レビューインフィニティー第7弾、Z68星雲ということで、Z68チップセット搭載のマザーボードDZ68DB上に載せるCPU、Intel Core-i7 2600Kのレビューを行いたいと思います。
Core-i7 2600Kは、倍率フリーCPUということで、P67/H67チップセットの時代から、LGA1155CPUソケットを採用しているマザーボード(Intel DP67BG)に載せて、私自身現在も使用しています。価格的には、2万円台中盤と、スペックの割には非常に安価で、まさに手の届きやすいCPUといえます。
今回は、レビューインフィニティー第7弾 Z68星雲の住人としてのレビューとなりますので、基本的な動作についてはマザーボード側でのレビューに記載させていただいております。
こちらのほうのレビューも随時アップデートしていきますので、合わせてお読みください。
まずはこのCPUのスペックからです。インテルのホームページを参考にさせて頂きました。
【スペック - Core-i7 2600K】
CPUコードネーム:Sandy Bridge
コア数:4
スレッド数:8
クロック周波数:3.4GHz
ターボブースト時最大周波数:3.8GHz
キャッシュ:8MB
ベースクロック逓倍比:34倍
バスタイプ:DMI
バススループット:5GT/s
ソケットタイプ:LGA1155
最大消費電力:95W
最大搭載可能メモリ:32GB
Intel HD Graphics 3000搭載。
家で使うCPUは、ついにここまで来たか、という感じです。これだけインターネットが普及できたのは、こうした技術の勝利とも言えるでしょう。改めてそう思います。
このCPUには、2600と2600Sがありますが、2600は倍率固定なのでOCの上限が決まります。2600Sは低消費電力ですが、クロック周波数が異なります。また、2600KにはIntel VT-dとIntel TXTがありません。
【検証機の構成】
検証機は、最初に紹介したレビューの中で組み立てています。そちらのレビューでは、CPU周りの話はあまり入れ込んでいないので、こちらで行いたいと思います。
まずは届いたレビュー品を。
いつもレビューに選んでいただいて、本当にありがとうございます。
早速開封します。
今回はマザーボード、DZ68DBとのセットです。
Core-i7 2600Kの外箱外観です。
箱の上部からCPUが顔をのぞかせています。
箱にはちゃんとスペックが記載されています。
早速開封してみます。
シールを剥がして開封しました。
中身を取り出すと・・・
じゃーん。出ました。本体と、説明書と、高さのあるボール紙です。ボール紙の内側には、リテールクーラーが付属されています。
こんな感じです。
というわけで、CPU本体と付属品は以下になります。
CPU本体です。
37.5x37.5mmの小さなスペースですが、処理は強力です。
ソケット端子部分です。
この集積度、すごいです。ピッチが狭いので、少しずれるだけでも処理がとまりそうですが、そこはソケットに工夫があるのでそんなことは起きません。
さて、これを検証機に実装します。
こんな感じで、ソケットの押さえのバネを外して、押さえを上にあげたら、ソケットの上にCPUを置くだけです。ぴったりはまってアソビはありません。これが重要です。また、ソケット端子側には切り込みがあるので、いわゆる極性も間違えることはありません。
CPUをマザーボードに実装したら、今度はCPUクーラーを取り付ける必要があります。
今回レビューを行うにあたり、色々悩んでみたのですが、クーラーはあえてリテール品を使うことにしました。リテールを使うことで、その限界点や特性がレビュー内容として表現できれば良いと思ったからです。
また、シリコングリスについては、最近某紙で「CPU全体にのばしてぬるのと、中心部にぬるのとでは効果が変わらない」という実験結果を見ました。そのため、これを信じて、グリスはCPU中央部にチューブから少し多めに出し、その上にクーラーを置いて、圧でそのまま塗り広げる方法を取りました。
ちょっと写真を撮るのが難しかったので写真はありませんが、目視にて、グリスがはみ出していないか等チェックし、適量であることを確認しました。
CPUクーラーは、マザーボードにクーラーの足がささる部分があるので、そこに足をはめて、一気に突き刺します。一気にといっても、あまり強くおすとマザーボードを割ってしまうおそれがありますので、注意しながら行います。
はまったら、足のロックをかけます。
正しくはまっていたら、マザーボードのうらから足が見えているはずです。
どうやら大丈夫そうです。
とりあえずCPUの実装が完了しました。
組み上げたマシンを立ち上げて、諸々テストに入ります。マシンの詳細は、最初に紹介した別レビューを見て頂きたいのですが、簡単に箇条書きにしておきます。
マザーボード:DZ68DB
メモリ:DDR1333 4GB×4
電源:630W対応
HDD:2TB 5400RPM
CPU:Core-i7 2600K
OS:Windows7 64bit DSP版(Windows Updateは9月10日分まで適応済み)
グラフィック:Core-i7 内蔵GPU(HD3000)を使用して、HDMI出力
各種ドライバは、マザーボード付属の純正ドライバのみインストール。その他常駐ソフトはなし。
まずはWindows エクスペリエンス インデックスで値を確認してみます。
基本スコアは5.9ですが、これは一番低いスコアに合わせているので、HDDが足を引っ張っていることが分かります。むしろCPUは7.6なので、7.9点満点ですからかなり好成績です。デフォルトでこの状態ですので、この時点でもCPU性能はそれなりに高いことがお分かりいただけると思います。
グラフィックは内蔵GPUを使用しているので、このスコアのグラフィックスの値である6.3がそのままスコアになります。内蔵にしてはいい値なのではないでしょうか。
次に、Super πを使って、いわゆる「パイ焼き」をテストしてみます。
1.6万桁から3355万桁まで一気にテストします。
