新居に引っ越してすぐに長期海外出張だったこともあり、Wi-Fi 環境は実家から持ってきた家庭用ルーターをなんとなくそのまま使用していたのですが、ここ最近暑さだと思うのですが応答不能になることが数度ありストレスに思ったんので、入れ替えすることにしました。
ちなみにネットワーク環境は「入れ替えタイミングでその人のスキルが分かる」と言われているらしいです。「Wi-Fi7にしたいな」と思い立っても、Wi-Fi6 に入れ換えてしまってすぐのタイミングだと、新機種の購入・導入が難しくなるかららしいです。いや知らんがな。好きな時に安い時に買わせてくれよ。
今回購入したのは、Ubiquiti(ユビキティ)社の「U6 Lite」です。
簡単に説明すると、定価 ¥18,799(税込)ながら、驚異の 300 台以上の接続デバイス数を誇り、多彩な管理機能と充実したダッシュボードを搭載したコストパフォーマンスに優れる魅力的な製品です。
海外勤務時に存在を知って気になってはいたのですが、このタイミングでようやくお迎えすることができました。
大量にアクセスポイントを設置したい場合は当然価格が安価な方が良いのですが機能や品質がトレードオフになってしまうデメリットもあります。しかし Ubiquiti の製品は法人用途で使うことを前提とされていますので安心感があります。
Ubiquiti(ユビキティ)社について、日本では知名度が無いらしいのですが、元 Apple(アップル)社のエンジニアであった Robert Pera(ロバート・ペラ)氏が設立した企業です。分かりやすいエリートで、USA経済誌 Forbes(フォーブス)の「list of the 10 youngest billionaires in the world(世界で最も若い億万長者10人)」にも選ばれています。ちなみに日本語の学士号を取得しています。
ペラ氏は伝送距離を延ばすアイデアを会社が受け入れてくれなかったことで Apple を退社し独立したというのが経緯のようですが、彼が市場に選んだのは「電話回線やケーブル回線などインフラが不足している地域」で、そこにワイヤレスによる製品群を投入したことで成功を得たというかんじです。
Ubiquiti の特徴としては、プロ級の設定項目の多さ。かなり細かいところまで設定できる他、可視化されているので分かりやすく把握ができます。
このあたりは後進メーカーの強みですね。
例えば、トポロジー画面。
U6-Lite に何が接続されているか分かりやすくなっています。
端末を認識して勝手に表示されてくれます。画像アイコンも豊富で種類も多く、例えば Nintendo Switch などもあります。他メーカーではそんな対応しないと思うので貴重ですね。
トポロジー画面
テスト的に、iPad、ゲーム機の Switch、ノートPC(Windows)を繋げました。
既存のネットワークに繋げただけで、使用可能でした。
トラフィック
どの端末が多くインターネット回線帯域を使っているか、線の太さで可視化できます。
線が太くなる他、回線を使用している端末にアニメーションでデータが流れている様子が表示されます。めちゃくちゃ分かりやすいです。企業の情シスになった気分ですね。
可視化されてるアニメーションがめちゃくちゃかわいいんですよ。
ダッシュボード
ダッシュボードも分かりやすくまとめられています。
接続している1台のノートPCは、実は離れた階下に置いて様子を見ているため、「信号強度」のところが黄色になり弱くなっている接続があるという警告が見えるようになっています。
これくらい家庭用に販売されている国産ルーターでも見れるし! という方、Ubiquiti のすごいところは、これらがクラウド経由で見られるところです。しかも無料、しかもアクセスがサクサク。
外出先で自宅のネットワーク環境が確認し操作することができるのです。無料のサービスってサーバが重いと思われると思うのですが、Ubiquiti のサーバはさくさく快適です♪
端末接続状態管理
U6-Lite に接続されている(ぶら下がっている)端末もリストで表示されます。
それぞれの接続状況や、どれぐらい回線を使用しているかなども分かります。
部屋が違っても同フロア内なら -65dBm 以内あたりが実用的な電波強度だと思うのですが、どれもクリアしています。階下に置いたノートPC が- 67 dBm くらいでまぁ想定内……くらいなのかなぁ?
