はじめに
価格.com PRODUCT AWARD 2017 パソコンパーツ部門大賞受賞おめでとうございます!
更にCPU部門でパーツ部門大賞のAMD Ryzen™ 7 1700の金賞、AMD Ryzen™ 5 1600の銅賞のダブル受賞おめでとうございます!
DDR4やグラフィックボードが高騰している逆境でのこの功績はまさに快挙。末端の1ユーザーとしても嬉しい限りです。
さて、今回AMD Ryzen™ 5 1600をやっとのことで購入した私が、あろうことかAMD Ryzen™ 7 1800Xのレビューをさせていただくことになりました。自腹で弁済する事が頭をよぎり緊張で身震いしましたが、安全確認を忘れず誠心誠意取り組みたいと思います。
製品パッケージ 手前AMD Ryzen™ 7 1800X 奥がAMD Ryzen™ 5 1600となります
AMD Ryzen™とは?
まずAMD Ryzen™とは?ということで、現在どの様な立ち位置のCPUなのかが理解しやすいものを用意しました。AMD記者会見での資料から引用・加筆したものです。
(勉強不足で間違えてしまっていたらご指摘いただけると助かります。)
補足説明させていただきます。表にある Ryzen™Socket AM4はAMDが開発したZenアーキテクチャに基づいたメインストリーム向けのCPU製品群です。
Ryzen™ 7・5・3の違いは、メインストリーム向けの中でのハイ・ミドル・ローエンドという位置付け、と考えていただければよいかと思います。
1800Xの様な末尾のXの有無の意味ですが、X付きは省電力よりも性能を優先したもの、無しは標準的な消費電力のものとなります。
具体的な機能の違いは難解ですが、X付きは定格・最大クロックが高いこと。そして冷却が良好な状態の場合最大クロックよりさらにブーストする機能「Extended Frequency Range(XFR)」が無印比2倍の100MHzとなります。その他機能は同一となります。
AMD Ryzen™側で内蔵グラフィック機能を搭載したものは次世代APUのRyzen™5 2400GとRyzen™3 2200Gの2製品で、2月12日に正式発表予定となっています(北米基準だと思いますので日本ではいつ頃入手可能になるかは不明です)。2月13日10時発売決定!価格発売時発表で順当な設定とのことです。
非Zenコアなので表にはありませんが、TDP35WのAMD第7世代APUのA12-9800EとA10-9700E。この2つが現在Socket AM4で利用出来る内蔵グラフィック(以下iGPU)を搭載した製品となっています。
対してSocket AM4 Ryzen™競合製品であるCore iシリーズは、スレッド・リッパー対抗ハイエンドのXシリーズを除く全てにiGPUを搭載しています。現状はシングルコア性能が高いメインストリームCore iシリーズに対して、マルチスレッド能力と圧倒的なコストパフォーマンスで勝負を挑んでいるところでしょうか。
それにしても今回は相当長かった方でしょうが、AMDさんは相変わらず値下げが早い。エンドユーザーにはありがたい話ですが、少しというかかなり勿体ない気がするのは私だけでしょうか。
私のテーマ
私のテーマは「Athlon XPから始めた自作ゲーミングPCの集大成」です。
性能検証はゲーミングPCとしてどうなのかをメインで行います。比較対象として用意出来たものは、4コア8スレッドのCore i7 6700K(TDP95W)と6コア12スレッドのRyzen™ 5 1600(TDP65W)です。
可能な範囲でベンチマーク実行中の消費電力と、公平になるように最低・最高温度から上昇幅を算出し掲載しました。Core i7 6700Kは、使用したCore Tempですとネイティブ4コア分温度表示されるので、平均を求めた値となっています。
実機は本格水冷仕様とし、観て楽しめる個性的な内外装のゲーミングPCになればいいなと考えて組んだものです。
性能検証 基本編
super PI mod1.5
意表をついてIntelが得意なものからみてみます。
super PI mod1.5 Ryzen™ 7 1800X 1M score
参考に古いIvyBridgeの3770Tも載せました。この辺りは後程また触れたいと思います。
ここではRyzen™ 7 1800Xの力を以てしても10秒の壁は厚い、という結果となりました。
CINEBENCH R15
8コア16スレッドの威力を堪能する定番ベンチマークですね。散々出尽くしていますが、見せ場ですのでよろしくお付き合い願います。
