レビューメディア「ジグソー」

エネルギーバランスがやや高域に寄る

前回のKS-LW-1800STDに引き続き、NAGAOKA JT-80LBとの組み合わせでKS-Remasta製スタンダードグレードのシェルリード線を試聴します。

 

 

今回試聴するスタンダードグレードは3モデルで、価格はいずれも同じ6,600円(税込)、使用しているハンダもKS-Remasta STDグレードとなります。STDグレードのハンダは過去にデジタルケーブルやRCAインターコネクトケーブルで聴いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試聴する3モデルの構成は以下の通りです。

 

 

・KS-LW-8100STD(海外製8N-OFC、クライオ処理済)

・KS-LW-1800STD(海外製高純度OFC 0.6mm径単線)

・KS-LW-1500STD(日本製PC-Triple C 0.6mm径単線)

 

 

の3モデルであり、クオリティ差を付けているわけではなく音色の違いということで、好みのものを選択して欲しいとのことでした。

 

 

今回試聴するKS-LW-1500STDは国産のPC-Triple C単線とSTDグレードのハンダを組み合わせたもので、このPC-Triple C単線は磨き処理を加えることで上位シリーズのKS-Stageシリーズに使われる導体となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

組み合わせたヘッドシェルはOrtofon製LH2000です。前回の試聴でKS-LW-1800STDが取り付けられていましたので、これをKS-LW-1500STDに交換して比較試聴してみます。

 

なお、ハンダ以外は同じ構成のKS-LW-1500EVO.I、KS-LW-1500EVO.IIは以前試聴していますが、当時と比べると私が使っている環境も変化していますし、KS-Remasta製品も同一型番でも音質は向上しているということで、直接的な比較にはならないことを予めご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更新: 2025/08/18
総評

現代的なバランスだがアナログ感はやや薄い

試聴環境はいつも通りTechnics SL-1200G+TEAC PE-505という環境で、例によって聴きながらMOTU HD192を利用してハイレゾWAVも作っておき、改めて聴き直すという方法で評価しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また多くの製品を一気に評価するために試聴曲は固定しておきます。NAGAOKA JT-80LBとの組み合わせでは以下の2曲を利用しました。

 

 

・10 Miles / Champlin Williams Friestedt (アルバム「CWF 2」収録)

 

 

 

 

 

 

・Smile / Michiko Ogawa (78rpm LP「Balluchon」収録)

 

 

 

 

 

 

 

まずは「10 Miles」から聴きます。

 

KS-LW-1800STD比では中低域の密度が薄く、全体的にバランスが高域方向にシフトした印象を受けます。レンジの広さはさほど変わらないと思うのですが、ベースラインがスリムになり、ジョセフ・ウイリアムズの声が良くいえば若々しく、悪くいえば硬い印象となります。音場の見通しはKS-LW-1800STDよりも明瞭ですが、アナログ盤で聴いていることを考えればもう少し適度な陰影が欲しくなるかも知れません。

 

ギターソロはKS-LW-8100STDと比べてもちょっとキツさが出てきます。キレは良いのですが、普段聴くこの曲の印象と比べればもう少し甘ったるさやくどさが感じられた方が好印象です。

 

以前から使っているKS-LW-1500EVO.Iなどのようにハンダが高品位のものであれば、このPC-Triple Cの長所である解像度の高さやクリアさがうまく発揮されるのだと思いますが、STDハンダではその長所がさほど生きてこない印象を受けてしまいます。ただ、実は現在KS-RemastaのPC-Triple C採用製品は全品20% OFFセール中であり、KS-LW-1800STDより2割安いと考えると一気に魅力が増して感じられます。

 

続いて「Smile」を聴きます。

 

イントロのピアノの響きは3モデルの中で、このKS-LW-1500STDが最も豊かに表現されます。KS-LW-8100STDでは左手方向の厚みに対して右手方向の響きがやや少ないかと思うのですが、KS-LW-1800STDやKS-LW-1500STDでは響きのバランスは良好で、KS-LW-1500STDは特に残響音が豊かに感じられ、オーディオマニアが好みそうな方向の音になります。

 

ヴォーカルはやや乾いた感じがすることに加え、音像が3モデルの中で最もクッキリと表現されます。ただあまりに輪郭がハッキリしすぎていて、ピアノを弾きながら歌っているはずなのにヴォーカルとピアノが全く別に録音されたように感じられるのはいただけません。口の大きさは3モデルの中では最も小さくまとまっていますが、KS-LW-1800STDとそれほど大きな違いはありません。

 

間奏のサックスソロは僅かなエコー成分は最も明瞭に描写されている一方で、サックスそのものの音色の自然さはKS-LW-1800STDに一歩譲ります。その一方スネアドラムのタッチは最も軽快で、ドラムの質感に関してはKS-LW-1500STDが勝ります。

 

 

これは3モデル共通ですが、音場の広さや情報量はOrtofon LH2000標準装着とは比較にならない程度には向上しますので、普段聴くソースによってどの傾向が合うかを見極めて選ぶのが正解でしょう。個人的にはアナログの音を活かすのであればKS-LW-1800STD、デジタルの音に馴染みのある方であればKS-LW-1500STDから始めると違和感なく使えるのではないかと思いました。録音が50~70年代辺りであればKS-LW-8100STDの厚みとエネルギー感の強さが合うかも知れません。

 

もっとも、より上位の製品を使うとこのグレードよりは万能な方向にシフトしますので、より上位の製品を選ぶ価値が十分にあることは書き添えておきます。

  • 購入金額

    6,600円

  • 購入日

    2025年08月13日

  • 購入場所

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