが、条件次第でHD4600はDiRT Showdownにおいて"使える"としておこう。
・Grand Theft Auto IV
こちらも有名なクライムアクションゲームだ。
TPSスタイルで主人公は仲間などから様々な依頼(クルマ泥棒、人殺しなど主に犯罪だ)をこなして話が進んでいく。
重量級のタイトルであることでも知られ、GTA IVを高設定でスムーズに動かすにはかなりのハイエンド構成を要求される。
近日続編のGrand Theft Auto Vが発売されることもあり、今話題のシリーズだ。
さて結果は、ゲーム自体は進むが描画が全く追いつかずにゲームとして成立しないという事態になった。
設定項目もすべてが最低設定になり、解像度の変更も受け付けられない。
もしかしたら・・・・?という期待もあったがさすがに重いようだ。
参考までに描画の様子をお見せしよう。
オープニングムービー中のワンシーンだ。しかもこれでオリジナルサイズである。
ぼやっとした質感、いったいどこにいるのかわからない背景が何とも哀愁を誘う。
オープニングムービーが終わり、走り回れるようになったところだ。
マップによるとまだ地面があるはずだが目の前は海。
しかも何かオブジェクトがあるらしく、前進しても進まない状態だ。
地面や壁障害物などが描画されず、自分がどこにいるかさえわからない様子がおわかりいただけただろうか?
以上、HD4600はGrand Theft Auto IVにおいて全く"使えない"と言える。
○単体GPUと比較
HD4600の性能は単体GPUと比べてどの程度なのか、今手元にあるグラフィックカードとの性能を比較してみた。
検証するのは以下の4枚。
・Radeon HD5450
・Radeon HD4830
・Radeon HD6970
・GeForce GTS 450
スコアはDiRT Showdownのベンチマークモードで取得した。
クラッシュ等で計測時間が延びてしまった場合にスコアを取得しないのは先のテストと同様だ。
それではまず各GPUの結果を。
・HD5450
・GTS450
・HD4830
・HD6970
ゲームがHD4600でかろうじてプレイできていたことを考えるとHD5450のようなローエンドGPUの役目はすでに終わったと言えるだろう。
スコア順にHD5450、HD4600、GTS450、HD4830、HD6970と並ぶ。
直接比較するためにLow設定時のスコアをグラフとしてみた。
世代、メーカーが違うがローエンドからハイエンドまでそろっているのである程度の指標にはなると思う。
結論としてはHD4600はミドルローレンジ程度のの性能を持っていると言えるだろう。
軽いオンラインゲームであればこなしてしまうので、重い処理を要求するパッケージゲームをやらないのであればHD4600で十分であるようだ。
不満があってからグラフィックカードを増設しても遅くはないように思う。
ただしそれなりの性能のものを用意しなければならないので、はじめから大きめの容量の電源を組み込んでおいた方が良いかもしれない。
○総評
今回はCore i7 4770Kに内蔵されたintel HD Graphics 4600のゲームにおける性能にフォーカスを当ててレビューさせていただいたが、一部パッケージゲームがプレイできるレベルまでの性能を持っているというのは驚いた。
一昔前はintel内蔵GPUといえばモニタが映れば良いといった程度でゲームをするのであればグラフィックカードの増設が必須だったのだが・・・・
もちろん内蔵GPUでもプレイできたゲームはあったがその描画品質はお世辞にも美麗とは言いがたいものばかりだった。
しかしCore iシリーズになって世代を重ねて行くにつれてHD Graphicsの性能の向上が計られ、ついにある程度まともにゲームができるようになったというのは感慨深い。しかもフルHD解像度でだ。
さらに第四世代Core iシリーズにはHD4600より上位のIris Graphicsが待ち構えているというのでその性能も気になるところだ。
ただ今回の検証では特に不具合は見られなかったが伝統的にintelの内蔵GPUドライバの出来はあまり良くないようなので、性能が上がった分そのあたりの練り込み具合が素直に出てくるだろう。
これからリリースされるドライバにも注目したい。
以上私infychanのCore i7 4770Kプレミアムレビューとする。
最後までお読みいただきありがとうございました。
infychanプレミアムレビュー
コメント (3)
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