Ryzen™ 7 1800Xの力を遺憾なく発揮しています。Core i7 6700Kの基本性能は高いのです。マルチスコアでのRyzen™ 5 1600との差は、Ryzen™ 5 1600とRyzen™ 7 1800Xとの差程は開いていないのが判ります。
Core i7 6700Kのシングルスコアは優秀です。マルチスコアでもコア・スレッド数が倍増しているRyzen™ 7 1800Xのスコア差は2倍となっていません。いつの日かRyzen™がここを越える時がくるといいですね。
見せ場なのにCore i7 6700Kを褒めすぎとなってしまいましたので、是非とも下の動画でRyzen™ の威力をご覧ください。
編集者のスキル不足により、若干Core i7 6700Kが不利に見える点はご容赦ください。
PC Mark 10
Webサイトの閲覧、ビデオチャット、ドキュメントの作成と表計算ソフトの利用、写真やビデオの編集、ゲームといった、実際によく使われるアプリケーションとその利用シーンに即したテストを行うことで、システムのリアルなパフォーマンスを計測・数値化することができる。(impressさんサイトより引用)
ということで、総合力を判定出来るベンチマークソフトとなっております。
4KゲーミングPCよりも良いとの結果 4K液晶なんてありませんが
(Core i7 6700KのみGTX1070での計測結果となっています。)
相対的にRyzen™ 5 1600のスコアが低いのは、コア数よりも動作周波数の影響が大きいのではないかと思われます。
Core i7 6700Kの上昇幅が大きいですね。この辺りも後程触れたいと思います。
以上簡単に検証しましたが、Ryzen™ 7 1800Xはメインストリーム向けハイエンドとしての性能を充分持ち合わせていると言えるのではないでしょうか。
性能検証 ゲーミング編
Core i7 6700K Ryzen™ 5 1600 Ryzen™ 7 1800X
コストパフォーマンスに優れるゲーミングPC。初めての自作パソコンからこれをモットーにやってきました。
ぶっちゃけRyzen™ 7 1800Xってゲームするのにどうなのよ?という疑問にお応えするべく、ゲーミング性能を検証してみたいと思います。
コア数スレッド数による影響も気になるので、AMDでのSimultaneous Multi Threading(以下SMT)、IntelでのHyper-Threading(以下HT)の有効無効でも検証したものもあります。Hyper-Threadingのほうが分かり易いと思うので、ここではHyper-Threading(以下HT)でいきたいと思います。
FFXIV 蒼天のイシュガルド
マルチスレッドに対応しているベンチマークです。
こちらもCore i7 6700KのみGTX1070での計測結果となっています。
Ryzen™ 5 1600とRyzen™ 7 1800Xの差は小さく、動作周波数によるものかもしれません。
HTの有効無効では誤差の範囲とみていいと思います。
Ryzen™と比較して、Core i7 6700KのHTの有効無効での温度差が目立ちます。
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FFXIV 紅蓮のリベレーター
同じくCore i7 6700KのみGTX1070での計測結果となっています
結果も蒼天のイシュガルドと同時にRyzen™ 5 1600とRyzen™ 7 1800Xの差は更に小さくなりました。HT無効のCore i7 6700Kは、ややスコアに影響しているようです。
こちらも蒼天のイシュガルドと同様の結果です。Ryzen™はHT有効だと高効率なのか温度は下がるようですね。Core i7 6700KのHTは、負荷が高いのか温度の上昇幅が大きくなってしまいます。
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FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
標準品質でも非常に快適は余裕で無理です。 時間的制約でRyzen™ 7 1800Xのみです。
先のFFベンチとは別次元の重さになっています。ネイティブ4Kレンダリング、8K表示、HDR10、NVIDIA Anselに対応しており、Alt+F2を押すとAnsel機能が立ち上がり、一時停止状態のゲーム内で視点を自由に変えてスクショ撮影できるとのこと。
おやっさんの猫ちゃんも撮れるよ あら⁉間違えて私の好きな猫ちゃんうpしちゃったみたい‼
FFXV WINDOWS EDITION ベンチマーク直後の温度
この画像に表示しきれない程、膨大な機種を網羅した比較表が便利です!
