先日紹介した新メインDAP、「百合DAP」Shanling M3X Limited Edition、
それまでのメインDAP、ONKYO DP-X1A
に比べると、コンパクトで持ち出しやすく、その割には高音質と、バリューの高いDAPだった。いまは半導体不足などの理由からか、少々値上げとなってしまったが、ベースとなるM3Xは、初値はミドルクラスのDAPDP-X1Aのほぼ半額であり、クラスが違うので「表現力」や「正確性」という点では及ばないところは、もちろんある。しかし、結構中域の「空気感」というか、音場の作り方が上手く、クリアでモニター指向のDP-X1Aとは傾向が違う方向性で、リスニングに最適化したDAPで、バッテリー保ちもよいので、現在cybercatのメインDAPに昇格している。
ただ、自分が入手したのが中国本国版であり、そのためなのかPlayストアがインストールされていなかった。そのため、せっかくのAndroidベースのDAPでありながら、自由にアプリの追加・変更ができなかったが、その後、Shanling M3X Limited Editionのレビューに書いたように、数世代前の「Google Play Store」と「GooglePlay開発者サービス」のAPKを、直接外部から流し込んで実行する方法で、Playストア導入に成功し、アプリ導入の自由度が大幅に高まった(DAPの採用OSが2016年リリースのAndroid 7.1.1 Nougatなので、それゆえの制限はあるが)。
これで(自分はあまり使わないが)サブスクアプリなどの導入も自由になったわけだが、自分として手を入れたかったのは、実は音楽再生アプリ。
Shanlingの標準音楽再生アプリは、EQの画面設計があまりよくなく見通しが悪い、プレイリストの使い勝手がイマイチという点はあるが、いつもEQはフラットのママで、IEM/イヤホン側で音を変える聴き方をしていて、再生も気に入った曲の1曲繰り返しはあるものの、アルバムは「曲順や無音部分の長さなど構成も含めて作品」と考えているので、原則アルバム単位で曲順通り聴いていく自分としては、どちらもあまり有効利用している機能でないため、その弱点を気にすることなく、ほぼ問題なく使用している。
ただ1点を除いては。
Shanlingの標準音楽アプリは、ギャップレス再生に対応していないのだ。
そのため、ライヴアルバムのように、本来オーディエンスノイズが絶え間なく鳴っているような作品や、2つ(以上)の曲がクロスフェードしている、プロローグ部分がついている組曲風の曲やノンストップダンスミックス盤に代表される切れ目なく音楽が続いているような演出がされている作品も、トラックを渡ると無音部分が入り、著しく没入感がスポイルされる。
そこで、ギャップレス再生に対応したプレイヤーアプリを導入することにした。
要求仕様?は
・ギャップレス再生対応
・ハイレゾファイル再生可能
・アルバムアート対応
と言う程度。
Androidの音楽プレイヤーはあまり詳しくないので、Webで色々調べて上記3要件対応で「Android 7系でも対応」「FLAC形式対応」「音質に定評がある(妙な加工による劣化がない)」と言われるアプリのひとつが、中国東莞のポタオデメーカーHiBy Musicの音楽再生アプリ「海貝音楽」だった。
無料でもあるので入れてみるかと。
※DP-X1Aの標準プレイヤーと近似していて、使い勝手も判っているONKYOのOnkyo HF Playerは、ハイレゾファイル関係でフル機能を使うには有償版を導入する必要があるが、ONKYOの今後の動向が不明なため、当初から選外にした←事態が進んだ2022年5月にも改修が入っているようなので、今後導入してみるのも良いかもしれない。
期待通りギャップレス再生が出来て、ハイレゾファイルも再生可能。
音質調整は、EQはグライコ形式で31、62、125、250、500、1k、2k、4k、8k、16kの10バンドなのだが、やはり画面が分割されるのでグライコとしてはやや使いづらい(自分としてはEQを使うときは音質を大きくいじると言うより補正的に使うので、小画面なら特にパライコの方が良いと思うんだけどどうだろ?)。
右肩のスライドで有効/無効。Shanling純正のプレイヤー同様上の帯域は一目では見えない
面白いのは「MSEB(Mage Sound Eight-Ball Tuning)」という音質調整機能。これDSD形式(ファイル形式ではDSFとDFF)を除けば、ハイレゾファイルにも使えるのがウリの音質調整機能で、ハイレゾ楽曲でもダウンコンバートせず、そのままいじる事が出来るというのがポイント。グライコ機能は最高が16kHzなのでハイレゾファイルに含まれる(はずの)それ以上の音域には手を出せないが、MSEBはそれらも含んで調整するわけ。
えーと....FastとかThumpyとか、どう変わるんですかね(^^ゞ
ただ、その調整方法は変わっていて、抒情的と言うか感覚的と言うか....「Note thickness」や「Air」と言った各調整項目の内容もあいまいだが、スライダーで調整するその「ラベル」が、「Cool」とか「Warm」、「Crisp」と「Thick」など、内容をあらわしているというか、ふわっとしているというか...
