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Core i7 3770Kは、やっぱり凄かった!



今回のレビューテーマですが、Top Gun Review「Core i5-3570K」のレビューと同内容のことを「Core i7-3770K」でも行ない、「Core i5-3570K」と「Core i7-3770K」の違いを中心にレビューということなので、Core i5 3570Kのレビューで行った、

上記2テーマを行います。


Core i5 3570Kとの比較で極力環境を合わせるために、前回 Core i5 3570Kのレビューで作成したPCのCPUだけを入れ替える環境としました。
各々のパーツの選定理由は、Core i5 3570KのTop Gun Reviewに記載してありますので、ご興味のある方はご参照下さい。
また前回同様、比較対象となる、Core i7 3860Xのシステムに関しても、Core i5 3570KのTop Gun Reviewに詳細を記載してますので、併せてご参照下さい。

CPU インテル Core i7 3770K
今回レビューさせて戴くCPUです。
CPUクーラー ENERMAX ETD-T60-VD
マザーボード ASUS Maxmus V Gene
メモリ Corsair CMX12GX3M3A2000C9 DDR3-2000 4GBx4=16GB
グラフィック Leadtek WinFast GTX680 2GB GDDR5
起動ドライブ A-DATA S510 120GBx2(RAID-0)
データドライブ HGST 0S0319 2TB 7,200rpm 64MB SATA 6.0Gbpsx2(RAID-0)
キャッシュドライブ MemoRight! MRMAD4B120GC9M2C00 mSATA 6Gbps 120GB SSD
電源 SilverStone SST-ST85F-P 850W 80plus Silver
PCケース Fractal Design Define Mini FD-CA-DEF-MINI-BL micro ATX
メモリカードリーダーScythe SCKMRDJR
光学ドライブ I-O DATA BRD-SP8
ワットチェッカー SANWA SUPPLY TAP-TST8

システム外観
システム外観

※今回は、CPUの性能比較を行うため、一部のベンチマークで、グラフィックボードを追加しています。


まずは、個装箱ですが、両CPUの個装箱サイズは全く同じです。
個装箱比較
個装箱比較

Core i7 3770Kに関しては、出荷当初にはTDPが95Wと誤記されていたものが77Wに修正されいる位で、S-specの更新もされていません。
次に、CPUの外観比較ですが、ご覧戴くと分かるように、ヒートスプレッダー上のシルク印刷以外では判別はできません。
端子面においても全く違いは無いように見えます。
Core i5 3570Kはコスタリカ生産だったのですが、Core i7 3770Kはマレーシア生産になっています。
CPU比較
CPU比較

次に、Core i7 3770KとCore i5 3570Kのスペックを比較しました。
CPUスペック比較表
CPUスペック比較表

両CPUで異なるのは、下記の3点です。(図中の赤字部分)
1) 標準クロック周波数が、Core i7 3770Kのほうが100MHz高い
  どちらのCPUも。倍率ロックフリーのCPUなので、大きな差とは思えません。
2) キャッシュメモリが、Core i7 3770Kのほうが2MB多い
  Core i7 3770Kの方が、1コア当たり500KB多いが、1スレッド当たりは、Core i5 3570KがCore i7 3770Kの3倍の1.5MBこの差が、どの程度実行速度に効いてくるのでしょうか?
3) ハイパースレッディングが、Core i7 3770Kだけ有効
マルチスレッド対応アプリでは、Core i7 3770Kが有利だと思います。

あとは、スペック表を見る限り差異はありません。
この3点の差異が、Core i7 3770KとCore i5 3570Kの価格差=性能差になると思います。


CPUのベンチマークで比較したいと思います。
ウィンドウズ エクスペリエンス インデックス
ウィンドウズ エクスペリエンス インデックス

ウィンドウズ エクスペリエンス インデックスでは、プロセッサーのスコアが Core i7 3770Kの方が、Core i5 3570Kより0.2高いだけで残りのスコアは全く同一です。(CPUの載せ替えだけなので当然といえば当然)
Crystal Mark 2004R3
Crystal Mark 2004R3

測定時のCPUのクロックは、Core i5 3570Kが、最大3.8GHz(既定値)でCore i7 3770Kが、最大3.9GHz(既定値)でした。
Cine Bench Release 11.5
Cine Bench Release 11.5