Ryzen™ 7 1800Xが効いたのかGTX980標準を超えてますね。久しぶりに面白いと思えるベンチマークでした。
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3DMark 11
3DMark11 score 全てGTX980でのスコアとなっています。
まずRyzen™ 7 1800Xの総合スコアに驚きました。GTX980のオーバークロックで16000台に乗せているものを見かけたことがありますが、オーバークロック無しで17000台に迫る勢いです。
Graphicsに注目すると、Ryzen™はどちらもGTX980の能力をフルに引き出しているようです。僅かな差はRyzen™ 7 1800Xの動作周波数の高さが効いたようで、ブーストがMaxの4,097MHzになっていました。
これまでもそうでしたが、TDP65Wの威力でRyzen™ 5 1600はクールです。
TDPなりの結果となっていますが、コア数を考えるとRyzen™ 7 1800Xもかなり優秀です。
3DMark Time Spy
DirectX 12対応のグラフィックテストです。
3DMark11と同様の結果となりました。純粋なグラフィックスコアでRyzen™同士が完全に並んでいます。総合でもほぼ同じと言っていいスコアになっています。
見事な程、綺麗にスコア通りの消費電力となっているのが面白いです。
Core i7 6700Kはこれまでの傾向と同様の結果です。Ryzen™同士ではスコア・消費電力と同じく、初めて差が僅かになりました。
3DMark Fire Strike
もう登場から5年の定番ベンチマークですね。高性能マシン向けの重いテストです。
コア・スレッド数に比例したスコアとなりました。世代が違うとはいえ、Ryzen™は重いベンチマークでも競合K付CPUに勝てる能力があることも確認出来ました。特にRyzen™ 5 1600はコストパフォーマンスに優れるゲーミングPCを組むのにうってつけのものだと言えるでしょう。
上のスコアとコア・スレッド数を考えれば、Ryzen™TDP65W版はバランスのとれた扱いやすいCPUです。
消費電力と同じことがいえると思います。変わらずRyzen™ 5 1600はクールです。
Ryzen™ 7 1800Xをコア数8で割り、Ryzen™ 5 1600の6を掛けると21℃。動作周波数を加味すれば19℃となるべくしてなった結果です。
ゲームしないと勿体ない
以上の結果からRyzen™のゲーミング性能に不足はなく、むしろゲームをしないと勿体ないくらいの力があることが分かりました。
私のお薦めプランは、第一に冒頭にあったRyzen™ 7 1700とRyzen™ 5 1600の2点です。抜群のコストパフォーマンスであり、寧ろ定格での常用をお薦め致します。その方が折角の長所を無駄にしないと考えるからです。オーバークロックを考えている方、高性能を求める方には今回のRyzen™ 7 1800Xです。一家に一台の万能なマシンが組めるでしょう。
Ryzen™のシリーズ構成はバランスが良く、これでないとオーバークロック出来ない等ケチな機能の格差も無いです。好みとプランに合わせて選び易いので、とってもユーザーフレンドリーです。
Ryzen™ならば憂いなし
Googleが発表したVariant1・2・3と呼ばれる3つの脆弱性。このうちAMD CPUはVariant1に該当します。WindowsやLinux用の修正プログラムを適用すれば防げるそうで、きちんとWindowsアップデートを行っていればなお安心です。
深刻なのは、Intelが該当するVariant3のMeltdownと呼ばれるもの。現在は複合的な対応策を適用する事により結果としてエラッタと同様な副作用が発生する事例があり、その副作用の対応策が発表されたところです。Intelの対応策は思うように進んでいないのが現状です。
複合的な対応策を実施することによるパフォーマンスへの影響は、主にストレージでのランダム性能に出るようで、速度の低下はRAMディスクやNVMe SSDなどの高速ストレージで大きくなるようです。
数年後にAMD CPUでも同様の事象が起こらないとも限らず、また今後の複合的な対応策の余波が来ないとも限りません。しかし上述のような状況を考えると、取り敢えずRyzen™ならば憂いなし、とも言えるでしょう。