吹き抜けがあるので届くかなとは思うけど、快適にするならやっぱり1フロアに1台置く計算なのかな、と。
またよく RSSI の値で判断して一喜一憂する人も多いのですが、RSSI値はノイズによる干渉を計算に入れないので正確な数字にはなりません。特にスマホとかはアンテナが小さいので値も小さく表現されます。
接続端末詳細
クリッすれば詳細も分かります。Wi-Fi品質がグラフで表示され、どのチャネルを使用してるか、それくらいの速度なのかなど、詳しい情報がここから見ることができるので状況把握もしやすいです。
ゲスト用 Wi-Fi 接続画面
Captive Portal機能で、フリーWi-Fi アクセスポイントみたいな画面を作ることも可能。
面白いのは、接続方式にパスワードなどの認証の他に、PAYPAL などの支払いもできるようになっているんですよ!(笑) アクセスポイント利用料でお金を稼げるwwww
他にも Facebook 認証や、バウチャーなどの方式もできます。それらは接続時間や接続速度をコントロールできるので、1日だけ貸し出すとかもできます。無料トライアルが設定できたりもします。開発者こだわりすぎw
僕はヤマハの WLX313 で同機能を使っていたのですが、それが下記画面。U6 の方が機能もですが、見た目もカスタマイズできるところも多いです。
速度制限
アップとダウンの速度を制限させることができます。
この速度制限をいろんなところで適用させることもできます。
速度制限は全体ではなく、細かい接続ごとに設定できます。
使用制限スケジュール
細かく日時でインターネットが使えないように設定することもできます。
SSID ごとに決められるイメージで、かなり細かいです。
名前も付けられるので、なんでこんな設定にしたんだろ? みたいなこともなく便利です。
良いデザインですね。
企業用としては、来客した会社ごとにネットワークを分けたり、来客時間だけゲスト用Wi-Fiを解放したりと、強いセキュリティを築くことができます。
家庭用では、夜間は子供にネットゲームをさせないなどの用途でも使えますね。
日本語
言い忘れましたが、ちゃんとインターフェースが日本語に対応しています。
僕は今回、Wi-Fi アクセスポイントである「U6-Lite」だけを購入し、既存のネットワークにつっこんでいるので、ルーティング関係の機能はグレーアウトして利用できなくなっています。
Ubiquiti の製品群はコントローラと統合して利用するので、同社のゲートウェイがネットワーク内にあれば、この機能が解放されます。
パフォーマンス
Wi-Fi アクセスポイント U6-Lite の状態についてグラフで表示されます。
環境アーカイブ
他の Wi-Fi 等の電波と干渉しているか、重なり具合空き具合を確認できます。
周囲の電波状況をリアルタイムで表示する機能は最近は珍しくないのですが、Ubiquiti はカレンダーから過去の日付を範囲選択して状況を表示できます。前日の夕方に調子が悪いけど何があった?みたいな時にアーカイブから確認できるのもすごい。
ウチは一軒家で、3階に設置してみましたがそれでもたくさんの電波に干渉されていてびっくりしますね。隣人の iPhone どころかカーナビの電波も拾っちゃうもんなんですね。まじセキュリティ無いと怖い。
Wi-Fi 接続先設定
自動でチャネルを選択できる他、完全に自動で任せることも可能です。
単なる数字は無く、グラフィカルに選択するので分かりやすくて超クール。
メッシュ前提での設計で、2.4GHz と 5GHz の区別が最初から無く、自動で切り替わる設計です。
家庭用ネットワーク機器などでは 2.4GHz と 5GHz が分けて表現されることが多いのですが、企業用ではこの、どちらも SSID を同じにする運用方法が推奨されています。たぶんコントローラの性能を低スペックにすることで価格コストを下げているからだと思うのですが。
アクセスポイントから異なるアクセスポイント付近へ移動中に切断されないようにするローミング機能でも恩恵が得られます。
もちろん、わざと分けて設定することも可能です。あまり意味ないかもしれないけど。
