レビューメディア「ジグソー」

Mini-ITX...きゅぅぅぅぅっと凝縮したボディ(一部はみ出し映像あり(^^ゞ)

今回は、インテルデスクトップ・ボード「ロクナナ!」トリオレビュー、DH67CFB3プレミアムレビューのレビュアーに選出していただき、ありがとうございます。

今回のレビューは3部構成(組み上げ→検証→実用)でお送りします。
※ただ組み上げに関しては「今回使用したケースならでは」のポイントはこのM/Bのレビューに書くのも変ですし、冗長になりすぎるのでケース

に追記しました。


第一部「ロ苦ナナ!」:Mini-ITXフォームファクターを生かしたPCを組(苦)み上げよう!

今回レビュー対象はIntel純正のM/B、Mini-ITX フォームファクタの「DH67CF」です。またこれは例の"Intel6シリーズチップセットの不具合"を修正した「B3ステッピング」であることを示す「B3」が末尾に加えられたものとなります。

小さいわりには基本的なコネクタ類は充実しており、SATA 6.0Gポート x 2、SATA 3.0 Gポート x 2 (内1 ポートは eSATA 拡張対応)、eSATA 3.0 Gb/s ポート x 1、USB 3.0 ポート x 2、USB 2.0 ポート x 10 (実ポートとしてはバックパネルに4ポート、M/B上にヘッダピンとして3組6ポート分)とMini-ITXとしては十分満足のいくポートの種類と数。

バックパネルにはさらにLAN(10/100/1000 Mb/s)対応、内蔵グラフィック出力もDVI-IとHDMIの両対応ですし、Line-outやLine-in、Mic-inなど音関係も一通りの入出力が備わっています。

メモリスロットは2つ、PCI-Eスロットは1つとVIAのMini-ITXグランドデザインを踏襲しますが、前者は最大16GB(8GB×2)、後者はPCI Express 2.0 x 16対応とここに物量を投入すれば、TDP 65Wに制限された対応プロセッサを考慮に入れても一般的な用途では十分高性能なPCが組める懐の深さです。

今回使用した部材は以下の通り。

CPU:TDP65Wの制限があるので、2011年4月末の段階で選択できるのは4種。Turbo Boost(TB)機能があり、機能作動時には3.30GHzまで周波数があがる、定格周波数2.50GH、4コア4スレッドのi5-2400S、TB機能がないがHyperThreading(HT)機能があり2コアながら4スレッドを実現したi3は定格周波数3.30GHzの2120、定格周波数3.10GHzの2100、そして定格周波数2.50GHzながらTDPは35Wを実現した2100T。この中では第三部の目的に適したi5-2400Sを選択


メモリ:第二部の目的もあり現メインPCからG.SKILLのF3-12800CL8Dをスワップ


HDD:第二部対策で現メインPCプライマリHDDと同じ


光学ドライブ:第三部で使うためバルク品だが定評のある


ケース:ケースフェチ魂炸裂!真っ赤なコイツ


電源:手持ちの予備電源


OS:殆ど使う機会がなかった32bitの7



レビュー対象品はMini-ITXだけあって小さな箱。
ケースちっちゃ!
ケースちっちゃ!

裏には一般的な自作PC組み立て説明書が入った袋が貼りついていました。一応LGA1155には対応したものですが、このボードに特化したものではなく、一般的なものです。ただ、初めての人や久しぶりのひとには役立つでしょう。一部誤植がありますが..(←DQ67EPB3のレイアウト図は説明むちゃくちゃです(^^ゞ)
インテル純正ファンの取り付け方も図解
インテル純正ファンの取り付け方も図解

でも今回の組み立てで最も役立ったのは部品配置やヘッダピンの位置・ピン配列を記載したシール。たぶんコレ一枚あれば慣れた人は組めると思います。
箱の中身はこんな感じ
最低限の中身
最低限の中身

ボード本体とSATAケーブル2本、ドライバCDと英文説明書、ソケットに関する英文注意事項と上記のシール。ボード固定用ねじなどもついていない最低限の構成。

特にバックパネルは素っ気ない単なる穴あき板で、何が何の端子かを示す文字や記号(絵)の刻印もなく不親切。ボード側のMIC端子やLINE出力などは標準色で色分けされているものの、ここはコスト低減もあるかもしれないが何とかして欲しいかな(そのために上記シールがある、とも言えますが見えるところに該当部分を貼り付けられるケースばかりではないし、そもそもM/B単品で入手した人が一回組んだケースそのままで使い続けるのは多くはない(?)と思われ、シールでは移植時にはどのみち×)。
単なる板!
単なる板!