※勿論今回のような問題が無かったとしても、セキュリティ対策には普段から一人一人が充分注意すべきものです。完全には安心出来る、というものではありません。
Ryzenシリーズのここが凄い①
ワットパフォーマンス
え?Core iシリーズに対して分が悪いんじゃないのと思った方が多いでしょうが、確かに↑の『競合製品と価格表』に従えばその通りだと思います。現状はげしくつばぜり合いが継続中で、Core i9-7980XEの絶対性能に合わせて対抗製品を下位にスライドさせた結果が↑の『競合製品と価格表』となったのでしょう。
Ryzen™ 7 1800Xの場合、 登場期の対抗製品はi7-6900K。デュアルチャネルなどのハンデもあり得手不得手が極端で、ゲーム性能と特にメモリ廻りが弱かったようですが、その他では互角以上に善戦する場面も多く、導入コストは半分。更には消費電力比較で僅かに勝るという、それまでのAMD製品では考えられない事態に多くの人がひっくり返る程の衝撃を受けたのは事実です。
そして私が注目しているのがAPU。TDP35WのA12-9800Eの場合、某IT情報サイトから引用させていただくと、3DMark Sky Diver スコアは総合6032、Graphicsスコアが6673となっています。
Iris Pro Graphics P6300を搭載したXeon E3-1285L v4の場合は総合6756、Graphicsスコアが6320。
比較するとA12-9800EのGraphics機能はIris Proより勝っているが、CPU機能が今一つで総合が伸び悩んでいるのが判ります。(ちなみにベンチマーク実行中のピーク電力は72Watt程だそうです)
これがTDP65W次世代Ryzen™5 2400Gになると、なんとCORE i5-8400+GTX1030と同等の性能となるようです。Zenコア+Vegaコアで、TDPもデスクトップ用に65Wと引き上げてCPU機能もかなり強化されてくるようです。Ryzen™5 2400Gであれば、ワットパフォーマンスに優れるライトゲーミングマシンの構築も現実的になりそうですね。GTX1050Ti相当であれば完璧なんですが、それはまだ先の楽しみですね。
以上、コストパフォーマンスの凄さは皆さん承知の事実なので、ここではワットパフォーマンスに注目してみました。先の性能検証でも及第点と言える結果が得られたのではないかと思います。
Ryzenシリーズのここが凄い②
Ryzen™ 5 1600付属クーラーレイススパイア デザインが秀逸で扱いやすいねじ止め式です。
最初の温度確認で、その低さに驚いた方も多いのではないでしょうか。そして、先の検証でウザったい位温度比較していた理由はソルダリングです。この話題を振るための仕込みだったのです。
『Ryzen™ ソルダリング』ググって頂ければ詳しい記事で理解出来ると思いますが、殻割りをしてもヒートスプレッダ付きの状態と比較して、温度は最大で3℃、平均でわずか1℃しか低下しなかったそうです。(Impressさん記事参照してください)
要約すると、ただソルダリングというだけでなく競合のそれと比較しても材質・構造が優秀で十分な放熱ができている、そのままで使うことを推奨したいとの内容でした。
競合メインストリームではIvyBridge以降、コストを理由にグリスとなっていますが、実際は自社製品間での下剋上の芽をつぶすためのリミッターの一つだと考えるのが妥当だと思います。
軽い処理であれば古くても一線級の能力があります。我が家でも3700T機は現役続行中です。
リミッター強化策第一段階世代なので、IvyBridgeではK付以外でもZ77環境で倍率+4までのオーバークロックが可能でした。IvyBridge以降の世代では倍率可変が許されるのはK付のみとなり、さらに進んだ製造プロセスの微細化の影響で増大した発熱をグリスで抑えられるわけもなく、手軽に性能アップする楽しみは完全に無くなってしまいました。
Ryzen™ はソルダリングでエンドユーザーにも自作パソコンの楽しみを取り戻してくれました。直近でようやく黒字化となった苦しい立場なのに、コストのかかる”ソルダリングにおいていい仕事をした”だなんて、なんと有難いことでしょうか。将来リンゴマークのような高収益企業のようになっても、このようなエンドユーザーへの真心を忘れられないで欲しいです。そういえばリンゴも苦しい時代を経験してるので本当にそうなるかもしれませんね。
自作パソコンの楽しみをもう一度
ということで、責任を持って自作パソコンの楽しみをやってみました!
