今回は、AMD Ryzen™7 1700について、以下の内容でレビューを行う。
1.初めてのパソコン自作(嫁が)
文字通り、嫁が初めてパソコンを組む!…予定だったのだが詳細は本文にて
2.CPUを換装してみよう!(AMD Ryzen™5 1400 → AMD Ryzen™7 1700へ)
AMD Ryzen™5 1400から、今回のレビュー品であるAMD Ryzen™7 1700に換装する!
3.換装ついでにCPUクーラーも豪華にしちゃおう
CPU付属のファンではなく、見た目で選んだ豪華なファンに載せ替えよう!
4.最新のゲームをプレイ(PUBG・Civ6)してみる
CPU換装前と後で、PUBGやCivilization6のプレイ環境に違いが出るかを確認する!
5.せっかくなのでマイニングもやってみよう!
CPUマイニングで8C/16Tの凄さを体験してみる。また、他のCPUと比較も行う。
<比較対象のCPU>
・Intel Core™ i7-6950X (10C/20T)
・Intel Core™ i7-8700K (6C/12T)
・Intel Core™ i7-7700K(4C/8T)
・AMD Ryzen™5 1400(4C/8T)
■クレジット表記
「Ys」
Copyright©1987 Nihon Falcom Corporation
「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」
COPYRIGHT ©2017 PUBG CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
「SID MEIER'S CIVILIZATION VI」
©2016 Take-Two Interactive Software and its subsidiaries. Sid Meier's Civilization, Civilization, Civ, 2K, Firaxis Games, Take-Two Interactive Software and their respective logos are all trademarks of Take-Two Interactive Software, Inc. All other marks and trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved.
1.初めてのパソコン自作(嫁が)
よく言う、パソコンの「自作er」って、なんだろう。
別の言い方をすれば「パソコンを自作している人」とも言えるが、それはどんな人の事を指すのか。私はその意味を「パソコンを組むだけでなく、再組立てやチューニング、トラブル解決できる人」と定義している。
今回はうちの嫁(以後”様奥”と呼ぶ)が「自作er」になるという事だ。以前なら私が様奥のパソコンを組んで、何かあった時は私が面倒を見てきたのだが、今回は自分用のパソコンを1台与えて、何かあっても基本は自分で弄ること!としたのであった。(もちろん、アドバイスなどは私がするけど)
で、早速なんだけど、私の指導下で既に1台組んでもらってある。
※本当はレビュー時に初組みの予定だったが、致し方なく先に組んだ
様奥パソコンのスペックは以下の通り
■様奥 自作1号機 構成
CASE:Flactal Design Define R5 White
CPU:AMD Ryzen™5 1400 ⇒ AMD Ryzen™7 1700に換装
CPU COOLER:Wraith Stealth ⇒ CRYORIG R1 Universalに換装
M/B:MSI B350 TOMAHAWK ARCTIC
MEM:CFD BallistixSport LT PC4-19200 8GB*2
GPU:ASUS DUAL-RX460-O2G
SSD:WD Black PCIe M.2 256GB
PSU:Corsair RM850x
OS:Windows10 Home 64bit
MONITOR:EIZO FS2434-R
KBD:ROCCAT Ryos TKL Pro
MICE:SteelSeries Kinzu V3 White
テーマは「白と黒」
それほどハイスペックではないが、メーカーを問わず白をベースにしたパーツをそろえ、程よく黒を配色することでモノトーン色の強いデザイン重視のパソコンに仕上げている。
これを組むのに大体1~2時間、OSのセットアップが1時間で合計3~4時間は掛かった。様奥はパソコンを使う事には慣れているので、そこまで苦労することはなかったようだが、ここで一度ケースからマザーボード・CPU・メモリを外して、CPUを換装し、CPUクーラーも換装する、というチューニングを施してもらうことにした。
それでは、この完成品をバラして、再度CPUを載せられる状態に戻してもらおう。様奥、がんばれ!
(どれくらい掛かってるか動画にて紹介する)
2.CPUを換装してみよう!(AMD Ryzen™5 1400 → AMD Ryzen™7 1700へ)
一度組み上げたシステムのCPUを換装する為には、多くの手順を掛けなくてはならない。「自作er」を名乗るのであればCPU換装はいともたやすいはずだ!
