Zigsow様、Intel様、ならびに関係者の皆様
このたびは、ジグソープレミアムレビュー「Top Gun Review『インテル(R) Core(TM) i7-3770K』」のレビューアーに選出していただき誠にありがとうございます。
【今回のレビューで確認すること】
Core i7-3770KとCore i5-3570Kですが、ともにIvyBrigde世代の4コアCPUで倍率オーバークロックが開放されているモデルです。その主な違いは前者がHyper-Threading対応によって4コア8スレッドというスペックなのに対し、後者はHT非対応で4コア4スレッドなんですね。
そのほかの違いとしては、前者は8MBキャッシュ容量で動作クロックが3.5GHz/TurboBoost時最大3.9GHzなのに対し、後者は3.4GHz/TurboBoost時最大3.8GHzでキャッシュ容量が6MBになっています。
HTは仮想スレッドですし高速化は約20~30%程度といわれています。またクロックも100MHz上がっているだけですので、このあたりの微妙な性能差がAdobe Lightroom3.6でのRAW画像現像でどの程度の差が出てくるのかを確認していきたいと思います。当然その他の基本的なベンチやゲームを実行して、どういった傾向が見られるのかも確認していきますよ!
【パッケージ確認】
Core i7-3770Kの確認と、当方はSilverArrowを使用するので使わないとはいえ付属しているリテールのCPUクーラーについてもチェックです。
S-specはSR0PL、L224C371のマレーシア産ですね。今回は殻割り、およびオーバークロックは行わない定格動作でのレビューなのでスルーしますが、このロットのOC耐性はどんなもんなんでしょうか、ちょっと気になったりします。
左がi5-3750K、右がi7-3770Kのリテールクーラーです。銅柱が埋め込まれたタイプのクーラーで、ファンのスペックも全く同一の物でした。この季節に定格動作させるなら全然問題なく使えると思いますが、冷房の無い部屋で真夏に使うにはちょっと心もとない気もします。まあ冷房の無い部屋だと人間の方が先にバテそうですけどね(汗
【検証環境(PCパーツ構成】
M/B:
VGA:
Mem:
SSD:
HDD: WD15EARS
ドライバのバージョン
Intel HD graphics driver version 15.28.8.64.2875 (9.17.10.2875)
ATi Radeon Catalyst 12.10
前回のCore i5-3570Kレビューとほぼ同等の環境ですが、ドライバのバージョンを最新のものに変更しているのと、色々とテストをやってる最中にメモリが1枚故障してしまったため急遽4GBx2の合計8GBでテストを行っています。
どうでもいいですが、8スレッド表示されるのって気持ちがいいものですね!
【Adobe Lightroom3 RAWファイル200枚まとめて現像テスト】
自分はちょくちょく写真を撮ったりしてはいるのですが(Pentax K-rおよびCanon S95を使用)、本当に簡単に撮りたい時以外はRAWで撮影して、帰宅してから現像する形にしています。その方が微調整がしやすいし、後日修正の修正を加えたくなった場合でも画質の劣化も無くて済みますからね。
ただ、写真を撮りに行って帰宅した当日って疲れてたり面倒だったりで、軽く画質調整の設定をしただけで現像をサボってしまう事も多々あります。そのあと休日にまとめて現像を行うわけですが、その数が50枚や100枚って事もザラです。
今回はそんな事を想定して、RAW現像をi5-3570Kからi7-3770Kへの換装でどこまで早く処理されるのか検証してみます。用意したのはK-rで撮ったままの状態で何も調整していないRAWファイル200枚。では早速GO!
