速さを求めるあなたに送る魔法の言葉。
「オーバープロビジョニング」
あまり聞きなれない単語。
だからこそ、そこに希望があるかもしれない。
自分でSSDは作れない。
けれども調整は人それぞれでできる。
あなたも速さを求める一人ですか?
※オーバープロビジョニングとは?
SSDで使える領域の中に、別の使えない領域を設定すること。
そうするとSSDの動作が速くなる(何故!?)。
さらに障害が起きた場合も予備領域でカバーでき、信頼性向上にもなるらしぃ。
IntelSSDの場合は使えない領域がすでに用意されているが、
さらに拡大してより速くしちゃおう!というのが今回の主題。
最初に一言・・・苦労した!
是非、あなたも一緒に苦労しましょう^^
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【1】 前準備
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┏■ パソコン構成
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今回は主にAMD環境にてレビューを行っている。
これの後に、「諦めたパソコン構成」とあるが、
自分が所持しているIvyBridge環境ではうまく利用できなかった為に、AMD環境となった。
■CPU
AMD Phenom II X4 960T
■マザーボード
Asrock 890GX Extreme3
■メモリ
Crucial PC3-12800 (BL25664BN1608)
■グラフィックボード
SAPPHIRE VAPOR-X HD 6870 1GB
■SSD
Plextor PX-128M2P 128GB ←OS用
Intel SSD 520 240GB ←当製品
■電源
ENERMAX PRO87+ Lot6 600W (EPG600AWT lot6)
■OS
Microsoft Windows7 Professional 64bit版
こんな感じで検証。
Secure Erase時にケーブル抜き差しがあるので、これぐらいの適当さがちょうどいいようだ。
※Secure Eraseを行う都合上、「Intel SSD 520」にはOSをインストールしておりません。
┏■ 諦めたパソコン構成
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最初に試したPC環境。
後に失敗談を語るが、色々試したが自分には扱えなかった。
上記構成からグラフィックボードを抜き、HDDをSSDにした構成になっている。
■CPU
Intel Core i7-3770 (第3世代Core iシリーズ IvyBridge)
■マザーボード
ECS Z77H2-A3
■メモリ
kingston KVR1333D3N9/4G *4本 = 16GB
■SSD
Crucial m4 64GB ←OS用
Intel SSD 520 240GB ←当製品
■電源
HEC Win+Power3 750W(HEC-750TB-2WK)【80PLUS BRONZE】
■OS
Microsoft Windows7 Professional 64bit版
┏■ 各種ソフトウェア
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今回利用した各種ソフトウェア達。
●CrystalDiskMark Nano Pico Edition
SSDやHDDなどの速度を測定するためのソフトウェア。
オーバープロビジョニングでどれだけ変化があるのかを確認する。
●HDAT2
スペア領域を設定するためのソフトウェア。
今回は、この領域を増やしてオーバープロビジョニングを行う。
なお、CD/DVDに焼く為、ISO版を利用している。
●Intel® Solid-State Drive Toolbox
SSDの管理ソフトウェア。
今回は、Secure Eraseという命令を実行するために利用する。
データを全て削除して真っ白の状態にする。
●WinRAR
ファイルの圧縮&解凍を行うソフトウェア。
速度向上があったかどうかの検証に利用。
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【2】インテル(R)520シリーズで
オーバープロビジョニングする手順を詳しく紹介してください
(Secure EraseやBIOSの設定等も含む)
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オーバープロビジョニングの手順を紹介する。
全体の流れとしては以下となる。
・PC本体にSSDを装着して電源ON
↓
・Intel® Solid-State Drive ToolboxにてSecure Eraseを実行
↓
・HDAT2をCD-Rなどに焼き、そのままドライブにいれておく
↓
・PC再起動を行いBIOS起動(DELETEボタンなどを電源ON時に連打)
↓
・SATA接続をIDEに変更。BOOTの順番でCD/DVDドライブを1番にする
↓
・再起動後、BIOS画面からHDAT2を起動
↓
・IntelSSDを選択してスペア領域を設定
↓
・一旦、電源をOFFにしてもう1度電源をONにする (リセットではない)
これらの中で重要な部分を以下で解説する
┏■ Secure Erase
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「Intel® Solid-State Drive Toolbox」の機能の1つにSecure Eraseがある。
まずはこれを利用する。
●利用する前の注意事項。
SecureEraseは便利な機能だが、セルの書き換え回数を1回消費してしまうため、
SSDの寿命を短くしてしまうデメリットも存在する。使い過ぎには注意が必要だ。