というわけで、くみ上げた状態から各パーツをバラして、マザーボードを取り出し、CPUを取り外す。という作業を様奥にもやってもらう事にした。
■パソコンのバラし作業① ~ケースからマザーボードを取り出す~
CPUを交換するには、まずマザーボードを外す事から始まるので、それをやってもらった。組み立てるのとは違い、手順さえわかれば10分弱でパーツはバラすことができる。かなり慎重にやっているので4倍速あたりで見ると、手慣れた人がやってるくらいのスピードになるようだ。
■パソコンのバラし作業② ~CPUを取り外す~
「AMDのCPUは、ピンがCPU側にある」
それ故に、ある意味これが一番怖い作業でもあるのだが……。恐怖の「スッポン」がある事を知らない様奥。CPUクーラーネジの外れた感覚が掴みにくいのか、丹念にネジを回し続けていた点はあるものの、恐怖のスッポンについては事前にPCを付けて温めておいたおかげで遭遇する事なく、無事に乗り切れたようだ。
CPUの固定レバーが上がり切っていなくていつまでもCPUを外せなかったところは編集をした。この作業は少々難しかったのか、終わった後に腕をプルプルさせていたのが印象に残っている。
3.換装ついでにCPUクーラーも豪華にしちゃおう
AMD Ryzen™5 1400や、AMD Ryzen™7 1700にはCPUクーラーが付属している。
左:AMD Ryzen™5 1400付属 右:AMD Ryzen™7 1700付属
両方ともTDPは65Wだが、AMD Ryzen™7 1700のヒートシンクが2倍くらい大きくなっている。8コアCPUであることから、エンコードやOC等でCPUが酷使されることを想定しているのかもしれない。
という事で、AMD Ryzen™7 1700にはそれ相応の熱対策が必要だと感じたので、初心者の様奥には悪いがもう少し立派なCPUファンを用意した。
CRYORIG R1 Universalだ。見た目の派手さに見合った冷却能力を持ち合わせている。こいつをCPU換装後に組込み、使えるようにすることが次なるミッションだ。
■CPU取付→マシン組立動画
ここでも、多少CPUファンの大きさにてこずりはしたものの、初心者とは思えない程の手際で取り付けていく。しかし、メモリの取り付け方がまだ甘いのと、ケースへの組込に手間取っていたのでそこはカットした。
ここから、初心者が難しいのは、
・マザーボードのケースへの組込み
・メモリの差し込み
・CPUファンの取り外し
この3点ではないかと思う。それを様奥がマシンを組む様子を観る事で再確認できた。
4.最新のゲームをプレイ(PUBG・Civ6)してみる
様奥のパソコンは、最初はAMD Ryzen™5 1400を載せてあったのだが、こいつはIntel Core™ i7シリーズ 第7世代までと同じ4コア8スレッドタイプのCPUだ。長らくパソコンゲーム業界ではこのコア数でゲームの最適化を図ってきていた。
今回のAMD Ryzen™7 1700では8コア16スレッドと各段に増えたのがどのようにゲームに作用するのだろうか。そこを検証すべく、実際にゲームをやってもらったのでその比較画像を見てもらおう。
■PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS
見ての通り、8Cだと程よく使っているのだけれど、16Cだと半分くらいが休んでいるところをみると、4C8TのCPUまでにしか最適化はされていないようだ。そのせいもあってGPUがいくら頑張っても限界があるし、CPUを換装したことによる効果はなかったといえる。
■Sid Meier's Civilization® VI
こちらは動画で観ていただこう。比較的だがこちらは全てのスレッドを満遍なく使っているようにも見える。AMD Ryzen™5 1400の頃はGPU100%使用には描画が追い付かずに、fpsが50前後になっていた。しかし、今回はCPUのボトルネックが解消してか、ほぼ60fpsをキープ。時々落ち込んでも56fpsあたりとなかなかの高パフォーマンスを発揮するまでになった。
Sid Meier's Civilization® VI においてはAMDに最適化もされている。それも手伝ってかCPU換装したことによる効果は大きいようだ。様奥は元々FPSよりストラテジーのほうが好きなので、本人も快適になったと喜んでいる。
5.せっかくなのでマイニングもやってみよう!
