ここからは私の中で今回の本命としていた、第2世代のStageシリーズの試聴へと移ります。
とはいえ、このシリーズは以前の一斉試聴で一度は聴いたものばかりですので、あくまで今回はaudio-technica AT-OC9ML/IIとの相性を探るということになります。
前回の一斉試聴の結果は以下でご覧いただけます。
前回は今まで試聴用のリファレンスとしていたZYX R50 Bloomではなく、入手したGoldring ELITEというMCカートリッジとの相性をみるためにお願いしたものでした。その意味では今回と同様に特定のカートリッジとの組み合わせにフォーカスした形での試聴ということになります。
第一世代から着実に進化
試聴楽曲は全モデル共通で以下の3曲です。
・Together We Run / Journey (LP「FREEDOM」収録)
・Like Someone In Love / Diana Krall(LP「Turn Up The Quiet」収録)
・Born For This Moment / Chicago (LP「Born For This Moment」収録)
まずは「Together We Run」です。ここでは敢えて第一世代で1グレード上のStage2鏡面加工となる、KS-Stage203EVO.IIと比べてみました。
まずアーネル・ピネダの声はKS-Stage121EVO.Iの方に分があります。KS-Stage203EVO.IIでは声が硬めで低い方の力に欠けるのですが、KS-Stage121EVO.Iでは低い方の声も力強く出ますし、エコーの量も十分表現されます。
バスドラムの量感は同等かKS-Stage121EVO.Iの方が僅かに上というところですが、最低域までの伸びはさすがにKS-Stage203EVO.II方が感じられます。この辺りは基本性能の違いということでしょう。逆に高域方向はPC-Triple Cが得意とする領域であるだけにKS-Stage203EVO.IIが有利ではありますが、ハイハットの質感はむしろKS-Stage121EVO.Iの方が自然かも知れません。いずれにしても、どの要素で見ても、第一世代のStage1モデルよりは大幅に進歩していることがわかります。
次に「Like Someone In Love」では、ダイアナ・クラールの声はKS-Stage121EVO.Iの方がずっと生々しさがあります。第一世代のStage1と比べると声の存在感が出ていますし、ヴォーカルとの距離も近くなりました。ただS/N感についてはKS-Stage203EVO.IIの方が少し上かも知れません。ただ雰囲気の濃さはKS-Stage121EVO.Iが感じられ、この曲では総合的に上回ったと思います。
「Born For This Moment」では冒頭のベースに重さがより感じられるのはKS-Stage203EVO.IIですが、量感はKS-Stage121EVO.Iでも十分にあります。ホーンセクションの質はKS-Stage121EVO.Iの方が自然に感じられました。ニール・ドネルの声でもやや子音が強く硬めの声となるKS-Stage203EVO.IIよりも、KS-Stage121EVO.Iの方がしっくりときます。
レンジの広さと解像度ではKS-Stage203EVO.IIの方が上位モデルらしさを見せますが、音楽そのものの美味しい部分はむしろKS-Stage121EVO.Iが聴かせてくれたように思います。KS-Remastaの製品は価格がそのまま音の水準に反映されていることが多く、下剋上が滅多に起こらないのですが、この両者の比較であれば私はKS-Stage121EVO.Iを上と判断します。
以前伺った話では本当は第二世代のStage1はもう少し値上げしようと思っていたが、とにかく鏡面加工の良さを手軽な価格で味わってもらえるよう戦略的な価格をということで、第一世代から据え置いたとのことでした。確かにこの実力を見せつけられれば納得せざるを得ません。
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購入金額
16,500円
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購入日
2023年10月04日
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購入場所
KS-Remasta
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