測定時のCPUのクロックは、Core i5 3570Kが、最大3.8GHz(既定値)でCore i7 3770Kが、最大3.9GHz(既定値)でした。


まずは、Intel Core i5 3570KのTop Gun Reviewで行ったエンコードの比較です。
Core i5 3570Kのレビュー時に行ったエンコードは、アナモルフィック記録(1,440x1,080i)されたドラマ、全31話(約24時間)のストリーム約150GBを、スマホで視聴するため、856x480 MPEG-4 AVC 2Mbpsにエンコード(約700MBx31=約22GB)するものです。
使用するエンコーダーソフトは、Pegasys TMPGEnc Video Mastering Works 5(Version 5.2.4.68)を使います。
このエンコーダーソフトは、CPUでのエンコード(Codec:x264),Intel Media SDK Hardware(HD4000)を使ったエンコード(Quick Sync Video),CUDA(GeForce GTX680)を使ったエンコードに対応してますので、今回のベンチマークに用いました。
このエンコーダーソフトを使って、ファイル単位でエンコードを行うと、CPUのみでのエンコード(x264)以外のエンコードを行った場合、CPUのリソースが余り、CPUの利用率が100%になることはありません。
エンコード時のCPU利用率
エンコード時のCPU利用率


今回は、CPU性能のベンチマークを行いたいので、CPUの利用率を可能な限り100%にするためバッチエンコードを行います。
このTMPGEnc Video Mastering Works 5にはバッチエンコードツールがあります。
このルールを使うと、エンコーダーソフトで、31話を1話毎に細かなエンコード設定を行い、各々の設定を保存した31個のプロジェクトファイルを、CPUのパフォーマンスをフルに使って、同時に複数のストリームを次々にエンコードすることができます。
バッチエンコードツールの詳細は、Intel Core i5 3570KのTopGunReviewをご覧下さい。
前回のベンチマークでは、同時に処理するストリーム数が論理CPU数を上限なので、Core i5 3570Kは、コア数の"4"を設定しました。
今回の Intel Core i7 3770Kのコア数は Intel Core i5 3570Kと同じ"4コア"ですが、ハイパースレッディングが有効なので、論理CPU数は"8コア"となるため、同時に処理するストリーム数は最大8ストリームなので、Core i5 3570K同様の4ストリーム同時エンコードと、最大の8ストリームの同時エンコードの2種類のエンコードを行いました。
前回は、Intel Core i5 3570KとIntel Core i7 3960Xの比較を行いましたが、今回は同様のエンコードをInel Core i7 3770Kで行ったベンチマーク行いました。
更に、Core i5 3570K vs Core i7 3770Kとして、共に倍率ロックフリーのCPUなので、同じ動作クロック(4.6GHz)にオーバークロックしたエンコードの比較も行いました。


バッチエンコード結果
バッチエンコード結果


また、Core i7 3770Kで同時にエンコードするストリーム数を4から8に増やしてみましたが、エンコード時間は、Core i5 3570Kの74.8%とわずかに短縮できました。
更に、Core i7 3770Kを4.6GHzまでオーバークロックすると、Core i5 3570Kの71.6%まで短縮することができました。
Core i7 3770Kは、標準状態でも、Core i7 3960X + GeForce GTX680を用いたエンコードより短時間でエンコードすることができました。
消費電力の比較においては、エンコード時間と電気代のバーターとなっていますが、Core i5 3570Kで、3時間34分掛かるエンコード処理をCoure i7 3770Kで行うと、電気代を約40銭追加して、処理時間が2時間33分と1時間も短縮されます。
勿論、電力会社との契約により電気料金の単価は変わりますが、大きな差は出ないと思います。
Core i7 3960Xの場合は、GeForce GTX680の消費電力も加わりますので、Core i5 3570Kの倍ほどの電気代が必要になります。
これらのエンコードは、CPU内蔵GPU HD4000を用いた、インテル クイック・シンク・ビデオを用いたエンコードでの比較です。

次に、Core i5 3570KとCore i7 3770Kに特化したエンコードベンチマークを行いました。
アナモルフィック記録(1,440x1,080i)されたコンテンツ約1時間(約5.8GB)のストリームをFull HD MPEG-4 AVC(H,264)約2GBに圧縮して、エンコードに要した時間を比較するものです。
各々のCPUで、CPUだけを用いたエンコード(X.264)とCUDAを用いたエンコード(nVIDIA GeForce GTX680),HD4000を用いたエンコード(クイック・シンク・ビデオ)を、各々のCPUのデフォルトのクロックと4.6GHzまでオーバークロックした場合で比較しました。
Core i7 3770K vs Core i5 3570K
Core i7 3770K vs Core i5 3570K


