普段DAPといえば、Astell&Kern KANNやAK70、Acoustic Research AR-M2など、そこそこは音質重視といえる製品を主に使っています。他にもFiiO X7+AM3DやX5 3rd、ONKYO DP-CMX1、Astell&Kern AK100II、Laxury&Precision L5PRO、Acoustic Research AR-M200などが第2グループとして控えている状態であり、素晴らしく良い製品があるわけではありませんがそこそこ台数は揃っています。
一方で、車載用やBluetooth用として、より手軽なクラスであるSONY NW-A16を長らく愛用していますし、最近ではNW-A55/LLSを同じ用途に買い足したりもしています。それなのに、何故今更NW-A55の先代であるNW-A45をわざわざ買ったのかといえば、単に価格が圧倒的だったからです。強いていえば愛着があるNW-A16を、劣化しやすい車載用から外したいという思惑も多少ありますが…。
今回購入したのは、型番表記ではNW-A45HN、つまりNW-A45にノイズキャンセリングイヤフォンをセットしたパッケージの製品ですが、展示処分で添付のノイズキャンセリングイヤフォンが欠品しているということから大幅に値下げされていたものです。
イヤフォン以外の添付品はきちんと残っていますし、保証も通常の新品と同様です。どうせ添付のイヤフォンなど残っていても開封すらしないと思いますので、欠品は特に問題になりません。
結構古い展示品だったはずですが、その割に外装のコンディションは意外なほど良好です。ある程度傷などがあればそのまま使うのですが、案外綺麗だったのでジャケットやケース等は調達することにしました。
車載用で使うつもりで、データは整理するよりひたすら継ぎ足していくことになると思いますので、少し容量が大きめのメモリーカードを使います。今回はSanDisk Ultra 200GBです。
初回起動時にはこのようなチュートリアル表示が用意されています。もっとも基本的な操作性はNW-A55とほぼ同じですので、今更感はありますが…。
メニューのレイアウト等もNW-A55に近いのですが、比較対象のNW-A55が特殊デザインであったため、レギュラーモデルの表示が何となく地味に見えてしまいます。
相変わらず高域方向は綺麗だが…
率直に言えばイヤフォンで使う機会はほとんど無いと思うのですが、念のため音質をチェックしておくことにしましょう。
今回はAstell&Kern × JH Audio Michelle+WAGUNS. Chocolat Lily+アンバランス変換アダプターで試聴することにしましょう。今までの経験上、このクラスのDAPでは64AUDIO U4辺りはちょっと荷が重く感じられるためです。
NW-A16辺りと比較すると、低域の重量感など進化している部分は確実にあります。ただ、どうにもこの世代のヴォーカルの生気の無さはどうにかならないのかと感じられてしまいます。
音場は耳の幅よりも少し狭い範囲に構築され、立体感のようなものは感じさせず二次元的に展開されます。まあ、2万円クラスとしてはごく普通の表現力ではないかと思います。
強いていえば新世代Aシリーズ初代からの美点である高域の透明度の高さは健在で、この一点だけはクラスを遙かに超えたものといえるでしょう。ただ、以前少し使わせてもらったことがある、低価格DAPであるCayin N3と比較しても音場の広さや密度、ヴォーカルや楽器の質感など多くの点で明確に劣っています。NW-A16の世代では価格帯の割に上質といえたこのシリーズですが、他社製品の進化と比べると進歩がやや遅れているという印象は拭えません。
ただ、面白いことにかつてのカセット用WALKMANの比較的上位のモデルと、音質傾向そのものは意外と似ている気がします。当然DAPである現行世代の方が圧倒的に水準は高いはずですが。今時カセット型のWALKMANの音を覚えている人がどれくらいいるのか判りませんが…。
価格ですべて許せる
この完成度で、現行モデル当時の約2万円で買っていたら、率直に言って満足度はかなり低いものだったと思います。Cayin N3やHiBy R3/R3 Pro、COWON PRENUE D/D2辺りを買った方が、音楽を素直に楽しめると思いますので。
特に私はアナログレコードから起こした音で普段から試聴していますので、ハイレゾ音源のダウンロード販売分と比較しても質感にはよりシビアな場合が多く、この世代のWALKMANでは到底納得できる水準ではありません。
ただ、ここで約4千円のDAPとしてみた場合はどうでしょうか。ハイレゾWAVやFLAC、DSD等をきちんと再生できて、音質も大きく破綻しない水準は保っていると考えれば、圧倒的にお買い得であることは間違いありません。
今回は私の買値であればという条件を付けた上で、一定以上の評価は与えたいと思います。
コンパクトで駆動時間が長い
私は基本的に普段からDAPを持ち歩いていますが、もし宿泊を伴うような旅行に行くという前提であるならば、必ずNW-A45HNは持っていくと思います。
現地まで飛行機で行き、レンタカーを借りて行動するというシチュエーションを想定すると、コンパクトでありながらバッテリー駆動時間が長い(24bit/96KHz FLACで30時間以上の連続再生が可能)NW-A45HNがあれば、レンタカーのナビやディスプレイオーディオとBlueotooth接続して、充電無しで丸1日使える訳で、多少の音質面での不満など気にならないほどの使い勝手の良さです。
本来は本体の端子形状がUSB type Cに変更されたNW-A100系以降の方が、ケーブルの調達に困らないという良さがあるのですが、バッテリーの持続時間がNW-A45HN比で大幅に落ちていて、SONY製品らしさメリットが得られません。
別の落ち着いて聴くために、恐らくCayin N6ii/R01辺りは持っていくと思いますが、車載用としてはこの製品が最適と思います。
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購入金額
4,378円
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購入日
2020年09月21日
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購入場所
ノジマ幕張新都心店
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