但し大人の事情でオーバークロックはRyzen™1600のみです。その他にもSMTの有効無効でも検証データを取りました。
msi command center 設定 Ryzen™1600@3.8GHz
謹製ツールにてRatioを+キーで38.00に合わせるだけの、簡単お手軽設定です。
Ryzen™ではASRock先生の中の人によると4.01GHz以降の壁が妙に分厚いとのことなので、消費電力との兼ね合いから@3.8GHz 付近が常用設定にいいだろうと判断しました。
Ryzen™ 5 1600の無効での総合スコア低下がやや目立つ結果です。しかし、グラフィックスコアではスレッド振り分けによるロスが無くなるようで、1800X共に良くなっています。ここには載せていませんが、Core i7 6700Kによる4C4Tでも同様の結果となります。3.8GHzでは定格+0.2GHz分スコアが上乗せされています。
3DMark11 1600@3.8GHz PROCESSOR
3.8GHzまでブーストがかかっていました。
SMT無効は、お手軽省電力設定としてありかもしれません。
この程度のオーバークロックをしても、ブーストの上限が上がるだけなので消費電力・温度共に気にする必要はあまりないと思います。そして性能の向上も、これ以上頑張っても左程体感出来るものでもありません。性能が必要十分ならば、下げ方向にもっていくのが今時の楽しみかもしれません。
MSI環境ですが、UEFIでのSimultaneous Multi Threading(SMT)設定画面を掲載します。
メインストリーム向け製品として
グラフィックボードが無くても、取り敢えず1台組んでみよう。iGPUが無いことでそれが出来ないところが、グラフィックボードが高騰している現在のRyzen™ 7 1800Xの弱点だと思います。そこを★-0.5としました。
しかしながら、これは1年前までのハイエンド製品を普及価格帯に降ろしたという功績の結果とも言えます。間もなくこの弱点を補うiGPU搭載の新製品も登場する予定です。競合と比較しても、Ryzen™シリーズがとても魅力的なものになるはずです。
Ryzen™ 5 1600を購入してから実稼働させるまでが長かったので半年超の使用歴ですが、現在まで不具合もなく順調に稼働しています。
Athlon XPとの出会い
ここはどうでもいい話がとても長いので、読み飛ばし推奨です。
フルスペック版の『信長の野望』がやりたい。20年近く前の私が初めてパソコンを購入した動機がこれでした。CPUがDuronのIBM機でしたが、ゲームがメーカーロゴから先に進まない・・・。ゲームをするにはグラフィックボードが必要なことも知らない当時の私だったわけであります。今思えば初パソコンもAMDでしたね。
徐々にハードウェアの知識を身につけた私は、新聞広告でグラフィックボード搭載のDell機を購入。GeForce FX 5200はローエンドですがPentium4 2.80CGHz、Sound Blaster Audigy 2、Harman Kardonの2.1chスピーカー等、液晶ディスプレイを含むフルセットで12万円台は、当時安い法人向け液晶でも4~5万円はしたので破格でした。
念願だった『信長の野望』も満喫し、ADSLでインターネットも始めた私は、某MMORPGのオープンβに出会うこととなります。3Dでシームレスにフィールド・街やダンジョンを繋ぐシステムは、それまで経験したゲームの概念を根底から覆す衝撃でした。その面白さにカミさんも参戦することとなり、今度はパソコンの奪い合い紛争まで勃発です。
限られた予算でゲーミングPCをもう1台、何とか用意出来ないものか・・・。辿り着いたのがコストパフォーマンスに優れるAthlon XPでのパソコン自作でした。
自作ゲーミングPC初号機構成
【CPU】AMD Athlon XP 3000+ SocketA 333 バルク \16,050
【CPU 相性保証】 \500
【CPUクーラー】 アイネックス AMD用CPUクーラー AXP-3200 \2,880
【シリコングリス】アイネックス PA-070 \140
【マザーボード】ASUS A7N8X-E/Deluxe \12,780
【メモリ】DDR PC3200 CL2.5 512MB ノーブランドメモリ \8,730
【メモリ】DDR PC3200 256MB CL3 ノーブランドメモリ \4,704 ×2
【ビデオカード】GIGABYTE GV-N59X128D \22,280
【ケース】Scythe SF-561T2-S(電源搭載SUPER FLOWER OEM) \10,700
【FANコントローラ】SUPER FLOWER SF-609 \4,011
【システムファン】COOLERMASTER TLF-R82-EG グリーン \1,230
【システムファン】COOLERMASTER TLF-R82-EW ホワイト \1,230
【ケースファン】WIDEWORK D12T-12PS7-01A \2,580
【ファンガード】Zaward FGA-80 \130×2
【ファンガード】Zaward FGA-120 \210
【PCケース用 CCFL】COOLERMASTER SFL-U12-UB \1,249
【PCケース用 CCFL】COOLERMASTER SFL-U12-UG \1,249