CPUでのエンコードの場合は、Core i5 3570Kの定格を100とすると、Core i7 3770Kの定格で約80%,Core i7 3770Kを4.6GHzまでオーバークロックすると約70%の時間でエンコードすることができました。
CUDAを用いたエンコードでは、Core i5 3570Kの定格とCore i7 3770Kの定格でほぼ同じ性能と思われます。
これは、エンコードに必要なパフォーマンの大半がCUDAによって賄われているため、CPUの違いによる差が少ないと思われます。
これは、CPUを共に4.6GHzにオーバークロックした際にも同様の結果となりました。
最後に、Intel Media SDK Hardwareを用いたエンコードでは、Core i7 3770Kが10%弱高速でした。
HD4000のクロックは、両CPUで同一クロックに設定していたので、エンコードに必要なパフォーマンスのなかで、HD4000が占める割合がCUDAより少ないのではないでしょうか?
HD4000を用いたエンコードでは、CUDAを用いたエンコードの約半分の時間でエンコードが可能で、圧倒的なパフォーマンスを発揮しました。


まずは、改善をお願いしたいことです。
Intel Core i5 3570KのTopGunReview時にも記載しましたが、倍率ロックフリーのCPUだけは、CPUクーラーを同梱せずにその分のコストを性能の向上に充てたり、価格を抑えたりして戴きたいと思います。
倍率ロックの掛かっているCPUにCPUクーラーが同梱されるのは、Ready to Useとして納得できますが、倍率ロックの掛かってないCPUを購入してオーバークロックを行うと、CPUからはそれなりの発熱がありますので、付属のCPUクーラーでは冷却性能が不足し、CPU本来の性能に規制を掛けるものになってしまいます。
オーバークロック前提のCPUには、それなりのCPUクーラーとグリースが必要ですから、使われない付属品を同梱するのはエコではないと思います。

次に、良い点を記載したいと思います。
なんといっても、最大の魅力は圧倒的なコストパフォーマンスだと思います。
Core i5 3570Kで既にCore i7 2600Kのパフォーマンスを凌駕していたので驚きましたが、Core i7 3770Kは既定値でも、Core i7 3960X+GeForce GTX680よりも高速にエンコードすることができました。
特定のエンコードに特化した話ではありますが、Core i7 3960X + GeForce GTX680よりも高速なのは驚きです。
TDPもCore i5 3570Kと同じ75Wで、GPUも内蔵しているのですから、Ivy Bridge世代のトップエンドとしてふさわしいハイパフォーマンスでエコなCPUといえるでしょう。
Sandy Bridge-E世代のCore i7 3960Xと比較しても、メモリ帯域やコア数で圧倒的に不利な上にTDPも圧倒的に低いCore i7 3770Kのエンコードで高速な処理ができるとは…


Core i5 3570Kレビュー時には、Adobe Creative Cloudをインストールし、64bitアプリが快適に使えるかの検証を行う。というものでしたが、Core i5 3570Kでも十分に快適に使うことができたので、Core i7 3770Kが快適に使えることは、十分に想像できると思います。
また、Core i7 3570KのTop Gun Review時とはCPU以外何も変わってないので、アプリの起動時間など多少早くなりますが、Adobeソフトのグラフィックアクセラレータ利用に関しても、Core i5 3570KとCore i7 3770Kは、共にインテル HD4000なので差が出るはずもありません。
Core i5 3570Kで行った、Adobe photoshop cs6 extendedとillusutaror cs6 (共に64bit版)を立ち上げて、iluustratorのクリップアートをphotoshop上のイメージデータにベクトルデータとして貼り付けを行う作業を行ってみました。


You Tube Direct
Core i7 3770Kは、Core i5 3570Kと比較して、起動時間は若干早くなりますが、劇的に使い勝手が変わるようなことはありませんでした。
この程度の作業であれば、Core i5 3570Kで十分だということでしょう。

そこで、アプリは異なりますが、Nikon Capture NX2を用いて、289コマ 9.61GBのデジカメRAWデータをJPEGに現像し、その時間を比較したいと思います。
この処理は、RAWファイルを読み込み、CPUで現像処理をして、JPEGファイルを書き込むという処理を約300回繰り返して行うものです。
RAWファイルは、3,630万画素14bitロスレス圧縮で、40~60MB/コマあり、JPEGとして、15~18MB/コマのファイルが出力されます。
さすがにこのサイズになると、タスクマネージャーのCPU仕様率の履歴を見ても、読み込み/現像/書き込みに応じてCPU使用率がきれいに上下します。
RAWデータ現像時間比較
RAWデータ現像時間比較


