黄ベル・ダブルセイバーバルブ仕様
配置はごく一般的なダブルセイヤーバルブ仕様のバストロンボーン。
ベルカット仕様でも10-1/2inchなどのラージベル仕様でもなく、9-1/2inchのイエローブラスベルを採用した、オーソドックスな構成である。
個人的には半分ネタとしてラージベル仕様またはベルカット仕様が良かったが、そもそも構成オプションがあるのだろうか。
ベル側面の彫刻がお洒落。F管/Ges管レバーも工夫アリ
まず目を引くのが、ベル側面に彫り込まれている彫刻だ。
メーカ名の刻印のみならない彫刻は、この楽器の高級感をより一層引き立ててくれる。
また、F管およびGes管のレバーについては、F管側は先端が木製で指への負担を和らげ、Ges管側はイモネジを緩めれば手に合わせた位置の変更が可能な補助具が取り付けられているなどと、操作のしやすさ、そして疲れにくさに貢献するためのものが取り付けられている。至れり尽くせりだ。
ただし、これらレバーの支点部分の止めネジが可動部であり給油することも相俟ってか微妙に緩みやすく、時折確認して緩みがないかを点検しなければならない。筆者の個体はGes管側のネジが緩みやすく、楽器ケースにマイナスドライバーを一本常備している。
音色は素晴らしいが、息の消費量は半端ではない
セイヤーバルブの利点は、通常のロータリーバルブと比して圧倒的に抵抗が少ないことにある。
これは特に低音域を担当し、バルブセクションを多用するバストロンボーンにおいては、音の抜けに直結するため重要である。半面、その抵抗の少なさというのは息の消費量がより多いということでもあり、肺活量はより多く必要になってくる。
この楽器はヤマハ製のものと比べると(楽器の選定に当たり、楽器店のバストロンボーンフェスタを利用して複数のメーカの楽器を試奏した。ヤマハはXeno)ベルが重く、その分吹奏感も重いはずだが、バルブセクションの違いからか、こちらの方が自然に吹けると感じた。
なお、ヤマハの楽器が勧められる理由もこの時に垣間見えた。それほど良かったのである。しかし筆者がヤマハを選ばなかった理由は、当時は現在よりも肺活量があったのもあり、少し息を入れただけでいとも簡単に音を割ることができたからである。音を割ることは個人的にはバストロンボーンの特権、と言っても過言ではないくらいに肯定派なのだが、いかんせん筆者にはその割れる直前の状態での息の入れ方があまりにも軽く、コントロール幅が狭く感じたからだ。これは、高校時代に学校の備品としてオールドバックのダブルセイヤーを利用していたこともあると考えられる。閑話休題。
なお、この息の消費量が多いということもあり、練習量を物理的に確保できなくなった現在は肺活量も落ちたせいかかなり息を吸う回数が増えていると感じる。肺活量を鍛え直さねば……。
割った音が上品。軽く動くスライドも好印象
最終的にこの楽器とXO製のROTAXバルブの2本に絞り込んだが、ここでかなり悩んだ。
最終的な結論として、上記にある割った音の上品さで選んだ。価格で言えば圧倒的にXO製のものの方が安く、むしろこの楽器は予算オーバーなものではあったのだが、音色がより好みで上品だったことが決め手となった。
スライドに関しては、先日オールドバックを触れる機会があったのだが、これよりもスライドが軽く動くことに気付いた。スライドを動かす手に力が要らない分、スムーズに動かせることは相当な利点であろう。
長く使うには最高の相棒
高校卒業後は大学の吹奏楽団や地域の楽団にも所属せず、気ままに演奏する程度となり、とてもではないが以前の腕、演奏技術には及ばなくなってしまっている。しかし、思いついたときにさっと楽器を出してすぐ演奏できるのはとても心地がいい。
本番をほぼ迎えることはないだろうと考えていたこの楽器も、気付けばニコニコ動画の「吹いてみた」や「ニコニコ超パーティー」での舞台演奏、そして「ニコニコオーケストラ」での演奏など様々に出番が回ってきている。相変わらず息は持っていかれるが、音程も良くストレスなく演奏できるというのは、やはりいい楽器であるということの証明なのかもしれない。
ちなみに
下記にこれで演奏した動画へのリンクを並べていきます。良かったら聴いていってください。
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購入金額
590,000円
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購入日
2013年02月16日
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購入場所
三木楽器 心斎橋店
北のラブリエさん
2020/04/04
奏者は村田陽一さんくらいしかパッと出てこないですがよく音程が合うもんだなと思っています。