【DVDマルチドライブ】LG電子 GSA-4082B BOX ブラック \12,980
【IDEケーブル】アイネックス RF-181CP \980
【IDEケーブル】アイネックス RF-182SV \1,180
【スピーカー】Creative SBS230 \1,600
【モニター】SAMSUNG 「SyncMaster」 174T \49,780
【液晶保護フィルム】 \2,260
【OS】WindowsXP Professional OEM SP1a 日本語 +NEC FDD \20,480
【キーボード】UACC-230KB \2,480
【マウス】3R System 3R-M2048BPU \2,980
【DVD-R】太陽誘電 DVD-R47TY5PA 5枚パック \1,384
【OAタップ】GreenHouse GH-ACOA6C \820
【静音小物セット】アイネックス SET-1611 \1,980
送料代引き手数料その他込々+5%消費税で\208,744也
ブレていないですねw。アクリル窓に光るFanは当たり前のネオン管入り構成のゲーミングPCだったようです。当時はまだ、光り物やアクリル窓に拒否反応する人が多数派でしたね。今ほど洗練されたものは少なかったですし。それと昔は意外なものが高かったんですね。
この買い物の前にInnoVISIONのGeForce FX 5900XTを買った覚えがあるので、HDDはその時に増設用に購入した120GBのモノを流用したようです。
在庫の確認もせずに一括注文したので、到着まで日数がかかった覚えがあります。この初号機が組み上がってすぐにでしょうか。先のMMORPGの正式サービスキャンペーンにカミさんが当選し、モニター入力デバイス込みの推奨パソコンがいきなり届きました。あの有名なNetBurstアーキテクチャの プレスコ 3E GHz搭載機です。
最初の2台は友人に使ってもらうことにして、我が家ではその後暫くAthlon XPとプレスコ機の2台体制が続き、後に自作パソコン初号機と同程度の予算でゲーミングノートも導入しました。
その間AMDは、Athlon XPの次に競合に先行して64ビットに拡張したアーキテクチャーAMD64搭載のAthlon64を発売しました。この頃から随分とAMDが盛り上がっていたように思います。
年月が経ち、自作パソコン初号機の性能が苦しくなってきた頃、運命の分かれ道である自作パソコン2号機に選んだものはASRock先生の775Dual-VSTAでした。メモリがDDR→DDR2、グラフィックボードがAGP→PCI-Eへの過渡期にあって、旧製品を流用し新CPUと安い775Dual-VSTAで環境を更新出来る優れものでした。この頃はまだサードパーティー製チップセットも締め出されていなかったんですね。以降、Ryzen™導入までIntel構成の自作機で過ごしていました。
その後のAMD衰退とともに、こういった製品が市場に出せなくなっていった経緯はご存知の方も多いことと思います。プレスコと共に闘った者にも容赦のない、永い暗黒の時代が続きました。
今現在、1・2割パフォーマンスが落ちてもDDR3で最新のCPUが動くママンが登場したら、どれだけ多くの人が狂喜乱舞することでしょうか。もう一度、自由で楽しかったあの頃の気持ちで自作したいものです。
Athlon XPから始めた自作ゲーミングPCの集大成
Ryzen™ゲーミングPCを水冷構成で楽しもう
Bykski GT-ROZ-AMG CPUウォーターブロックです
XSPC G1/4" to 3/8" ID, 5/8" OD Compression Fitting V2, Black Chrome
ウォーターブロックにチューブにつなぐためのフィッティングを取付けたところです。
これでウォーターブロックをマザー付属のバックプレートに固定します。
締め付けすぎの心配もありません。とても扱いやすくよく出来ています。
CPU換装時にバックプレートを留めて置けば作業し易いですね。
IntelのTOMAHAWK ARCTICよりもチープな造りなのが難点です。
マザーボードによく合うメモリ BLS2K8G4D240FSC
リザーバーポンプELC-NC100RGB チューブはXSPCハイフレックスPVCチューブ白
XSPC ECX Ultra Concentrate Coolant, Clear 精製水で希釈するタイプのクーラントです。
グラフィックボードはPOSEIDON-GTX980-P-4GD5 ラジエターはPacific RL240
外すコツはドアノブを廻すようにしつつ、押し付けながら斜めに持ち上げる感じですかね。
競合のそれよりも致命傷は受けにくいと思いますよ。あのピンはガラス細工の釣り針みたいなものですから。
これが一番違和感なく手軽にデコレます。但し、マットなホワイト限定かもしれませんね。
カッコいいかは別にして、世界に一つ自分だけのRyzen™ゲーミングマシン完成です。
今回のレビューをさせて頂いてわかったことがあります。全く記憶に残っていないつもりでいた初めての自作用PCケース、SF-561T2-Sの面影を無意識に追い求めていた自分がここにいたことを。
ttp://www.scythe.co.jp/case/20031001-155227.html
お次はグラボでござい!!
