楽器メーカーKORG。日本におけるシンセサイザーメーカー御三家(YAMAHA、Roland、KORG)のひとつだが、他の2社に比べると、よく言えばコンシューマー系にむやみに手を広げておらず楽器専門メーカーとして尖っているし、悪く言えば一般的知名度が低く地味。
ただ、日本初のシンセサイザーの開発だったり、現在世界中のオーディオメーカーから注目されているポータブル対応三極真空管「Nutube」の開発など、歴史に残る開発を行っている技術の高さもある。
現時点のKORGのシンセサイザーの中心は、KRONOSシリーズと呼ばれるオールインワン形式のミュージック・ワークステーションだが、他にも木目の美しいショルキーRK-100S 2や、今では貴重なボコーダー機能を持つmicroKORG系など特徴のある機種をラインアップしている。
ソフトウエア系シンセとしては、PC用に、名機Mono/Polyや一世を風靡したPolysixなどのヴィンテージシンセサイザーのモデリングアプリ、タブレット/スマホ用としてはパッチシンセの名機MS-20を模したiMS-20や、経営難に陥ったKORGを救ったミュージック・ワークステーションM1のモデリング版iM1 for iPadなどがある。これらはいずれも過去の名機の再現アプリだが、その中で、タブレット/スマホのタッチパネル操作を活かしたシンセサイザーがラインアップされている。
それが、iKaossilator。
これは、Kaossilator(カオシレーター)というKORGのガジェットをデジタル化したもの。
そのKaossilatorにはいくつか種類があるが、基本「ループサンプラー」+「鍵盤レスシンセサイザー」というデバイス。
ポピュラー系音楽は繰り返しの要素が大きいので、4小節や8小節単位でループするサンプラーにリアルタイムレコーディングして音を重ねていけば曲になっていく。アーティストでも、スガシカオやさかいゆうなどは、独りでパフォーマンスを行うときには、そういったループサンプラーに、コードやリズム、パーカッションをステージ上で次々に入れていってバックトラックを創り、それを流しながら歌うことがある(↓こんな感じ。出来上がったカラオケを流しながら歌うより、はるかに同時性・即興性が高い演奏になる)。
Kaossilatorは、そんなループサンプラーにシンセサイザー機能をつけたデバイスだが、これが「楽器」と言うよりも「ガジェット」と捉えられているのは、その演奏法にある。
このKaossilatorには、キーボード(鍵盤)や、電子ドラムなどのような単音に対応したパッドなどがない。音色切り替えなどのボタンのほかには、「演奏のための操作部分」としては、ノートPCのようないわゆるタッチパッドのみが存在する。これをサワサワ、グリグリして「演奏」する。タッチパッドは左側が低音で右に行くほど高音、下の方が地味な音で上の方が派手な音(モジュレーションがかかった音)という決まりはあるが、「ここがC(ド)」などという明確な目印はない。なので、感覚的にタップやスライドして音を奏でるワケ(慣れてくると、コード楽器などの発音時に光るポイントで「このあたりがC」などと、だいたいはわかるようになるが)。
設定に潜れば、細かくパート指定や音色指定、スケール指定もできるので、深く使いこなせれば自分でいちからリズム⇒ベース⇒バッキング...と重ねてトラックを作ることも可能だが(一番下に付けたKORGのデモ映像はそんな感じ)、初心者的には豊富に用意されているベーシックトラックをもとに、主旋律(ソロ)部分をパッドでグリグリ・トントンして「演奏」するのが入口。自分の演奏がドンドン形になっていくのがのがたのしいワケ。
譜面が読めなくても、楽器を演奏できなくても、タッチパッド部分をこすったり、タップしたりしていれば何となく曲になっていくので、ピアノレッスンやバンド活動などの音楽活動をしていなかった人でも創作ができる。できた曲は「自分の」曲なので、店のBGMなどに使っても著作権料かからないし。
新しい形の「ミュージックデバイス」として、のちにBASTL INSTRUMENTSやHikari Instruments、Teenage Engineeringの製品など「既存の楽器の形をしていない楽器」のリリース=「ガジェットシンセブーム」を引き起こした、KORGのエポックメイキングなガジェットKaossilatorのアプリ版iKaossilator。
Kaossilator同様、タッチパッドを触っていればなんとなく曲になっていく。もちろん細かく設定して完全オリジナルトラックを創ることも可能。
リアルタイムレコーディングで重要なクオンタイズ(テンポズレ補正)も設定可
そのアプリが、現在世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の流行にともない、家で過ごすことが多くなっている人たちへの支援策として2020年3月末まで本来1840円のモノが無料になっている(iOS版。Android用の「for Android」は明日3月20日までが無料期間)。
この連休、あなたもグリグリ・サワサワ・チョンチョンしてクリエイターになってみては??
できた作品を保存⇒ネットにアップロードして、キミもクリエイターデビューだっっ!
【仕様(Version 3.1.0/2015.12.16 Update)】
■シンセサイザー部
全190音色
Essential Kit: 150(ダウンロード時に含まれるプログラム数)
EDM Kit: 40(アプリ内課金にて追加可能)
スケール 35種類
キー -12 ~ +12
■オーディオ・ループ・プレーヤー部
フィルター・エフェクト内蔵
最大4小節
ループ・インポート数 無制限(デバイスの空き容量に依存)
対応するファイル形式:WAV、AIFF、MP3、AAC
■シーケンサー部
5パート・最大4小節のループ・シーケンサー(ループ間で組み合わせ可能)
パート毎にソロ/ミュート可能
クオンタイズ機能(Off, 1/32, 1/16T, 1/16, 1/8T, 1/8, 1/4)
テンポ 20 - 300BPM(タップ・テンポ機能装備)
ループ保存数 無制限 (デバイスの空き容量に依存)、50プリセット・ループ
Flex Play機能
■Audioエクスポート
SoundCloud上での共有および閲覧
Abletonプロジェクト・エクスポート対応
Dropboxへのアップロードが可能
AudioCopy、AudioPaste対応
iTunesファイル共有によるMac/PCへのエクスポート対応
■その他
WIST(WIreless Sync-Start Technology)対応
Audiobus 2 対応
■動作環境
iOS8以降
iPhone(4S以降)、iPod touch(第5世代以降)、iPad series(iPad 2以降)
「KORG iKaossilator for iPhone : Demonstration 1」
直感的、ということは、逆に論理的に捕らえるのが難しいと言うことでもある
なんとはなしにタッチパッドを触っていたら曲(フレーズ)がうまく出来ることもある。
しかし、逆に「ここをこうしたい」というのを実現するのは難しい(かなりの慣れが必要)。
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購入金額
0円
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購入日
2020年03月14日
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購入場所
App Store
takamizuさん
2020/03/23
cybercatさん
2020/03/23
古いiPad
takamizuさん
2020/03/23
cybercatさん
2020/03/23