InnerSpace(インナースペース)という機能も面白いです。自宅の間取り図を描き、そこに U6 をドラッグさせると、Wi-Fi 電波がどれぐらい網羅しているかを表示します。
適当な間取り図を描いてみたのですが、キッチン辺りに U6 アクセスポイントを設置してみると、Wi-Fi の届く範囲が色で表示されます。地裁ですが、白い丸のように見えるのが U6 の形をしたアイコンです。この例だと、画面下の和室のあたりがイエローで少し電波が弱くなっているのが分かります。
じゃぁ和室のあたりの移動して設置してみると、リビングあたりが弱くなっているのが分かります。
メッシュ構成にした場合、アクセスポイントが複数台あれば網羅できそうですね。
こんなかんじに机上シミュレーションできて楽しいです。
ご家庭では上記のようなエリアカバー方式で考えるのが普通ですが、業務用だとユーザーカバー方式で考えます。リビングで家族4人が使うかな、和室は最大でも2人しか使わないかな、というかんじで設置場所と設置台数を決めていきます。接続台数が多い Ubiquiti は、プロのユーザーカバー方式で設計するのに低コストで済むので最適ですね。
ちなみに、ちゃんとしたコントローラのあるメッシュ構成では、一番端にあるアクセスポイントは出力を抑える調整をします。屋外に電波を飛ばしたり他人に勝手に SSID に接続され情報漏洩するのを防ぐためです。
家庭用 Wi-Fi 機器で出力だけがバカ高いルーターとかみたいなのあって売れてるらしいのですが、プロ仕様との違いはそのあたりの設計コンセプトの違いになっています。
あと細かいですが、SSH 接続にも対応しています。
黒い画面でコマンド打ちたいオッサン層にも喜ばれると思います。
こんなかんじで、触っているのが超面白いアクセスポイントです。
なお、Wi-Fi7 に対応した U7 も既に販売されています。36,900円なので、僕はまだ U6 系で良いかなというかんじです。U6-Lite はその中でもエントリーモデルで、最安値の製品です。もっと高スペックのラインアップもたくさんあります。
外箱。流行の簡易梱包。U6 Pro だったか前に見た時は白い Apple 製品っぽい箱だったような気がしたけど記憶違いかも。
箱はしっかりした造りで、品質的にも企業的にもきっちりしている印象を受けます。
箱の裏。ここまで日本語なし。
以前は個人輸入しか方法がなかったのですが、日本法人もできたので購入はしやすいです。
量販店には流通していない気はします。
箱に技適マークの記載はなく、販売店側でもマークの有無は確認できないっぽいです。
僕の場合は外箱に技適マーク無し(日本語無し・日本向きだと分かる情報なし)、U6-Lite 本体裏側に技適マーク有でした。
箱をあけたところ。
白い本体がすごく綺麗。僕はガラスの質感が好きでガラス家具など集めていますが、梱包された状態だとクリア板が本体を覆っており、それがすごく美しいと感じました。
このカバー、外さずに使いたいけど電波弱くなるかな……。
付属品として小さい紙が1つ入っています。
多言語対応ですが、日本語はありません。
設定は基本自動で使える他、QRコードからアプリを経由して行うこともできるので初心者にも安心なレベルかなと思います。
22言語、こんだけ言語あって日本語無いです。
安心に関する注意事項などが書かれています。
天井設置用の金具も同梱。本体が軽めなんでしょうけど、小さいなという印象を受けました。
本体裏面。
スイッチ等も無く、LANポートしかありません。
ここ注目なんですけど、技適マークがちゃんと付いてます。
個人輸入品だとめちゃくちゃ価格が安く手に入るのですが、当たり前に技適マークが無いんですよ。
罰金のリスクを考えると国内正規品は平穏で安心ですね。
電源ケーブルも無く、PoE により電源供給されます。電源スイッチも無く、ケーブルを差し込んで電源が入ったら ON みたいなかんじです。
U6 Pro には PoE インジェクターが同梱されていたような気がするのですが、U6 Lite には付いておらず実はいきなり焦りました。