桁が少ない(~6.5万桁)あたりでは、1秒未満で計算が終了してしまうために、速すぎて結果として残らないようです。コンピュータの元祖とされていたENIACでは、毎秒5000回の加算をすることが限界だったと言われています。当時の研究者たちがこのプロセッサをもし目にすることが出来るならば、彼らは目の前の現実を信じる事は到底難しいことでしょう。
Super PIのランキングページで確認したところ、Core-i7 2600Kの空冷で、OCして104万桁を6秒で終わらせた方がいらっしゃるようです。他の方が液体窒素を使ってようやく6秒なのに、空冷で6秒とは・・・。そこから考えると、今回の結果はOCなしで、リテールクーラー程度の冷やし方でも9秒という成績です。私はかなり高速に処理できていると思いますが、みなさんはいかがでしょうか。
次に、Sandraというベンチマークソフトを使って他のCPUとの比較を行ってみます。Sandraは非商用・個人の場合はフリーで使用できます。
プロセッサ性能は、同じIntelのCore i5-2500Kと、AMDのPhenom II X6 1090T、Phenom II X4 965との比較です。単位時間あたりのフロップ処理、GIPS(単位時間あたりの10億回の処理数)がダントツです。
マルチコアの効率は、コア間の内部接続の速さをベンチマークしたものです。これによって処理の効率化・高速化がはかれます。いずれのチェーンサイズ、ブロックサイズの組み合わせにおいても、帯域が大きいことが分かります。
CPU性能は非常に高いことが分かりました。コストパフォーマンスに優れていると言えます。しかも今回のテストは、OCしていない、デフォルトの状態ですので、OCが可能な環境にある方であれば、もっと性能を高めることが可能です。コスパに優れた、可能性が広がるCPUと言えると思います。
さらに、GPUも内蔵しているので、グラフィックベンチもとってみたいと思います。
ベンチには、バイオハザードのベンチマークソフトを使用しました。
推奨解像度は1280x720の解像度ですが、あえてフルHDの解像度で負荷を高くした状態でベンチしてみました。DirectX9を使っています。そのため、スクリーンショットがのせられません。結果だけ記します。
【DirectX9モード】
解像度 1920x1080:平均19.3fps
解像度 1600x900:平均24.3fps
解像度 1280x720:平均28.7fps
推奨解像度であれば、毎秒30フレームに近い性能は出ているので、視聴上の感覚では違和感はないように思いました。フルHD解像度は、さすがにきついようですが、多少フレーム落ちしているのが見える程度で、割りきってしまえば慣れれば問題ないのでは?とも思いました。
【DirectX10モード】
解像度 1920x1080:平均16.4fps
解像度 1600x900:平均21.2fps
解像度 1280x720:平均25.1fps
DirectX9に比べて、いずれの解像度でも3fps程度落ち込んでいます。ここまでfpsが落ち込むと、見ていてもかなりコマ落ちが気になりました。
一方で、QSVによる高速画像処理機能があることを考えると、使う関数や処理させる内容によって、いろいろと得手不得手があるGPUなのでは?と考えます。本格的なグラフィックを楽しむならば、Virtu等も多様しながら、それなりのグラフィックカードを用意するのも手だと思います。とは言っても、内蔵GPUでこれだけの性能が出せるのは非常に優れている証拠だと思います。
ここまでレビューを行ってみて思うのは、やはりコスパと性能のバランスが素晴らしいCPUであるということです。ここ数年でCPU性能が格段に向上したとはいえ、ここまで優れたCPUは珍しいと思います。また、Z68チップセットの登場によって、P67/H67ではそれぞれ制約されていた2600Kの機能が十分に発揮できるようになりました。これからがSandy Bridgeの本領発揮の機会なのではないでしょうか。
一つ残念なのは、P67で使えた、Intel Extreme Utilityが使えないということ。P67の時はこれがあるので、OS上からのチューニングも非常に簡単に出来たし、各パラメータの許容値も簡単に把握することができたので、無茶なOCはやらなくて済んだのですが・・・
OCの門戸を広げるのであれば、このツールを使えるようにしてもらえると非常にありがたい。
マイナス点はそれぐらいで、その他はレビュー通り非常にバランスの良い作りとなっている。
今後発売される、これ以上のCPUがどんなものになるのか、今から非常に楽しみではあるが、現時点ではあらゆる要求に十分答えられるのがIntel Core-i7 2600Kであることは、今回のレビューを通して間違い無いと実感しました。
(9/16追記)
OCしてみました。クーラーはリテールクーラーです。ホストクロックは変えてません。OCにあたり、マザーボードのBIOSを8月1日付の最新バージョンに変更しました。
ベースクロックに対しての動作倍率です。図のように設定しました。
スーパーπをぶん回している時のCPU-Zで見る情報です。OCされていることが分かります。
π焼きの結果です。
ちなみにOC前のπ焼きの結果です。
結果の向上が確認できました。ちなみに、CPUファンの回転数があがるスレッショルドを、60度近辺に下げています。デフォルトは80度くらいだったと思いますが、リテールなので冷却効率が悪いのと、なるべくターボブーストにひっかかるようにわざと低めに設定しています。
簡単にOCが出来てしまいました。本当はメモリのパラメータなどももう少し詳細にいじりたいのですが、まだパラメータに対する知識が浅いのでとりあえずはCPUのパラメータだけで調整してみました。ネットでの情報だと、5GHz越も可能ということで、冷却環境が整えばもっと速く出来ると思います。
以上簡単でしたが、Core-i7 2600Kのレビューを終わりたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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