今回のレビュー製品は AMD 製の CPU
Ryzen 7 1800X
です!
AMD 製の CPU の思い出といえば、私の家に初めてやってきた PC の CPU が「K6-2」。 (詳細なモデルは失念……)
その PC が壊れた後に導入したのが、「Athlon XP (Thoroughbred)」の自作機。
Athlon XP 1700+ (1.46 GHz) から Athlon XP 2400+ (2.00 GHz) に載せ替え、OS も Windows 2000 から Windows XP に変えて、私の PC 人生の黎明期を支えてくれた。
あの頃は、Intel CPU が高く、お安く PC を組むには AMD、とそれなりの立ち位置にいた AMD。
あれから随分と経って、コスパのメリットがなくなり、近年は CPU といえば Intel 一強。
AMD は PC マニア向け、APU でたまに見かけるくらいで、なんだか霞んで見えていた AMD。
そんな AMD が Intel の牙城を崩しにかかってきたのがこの Ryzen (Zen アーキテクチャ)。
Ryzen にも様々なモデルがありますが、最上位の Ryzen 7 では 8 コア / 16 スレッドとコンシューマ向けとしてはぶっ飛んだ性能。
8コア / 16スレッドといえば、超ハイエンド PC の CPU という感じで、手にすることはないと長らく思っていましたが、今、目の前に。
すでに、様々なメディアで Ryzen の驚異的な性能については星の数ほど記事が書かれていますが、改めて私 tag の環境でもその驚異的な性能をこの目で確認していきたいと思います!
今回の PC 構成
今回、このレビューを行うに際し、手元に流用できるパーツがほぼなかったため、1 から選び、購入、組み上げました。全部合わせて (レビュー品 Ryzen 7 1800X を 5 万円、今回流用した 4 TB HDD を 1 万円だと想定して)、およそ 18 万くらいの構成となっています。
PC ケースはただの趣味、NVMe SSD や簡易水冷はただただ使ってみたかっただけという、個人的な夢をいろいろと詰め込んだコスパ無視仕様。PC ケースをもっと別のモデルにしたり、電源やクーラーを別のモデルにすればもっとお安く済ませられるかと。
PC 構成製品
# あと久しぶりに自作して思ったのですが、メモリがめちゃくちゃ値上がりしているなという印象。
ソフトウェアエンコードでオクタコアのチカラを確認!
私の PC というか、CPU の使い道は主にエンコード。
GPU を活用したハードウェアエンコードも随分といい感じになってきてるけど、やっぱりソフトウェアエンコードのほうが好き。
というわけで、現在非常にメジャーな「H.264」と次世代エンコード方式である「H.265」の 2 種類のエンコード方式でエンコードしてみることに。
今回検証したエンコード環境は下記の通り。
- ソフトウェアは AviUtl v1.00 + x264guiEx v2.52 / x265guiEx v3.81
- 動画ソースはテレビ番組を録画した TS ファイル
- CM をカットし、本編 (24分) だけをエンコード
- 「自動フィールドシフト」有効 (インタレース解除処理)
- フィルタは「リサイズフィルタ (1280 x 720 にした場合のみ有効)」と「透過性ロゴ (ウォータマーク削除)」のみ
- エンコードのプリセットは標準で用意されている「高画質」を選択
比較対象としては、エンコードにかかった時間 (エンコード所要時間) を対象としました。
オレンジ色のグラフが Ryzen 7 1800X で実際にエンコードにかかった時間。
参考値として (今となっては古い CPU ですが) Core i7-3770 で同様のエンコードを行った結果 (青色のグラフ) も掲載してあります。 (値が小さいほど、高速。)
エンコード所要時間 (橙: Ryzen 7 1800X / 青: Intel Core i7-3770)
H.265 のエンコードはすごく遅いイメージがあったのですが、720p であれば、実際の動画時間 + α 程度でエンコードができることが明らかとなり、Ryzen 7 1800X の 8 コア / 16 スレッドの力を持ってすれば、かなり実用的。個人的にはものすごい衝撃です。
H.264 も 720p であれば、実際の再生時間よりずっと早く (24 分の動画を 17 分半で) エンコードできており、ソフトウェアエンコードとは思えないスピード感。
Intel Core i7-3770 (4コア / 8スレッド) と比べ、コア数 (スレッド数) に比較して倍くらいの速さになっていることもわかり、ソフトウェアエンコードするなら、コア (スレッド数) が多ければ多いほど良くて、コスパ的にも Ryzen 7 はベストな CPU だというのがよくわかりました。
あと、詳細な原因は突き止められていませんが、x264 / x265 ともに 720p の動画をエンコードしている際、CPU 使用率が 100% に張り付かず (Core i7-3770 だと張り付く)、手を抜いているような状態となり、余力がありつつ、この性能とはホントに驚きでした。
Ryzen 7 1800X の消費電力は?
