レビューメディア「ジグソー」

コントロールはiPhoneではちょっと苦しいが、音はホンモノ

シンセサイザーという楽器。

 

最近では純粋な意味での「シンセサイザー」はかなり減ってきている。

「シンセサイズ=合成する」という言葉からできた言葉のため、元々は「単純な発信器の波形を」「重ね合わせたり/変調させたりして複雑にし」「音の出方を決めて」楽器音にするという機構の楽器をこう呼ぶ。

 

しかし、その後デジタル技術の発展で、「デジタルサンプリング」された楽器などの音を核に、「重ね合わせたり/変調させたりして複雑にし」「音の出方を決めて」演奏音にするという手法がメインとなった。

 

ただ、元となった「純粋な意味でのシンセサイザー」世代の楽器は、当時の「綺麗でない波形」や「クリアカットでないフィルター特性」が逆に味になっていて、1970~1980年代あたりの電子楽器は根強いファンを持つ。

 

リリース当時なかった、コンピューターでの自動演奏や他のキーボードなどからの操作を行ったり、複数の音源を重ねて音を厚くしたりと言ったニーズに対応するため、その当時の機材にあとからコントロール端子(MIDI端子)をつけたような改造機

も存在したが、いずれにしても現在では発売後40~50年経っており、音が出ない個体も多くなっている。

 

なによりこの頃のアナログシンセサイザーは、電圧を音階の基準にしていたので、電源管理にうるさく、完調に保つこと自体が大変。

 

そんなこともあってか、最近楽器界では「モデリング」という技法が流行っている。これは発音の仕組みをコンピュータ上でシミュレートして楽器やギターアンプ、エフェクターなどを再現する手法。

 

出始めは「良く出来たまがい物」という感じだったが、最近では結構わからないレベルになってきている。

 

そんな手法を使った音源の一部は、スマホ/タブレットアプリとしてもリリースされている。

 

そのひとつが、Moog Music Inc.がリリースしている「Minimoog Model D Synthesizer」。

 

つまり前述した「MIDIMOOG」の元となった「Minimoog」を開発した「Moog」直系の会社が、自ら「Minimoog」を再現するアプリを開発したわけ(とは言っても以前の販社Moog Music社は閉鎖されていて、現在のMoog Music社はMinimoog開発者のRobert Moogにより再興されたもの)。

「Moog Music」と誇らしく入る
「Moog Music」と誇らしく入る

 

立ち上げると、まさに「Minimoog」。配置も何もかもマンマ。3つオシレーターがあって、それら(とノイズ)のミキサーがあって、フィルターがあって、LFOのスロープや発音後の音量カーブを決める回路がある。

標準モード?全景はまさにMinimoog。
標準モード?全景はまさにMinimoog。

 

オシレーターは6つの波形が選べるし、それらのオンオフも出来る、フィルターをいじって変調の具合を決めることも出来る。

 

音色も結構イイセン行っている。

編集モード?鍵盤は小さくなるが、パネルの重要な部分が大きくなる。
編集モード?鍵盤は小さくなるが、パネルの重要な部分が大きくなる。

 

iPhoneでもなんとか演奏できる表示だが、逆に音はリアルタイムにはいじれない。
iPhoneでもなんとか演奏できる表示だが、逆に音はリアルタイムにはいじれない。

 

ただ、iPhoneだと厳しいなー。一応、パネル全体が見えるモードと、音色編集用にパネルのオシレーター以降を拡大したモード、逆に演奏しやすいようにほとんどが鍵盤となる表示モードがあるが、編集用モードにしてもツマミは小さすぎて上手く動かせない。また鍵盤メインの表示にすると、「演奏中にぐりぐりノブを動かす」というアナログシンセならではの操作は出来ない。結局、演奏しようとすると1音色だけになってしまう。

 

でも大型のiPadなら結構よいのでは?iPadなら上記の「ぐりぐり」も出来るし(多分)、実機と違って4音ポリなので、バッキングくらいはプレイできる。Bluetooth MIDIにも対応しているので、他のキーボードからコントロールしても良いし。

 

とにかくコントロール部分は、全てのアナログシンセサイザーのお手本となったような操作パネルなので、メチャクチャわかりやすく、いじれるならサイコー。

 

ちな、現在世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の流行にともない、外出しない過ごし方というのが注目されており、いろいろな企業がそれに対するサポートや商品提供を申し出ているが、このアプリも本来1840円のモノが無料になっている(期限不明)。

 

MinimoogはMIDI対応などして本家で一時期再生産されていたが(2016年の「Model D reissue」)、それが輸入されていた頃の日本語マニュアルもあるので、このご時世、外出しないで、いろいろいじってみるのはいかが?

 

【仕様】

• プリセット音色供給160以上 (App Storeにて有料)
• 4音ポリフォニック

• アルペジエイター機能
• ステレオピンポンディレイエフェクト
• タイムモジュレーションエフェクト

 

「Minimoog Model D App」

更新: 2020/03/16
存在感

モノとしてはない。音としてはある。

昔のタンス(初期のモジュラー型アナログシンセ)程ではないが、44鍵のキーボード付きのオリジナルminimoogには「楽器らしい存在感」があったが、アプリなので物体としての存在感はない。

 

一方、音の方は結構いい線までシミュレートしている。

 

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2020年03月14日

  • 購入場所

    App Store

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