昨年あたりから、パソコン業界を賑わせている「マイニング」だが、パソコンで手軽にやろうと思うと「GPUマイニング」か「CPUマイニング」に限られてくる。
特に「CPUマイニング」はCPUが一度選んだらすぐに交換するわけにもいかない中核のパーツなので、パソコンを組む際にはどのCPUを使うかが非常に重要な要素になってくる。
今回、私の手持ちのパソコンたちに搭載しているCPUと比べて、様奥のパソコンに搭載させた、このAMD Ryzen™7 1700の実力を様々な点から検証し、どこまで健闘出来るかを確かめてみた。
なお、自作初心者の様奥のパソコンであることから公平性を期すため、比較対象となるCPUを含め、全て手動によるOCをさせない、デフォルト設定で「CPUマイニング」を行う。
■CPUマイニング対決! ~CPUラインナップ~
■マイニング環境
暗号通貨:Bitzeny http://bitzeny.org/
マイニングプログラム: cpuminer v2.6.0 ※minerd.exeがトロイの木馬反応が出るが問題なし
マイニングプール: LA Mining Pool https://lapool.me/bitzeny/
■マイニング結果表
■考察
・AMD Ryzen™シリーズは総じて消費電力が低く、Intel Core™シリーズの消費電力が高い
・AMD Ryzen™7 1700の1kh/sあたりの消費電力が一番低く、ワットパフォーマンスに優れる
・AMD Ryzen™7 1700のマイニング性能はコア数が8コアの割にはそれほど高くない
上記から、AMD Ryzen™7 1700のマイニング能力は、クロック周波数の影響か、速度性能自体はそれほど高くはないにしても、そこからくる省電力、ワットパフォーマンスは手持ちのCPUの中では断トツに良かった。OCすればハッシュレートも上がるがその分、消費電力は上がり、ワットパフォーマンスは落ちるため、マイニングする人は電気代と掘る通貨との兼ね合いになると思うので、この数値を見てどう思うかは、CPUに求めるマイニングのやり方次第で変わるだろう。
エンコードではCPUで明暗を分けた
ゲームでは、まだ8コアを存分に使う事が無いのはレビュー本文で触れたとおり。また、CPUをマイニング用途でガンガン使う人は少ないので、一般的な用途でマルチコアの恩恵があるといえばエンコード作業になるだろう。
8コア全てを使って、Aviutlを使い、2種類のエンコードをした結果と、他のCPUでの結果を比較したものを表にしてみた。
■Aviutlによるエンコード2種での比較
動画データ:PUBGプレイ動画(1920x1080 60fps 18分39秒 mp4ファイル)
使用ソフト:Aviutl
エンコード:x264…プリセット「youtube」
x265…プリセット「高品質」
AMD Ryzen™7 1700は8コア、かたやIntel Core™ i7-8700kは6コアであるため、有利と思われたのだが惨敗を喫している。クロック周波数の違いが大きいのもあるが、ソフトの最適化の問題もあるのだろう。「なんだ、AMDも大したことないな」と思うかもしれない。私はここで着目したのは、エンコードするのに掛かった総消費電力だ。
AMD Ryzen™7 1700はx264エンコードにおいては、時間では負けるものの総消費電力では勝っている。そのかわり、x265ではIntel Core™ i-8700kが速度・電力共にAMDを圧倒する結果となった。
AMD Ryzen™シリーズのワットパフォーマンスがよいために、エンコードの分野では期待していたのだが、x265エンコードはそれでもIntel Core™プロセッサには及ばなかったのが残念であった。
ただ、パソコンに求めるものは人によりけり、速さこそ全て、ではない。軽めのエンコードや、比較的時間に余裕がある人であれば、AMD Ryzen™7 1700の優れたワットパフォーマンスが適切な人も多くいるはずだ。
何よりこの8コアCPUは実売3万強でCPUファンまでついて買えるので、コストパフォーマンスに優れているとも言える。x264エンコードは負けていないので、x264のCPUエンコードを使用したPCゲームのネット配信者に向いているのではないかと感じた。
クロック低めでも性能は同価格帯のIntel製品に引けを取らない
「正直、この頃のAMDはIntelに押されっぱなしで、良いところがない!」なんて思っていた。けれど、AMD Ryzen™シリーズに触れる事が出来て、実際に搭載したパソコンで色々体験してみると、侮れないどころか、同価格帯のIntel CPUと互角に戦う様子すらうかがえる。これには、かつてIntelとAMDが互いに競っていた頃を思い出し、懐かしくて胸が熱くなる感じがした。
これからは、AMD Ryzen™シリーズがIntel Core™シリーズと互角に戦いあうことで、停滞気味の傾向があったCPUの性能にも改善の見込みがあるのではないかと期待している。
今回、Ryzen™シリーズの登場はCPU市場をけん引するのに一役買ったのではないだろうか。これなら続編にも期待できるし、内蔵GPUを持ち合わせていない現シリーズの欠点を補ったAPUタイプのRyzen™シリーズも発売が目前に迫っているので、これからのAMDの奮闘には期待大!といったところだ。
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