その他ボードを見て気がついたことは、コンデンサはすべてが固体コンデンサではなく、一般のコンデンサも使われているところ。2011年5月現在7,000~20,000円程度の範囲に分布しているH67搭載Mini-ITXボードとしては当製品の13,000円前後というのはアッパーミドルというクラス。電解コンデンサ使っているから絶対ダメ、ではないですが訴求力としてはイマイチだと思われます。
オール固体、ではありません
オール固体、ではありません

組んでみました。普通に行ってはおもしろくないと、タイムトライア~ルをしてみたんですが、こちらの予習不足もあり約45分かかってしまいました...orz

詳しくは

で!

今回「苦」しんだのは、バックパネルのはめ込みと、CPUファンと各種ケーブル類の干渉。ただこれはこのM/Bの問題と断定できず、前者はケース側の問題の可能性、後者は電源ユニットがケースに不釣り合いなほど大きいことと、Intel純正ファンの構造(ファンの周りすべてをガードが覆っていない)による可能性があります。

BIOS(そういえばUEFIはどうなった?)の設定を確かめて
AHCIモード確認
AHCIモード確認

Windowsを入れてひとまず完成。
ここまでくると安心
ここまでくると安心

ちょっと苦しみましたが、ぎゅっと凝縮したPCが組めました。

ただ一点注意が必要です。

今回モニタの関係上、HDMI接続にすることにしたのですが、バックパネルの端子位置が端に寄りすぎていて一般的なHDMIプラグだと干渉します。
左のタイプが一般的ですが
左のタイプが一般的ですが

薄いタイプでギリギリです
薄いタイプでギリギリです

...私はこれで、雨の中買い物に行く羽目に...


第二部「ロ喰ナナ?」:新世代CPU、Sandybridgeは一年前のアッパーミドルを「喰」えるか?

当方のメインPCは
CPU:AMD PhenomⅡX6 1090T BlackEdition
M/B:ASRock 890FX Deluxe3
メモリ:G.SKILL F3-12800CL8D-4GBRM (2Gx2)
ビデオ:玄人志向 RH5850-E1GHW/HD/DP/SP
とM/Bはやや廉価なものですが1年前のAMDアッパーミドルと言って良い構成。
ビデオがオンボードの890GXでないので直接比較は卑怯なり、かもしれませんが、2011年5月現在のCPU価格がAMD PhenomⅡX6 1090T BlackEditionが18,000円、今回使用したCore i5 2400Sが17,000円、M/Bの方はASRock 890FX Deluxe4が約11,000円(Deluxe3の後継でフロントUSBパネルが付き、オーディオチップが変わったくらい)に対して当品(DH67CFB3)が13,000円程度と組み合わせるとほぼイーブン。かたやTDP125Wのトップ性能を狙うCPU、かたやTDP65Wの省電力版、フォームファクタも拡張性のATXと省スペースのMini-ITXと方向性はまったく異なりますが、価格だけ見れば対抗となり得る存在。

各種ベンチを回してみました。
なお、現在メインPCからメモリとOSWindows7 Professional 32bitをこちらに移植してますが、移植前に取ったベンチ結果ですし、メインPCのプライマリHDDは今回使ったものと同型のHDDを使っていますので、可能な限り環境は合わせてあります。強いて言うならメインPCはWindows XPを使う必要があるので(厳密に言うとAHCIコントローラを別途インストールするなど緻密な設定をすれば使えるようですが)AHCIモードではなくIDEモードなので少しHDD関係は不利かもしれません。

まず、Windowsエクスペリエンス インデックスから。
グラフィック能力の差が...
グラフィック能力の差が...
プロセッサは思うほど大きな差はついていませんが、グラフィックは完敗。

次はSandra Lite 2011。
プロセッサは1090Tですが、メモリ帯域は今回構築品
プロセッサは1090Tですが、メモリ帯域は今回構築品
Windowsエクスペリエンス インデックス同様、プロセッサはメインPC(1090T)ですが、メモリ帯域は今回構築のi5-2400S+DH67CFB3が優勢。これはSandybridgeのメモリコントローラの素性の良さか。

マルチコアが生きるCINE BENCH。これはさすがに現メインPC圧勝。内蔵と外付けのグラフィックの差はもちろん、6コア対4コア、両CPUの実周波数差が如実に出てCPUで1.4倍、Open GLで10倍の差。
今回構築品(Open GL=5.80、CPU=3.73)
今回構築品(Open GL=5.80、CPU=3.73)
対抗品(現メインPC)(Open GL=59.71、CPU=5.19)
対抗品(現メインPC)(Open GL=59.71、CPU=5.19)

次は、FF14ベンチマーク。高いグラフィック能力を求めるこのベンチは....見るも無惨な結果に。
よりGPUの能力の比率が高まるというHIGHモードはもちろん、CPU比率が高いというLOWも桁違いの惨敗。
HIGH=193って...
HIGH=193って...
LOWでも361
LOWでも361

