先日購入したAstell&Kern KANNはややキャラクターは強いものの、余力のあるアンプでこれまでのDAPとは一線を画す音質を実現していてそれなりに満足感はあります。
しかし、昨日持ち歩いて気になったのはやはり大きさ(厚み)と重量です。冬のコートの内ポケットなら何とかなるのですが、春に着るような薄手の上着では存在感がありすぎるのです。かといって、KANNやGRANBEATを使うようになってしまうと、先日まで持ち歩いていたAK100IIやWALKMAN NW-A16に戻るのもちょっと厳しいものがあります。特にAK100IIはそこそこくたびれている部分もありますし。
そんな時に、偶然見つけてしまったのです。AK70の中古品で、付属品無しのため安売りされているというものを。この値段なら仮に自分が使わなくても周囲の誰かが欲しがるだろうと考えて、取り敢えず確保しておきました。
何しろ付属品全無し(実際には何故かmicroSDスロット用のダミーカードだけ残っていました)ですから、この状態で箱に入れられて届きました。
外装のコンディションは思ったほど悪くはありませんでした。私が使い倒したAK100IIよりはずっと綺麗です。
AK70について一応簡単に説明しておきますと、ハイレゾDAPの火付け役となったAK100をリリース以降、この業界を牽引するAstell&Kern(韓国iriverの高級オーディオブランド)が、第2世代の商品群のローエンドとして発売したモデルで、発売当初の価格で約7万円という製品でした。
D/Aコンバーターは第2世代の最上位モデルとなったAK240が左右独立で2基搭載したCirrusLogic CS4398を、AK70では左右兼用で1基のみ搭載しています。まあ、価格はAK240の約1/4ですし、機能面では意外と差が無いことから、十分にお買い得だったということでしょう。
AK70が画期的だったのは、それまで10万円以下の製品ではあまり搭載例が多くなかったバランス接続端子を、ローエンド価格帯ながら装備していたことでしょう。この製品以降は5~6万円クラスのDAPでもバランス端子を装備する製品は増えていきました。Astell&Kernの同クラスの前世代モデルであるAK Jrでもバランス端子は用意されていませんでしたので…。
AK Jrも私の購入価格(当時1.5万円)であれば十分満足度は高い製品だったのですが、発売当初の価格はAK70とほぼ同じでしたので、その時期に購入したユーザーから見ればかなりの見劣りを感じるでしょう。
ローエンドらしい割り切りが好結果に繋がる
それでは音質を確かめてみましょう。とは言っても、実はこの製品については以前販売店で開催された試聴会でかなり使い倒してきていましたので、それほど新しい発見があるとは思えませんが…。
今回は64AUDIO U4+Silver Galaxy Mix+によるバランス接続で試聴してみます。なお、試聴会で使った時点でSENNHEISER HD650を鳴らせるほどの力が無いことは判っていますので、この組み合わせについては割愛します。
まずは「L-O-V-E / Diana Krall」(LPから起こした24bit/88.2KHz WAV)を聴いてみます。
さすがに上位モデルのようなベースの深い沈み込みが出るわけではありませんが、AK100IIと比べるとベースの力感はこちらの方が感じられます。音場もそこそこの広さがあり、空間の見通しは明瞭です。
次は「Alone / TOTO」(LPから起こした24bit/88.2KHz WAV)です。
この曲のようなロック系の曲はAK70に良くマッチします。ハイハットのキレや質感は良好ですし、第3世代のAK300系で気になった低域のもたつきも感じられません。強いていえばKANNなどと比べると少しベースが細身に感じられるかも知れません。
続いて「Earth Song / David Garrett」(LPから起こした24bit/88.2KHz WAV)です。
ちょっとヴァイオリンの音色が細く固いかな、と感じられますし、この曲ではスケール感ももう一歩でしょうか。とはいえ、実はそれでもAK100IIよりはスケール感はやや上です。AK70は中高域に少々固有のキャラクターがあり、これがやや派手に感じられる一方で、他のモデルにはない爽快感や明瞭さを演出している部分があります。
「WATER BLUE NEW WORLD / Aqours」(CDからリッピングした192Kbps mp3)を聴くとこのAK70の癖が良い方向に作用して、曲の印象を非常に綺麗に伝えてくれます。恐らくロック・ポップス系を中心に聴くのであればかなり満足度の高い傾向なのではないでしょうか。
改めて使ってみても、当時直ぐ上のモデルであったAK100IIを概ね上回る音質を実現していたのではないでしょうか。もっとも、私が購入した時点ではAK100IIはAK70の中古より安く入手できていたわけですから、価格なりといわれればそれまでですが。
後継のAK70 MKIIは低域の厚みや深さ、空間の密度感など多くの点でAK70を上回りますが、音色の傾向はやや上位モデル寄りとなっていて、AK70が持つ独特の明瞭な音とは傾向が違っていますので、音楽の好みによってはこちらの方が良いという方もいらっしゃるかも知れません。AK70 MKIIの登場で新品・中古共に大幅に値段が下がり買いやすくなっていますので、今なら十分お買い得といえるでしょう。
…………あれ?
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購入金額
16,200円
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購入日
2018年04月29日
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購入場所
HARD OFF
harmankardonさん
2018/04/29
jive9821さん
2018/04/29
気のせいではなく2台あるのですが、これには当然訳があります。
この種明かしは、しばらく後に…。
cybercatさん
2018/04/30
自分は出口側(イヤホン/ヘッドホン/IEM)はコンスタントに増えて行ってますが、入口側は3台で止まってますねー。
AK70 MKIIはバランス接続が結構力感あって好きな音色傾向なので、「限定版でいいのが出れば(←レアものヲタク)」買うかもしれませんが、いまんとこDP-X1Aでほぼ満足してます。
jive9821さん
2018/04/30
まあ、GRANBEATはともかくとして、他は安かったので思わずポチったものですからね。
もっとも頭数はあっても実力的には微妙なものが多いので、XDP-100RやAK100、AK Jr辺りはそろそろ戦力外通告でしょうかね。AK100IIもバックアップ機扱いとなりますし…。
AK70は改めて使ってみても音質や大きさ、重量のバランスが程良く取れていますので、電車での外出の時などはこれが中心になるかも知れません。KANNは荷物に余裕があるときでないと、ちょっと厳しいです…。