まず初めに、Corei5に続きi7をレビューする機会を頂き、Zigsow様、Intel様、ありがとうございます。
Core i5時に設定した課題をなぞってレビューしていきたいと思います。
性能についてはi5 VS i7 という構図では無く、3770Kの素のパワーを丸裸な主旨で行きたいと思います。
なのでベンチとしては手元にある各種CPUとの比較を載せていきます。
比較対象は次の3CPUです。
- FX-8150 DDR3-1333 _AMD_
- FX-8350 DDR3-1333 _AMD_
- CoreTM i5 3570K DDR3-1333 _Intel_
AMD系を含む比較はCPUパワーに関するもののみ、Intel系とは内蔵GPUを含んだグラフィック処理能力も見ていきます。
使用するベンチマークソフトは
- Sandra (ソフトウェア環境に依存しない純粋な演算能力)
- CINE BENCH (ソフトウェア環境に依存しない実用ベースの演算能力)
- Super Pie (Single Core IPC)
- Crystal Mark (特定の実用ケースに基づく総合ベンチマーク)
- 3D Mark 06 (総合的なグラフィック処理能力)
- MHF 大討伐 (特定の実用ケースに基づくグラフィック処理能力)
- FF XIV (特定の実用ケースに基づくグラフィック処理能力)
上記5種類です。
カッコの中は個人的な判断基準です。
実際どうかはわかりませんし、言われても詳しいことはおつむがおっつかないので理解できないのですが(笑。
_レビュー課題_
・DDR3-1333とDDR3-1600で性能にどれだけの影響が出るのか
・CPUの低電圧耐性はどれだけあるのか
一応メインはこの2課題です。
この2課題についてはi5 VS i7で見ていきたいと思います。
それでは最後までお付き合いのほどお願いいたします。
まず初めにCPUの概要です。
型番:CoreTMi7 3770K
パッケージ:LGA1155 (1155 pins)
開発コード:IvyBridge
コア数/スレッド数:4 Cores / 8 Threads
クロック:3.5GHz / Turboboost 3.9GHz
L1 Cache:128KB (32KB/Core)
L2 Cache:1MB (256KB/Core)
L3 Cache:8MB (2MB/Core-shared)
プロセスルール:22nm Fin-FET
ダイサイズ:159.8mm2
TDP:77W
対応メモリ:DDR3-1600
グラフィックス:HD4000
クロック:650MHz / 1.15GHz
サポートディスプレイ数:3
IvyBridge世代のCoreTMi シリーズの最上位CPUです。
HT(Hyper Threading)に対応し、4Core/8Threadに対応しています。
Core i7シリーズの特徴はこのHTに対応していること、L3(Last Level Cache)が8MBあることです。
Ring BUS Architecture(Dual Ring BUS?)とLLCとコアの参照関係がわかっていないのであれですが、L3 Cacheの容量とHTの有無については関係があるようですね。
評価環境の周辺パーツ一覧です。
- M/B: ASRock H77M-ITX
- MEM: DDR3-1333 4GB*2 / DDR3-1600 4GB*2
- Strage: Intel SSD 520 120GB / WD10TPVT
- ODD: UJ-260
- Case & PSU: ISK 300-150
この環境で性能を見ていきます。
メモリについてはDDR3-1866をUEFIで1333、1600と切り替えています。
それでは各種ベンチマークの結果を比較検討していきます。
_Sandra_
総合的なプロセッサ性能ではダントツですね。
シングルスレッドではi5に抜かれていますが、HTでの1スレッドなので、1コアを目一杯使って処理できる3570Kに若干劣ってしまうのは致し方ないでしょう。
何より特筆すべきはインターコア帯域です。
3570Kとプロセスに差異は無いので、それ以外の要因があるということになりますが、まず一点目としてはHTの1コア2スレッド間は当然超高速であるとして、LLCの2MBの差が効いてきてるのでは無いかと思います。
LLCとコアと双方向リングバスの参照関係で、2MB*4で綺麗に割り切れる8MBLLCの最適化ができているのではないでしょうか。
シングルスレッドでは3570Kに一歩譲るもHT含めたトータルのスレッド数とインターコア帯域で3570Kを凌ぐハイパフォーマンスCPUに仕上がっているのでしょうね。
最上位の名に恥じない素晴らしい出来です。
_CINE BENCH_
Sandraとは変わって比較的おとなしいスコアに収まっています。
特にシングルコアの成績がSandraの3570Kとの対比とは合っていないというのが違和感です。