PoE には規格違いに泣かされたこともあり良い思い出が無いのですが、こちらは IEEE802.3af/at に対応しています。
サイズ感が分かりにくいかもですが、Lite はショートケーキを乗せる皿くらいの大きさです。
僕は想像していたより小さいなと思いました。
常時青いLEDがぼんやりと光っているのですが、たぶん消せないんだと思います。
※管理画面の設定に「LED」と書かれたチェックボックスがあり、そのチェックを外すと青い光は消えました。
初期設定はスマホでするのが普通らしいです。
僕はスマホで設定すると SSID の設定ぐらいしかできない、と聞いていたので PC から接続したのですが、スマホからなら簡単に初期設定できるという意味らしい(?)
Ubiquiti 製品は独自設計で、既存のネットワークに組み込むような運用はできない、とも聞いていたのでアクセスポイントだけで動かせるのかな、と少し不安でしたが、簡単にブラウザから設定画面まで辿り着きました。
ずっとローカルで作業していましたが、クラウドから設定できるそうです。
ローカルで直接アクセスポイントに設定していると、画面 UI では左上隅に青いアイコンが出てるみたい。クラウドゲートウェイを使うようになってからは、この画面見たこと無いですね。
本体に技適マークがあったことで安心していたのですが、日本語 UI が用意されていました。
直接アクセスポイントに入る時は、上記がログイン画面です。
みんなクラウドから入ること前提で買ってると思うから見たことないだろ。
競合アクセスポイント
Ubiquiti の布教活動をせざるをえない
丸い形状は賛否分かれると思うのですが、天井付だと薄く丸い方が形が綺麗にまとまるように思います。青い LED が常にぼんやり光っているので、近代的な雰囲気があります。和室には合わないとは思います。
素材感もよく、光沢のあるボディと純粋な白は、壁紙が白い邸宅に似合います。
サイズは小型な方だと思うのですが、U6-Pro とか高機能になると少し大きいような気がします。
使用してみて思ったのは、初心者にもプロにもどちらにも使えるコンセプトデザインだな、と。
初心者にはスマホを使ってQRコードを撮影すれば自動で設定してくれる処置があるし、上級者には何の説明もなく細かいところがいじれるようになっています。
逆に、低価格を実現するためのスペックのところでは出力が抑え気味で接続台数を増やすという設計コンセプトのため、数値で商品を比較レビューするガジェット好きのような方々には受け入れられ辛いのかも。
また、特に管理画面も見ない、一度設定したらもう触らない、という人にも向かない製品だなと思います。めちゃくちゃディープに触りまくるし改造するしクリエイティブに使うし、という人は大好きな製品です。
僕も試験運用後には、あと数台を追加購入して無限の快適 Wi-Fi 空間をつくりあげたいなぁと考えています。
管理画面ダッシュボードの出来が良い
天井に付けるので掃除の頻度は高くなく、凹凸も LANケーブル1本だけ、そこから給電するので電源コードも要らずに、ほとんど面倒をかける部分はありません。
ただ、かなり熱を持つので壁紙の変色などは気を付けた方が良いです。
月額無料の最強コスパ!
クラウドの利用は、どの企業もサブスクになっている昨今、Ubiquiti は無料なので差別化されています。本体の価格も1万円台で安い。たくさん買ってたくさん設置することで快適なネットワークを手に入れることができます。
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購入金額
17,000円
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購入日
2024年10月05日
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購入場所
商社
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