結果としては、Core i5 3570Kの現像で、30分22秒 Core i7 3770Kで26分16秒でした。Core i7 3770Kが、Core i5 3570Kと比較して、約14%程度高速に処理を終えることができました。


今回、Core i5 3570KとCore i7 3770Kという二つのCPUをレビューさせて戴きました。
何れのCPUも非常に低消費電力で高速な処理ができるCPUで、Sandy Bridge世代からの正常進化を遂げた高性能CPUでした。
CPU自体が低消費電力であるとともに、高性能グラフィックスコアも内蔵していることで。PCシステムトータールの消費電力低下に貢献していると思います。
PCのプライベート利用で、比較的処理が重いと思われる高画素デジタルカメラのRAW現像と動画のエンコードを行ってみましたが、Core i5 3570Kでも充分な処理が可能で、高速なPCを構成することが可能だと思いました。
特に、今回のTop Gun Review対象となったCore i5 3570Kは、環境により差はあると思いますが、私の環境と構成では、4.6GHzまでオーバークロックしても安定した動作で動画のエンコードをこなすことができました。
Core i5 3570Kを4.6GHzまでオーバークロックした状態で、Core i7 3770Kの標準状態とほぼ同じパフォーマンスでエンコードが可能だったので、普段は低クロックでWEB閲覧やメールの送受信をこなし、必要とあらば4.6GHzまでオーバークロックして高速処理を行うPCというのも魅力的だと思いました。
一方、Core i5 3570Kより、秋葉原では約8,000円程高い価格で販売されているCore i7 3770Kですが、個人的には8,000円以上の魅力を感じるCPUでした。
Sandy Bridge-E世代のCore i7 3960Xとのベンチマークでも決して引けを取ることのない結果が出たので、非常にコストパフォーマンスの高いCPUだと思います。
私にとっては、特にインテル Quick Stnc Video 2.0が魅力的でした。
DVD黎明期にPCの一晩連続運転でDVD用のMPEG-2エンコードを行っていた時代から、高速CPUでほぼリアルタイムに処理ができるようになり、更にハードウェアエンコーダーの出現で、更にエンコードは加速しました。
しかし、ビデオ素材自体が、SDはらHDへと変更になり、動画自体が4倍以上のデータ量となり、エンコードは更に処理の重たいMPEG-4 AVC(H.264)が主流になってきました。
私はこれまで、動画エンコードのためだけに、nVIDIAのCUDAプロセッサを用いたハードウェアエンコードに頼るようになり、高額なグラフィックボードを買い続けてきました。
しかし、Sandy Brodge世代のHD3000によるQuick Sync Videoのパフォーマンスに驚かされ、これまでは絶対にありえなかったノートPCでの動画エンコードも実用的なものになり、今回のQuick Stnc Video 2.0では、遂に、6コア12スレッドCPU Core i7 3960X+1,536個のCUDAプロセッサを持ったGeForce GTX680のシステムを凌駕する処理速度でエンコードできたことに驚いています。
現状では、エンコーダーの仕様かHD4000の仕様によるものかわかりませんが、Quick Stnc Video 2.0では、1パスの固定ビットレートでしかエンコードできないので、まだまだ万能とは言えませんが、個人で楽しむ分には十分な性能だと思いました。

コメント (4)

  • リーダーさん

    2012/11/11

    DVD黎明期に一晩PC動かしっぱなしってのありましたよね……。
    んで、フリーズしてたとか(^^;
    CPUが進化していくごとにそのスピードが上がるのには
    驚かされるばかりです。
  • Picardさん

    2012/11/11

    リーダーさん コメントありがとうございます。

    CPUパワー(ソフトウェアエンコード) -> ハードウェアエンコード -> 映像が高解像度化 -> の繰り返しのようですね。

    映像も、SD -> Full HD -> 4K -> 8K ->となってきますので、これからも続きそうです。

    既に4Kレコーダーは、現状ではHDMIx4でカメラと編集機を繋いでいますが、現実的ではなさそうです。
    インターフェイスの進化もありそうです。
  • 白輝望さん

    2012/11/11

    すごく見やすいレビューでした!
    配色とフォントの使い方、勉強になります。

    Crystal Markの結果ですが、私のほうではHTがうまく反映されなかったのか、スコアがi5のほうが上になってしまったんですがね。。。
    Picardさんの結果だとi7のほうが上ですので妥当な結果に見えます。
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