2月に発売されたばかりの IKEA の新作、片手鍋の「MANGOFISK マンゴフィスク」を購入。
こういう1人用で使用できる小さい鍋があれば料理が楽だな、と思っていたのです。
いわゆる「ソースパン」の形状で、ソースやスープ、煮込み料理など、幅広い料理に使える深型の片手鍋になります。
シックで光沢の少ないホワイトで、キッチンによく似合う可愛いヤツです。
IHにもガスコンロにも、あらゆるところで使えます。
ウチは IH ですが、問題なくすぐに温度が上がり使いやすかったです。
パッケージはこんなかんじ。ゴミが少ないし、傷にならないしで良いかんじ。
高さが 12cm もある深鍋サイズに加え、ガラスの蓋まで付いてお値段1,700円。安い!
ガシガシかき混ぜるスープはもちろん、フライパンとしても油が飛び散りにくいので揚げる料理にも使えます。このサイズ感って、なかなかないですよね。
ハンドル部分は低分子フェノール樹脂処理木材と熱可塑性エラストマー(TPE)っぽいです。
滑り止め効果で握りやすいのはもちろん、片手で操れるので火にかける角度とかも自由自在。
熱絶縁されて熱くもならないのでグリップ感が良いのは助かります。
蓋があるのも地味に良い。
ちなみに金属のネジ部分のバリがとれてなくて、尖った金属片が飛び出ていてあぶなかった。
スポンジで1回洗ったので気づきましたが、使用する時に確認した方が良いかも。
ハンマーで処理しました。
面白いと思ったのは、この製品の本体はアルミニウム製なのです。
IKEA 製品の通常は、アルミニウム芯+ステンレス外装といった構造設計が採用されることが多いので、ちょっと意外でした。
アルミニウムは熱伝導率は 205 W/m·K で、鍋底全体に熱が均一に広がりやすいです。
ステンレス鋼は熱伝導率 16 W/m·K で、加熱に時間がかかるものの、外装に使用すれば耐食性と耐久性に優位があります。
この鍋を使用した場合、自然対流によって温められた液体が膨張し、軽くなって上昇。底面近くは温度が高く、表層は温度が低いため、対流セルが発生し、鍋の内部の食材を均一加熱できます。
また、素材が違うことで発生する熱膨張率の違い(アルミ:23 ×10⁻⁶ /K、ステンレス:17 ×10⁻⁶ /K)により、従来製品のような圧着加工や摩擦圧接で耐久性を確保する必要が無いので、多層構造による異材接合部の境界での応力集中が発生しないことで接合剥離リスクが低減できるのはメリットですね。
内部の黒い鍋部分はセラミックノンスティック加工がされているとのことです。
ノンスティックはこびりつかない機能を意味しており、セラミックノンスティック加工とはケイ素(Si)をベースにしたシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムなど無機物質をソル-ゲル法を使い、金属表面に無機セラミック層を形成したもの。コーティングされた表面は硬度が高く、金属ヘラなどに対しても耐性があると言われますが、説明書きには「鋭い角のない木製かプラスチック製の調理器具のみを使用してください」とあります。
一応、モース硬度で6〜7程度という普通のガラス並みの硬度はあるのですが、経年劣化や強い衝撃・急冷急加熱によりヒビ割れすることもあるので安全に使用したいですね。
また、この製品の売り文句として「PTFEまたはその他のPFASを一切使用しないセラミックコーティング」という記述がありました。
- PTFE(Polytetrafluoroethylene / ポリテトラフルオロエチレン):
俗にいう「テフロン加工」。極めて滑りがよく、耐薬品性が高い樹脂。 - PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances / 有機フッ素化合物の総称):
PTFEもこのカテゴリに含まれる。撥水性・撥油性が極めて高い。
PFASは「永遠の化学物質 (Forever Chemicals)」とも呼ばれ、自然界でほとんど分解されません。
排水や製造時に環境に放出されると、水質汚染や生態系汚染につながるという問題があります。
また、PFASは分解されにくく体内に蓄積されることもあり、長期的な摂取で内分泌撹乱・発がん性・免疫系への影響といったリスクが示唆されています。(※EUや米国ではPFASの規制強化が進行中。)
日本では規制されていないためフッ素加工のフライパンが市場流通していますが、このあたりは外国のニュースに疎い人には馴染みがないかと思います。
メーカーの発表では発がん性が確認された物質は、すでにフッ素樹脂加工の原材料には使われていないと主張されてはいます。
それと比較するとセラミック加工はソル-ゲル法で水溶性溶媒が使われ、フッ素化合物の排出ゼロ。
無機素材が主成分であり、これら有機フッ素化合物を一切含まず、調理中の分解ガス・揮発性物質の心配がありません。IKEAは特にサステナビリティ戦略が強く、未来の法規制を見越して製品にPFASを使わない方針を進めているみたいですね。
ちなみにセラミックと PTFE を比較してみると、滑り性能はセラミックがやや劣ると思います。
長期間使うと摩耗し・焦げつきやすい点も弱点ですね。
すでにながながと僕の説明がありましたが、付属する説明書はシンプルです。
この片手鍋を使用する最大のシチュエーションといえば……。
そう、冷凍ラーメン!