i5-3570K → i7-3770K で約15秒ほど短縮が見られました。が、パーセンテージにして約5%程度で思っていたほどではないですね・・・・。
PCのアクセスランプを見てい思ったのは、処理無しの現像だと軽すぎて(それだけCPUが高性能って事ですが)HDDの方がボトルネックになっているっぽいという事した。そこでRAWファイルの置き場をSSDに変更してみたところ、狙い通り!今度は計算上約10%の高速化です。
まあHDD(SSD)へのアクセスが多いのでこんなもんですかね。
【その他の各種ベンチマークやゲームでの検証】
RAW現像での検証は上記の通りでしたが、その他ではどうなのか?って事で、その他のベンチマークやゲームで検証をしてみます。行ったのは以下の通りです
・CINEBENCH R11.5 OpenGLおよびCPUベンチ
・PassMark 8.0 (総合点およびCPU Mark)
・PC Mark7
・XMedia Recode 3.1.3.4 で 720x480 MPEG2→640x360 MP4変換
・3D Mark11 Performance
・FFXIV Benchmark(High)
・BF3キャンペーン(1280x720、LOW設定)
【CINEBENCH R11.5】
まずはCINEBENCHでレンダリング性能の小手調べです。
i5-3570K → i7-3770K で約25%の性能向上が見られました!HTによる性能アップの期待値通りの数値です。但しHD6950を搭載した時にCPU性能が下がっている点は謎です・・・誤差なのかなんなのか・・・・
一方でOpenGLでは内蔵GPUの性能の限界が確認できます。HD6950搭載時はそれなりに数値が伸びている(約8.5%)のでこの辺りのソフト・ベンチではHTの効果有りですね。
【PassMark 8.0】
こちらでは総合スコアのPassMark Ratingと、CPU総合スコアのCPU Markの数値だけを抜き出してグラフ化してみました。
3770K化でそれぞれ順調にスコアを伸ばしています。特にCPU Markでは約30%の性能アップが見られました。まさにHTの恩恵です。
【PC Mark7】
こちらはど定番中のど定番とも言えるベンチマークです。総合スコアと、CPU性能に関連する詳細なスコアを抜き出して掲載してみます。
i5-3570K
PCMark score 5485
Video playback and transcoding / Video playback 23.05 fps
Video playback and transcoding / Video transcoding - downscaling 50480.37 kB/s
Graphics - DirectX 9 / Graphics - DirectX 9 20.55 fps
Image manipulation / Image manipulation 12.07 Mpx/s
Web browsing and decrypting / Web browsing 22.21 pages/s
Web browsing and decrypting / Data decrypting 115.32 MB/s
i5-3570K + HD6950
PCMark score 4884
Video playback and transcoding / Video playback 23.1 fps
Video playback and transcoding / Video transcoding - downscaling 4584.44 kB/s
Graphics - DirectX 9 / Graphics - DirectX 9 77.56 fps
Image manipulation / Image manipulation 12.22 Mpx/s
Web browsing and decrypting / Web browsing 22.5 pages/s
Web browsing and decrypting / Data decrypting 115.37 MB/s
i7-3770K
PCMark score 5502
Video playback and transcoding / Video playback 23.13 fps
Video playback and transcoding / Video transcoding - downscaling 51797.41 kB/s
Graphics - DirectX 9 / Graphics - DirectX 9 20.915 fps
Image manipulation / Image manipulation 12.3 Mpx/s
Web browsing and decrypting / Web browsing 21.93 pages/s
Web browsing and decrypting / Data decrypting 112.21 MB/s
i7-3770K + HD6950
PCMark score 5110
Video playback and transcoding / Video playback 23.11 fps
Video playback and transcoding / Video transcoding - downscaling 6252.27 kB/s
Graphics - DirectX 9 / Graphics - DirectX 9 80.42 fps
Image manipulation / Image manipulation 12.54 Mpx/s
Web browsing and decrypting / Web browsing 22.9 pages/s
Web browsing and decrypting / Data decrypting 117.45 MB/s
こちらのベンチマークでは HD6950を搭載しない方がスコアがいい という結果が得られました。そのカラクリは、CPU系スコアの内訳の詳細を確認すると判明します。内蔵GPUによるビデオのトランスコードが圧倒的に速いんですね。さすがIntel QSV(Quick sync video)効果ですね。
【XMedia Recode 3.1.3.4】