閉塞していた自作市場の風通しをよくしたAMDの功績は称えらるべきだと思います。まだまだAMDには皆さんの後押しが必要であり、グラフィックボード市場においては皆さんにAMDの力が必要です。
昨年は、様々な要因で自作市場が荒れた1年だったと思います。今年もその傾向が続きそうですが、その中での明るい話題はAMDの新製品ラッシュが続いていくことです。もうすぐ発売のRyzen™5 2400G楽しみですね。図々しくもAMDファン再集結!第3弾で来て欲しいと切に願っております。
巻末付録 Windows7インストール
Ryzen™ 5 1600付属クーラーレイススパイアで、Ryzen™ 7 1800X空冷検証しようとしたんですが、中古マザーがハズレだったようで挙動がおかしく検証出来ませんでした。Windowsの認証も厳しいので素直に戻すことにします。 (2/07追記)おかしいのは私の頭でした。取り敢えずWindows7から新規インストールで普通に使えました。
Windows7を新規インストール→Windowsムービーメーカーインストール→Windows10にアップグレード→NVMeSSDをSecure Eraseしてそれにクローンという個人的目標を達成出来ました。
なかなか上手くいかなかったりと手間はかかりましたが、これから同じようなことする方の参考になるかと思います。後日改めて再追記致しますので乞うご期待。
①Windows7再クリーンインストール
私の場合は手持ちのPS/2↔USB変換アダプタと購入した内蔵DVDドライブを使い、素のWindows7インストールディスクで行ったが、インストール途中でエラーとなり意味が無かったです。2つあったPS/2↔USB変換アダプタは、結局のところインストール以外のいかなる場面でも認識することはありませんでした。結果必要だった物は下記の通りとなります。
用意するもの
・USBドライバを統合したWindows7インストールメディア(私の場合DVDROM)
・旧製品のグラフィックボード(私の場合GTX1070で失敗したのでGTX660にて行った)
XPや7の頃にドライバを統合した再インストールディスクを何度か用意した覚えがありますが、すっかり忘れてしまいました。グラフィックドライバも統合するスキルのある方には不要だと思います。
Windows7にはRyzen™用のドライバが無く、USBが全て使用不可となる。予めUSBドライバを統合したインストールメディアを用意する必要があります。私が行った手順ですが、先ずMicrosoftのサイトからWindows7のisoを落とす。同じようにMSI Smart Tool を用意し、MSI Smart Tool でWindows7のisoを任意のメディアに焼きます。これでMSI Smart Tool が必要なドライバを組み込んでくれます。他メーカーマザーにも似たようなツールがあるかもしれませんが、他メーカーマザーにもこれでいけるような気はします。
出来たRyzen™用のWindows7インストールメディアであれば、USB機器を使用可能な状態で作業出来ます。インストール完了後、直ぐにWindows10にアップグレードしたいところですが、アップデートを進めないと出来ません。(Windows10のインストールメディアであればどうか試していません)
ここからアップデートを進めるとUSB機器を認識出来ない状態になる場面が何度かありました。
起動不可となり、スタートアップ修復画面などが表示されますが、当然ながら何も出来ません。
ここでは慌てず、一旦様子を見てからリセットや電源長押しで対応します。何度か繰り返すと、再び操作可能な状態で通常起動します。再びアップデートを繰り返すと『ご使用の機器ではWindows7のアップデートをサポートしません』といった内容の警告が出たので、そこでWindows10にアップグレードしました。
②Windowsムービーメーカーインストール
簡単お手軽に動画編集出来るムービーメーカーがパソコンに無いと、心細いのは私だけですね。
Windowsムービーメーカーは現在サポート終了で、手持ちの日本語版Windows Essentils 2012インストーラーは機能しません。Windows7アップデートの待ち時間を利用して何度もチャレンジして無事にインストール出来ました。詳細はグーグル先生に譲りますがw、US版ならダウンロード可能です。