とりあえず国道沿いにだけ出店する全国チェーンの雄、横綱ラーメンをいただきます。
これ鍋に落とすとスープが溶けてラーメンになるという世紀の新発明(?)ですよね。
家にいながら専門店の味が楽しめるという、贅沢な一品です。
この麺玉と片手鍋がジャストサイズなわけで……そう、天蓋付近に向かって狭くなっている形状なので、ぎりぎり麺が入りきらない。マンホールの蓋が丸いのと同じ理由で、円は直径がどの角度も同じにならないので落ちないんですよね。
まぁ、落ちるんですけど。
ラーメンの麺玉は完全な円じゃないから落ちるということなんでしょうね。
良いサイズ感で、まるで専用で設計されたかのようなシンデレラフィットです。
熱伝導率の高さでスープがすぐに溶け出すので、すぐにお店レベルのアツアツのラーメンの出来上がり。
このまま食卓まで持っていて食べられれば楽かな、とも思ったのですが、鍋が深く箸を入れにくいのでこのままでは食べづらいです。別容器に移して、美味しくいただけました。
コンパクトサイズで洗い物もすくなくなり、かなり便利です!
コーティングで撥水性もあるので、洗うのも楽です!
セラミックノンスティック加工と、類似の加工との比較
セラミックノンスティック加工は摩耗耐性は強いが硬質アルマイトほど強靭ではなく、PTFEよりははるかに摩耗に強い。摩耗とノンスティック性を両立した中間的な存在といえます。
- セラミック加工の耐摩耗性はPTFEより上、硬質アルマイトよりはやや劣る。
半年〜2年程度の寿命(使用頻度や手入れに依存) - 硬質アルマイトは数年以上持つことも可能(ただし、油が必要でこびりつきやすい)。
- 摩擦係数は PTFE ほど滑らかではないため金属ツールに強い反面、焦げ付きが起きやすい。
- 長期的には、表面のセラミック層が徐々にマイクロクラックを起こしやすく、摩耗が進む。
- 落下や衝撃でコーティングが割れると摩耗性は急激に低下。
鍋一つでサステナブルな未来
シンプルで機能的なデザインが特徴です。
その滑らかなラインとバランスの取れたフォルムは、視覚的な美しさと使いやすさを両立しています。また、耐久性のある素材と実用的な設計により、日常の調理に最適な製品となっています。
ハンドルの角度や素材など、見た目のシンプルさの裏に、熱伝導や重心バランスまで計算された合理的な設計美が光る見事な製品だと思います。
「PFASフリー」は現代の健康・環境意識の高まりを受けた“次世代スタンダード”の象徴です。
焦げつかない美学、そしてコンパクト
安全なノンスティック加工と撥水により、掃除はしやすいです。
コンパクトな鍋なので収納も楽。なによりハンドル部分が長く伸びているのではなく、ビールジョッキのような形状なので、棚の中で全くスペースを取らないところが嬉しい。
長期的に使用しても人体にも環境にも影響がないというところもイマドキです。
IKEA流ノンスティック進化形
IKEAらしい、庶民価格です。
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購入金額
1,699円
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購入日
2025年02月15日
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購入場所
IKEA
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