そしてそれの説明が一切ないw
使っている言葉も「Thumpy」のようになじみのない言葉(Thumpyは「ゴツゴツした」と言うような意味)。海外サイトで見つけたユーザーによる解析を参考に言葉にすると....()内は調整内容名
・Overall Temperature:2kHz以下の中低域の増強(Cool/Bright⇔Warm/Dark)
・Bass extension:重低音(主に50Hz以下)の増減(Light⇔Deep)
・Bass texture:中低域(主に80hz付近)の増減(Fast⇔Thumpy)
・Note thickness:Crispは3kHz~5kHzあたりの増強、Thick側は1kHz~2kHzあたりのブーストか?
(Crisp⇔Thick)
・Voice:中域の増減(Recessed/Crisp⇔Foward/Radio Edit)
・Female overtones:Intoxicatingの方に振ると女声が甘くなる(Detoxed⇔Intoxicating)
・Sibilance LF:歯擦音の低域側調整?(Soft⇔Crisp)
・Sibilance HF:歯擦音の高域側調整?(Soft⇔Crisp)
・Impulse response:女声の温度感?(Slow/Musical⇔Fast/Hard)
・Air:高域~超高域の増減(Soft⇔Crisp)
...う~ん、わからんw
ただ最大限に動かすと結構音が変わるので、それで特徴を掴んで、ブーストしたい/カットしたい方向に振り切った後、過度にならない程度に抑え、その状態で系統の違う楽曲を聴いて破綻していないかをチェックという感じで追い込めば、相当好みの音に近づけることが出来ると思う。
また、この設定は「名前をつけて保存」で複数残しておくことが出来るので、IEM/イヤホンによって調整を変えるとか、ジャンルによって変える、もしくは用途(カラオケ的にヴォーカル帯域を引っ込めたオケが欲しい、等)によって使い分けることも可能といじりがいありそう。
ま、cybercatは使わんケド(爆
こんなやりこみ要素?たっぷりで、音質も良い、ギャップレス再生可能なハイレゾ対応の音楽再生アプリだが、一点だけ致命的な問題が....
それは文字化け。
中華系アプリに時々見られる、日本語の曲名やアーティスト名が表示されない問題(この「海貝音楽」の場合「?」で表示される)。
交響アクティブNEETsの「鉄底海峡の死闘」は“NEETs”の部分だけ表示
全ての漢字やかな、カナがダメなわけではないのが...意味不明
ただ、全く表示されないわけではなく、きちんと表示されるのもあるのが厄介。全く表示されないなら、題名などを全てローマ字表記にするというような逃げを打てるが、一部の曲は表示されるので、CD取り込み楽曲ならともかく、ダウンロードで入手した楽曲をあらかじめすべてローマ字化するのはめんどい。さらに文字化けの規則性がないので、DAPに入れてみないとワカランという.....
この部分がメインの音楽アプリとするには決定的に致命的。
ま、この海貝音楽に期待するのはギャップレス再生なので、それが必要なライヴ盤やノンストップミックス盤は、アルバムアートで選んで通しで聴く形にして、曲ごとに聴く場合にはShanlingの標準音楽再生アプリで聴くという運用にすれば、 回避できるのだけれど、「1つに絞れない」というのはちょっと....音をMSEBで細かく自分好みに調整したい場合は特にダメージが大きいかと...
ただMSEBの調整機能や素の音質が気に入れば、その部分の不便は飲んでも良いかな、と思えるほど独自の機能に溢れる高音質音楽再生アプリでもある。
HibyのDAP、R5やR6、他社だがHidizs AP80等には、この海貝音楽が標準プレイヤーとしてインストールされているはず。そちらでは、改善されてるのかしら?
【海貝音楽仕様】
要求OS:Android 4.4 以上
対応ファイル形式:DSF、DFF、ISO、WAV、FLAC、AIFF、M4A、AAC、MP3、OGG
アプリ出力の標本化周波数:44.1kHz、48kHz両対応
ギャップレス再生:対応
グラフィックEQ:10バンド
文字化けが...
日本語が表示できないというわけではなく、一部の曲でNG。
ま、このアプリを導入したのは、ライヴアルバムやクロスフェードアルバムを「1枚通して」聴くためなので、アルバム内それぞれの曲名が判らなくても大勢に影響ないが、一般的には壊滅的に「使いにくい」ンだろうなー...
Powerampより明確に音が良い
Androidの音楽プレーヤーとしては有名かつ高評価のPowerampに比べて、ゲインも出ているし一聴して高音質(Powerampは有料化する前の期間限定試用版で評価中)。
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購入金額
0円
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購入日
2022年頃
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購入場所
Google Play
jive9821さん
2022/06/24
だが、中身はどのみちHiBy製)は、少なくとも自分の環境では文字化けは
起きていないですね。日本語訳が怪しい部分はありますが。
むしろWindowsのプロパティから修正した文字でも化けないなど、
国産のSONYよりも確実性が高い程です。
cybercatさん
2022/06/24
なにがアカンのやろ。
基本ギャップレス再生にしか使っていなかったのだけれど、もう少しいじってみようかな。
Takahiroさん
2022/06/25
(SHANLING M6(21)で確認したんですが、東京アクティブNEETsの曲の表示がおかしい・・・てなことがなかったんで)
cybercatさん
2022/06/25
自分のはダウンロードモノではなく、CDから自分で起こしたものなので統一されていないのかも。
ただサンプリング周波数も表示されない曲があるんだよなー。