恐らくCINEにはHTを活かしきれない要素があるのでしょうね。
Sandraと同様にシングルとインターコア帯域でFX-8350を圧倒的に突き放しているにも関わらず、トータルでFX-8350との差があまり開かないのはそのあたりに原因がありそうです。
そういった意味ではSandraと比べてCINEは素のCPUパワーを見るのに不向きな(HT非対応で物理コア数の多いAMDに有利な結果が出やすい)ベンチマークなのかもしれません。
_Super π_
*単位は秒
お約束のSuper pieです。
どういった単位(コアなのかスレッドなのか)で実行されているのかわかりませんが、SandraとCINEの結果を鑑みるに恐らく1コアで回しているのでしょう(タスクマネージャだと2コアが分散して回ってるように見える)。
結果自体はCINEのシングルコア性能に応じた結果になっていると思います。
_Crystal Mark_
Super Pieに続き差異の見えにくい結果となりました。
やはりマルチコアをフルに使い切れないシングルスレッド重視のソフトウェア環境ではi7よりもi5の方がHTが無効化されている分効果を発揮しやすい、ということになるのでしょうか。
次にメモリをDDR3-1333->DDR3-1600に変更してどれだけ性能が向上するのか、です。
まずは結果を一覧で見ていきます。
_Sandra_
_CINE BENCH_
_Super π_
_Crystal Mark_
_3D MARK 06_
_MHF大討伐,FF XIV_
はい、というわけで結果としては、CPUの性能はほぼ変わらないかむしろ下がるということがわかりました。
CoreTM i5 3570KではSuperPieの3355万桁で11秒短縮するなど、CPUへの影響も見られましたが、CoreTM i7 3770Kではメモリの影響はちぃともないようですね。
ですが内蔵GPUであるHD4000はその恩恵に預かれるようで、今回の条件だと数%程度の性能向上が見込めるようです。
ですがこの程度であれば無理にメモリを1600に合わせる必要は無いのかなぁ、と思います。
もし新規に3770KでPCを組むのであれば、手持ちに1333があるのであれば流用し、購入するにしても1600が特価で1333を下回る値段で流通しているといった事情が無い限り、1333で十分だと思います。
自分でやってみて意外と凹む結果となりました。
それでは本題の低電圧化についていきます。
レギュレーションは前回の3570Kと同様に、OCCT実行時のシステムの消費電力をワットモニターで読みます。
電圧設定はオフセットでは無くFixで設定します。
CPU温度はOpen Hardware MonitorのCPU Package温度とします。
今回も電圧を変更しながら起動していったのですが、0.97Vが下限でした。
前回の3570Kも0.97Vが下限だったので、この付近の電圧に閾値があるのかもしれません。
今回は1.1V(定格)、1.05V、1.0V、0.97Vの4点を測定し、グラフ上で近似式を出しました。
3770Kでは、0.13V低下時に
CPU温度: 86℃ -> 68℃ ▲18℃低下
消費電力: 121W -> 96.8W ▲24.2W低下
の効果を確認することができました。
3770Kの方が3570Kよりも▲5℃、▲5Wほど、低電圧化の効果を得ることができました。
3570Kの低電圧化に関するグラフはコチラから。
ここまで色々なベンチマークなどを通して見てきて、CoreTM i5 3570KとCoreTM i7 3770Kはどちらも優秀なCPUでしたが、それぞれ特徴に違いがありましたね。
メモリについては3570Kであればよりクロックの高いメモリの方がCPUの性能を引き出すことができ、3770Kではグラフィックス関連のスコアが微増するだけで影響は大きくありませんでした。
電圧設定に関しては、3770Kの方が低電圧化による消費電力の削減効果は大きくなりましたが、裏を返せばOCしたときの消費電力の増加量がより激しい、ということです。
3570Kを手にしたときは、OCなんて3770Kに任せておけば良い、と思いましたが、実際は逆で、むしろ電圧による影響の大きい3770Kをより低電圧で省エネに駆動させ、電圧を盛っても発熱量増加の少ない3570KをOCした方が電圧を上げられる分OC幅が広いのでは無いかと思います。
あくまでも今回の測定結果はそれぞれ1サンプルずつしかないため検証としては不十分ですが、これからIvyBridgeで省エネパソコンを組もうという方や、OCの限界に挑戦する方は、今回の測定結果が何らかの参考になれば嬉しいです。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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