サンワサプライ「ワットモニター (TAP-TST8)」を使用し、測定しました。
システム全体の消費電力のため、CPU 単体の消費電力となっていない点についてはご容赦を。
まずは、アイドリング時。
PC 起動後、落ち着いてきたタイミングで測定。
アイドリング … 46 W 前後
続いて、高負荷時。
CINEBENCH R15 を動作させ、CPU 使用率を 100% にさせて測定。
高負荷時 … 158 W 前後
以前レビューした AMD 製 CPU「Athlon 64 X2 6000+」は、10 年近く前の CPU ではありますが、アイドリング時に 120 W 近い電力を消費する代物でした。
Ryzen 7 1800+ はアイドリング時、その半分。高負荷時も Athlon 64 X2 6000+ のアイドリングよりは消費電力は大きいですが、性能は圧倒的。
また、Intel Core i7-3770 のシステムを計測した際には、アイドリング時 40 W、高負荷時 90 W 程度で、Ryzen 7 1800X の方が消費電力は多いですが、コア数が倍で、圧倒的な性能差があるにも関わらず、この程度の消費電力量で済んでいます。
Ryzen 7 1800X……恐ろしい子です。
はじめてのオーバークロック!
Intel の CPU だと、K 付き (Core i7-8700"K" とか) の CPU でないとオーバクロックはできませんが、Ryzen の CPU は全モデルでオーバクロック可能。あとは、チップセット次第 (X370 or B350) という形。
今回組み上げた PC のマザーボードは「ASRock Fatal1ty AB350 Gaming-ITX/ac」という、AMD B350 チップセットを搭載したモデルで、オーバクロック可能なモデル。
さらに、CPU クーラとして簡易水冷キットである「Corsair H110i」も載せてあるので、冷却性能も安心。やってみないわけにはいきませんね! (かなり作為的ですね……笑)
オーバクロックをする場合、BIOS / EFI から設定するのが一般的かと思いますが、今回はソフトウェアベースでオーバクロックをしてみました。
使ったソフトウェアは「Ryzen Master」という AMD 謹製のツール。
AMD Ryzen Master ユーティリティ
初回オーバクロック設定時に再起動が要求されますが、それ以降は再起動することなく、即座にオーバクロック設定を反映することができる代物。
# 使用法の詳細は「ユーザーガイド」を参照のこと。
3.8 GHz に楽々オーバクロック
せっかくオーバクロックしてみたので、ベンチマークもしてみました。
使用したのは「CINEBENCH R15」。3.6 GHz (定格) から 0.1 GHz づつ増やし、動作しなくなるまで計測してみました。
スコアはほぼ線形に増加
結果としては 4.0 GHz までは普通に伸び、1726 cb を記録。
1726 cb
4.1 GHz に設定した瞬間、ブラックアウトし、測定不能。
1800X 自体、ターボ時 4.0 GHz まで上がる設計のため、伸びとしてはこのあたりが限界と思われます。
スコアの方ですが、1726 cb というスコアは世代としてはやや古いですが Intel のハイエンド CPU「Core i7-5960X (3.0 GHz up to 3.5 GHz, 8C/16T)」に相当するスコア。
これだけスコアのスコアをコンシューマ向けモデルで叩き出せるとは驚きです。
コア数はやっぱり正義だった!
シングルコアからデュアルコアになったとき、恐ろしくサクサクと PC が動き、感動すら覚えた記憶があります。
それから、クアッドコアの CPU の性能を体感したときは、高負荷処理をサクサクとこなしてくれ、やっぱりコア数は正義だなと思うとともに、これ以上にコア数が増えても意味がないのではないかと思うようにも。
そして、オクタコアの Ryzen 7。
普通のタスクはもちろんサクサク。
重い処理もより短時間でこなし、ストレスフリーな PC 環境を提供してくれる。
そして、消費電力もそんなに高いわけではない。
人というのは貪欲で、これくらいでいいかなと思っていても、それ以上を知ると前に戻れなくなる。
その感覚を久しぶりに感じさせてくれたな、と感じました!