さらに、パーティションなどを設定していたり、OSのインストールなどを行っていると、
SecureEraseの実行ができない。
「マイコンピュータ」を右クリックし、「管理」を選択。
「ディスクの管理」を選択して、該当のパーティションの削除を行う。
この際にデータがあると全て消えるのでご注意を。
(初めてこのSSDを利用する際はパーティションが存在しないのでこの作業は必要無い)
●実行
「Intel® Solid-State Drive Toolbox」を起動して、以下の手順で操作する。
上記画像の時に「SSDの電源ケーブルを抜いて、もう1度差し込む」。
スピードは求められないので、落ち着いて作業をする。
これでSecure Eraseは完了した。
この際に大変苦労したのだが、それは「 【5】苦労したこと。諦めたこと。」に記述した。
┏■ HDAT2の利用
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●準備
HDAT2を使うには準備が必要になる。
HDAT2をCD/DVDに焼いた後にBIOSの設定を変更する必要がある。
手順は以下になる。
(CD/DVDはそのままドライブにいれておく)
PCの電源をONにしたらDELETEボタンを連打連打♪
(PC環境によっては別のボタンかも)
BIOS画面が立ちあがったら以下の部分を変更する。
(Asrock 890GX Extreme3のBIOS画面の為、環境によって変わる)
何をしたかというと、
最初に起動するのはCD/DVDドライブから~
HDDやSSDの接続方式を「AHCI」から「IDE」に変更した~
こうしないと起動しないからしょうがないんです。
●実行
BIOSの設定が終わり、再起動後には以下のような画面になる。
「hdat2」と入力してEnterを押下するとプログラムが実行される。
後は画像の順番に設定していく。
これでスペア領域の設定が完了した。
念のため、一度電源をOFFにしたあと、電源をONにして、
再びBIOS画面でSATAの設定を「AHCI」に変更すればWindowsの画面に戻れる。
BOOTの設定はそのままでも問題はないだろう。
(CD/DVDは取り出しておくこと)
●変更&削除時の注意点
スペア領域を削除したい時に以下の画面からできると ”思われる”
実は自分の環境では削除できなかった。
実行すると成功したようなメッセージがでるのだが、
実際はスペア領域が設定されたままになっている。
(それは電源OFFONしないと確認できない)
ではどうやって削除するのか?
スペア領域を設定した画面で値を「0」にすれば削除した事と同じになる。
この際にも注意点があり、
一度変更した後は、電源のOFFONが必要であるという点。
電源OFFONをしないと以下のようなメッセージが出て変更できないようになっているようだった。
再起動ではなく、電源OFF後の電源ONなのでその点も注意。
※あくまで自分の環境ではこうだったというだけかもしれません。
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【3】インテル® 520シリーズで
オーバープロビジョニングをする前後で
書き込み速度の向上にどれくらい効果があるか測定してほしい
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今回用意したのは、RAR圧縮した18GBのファイル。
(ZIPだと圧縮容量オーバーのため利用できなかった)
なぜ18GBかというと、
SSDに予め設定してある16GBのスペア領域を超えたファイル容量で変化があると思ったから。
このファイルを圧縮&解凍した時間を見てみた。
●RAR圧縮
7秒・・・遅くなった。
誤差でもオーバープロビジョニングしたほうが遅くなったのが悲しい。
●RAR解凍
こちらも誤差と言いたいが、一応、7秒縮まった。
●結論
効果なし。
7秒差を速くなったと認識するかどうかだが、自分は速くなったと認識できなかった。
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【4】オーバープロビジョニングをする前後で
CrystalDiskMark Nano Pico Edition を使って、
スコアを比較してほしい
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データが豊富すぎても分かりにくい印象があるため、
今回はランダムのみ計測している。
決して、何度もやり直していたら面倒になったとかじゃないぞ!?
・左がオーバープロビジョニングを行う前の値
・右がオーバープロビジョニングを行った後の値
ほとんど誤差のような気がするが、多少書き込み速度が上がっている。
これは一応、速度が上がったと思っていいのだろうか?
本当におまけ程度だが、Intel環境でもそのまま計測してみた。
(AMD環境で設定したSSDをIntel環境に移して計測している)
おまけといっているのは、環境が適当なため・・・
しかしそれでも誤差の差しかない。
しかもAMD環境よりも最初から速い!
●結論
この結果だけを見ると、
・AMD環境では書き込み速度の向上がみられた
・Intel環境では変化なし
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【5】苦労した事。試した事。
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苦労したことを愚痴りたいと思う。
最初はIntel環境で検証していたのだが、
どうしても「Intel Solid-State Drive Toolbox」を利用した「Secure Erase」ができなかった。
今回はその苦労した事と試した事を書いていこうと思う。
●苦労した事
そもそも「できない」というのはどういう状態だったのか?
