レビューメディア「ジグソー」

良かったのか?悪かったのか? ポータブルラジオに1万円を支払う時代

1985年度グッドデザイン賞に輝いたソニーの防水ポータブルラジオです。

購入金額の8,640円は、定価10,600円の2割引き価格です。

当時はモノラルのポータブルラジオが一万円を超えていても売れた時代。

多くの方が店頭で正札のままお買い上げになります。

弟がソニー製品の専売店に勤めていたので、2割引きで買うことが出来ました。

それでも8,640円。 今なら誰も買わないか。     そんな時代でした。

更新: 2016/04/01

1985年

阪神タイガースが日本一に輝き、NTTが携帯電話の前身たるショルダホンを発売した年。

世の中がバブル景気に湧くのは、まだ少し先のことです。

 

ウォークマンはまだカセットテープ式が主流だったと覚えています。

このICF-S75は、JIS防滴2形に準拠した防水ポータブルラジオですが、姉妹機としてCFS-V75というポータブル防水ラジオカセットレコーダーもありました。

(所有していましたが、既に手元にはありません)

 

PCはまだ庶民の家庭には導入されていません。

車もカメラも、機械が主役の時代です。

ニコンのFもキャノンのF-1も。 VWゴルフもメルセデスも。

電子制御は取り入れていますが、高価な機械は、高度なシステムを持っていました。;

高価な機械が長い寿命を持っていた時代だと思います。

 

対して現在は、高価が多機能を意味する事は確かですが、高価は長寿命を担保しません。

日進月歩の電子制御は、少し前の最高級品の性能を最新の普及型が凌駕することが多いです。

 

それに伴い、デザインや質感に魂を込めた工業製品が減っているような気がしてます。

 

このICF-S75は、当時の好きものにアピールするデザイン力を秘めていたと思います。

私がそうでした。

確かにアウトドアを楽しんでいた時代でしたが、特に防水機能が欲しかったわけではなかったような気がします。 

黄色いボディに黒いゴムの縁取り。 それが予感させるスポーティな休日。

デザインの力がラジオに一万円を出させたんだと思います。

そんな仕組みが国民の多くを動かしていた時代だと思います。

 

バンド切り替えと音量は防水機能を高めるために電子式です

当時として最先端。

30年以上も手元にあるのは、壊れていないという理由もありますが、

一番の理由はデザインを気に入っているからですね。

更新: 2016/04/02
クオリティ感

ワイドFM放送受信可能 AM受信のクオリティは現在のポケットラジオを凌駕しています

 

バリコン仕様のチューニングは古い仕組みですが、ある程度のボリュームがある筐体内に仕込まれたAM用バーアンテナは21世紀に売られているポータブルラジオに全く引けを取りません。

本当に良い感度で安定受信できます。

 

SP右上の赤いボタンを押すと、選局窓のバックライトが点灯します。

単3電池を3本利用するのですが、電池蓋はゴムパパッキングで囲まれており、密着度を高めるためにロック機構がありました。

樹脂部品でしたので、長年の使用に耐え切れず破断してしまいました。

流石に補修部品は無いだろうと判断し、苦肉の策として黒い針金を用意し、蓋を巻くように締め付けています。 

防水機能は失われましたが、見た目は上手くいっているでしょ?

当時のTV1〜3chを受信できるワイドバンド仕様だったのが幸いし、今年になってから開始された

ワイドFM放送を受信できます。

これは93.3MHzワイドFM朝日放送を受信している様子です。

ロッドアンテナは背面下部に収納する構造です。

キャリングベルトは純正品です。

チューニングダイヤルの下にスイング式の電源スイッチが隠されています。

イヤホンジャック・ACアダプタージャックは逆サイドのゴム蓋に隠されています。

メタルセンターキャップが奢られたシングルフルレンジスピーカーです。

見た目の通り高域が強調された音質です。

アナウンスは聞き取りやすいですが、音楽を楽しむ用途にはジャンルを選びます。

 

適正価格で高品質な製品が手に入るなら、それに越したことはありません。

でも、デザインに惹かれて少し多めのお金を支払う仕組みも大事にしたいです。

SONYのプロフィール・プロという高価なTVモニターも、私の周りではたくさんの愛用者がいました。 高かったけど、支払った金額に見合う満足度を得ることができました。

 

SONYも後発で参入したデジタルカメラでは、それに近い製品を出しているようですが

できれば、もう一度、オーディオやテレビ分野で輝きを取り戻して欲しいと希望してます。

 

  • 購入金額

    8,640円

  • 購入日

    1985年頃

  • 購入場所

    アビック河原町店

20人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • タコシーさん

    2016/04/01

    当時はすべてが高かったですね マイコンが内蔵されてラジオも簡略化されて
    高性能と言うのも無くなった気がします 通勤用の胸ポケットに入るラジオなどに
    シフトしていったのでしょうかね でも感度は良さそうですよ

    ラジオは20年くらい前に義父に、15年前位に義母に夫々購入してあげた記憶があります 災害用途のラジオと選局は地域を合わせて釦押すだけで良いラジオでした
    両方ソニー製でした

    私はICF-5900持っていますが殆ど使いません 使えるかな.. 
    今ではradikoがメインですね
  • フェレンギさん

    2016/04/02

    タコシーさん、こんばんは。 いつもありがとうございます。

    高級コンポーネントとしてのFMチューナーとしては、トリオが相当良かったみたいですが
    ポータブルラジオの分野では、やはりSONYに良い評判を聞きます。
    友人にNHK技術者が居て、野外仕事時に配られるポータブルラジオはSONYが良いんだと言ってました。 それは感度に関してもそうなんですが、ブラインドで操作可能であることに肝があると。
    カムコーダーに脈々と流れる多様なスイッチ配置。 一見乱雑に見えるその配置・種類はプロ目線で設計されているんだとか。

    このS75に、その血が流れているとは言えませんが、デザインと機能がうまく融合していると思ってます。

    因みに私もradikoには重宝してます。 便利ですよね〜。
  • うんちオジサンさん

    2019/01/20

    デザインに惹かれて少し多めのお金を支払う仕組みなら、滅亡した訳ではありませんよ。
    ZIGSOW 初心者なので画像のUP が出来ませんが、
    「 スターリングクラブ 2バンドクリップラジオ 6490 」
    性能的には値段成りかもしれませんが、ビジュアルと質感だけは頑張ってると思いませんか?
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