AMD の底力を感じ、まだまだ AMD はやってくれる、Intel がコントロールしてしまっている PC 用 CPU 業界へいい風をまだまだ吹かせてくれると感じられ、今後も楽しませてくれそうな AMD に期待するばかりです。
また、短期間でのレビューでまだまだ Ryzen 7 の本領を確認しきれていない気しかしないので、これからの Ryzen 7 との PC ライフが楽しみで仕方がありません!!!
おまけ 1 ~メモリもオーバクロックしてみた!~
DDR4 世代となりオーバクロックメモリがメジャーに。
これは試してみないわけにはいかないかと!
# これまた作為的なメモリ (DDR4-2666) 選択……
特に設定していない状態だと、2133 MHz (表示は 2134 MHz) で動作。
[タスク マネージャー] - [パフォーマンス] タブ - [メモリ] - [速度]
EFI を起動して、XMP を DDR4-2666 向けに設定。
起動すると、2666 MHz に!
2666 MHz に
オーバクロックメモリを使うのもとっても簡単なんですね!
ネックなのはメモリのお値段だけでしょうか。
おまけ 2 ~NVMe SSD ってどれくらい速いの?~
Ryzen 7 とは直接的な関係はありませんが、個人的に試してみたかったので、試してみました。
SSD が一般的になって随分と経ち、HDD では十分であった SATA 規格では SSD の真価を発揮できない状態となり、さらなる高速バス規格として生まれた「NVMe」。
PCI Express バスを介してデータ転送するため、SATA 規格の上限値である 6.0 Gb/s (≒ 750 MB/s) を上回って通信可能となり、非常に高速な通信が可能な規格となっております。
最近のマザーボードには、M.2 インタフェースが搭載され、それに対応する SSD も各社からリリースされており、自作erとしてはインタフェースを埋めるために積まないわけにはいかない仕様となっております!
で、今回 NVMe SSD の力をお手軽に楽しむために用意したのが「Samsung NVMe SSD 960 EVO (MZ-V6E250B)」。
お手頃な値段で、SATA SSD の壁を軽く超えた性能 (シーケンシャルリード: 3,200 MB/s | シーケンシャルライト: 1,500MB/s) を発揮してくれる恐ろしい子です。
というわけで、ベンチマークをしてみました♪
で、できる……!
ランダムデータ (1 GiB) で計測したところ、シーケンシャルリード 2,638.3 MB/s、シーケンシャルライト 1293.7 MB/s と SATA SSD では見たこともない (絶対に見られない) 値に。
# 体感としては、SATA SSD も十分に速いので NVMe SSD のおかげでどれくらい早くなっているのかよくわかりません……w
おまけ 3 ~仮想通貨を掘ってみた。~
最近ニュースや CM でも、耳にするほど一般的になった仮想通貨。
買うこともできるけど、掘ることもできる。
PCI Express スロットが大量についている仮想通貨マイニング用のマザーボードも現れてみたり、マイニング用自作 PC を作る人も出てきているよう。
今まで掘ってみようと思ったことがなかったのですが、それなりのハードウェアは揃っているので、試してみることに。
使ったマイニングソフトは「NiceHash Miner」。
# 全然知らなかったのですが、先月トラブルがあった模様。
GPU が Radeon のため、v1.x 系 (Legacy) を使いました。
また、仮想通貨口座 (アドレス) が必要なため、最近 CM でも耳にする「bitFlyer」で口座も作りました。 (作ってから NiceHash の仕様で 0.01 BTC 超えないと振り込まれないことを知り、ちょっと失敗したと思いました……)
適当に設定して、マイニングしてみたところ、こんな感じに。
1 日ちょっと掘ってみたところ
一般的にマイニングは GPU ありきかと思っていたのですが、Ryzen 7 1800X でも結構掘れるよう。というか、Radeon RX 560 よりも掘れてる。
NiceHash Miner の値を信じると、Ryzen 7 1800X (定格) + Radeon RX 560 (OC モデル) で大体 300 円/日 (2018 年 1 月現在) 掘れる模様。
# 時間が経つとともに掘りにくくなるので、下がっていくことでしょう……
しばらく適当に掘ってみようと思うので、結果が気になる方はコチラ (NiceHash の結果表示ページ) を御覧くださいませ。
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