6分30秒 720x480 MPEG2形式の映像を、640x360 MP4形式に再エンコードした時にかかった時間(秒)を計測してみました。こちらのソフトはフリーソフトで、さらにAVX命令にも対応しているので結構手軽で速いんですね。
3570K → 3770K で約15%速くなっているのが確認できました。Hyper-Threadingさまさまです。この手の処理を頻繁に行う人は絶対に3770Kの方が良いでしょうね。
【FFXIV Benchmark】
日本では定番中の定番の3Dベンチマークです。総合的なベンチマーク・・・かどうかは判りませんが、日本では使用率が非常に高く指標にしやすいベンチだとは思います。
さすがに内蔵GPUでは歯が立たないです。HD6950搭載時もあまり結果が上がっておらず、HD6950がボトルネックになってる感が多少あります。そろそろビデオカードの変え時ですかね・・・
【3D Mark11】
定番の3Dベンチマークです。フリー版なのでPerformanceの性能チェックになります。
同じく内蔵GPUはお飾り程度になってしまっています。傾向もFFXIV Benchmarkとほぼ同じで、そろそろGPU交換の時期だと思われます。ただFFXIVよりはCPU交換による性能アップが判りやすい傾向です。
【Battlefield3 キャンペーン】
ご存知定番で人気FPSゲームです。重い事でも知られています。内蔵GPUで出来るかを試してみましたが・・・
さすがに20fps台があると厳しいといわざるを得ません。激しい戦闘時とかガクガクしすぎてワケがわからなくなります。快適にやるなら解像度をさらに下げる必要があるでしょうけど、これ以上に下げてまで内蔵GPUでやるメリットは・・・・。最新の重い3Dゲームをやりたい人は素直にビデオカードを買うべきです(この場合は3770Kにせず3570Kとかにして、差額でビデオカードを買うなどの方が正しいかと)。まあでも、多少重い3Dゲームでも内蔵GPUで体験版を動かしてみて、世界観やプレー感を気に入ったら別途ビデオカードと一緒に製品版ゲームを購入する、といった事が出来るようになったのは非常に大きいのではないでしょうか。
【参考データ(※後日追加検証が必要)】
こちらは後日詳細な検証を行う必要があるのであくまで「おまけ」としていますが、実はi5-3570Kとi7-3770Kとで消費電力を比較しています。LinX 0.6.4 (2012/06/20版 AVX命令対応Linpack使用)と、OCCT PSU TESTを実行時の消費電力を計測してみたのですが・・・・
LinX 0.6.4 3570K:135W 3770K:125W
OCCT PSU 3570K:147W 3770K:140W
なんと3770Kの方が消費電力が低いという結果に!そんな馬鹿な?!って結果になってしまったのですが、思い出したのはLinpackがHyper-Threadingを苦手としている事(事実、定格の3570Kで100GFlops/s行くのに3770Kでは86GFlops/s程度しか行きません)。ひょっとしてそのせいで?とちょっと思っていますが、いかんせん今回は参考程度のデータにとどめておいて後日、しっかりと時間があるときに再度CPUを交換して検証してみたいと思います。
【総評】
今回はZigsow様、Intel様のお陰で3570Kと3770Kを直接比較する機会が得られましたが、3570Kと3770Kのどちらがいいか、なかなか判断に悩む結果が出てきました。予算関係なくどちらが良いかと問われれば間違いなくCore i7-3770Kだと思います。それはそうですよね。8スレッド対応で定格で100Mhz速くてキャッシュも2MB多いのですから。
特に3Dレンダリングや映像処理(エンコードや再エンコードなど)を頻繁にやる方は絶対にi7-3770Kの方がいいでしょう。Hyper-Threadingの効果は無視できないほどはっきりと現れます。費用対効果は抜群です。この場合は積極的にi5-3570Kを選ぶ意味は無いと思います。
但し、現在3570Kと3770Kの差額が約8500~1万円あります。この金額を出せば、そこそこの容量のSSDが買えたり、あるいは内蔵GPUを使うのではなく+αの追加投資で中堅の、設定を落とせばそれなりに重い3Dゲームもそれなりのフレームレートで遊べるビデオカードが買えてしまいます。ビデオカードを買う事にしていても、もう1ランク上のGPUを搭載している物が選べてしまいます。場合によっては他の部分に予算を回すほうが総合的に快適なPCが組めるので、どちらがいいかはしっかりと自分の構成と懐具合を確認したうえで決める方がいいでしょう。
※RAW現像ですが、自分の場合は3770K化での効果が若干微妙な感じになってしまいました。ところが他の方の結果では違うんですよね・・・・他のアプリだと違う結果が出るかもしれません。というかLR3系だけこういう状況っぽいです。残念ながらPentax Digital Camera Utility 4はどうしようもなく酷いソフトで使う気になれないので試していません。CanonのDPPはそうでもないのですが、LR3が十分すぎるので入れていません(しかもCDをどこに仕舞ったか忘れてしまった(汗))
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
タコシーさん
2012/11/28
i7-3770kのHTの効果は有るんですね
あとquick-syncは凄いですよ これ無しではencordは無理ですね
トロろいもさん
2012/11/28
HyperThreadingは期待しすぎは禁物ですが条件が良ければ20~30%の性能ブーストが得られるんですよね。最近のゲームはマルチスレッド化が進んでいるので、CPU負荷が凄く高くなった時にフレーム数低下を軽減してくれる・・・事もちょっとあるって感じはあります。
QuickSyncVideoは本当に超高速ですね。AviUtlと拡張QSV出力で試してみたときは、同じ6分30秒の動画が、より高画質の設定にしているにも関わらず30秒ほどで再エンコードできちゃいました(拡張x264出力では約1分20秒です)。条件によってはQSVは使いづらい場合もあるみたいですが、自分の使い方に合っていれば爆速で素晴らしいです。
そういえばRadeonもGPUエンコードがあったような・・・見てみたらQSVも試せるみたいだし、A's Video Converterを試してみるべきかな。