対して現メインPCは
HIGH=4011
HIGH=4011
LOW=4517
LOW=4517

と十分な性能。

最後にCrystal Disk Mark。これは同じHDDながら、使い込んだ現メインPCと新規構築でスカスカなもの、IDEモードとAHCIモードの差か今回構築の方が若干優れる結果に。
今回構築品
今回構築品
対抗品(現メインPC)
対抗品(現メインPC)

以上のように、メモリ帯域など健闘はみせたものの、さすがに今までのものよりは強化されたとはいっても内蔵グラフィックと1年前とはいえアッパーミドルのビデオカードでは勝負になりませんでした。

ではリベ~ンジ。

ビデオカードも移設して、条件をそろえてやりましょう...


このケースはビデオカードの搭載も考慮してスロット2列開口...
あれ?入りませんねぇ...
入らん...
入らん...

ま、つなぎゃ回るだろ。
とりあえずファン回ってるし...(^^ゞ
とりあえずファン回ってるし...(^^ゞ

なお、比較データ取得時期の関係からAMD Catalystは2011年5月現在の最新バージョン11.4ではなく、11.3で両環境をそろえてありますのでご了承を。
Windowsエクスペリエンス インデックス..
プロセッサ以外はイーブン!(←当然?)
プロセッサ以外はイーブン!(←当然?)

グラフィック周りが改善されたのでプロセッサのみの差、でかなり迫りました!
次はSandra取ってみたんですが、これはCPU能力にフォーカスしているらしくビデオ強化前と測定誤差以上の差は出ませんでした。相変わらずプロセッサ基本能力は現メインPC(PhenomⅡX6 1090T)の方が優れていますが、メモリ周りは今回構築の方が高速という結果。
ビデオ増強では差がなし
ビデオ増強では差がなし

前回差が付いたCINE BENCHは...
CPUは不動、Open GLは大躍進
CPUは不動、Open GLは大躍進

CPUはビデオ増強前に比べて3.73⇒3.71と誤差範囲内ですが、Open GLは5.80⇒62.33と同じビデオボードを積んだ現メインPCの59.71を若干上回る好成績!メモリ周りの高速化が効いてるのかもしれません。

FFベンチはなんと驚きの結果が!!
ビデオ性能が効くHIGHは4081
ビデオ性能が効くHIGHは4081
CPU性能が重要なLOWは1090Tを上回る5222
CPU性能が重要なLOWは1090Tを上回る5222

このベンチはCPU性能とGPU性能のバランスが重要なので、内蔵グラフィックが足を引っ張ったとはいえ、ビデオ増強前からHIGH:193⇒4081、LOW:361⇒5222の大躍進...どころか、同じGPUで回したメインPC(AMD PhenomⅡ X6 1090T BE)のHIGH4011、LOW4517と比べて、HIGHはほぼ同じながらLOWは明らかに上回るスコア。

所詮はベンチは性能の一端しか表しませんし、メーカーや組み合わせによる得手不得手があるものの、GPUをそろえると1年前のAMDハイエンドCPUにCPU系のベンチで凌駕するものがあり、GPU系は若干上回ると素性の良さを示しました。今回、HD5850搭載カードでカード長255mm、電源コネクタ入れると270mmとなる長さでしたのでケースに入りませんでしたが、少し性能は落ちるもののHD5770やGTX460といったGPUを積んだ210~220mmクラスのミドルロークラスのカードなら十分搭載可能ですので、DirectX11対応ゲームもプレイ可能なMini-ITXマシンが構築可能です!!


第三部「録ナナ!」:地デジ「録」画機能を備えたリビングPCの構築!

今回レビューのボードDH67CFB3はなんと言ってもそのコンパクトさがウリ。
その割にはCPU系は十分高い処理能力をもつ4コア4スレッドのCore i5搭載可能。
ここから導き出せる最適な使用法の一つは....「リビング地デジ録画PC!」

そういえば地デジ視聴ツールで残念な結果となってしまったものがあったような....

☆これだ~


アンテナ繋げば十分な性能も、ロッドアンテナでは十分な感度が得られず、当家の周りの弱電波域はもちろん、ワンセグケータイではきちんと受信できる地区でもNGで、強電波地区でしか有意義に使えない、となってしまったもの...「テレキング」。ただ、せっかく縁あって当家に来たのにこのまま腐らせておくのはもったいない...彼の有意義な働き場所を見つけてあげましょう!
もともと今回のボードはMini-ITX。たった一つのPCI-Eスロットを地デジキャプチャーボードで埋めてしまうのはもったいない。
また後ろにあるUSB3.0端子を前に持って行った都合上、USB端子はそんなに豊富には空いていない。USBメモリも繋ぎたければ、場合によってはUSB HDD増設なんかもあるかもしれない。
よし、内部ヘッダピンからUSBをおこしてコンパクトなテレキングを内蔵してしまえ~。