IntelのツールでSecure Eraseを行った場合、SSDの電源ケーブルの抜き差しを要求される。
その時に何度SSDの電源ケーブルを抜き差ししても実行できないのだ。
何十回も試したがうまくいかず、
諦めて「HDD ERASE」という別ソフトを使って試そうともした。
しかしこちらもうまく動作してくれない。
BIOS上で動作するものなので良くは分からない部分も多いが、
そもそも一覧が表示されるはずの部分で表示されないのだ。
何かしようにも何もできない状態である。
そんな苦労時に試した事が以下になる。
●試した事
1.画面指示通りの作業
電源ONの状態でSSDの抜き差しを行った。
最初は分からずにSATAケーブルも抜き差ししていた。
SATAと電源どっちを先に抜くんだ?
タイミングはどうするんだ?
そして最大に悩んだのは、電源ONの状態でSSD抜き差ししていいのか?
(何十回と抜き差ししたが、今の所壊れていないようだ)
などを何回も繰り返して試した。
⇒電源ケーブルのみの抜き差しで、電源ON時にSSDの抜き差しでOK。
2.BIOS(UEFI)でのホットプラグON?
BIOS(UEFI)上でSATAの設定をEnabledにすると良いような記事を発見した為に試したみた。
しかし所持していたマザーボードにはホットプラグという欄は見つからない。
仕方ないのでソレっぽい設定をEnabledに設定したが何も変わらなかった。
3.IRSTの導入と設定
IRSTをインストールして設定しないとそもそもダメなんじゃないか?
という記事を発見したので試してみた。
最新版にしてみたが症状は変わらず。
4.別ソフトの利用
「HDD ERASE」というソフトを試したみた。
しかしこちらは一覧に何も表示されずに何もできなかった。
5.そして1に戻って繰り返した。
泥沼にはまった気分でした。。。
結局解決しなかった為、環境を変えて検証しております。
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【5】最後に
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今回はとても苦労してしまった。
まさか思うようにツールが使えないとは思っていなかった。
一応言っておくが、今回のために何度もOSのインストールからやり直している。
ドライバを更新するしないなどでも試してみたが状況は変わらず。
1つ気になるのは、
AMD環境とIntel環境でのAHCIドライバの違い。
Intel環境だとIRSTをインストールしないとSSDの抜き差しを行った際にSSDを認識しなかったが、
AMD環境ではIRST無しでも問題なく認識していた。
電源まわりかマザーボードあたりが怪しいとも思っている。
↓一応、AMD環境とIntel環境のデバイスマネージャー上のコントローラーの違い
結果を見ても今回は残念な結果となった。
体感でも時間的にも誤差ぐらいしか差が無かった。
容量を犠牲にしてまでもほしいスピードかというとそうでもないように感じる。
SSDはスピード重視といってもやっぱり容量は多いほうが良いに決まっている。
この企画はどのような意図があったかは分からないが、
少なくとも、IntelのSSDはスペア領域というものを最初から設定していて、
信頼性向上のための仕組みを使ってますよというアピールか?
もしくは、「オーバープロビジョニング」という仕組みが存在する事を、
多数の人に知ってほしかったのかもしれない。
そんな自分も今回の企画で初めて知った一人だったのだから。
リーダーさん
2012/09/02
自分も今回の企画がなければ
オーバープロビジョニング他、SSD関連用語を
知ることはなかったと思います。
できれば劇的に速度アップしたところを見たかったのですが
テスト内容が悪いのか、コンシューマーレベルでは
そこまでデータを扱わないのかわかりかねる感じですorz
kazgbさん
2012/09/02
お疲れさまです~
どうやっても速度アップの検証ができなくて残念でした。
自分の環境だとこのまま使うとOS入りになってしまうので、
少し時間を置いて、他にも検証方法ないか考えてみたいと思ってます。
思いつかなかったらそのままゲームPCのメインSSDとして活躍しそうです(´ー`)y-~~
きっちょむさん
2012/09/02
私もAMD環境で試したことがあるんですが、
Secure Eraseは出来なかったことがあります。
Intel SSDはIntel以外は除け者みたいですね。苦笑
> ・AMD環境では書き込み速度の向上がみられた
これもIntel環境に最適化されてるからでしょうね。
AMD環境はIntel環境に比べアクセスタイムとか遅い傾向にあるので、
そのあたりがOPにより最適化された可能性があります。
とても参考になりました^^
kazgbさん
2012/09/02
Secure Eraseが出来なかったのは・・・Intel環境です><。
なぜかAMD環境ではうまくいきました。
今回最大の謎です。。。
今回のOPはAMD環境にこそ効果的なチューニングだったかもしれません。
(そこが着地点でいいのか!?)