インストール完了直前に失敗し、『Tryする?』を何度も繰り返しました。インストール開始からデータが落ち始めるまでが長いです。特に言語切り替え機能から日本語化する時に時間がかかります。どのタイミングで上手くいったかは不明です。ただTryすればいいんだお、としか言えずすみません。
③NVMeSSDをSecure Eraseしてそれにクローン
使用しているNVMe SSDはToshiba OCZ RD400です。OCZ SSD Utilityにてブート可能なSSD Utilityを作成し、OCZ RD400にSecure Eraseを実行しました。
①で作成されたWindows10構成のC:ドライブをEaseUS Todo Backup Free 10.6を使用してOCZ RD400にクローンしました。先に旧バージョンのTodo Backupで行いましたが、起動不可でした。
ここまで記載したのは、別のPCで使用しているC:ドライブを今回のRyzen™環境でそのまま使えれば楽だなと試しに行うと、何故かWindows10Proで使用していたものがHomeのデジタルライセンスしかないと怒られた為、再クリーンインストールを行う必要があった訳です。
④《番外編》XMP設定でフリーズ
Core i7 6700K環境にて使用していた メモリBLE2K8G4D26AFEAです。XMP2.0設定でDDR4 2666動作となり、その設定で常用していました。
今回B350M MORTARで新規に組むにあたり、UEFIでDDR4 2400となっている設定をXMP2.0に変更して保存再起動。すると幾ら待っても真っ暗なままで何も表示されなくなりました。
このメモリは上のSPDにあるようにXMP2.0設定にも1.2vとあり、以前検証した時に電圧を盛られるのが苦手な個体だなとは把握していました。
取り敢えずCMOSクリアで復旧を試みるも、ジャンパ短絡や電池抜いて放置など何をやっても改善しない。EZ Debug LEDという機能によると、CPUにあたるLEDが点滅している状態になっていた。
CPUが逝ったのか?と、慌てて抜いて先のゲーミング検証を行ったB350 TOMAHAWK ARCTICのソケットに挿すと、挿した途端に起動してしまった。CPUをソケットに押し付けたまま、慌てて電源のスイッチを落とす・・。電源のスイッチを切っとかないとこうなるとは^^;
で、CPUは無事だったのを確認。う~んさっぱり分からん、打つ手なしかと思ったときにB350 TOMAHAWK ARCTICに搭載していたメモリと換装してみるとあっさり起動しました。
B350 TOMAHAWK ARCTIC環境だと、電源スイッチをoffにするだけでUEFIでの日本語設定などが初期化されていたので、同じメーカーのB350M MORTARでも同様だろうと思い込みが解決の遅れになったという失敗例です。あれだけ長時間電池抜いて放置しても設定はそのままでした。マザーボードかメモリのBLE2K8G4D26AFEAかは不明ですが、一種のショック状態になっていたのかなと思います。
その後再びXMP2.0、SPDの項目をDDR4 2666、電圧を1.2vと決め打ちで設定する事で、無事常用可能となりました。
ということで、これ以上余計なことはしない方が良いと思いRyzen™ 7 1800X空冷検証は勝手ながら中止とさせて頂きます。私のWindows7新規インストールや失敗例が誰かの役に立てば幸いです。
以上、駄文長文を長々と失礼しました。最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
02/10追記
hidechanさん
2018/02/05
詳細な温度とスコアーの比較が表にまとめられていて見た目で分かり易かったです。
AMDは使ったことがないので、使ってみたくなりました^^
普通にゲーミングPCを作るのかと思いきや、パネルを変えてみたり小技が光ってますね!
ナイスホワイト!
りゅうやんさん
2018/02/05
今回裏ではUSBの検証データ飛ばしちゃったりぐでぐでのすったもんだでやってました^^;
まあ熱く語れたかとは思います。レビューじゃなくて思い出をw
退会したユーザーさん
2018/02/05
ホワイティ素敵(*´ω`*)
格好良くて悶絶中です(*´ω`*)
りゅうやんさん
2018/02/05
自分には無理なんでくっくまーさんのスレッドリッパー期待していますよ~~