                 【GWの自由研究/工作の部】
□材料
・加工しやすいようにメッシュになったスロットカバー


・内部USBヘッダからUSBコネクタを取り出せる「Aメス-バラピンメス」のUSB変換ケーブル


・そしてテレキング



■まず、テレキングのアンテナ接続ケーブルを出せる穴をスロットカバーに開けます。
まず小径ドリルで下穴打って...
まず小径ドリルで下穴打って...
広げていって
広げていって
最後はコネクタ部分が入る大きさに
最後はコネクタ部分が入る大きさに

次にテレキングのアンテナ接続ケーブルを通して
アンテナ線差し込みが浅くならないよう、外から挿入
アンテナ線差し込みが浅くならないよう、外から挿入
内側にゴムワッシャとケーブルタイをかまして固定
内側にゴムワッシャとケーブルタイをかまして固定

これでアンテナ線の加工は終了。
■次は内部USBの引き出し。
SATAポート隣の電源下となって最も使わなそうなヘッダピンにUSB変換ケープルを刺して..
ヘッダピンからの引き出し
ヘッダピンからの引き出し

ケース内部にUSB端子とアンテナ線確保!
PC下部に必要なものがそろいました!
PC下部に必要なものがそろいました!

外から見るとこんな感じ。
を!純正っぽい!
を!純正っぽい!

■最後にテレキング固定。
アンテナ線とUSB端子をテレキングにつなげて、空いている方の純正PCIスロットカバーがちょうど穴あきタイプだったので、ケーブルタイで固定!
PCIスロット部分にとりあえず固定
PCIスロット部分にとりあえず固定
外から見るとこんな感じで目立たず
外から見るとこんな感じで目立たず


あとはテレキングの設定を行って...
放送局スキャン中...
放送局スキャン中...
でけた!
でけた!


これでコンパクトな地デジ視聴環境が構築終了!
トラックボール付きワイヤレスキーボード


を使うことにしたため、外を這うケーブル類も電源ケーブルとLANケーブルのみですっきり!
wiiやREGZAの隣でも違和感なし!!
wiiやREGZAの隣でも違和感なし!!

4コア4スレッドのパワーでエンコードも可能な地デジ録画PCのできあがり~。

コンパクトなテレキングを内蔵し、そのUSBを内部から取ったことで、現在USB3.0×2(フロント)、USB2.0×3(リア)と十分な外部拡張性を維持!内部もまだデータ保存系は3.5HDDベイ×1、2.5インチベイ×2を残すのでビデオが貯まっていっても拡張性あり!さらにPCI-Ex16ポートを温存したので、テレキングの固定を移せば1スロット占有のビデオカードならポン付けOK!2スロット占有型でもテレキングのアンテナ端子をUSB3.0のグロメットから出せば...出せば........?あれ?最初からそうすればよかった??



...............orz


ま、いいか楽しかったから。

《まとめ》
今回Intel様よりご提供いただいた “Sandy Bridge”対応インテル デスクトップ・ボード ロクナナ!シリーズ、Mini-ITXフォームファクタであるマザーボード「DH67CF」をレビューさせていただきました。
コンパクトなサイズに十分な拡張性、1年前のAMDハイエンドと張り合えるCPUも搭載可能な基本性能を示したボードでした。
その特性を生かして、リビング地デジ録画PCの構築ができました。

このレビューが皆様の参考となれば幸いです。

最後になりましたが、今回このような機会を与えていただいたzigsow事務局様、Intel様、またトラブル等の情報交換やレビューアップまでの応援など常に支えとなってくれたおものだちの皆様はじめzigsowerの方々に感謝いたします。

ありがとうございました。

コメント (14)

  • ナンチャンさん

    2011/05/08

    レビューお疲れ様でした!!

    テレキングをケース内に設置。ユニークで実用的ですね。

    私も考えてみよう(^^ゞ
  • N-DRさん

    2011/05/08

    レビューお疲れ様!

    チューナー内蔵化はベリーグッド♪
  • cybercatさん

    2011/05/08

    ナンチャンさん、速攻のコメントありがとうございます!
    >テレキングをケース内に設置。ユニークで実用的ですね。
    結局家の周辺では電波強度が弱くロッドアンテナが使い物になりませんでしたので、せっかくレビューさせていただいたテレキングのコンパクトさとUSB接続という2点を生かすためには
    「拡張性に制限があるMini-ITXフォームファクタでUSB接続する」
    「小さいので内部に押し込み普段使う機会のないUSBヘッダピンを有効利用」
    「PC内部の隙間に押し込めるのでPCからの飛び出しもない」
    という事かな?と。
    このアイデアは応募時に書いたので有言実行で!
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