試聴環境はいつも通りTechnics SL-1200G＋TEAC PE-505という環境で、例によって聴きながらMOTU HD192を利用してハイレゾWAVも作っておき、改めて聴き直すという方法で評価しています。

また多くの製品を一気に評価するために試聴曲は固定しておきます。NAGAOKA JT-80LBとの組み合わせでは以下の2曲を利用しました。

・10 Miles / Champlin Williams Friestedt　(アルバム「CWF 2」収録）

・Smile / Michiko Ogawa　（78rpm LP「Balluchon」収録）

まずは「10 Miles」から聴きます。

KS-LW-8100STD比では低域～中低域の量はいくらか減ります。ただ実はKS-LW-1800STDの方がより低い周波数まで再現できていることに気付かされます。近年のワイドレンジに録音されたソースを聴いてしまうと、KS-LW-8100STDのレンジが僅かに狭かったことに気付かされるかも知れません。

高域方向はKS-LW-1800STDの方がよりクリアかつ緻密に再現されます。ハイハットを刻んでいるときに音が消える直前まできちんと僅かな残響音のようなものが再現されるのがKS-LW-1800STDでした。KS-LW-8100STDではもう少しあっさりと音が消えていきます。

そして意外だったのはこの曲のイントロに入るギターソロの音で、KS-LW-8100STDの方は妙に耳に付くうるささがあります。KS-LW-1800STDの方が甘くややくどい、この曲本来のイメージに近い音で出ています。

ヴォーカルが入るとジョセフ・ウイリアムズの声の質が結構違います。KS-LW-1800STDの方がいくらか柔らかく発声している印象で、KS-LW-8100STDは声を張ったときに少しきつめの印象を受けます。KS-LW-8100STDでは「口が大きい」と評しましたが、KS-LW-1800STDはまだ大きめではあるもののヴォーカルの直接音とエコーの描き分けがはっきりすることで、KS-LW-8100STDよりは口は小さくなります。

続いて「Smile」です。

まずイントロのピアノの出方でKS-LW-8100STDとの違いは明確です。左手方向の厚みはKS-LW-8100STDに分がある一方、KS-LW-1800STDは右手方向の明瞭さが上回っていて、響板の響きも豊かに再現されます。

ヴォーカルは「10 Miles」と同様にややソフトですが、声の直接音とエコーの描き分けもKS-LW-1800STDの方がはっきりと出来ています。ベースは少し細身に感じられますが、ベースライン自体の描写は明瞭ですし、最低域の方まで出ているのもKS-LW-1800STDでした。

間奏のサックスソロではKS-LW-8100STDでも楽器の質感は随分出るようになっていたのですが、KS-LW-1800STDはより生っぽさのようなものが感じ取れます。音を張ったときの存在感はKS-LW-8100STDに分がありますが、吹き方のニュアンスがより細かく描写されているのはKS-LW-1800STDです。ドラムの小刻みなタッチもより伝わってくるようになりました。

KS-LW-8100STDはやや古めのジャズなどで「濃い」描写を楽しませてくれると思いますが、オーディオ的に好バランスといえるのはKS-LW-1800STDの方でしょう。

このあとPC Triple-C単線を採用するKS-LW-1500STDを取り上げる予定ですが、実は今回の3モデルの中で私が最も気に入って広くオススメできると感じたのは、このKS-LW-1800STDでした。私はヘッドシェル標準装着からのアップグレードにはこの製品を一推しとしています。