中古品を眺めていたら、欠品のためか異様に安いものがあったので購入してみました。
実はこの製品にとって最も大事な、Lightning接続用ケーブルが欠品していたのです。汎用USBの専用ケーブルは残っていましたので、PCと接続してUSB DACとして使うことは出来ますが。
本体側のコネクターをみてみるとmini USB B端子(メス)の平型タイプに見えなくもないのですが、これはピンアサイン等が判らないと何ともいえません。Android端末用にmicroUSBとの変換ケーブルが用意されているのですが、これは別売品であり、標準対応はあくまでLightningコネクターを採用しているiOSデバイスまたはWindows PCということになります。
以前はAstell&Kern製品の代理店アユートが今回欠品しているものと同型のLightningケーブルを単品販売していたらしいのですが、現在では販売終了となってしまったようです。これを見つけることが出来れば万事解決なのですが…。
この製品採用しているD/AコンバーターはWolfson WM8740で、単品プレイヤーのAK100と同一ということになります。
同じAstell&Kernの製品で同じDACを搭載するこの2機種が、どのような違いを見せるのか注目してみました。
AK100とは明確に違うキャラクター
以前から何度かAK100の音質については触れていますが、私は割合辛口の評価をしています。
もちろんポータブルプレイヤーとしては充分高水準であることは事実なのですが、元々決して安い製品ではありませんので、この程度は当然としか思えない水準だからです。SONY WALKMAN NW-A16は発売当初の価格でいえば約半額の製品ですが、AK100と比べて明確に劣っているとは思えませんからね。
AK100はAstell&Kernの第1号製品であり、熟成不足だったといえばそれまでですが、それほど多量販売するような製品ではないのですから、もう少し時間をかけて完成度を上げてくることも出来たはずです。
このAK10は単体ではプレイヤーとして動作しませんので、価格は大幅に下がるとはいえAK100と比較してあまり劣っていては意味がありません。むしろAK100と張り合ってくれることを期待しておきましょう。
まず、PCにUSB DACとして接続して、ヘッドフォンにはSENNHEISER HD650を組み合わせてみました。
これはAK100やNW-A16でもきちんと駆動できていたとは言い難いものであり、AK10にもやはり酷でした。低域方向は何とか出ているだけという水準であり、力感や解像感は一切期待できません。そこでSONY MDR-1Rに差し替えてみました。
HD650よりはきちんと鳴っているとは思うのですが、AK100やNW-A16と比較するとローエンド・ハイエンドとも頭打ち感があります。低域方向の解像感の甘さもやはり気になります。ただ、低域方向が常に厚くなるAK100と比べるとむしろやや低域は薄めで、空間がスッキリと明るく爽やかな音となります。
傾向としてはAK100よりもNW-A16の方に近いのですが、NW-A16ほどの高域方向の緻密さは感じられません。NW-F800系やNW-Z1000系よりはずっと緻密ですので、ポータブルプレイヤーとして評価すれば十分だとは思いますが。
さて、先程Androidデバイス接続用にはオプションのケーブルがあるという話をしましたが、これはmicroUSB-専用端子のショートケーブルです。そしてAK10の出荷状態でPC接続用のUSB-専用端子ケーブルは同梱されています。
ということは、microUSB-USB変換ケーブルを組み合わせればAndroidデバイスに繋がるのではないかと考え、実験してみました。microUSB-USB変換ケーブルは百均ショップのSeriaで売られているものを使っています。
また、ここから音質はインナーイヤーフォンに切り替えて評価しています。組み合わせたのはTOSHIBA RZE-S70です。
まず試したのは、公式に互換性情報が掲載されているSONY XPERIA Z1です。
これはこのケーブルの組み合わせでも問題なく使えました。音質はPC接続時よりもやや低域寄りです。人によってはPC接続時の音よりもこちらを好む場合もあるかも知れません。ただ、ナローレンジ感がやや強まりますので、個人的にはPC接続時の方が好みではありますが…。
次に試したのはXPERIA Z1と世代が近いKYOCERA URBANO L03です。
こちらは全く認識されませんでした。microUSBからデジタル音声が出力されていないということでしょうか。
次は少し古い端末です。まずはSHARP AQUOS PHONE EX SH-04Eです。
こちらは再生ボタンによる再生開始/停止は出来るのですが、音声が出力されません。これでは単なるリモコンになってしまいます。
そしてSH-04Eとほぼ同世代のハードウェア構成となる、FUJITSU ARROWS S EM01Fです。
意外だったのですが、これは音声が出力されました。音質的にはXPERIA Z1と比べても低域方向の質・量がやや落ちてしまいますが、この世代の端末できちんと動作しただけでも良い結果というべきでしょう。操作ボタンの方も再生以外の早送り等も問題なく動きます。
特にAndroidスマートフォンではどの端末で動作するかという情報を集める必要はありますが、ポータブルアンプとは違ったアプローチで毎日持ち歩いているスマートフォンの音質をグレードアップできる辺りはこの製品の面白さというべきでしょう。
最悪の場合PC用のUSB DACとして使うことも出来ますので、考えようによっては活用の幅が広い便利なアイテムというべきでしょうか。
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購入金額
6,890円
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購入日
2015年10月29日
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購入場所
ソフマップ・ドットコム
mkamaさん
2015/10/29
私もこれ持っています。
発売開始直後にeイヤホンで購入しました。
REX-KEB02AKとiDSD nanoが来てからは、机の引き出しに眠っています。
ファームウェアのバージョンアップが一度ありました。
AK10 Firmware V1.10
↓でLightning接続用ケーブルを売っていたのですが、いま確認したら販売終了になっていました。残念ですね。
http://www.akiba-eshop.jp/shopbrand/014/O/
冬の時期、指が乾燥するとダイヤルが滑って回しにくいので、
両面テープで小さい滑り止めを張り付けて使っています。
jive9821さん
2015/10/29
コメント有難うございます。
音質については良くても初代AK100程度だろうと思っていたのですが、この類のデバイスがどの程度実用性があるのかという点に興味があったので買ってみました。
Lightningケーブルについては以前単売開始したのは知っていましたので何とかなると思っていたのですが、あっさりと販売停止となっていたのは予想外でした…。既に流通在庫も無さそうですので、結構厳しいかも知れません。
回線を解約して完全に眠っていたEM01Fの再活用法としては有効かと思っているのですが、日頃からスマホを3~4台持ち歩いているだけにそれも難しいところでしょうか。発想としては面白いのですが、活用は案外難しいデバイスという印象です。