所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。以前と比べると最近は、配信など発表の場にめぐまれているので、レーベルに所属してCDをリリースして...という旧来の手法によらなくても自己を全世界へ表現することが出来ます。しかし、配信のプラットフォームは乱立し、配信者やストリーマーも数多く居るので、その中で輝き、「見つけてもらう」のは別の難しさがあります。永くロックスターを夢見て活動していたものの、なかなか「伸びなかった」アーティストが、あるきっかけで大きくリスナーを獲得し、タイミングの良いリリースとなったことも合わさって、音楽チャートのひとつで1位を獲ることになったアーティストデビュー曲をご紹介します。
SUGAROCK。“SUGAR”として、2021年よりYotubeで配信活動するVTuberのアーティスト名(それ以前は、イメージは似ているものの、別の姿でREALITYで配信していたらしい)。
2021年1月以前の、現在の姿になる前の活動は一切識らないのだが、今でも良く配信を聴いている別のVTuber、吉花こころちゃん
が当時所属していた個人VTuberサークル所属の絵師=深井涼介画伯がママ(VTuberデザイン)というつながりで、たまたま2021年のバレンタインデーに初配信をするという情報を得て、活動の最初から聴き続けているVTuberとなっている。
配信内容としては、彼女はスポーツ観戦も好きなので、オリンピックやサッカーの試合の同時視聴をやったり、ゲーム配信などもあったりもするが、圧倒的に歌枠に比重を置いたVsingerとして活動している。帰国子女で英語がペラペラなので、日本の歌やボカロ曲以上に、洋楽ロックやEDMなど英詞の歌を歌っている。
歌が上手いだけではなく、自分で何かを創り出すのに情熱を傾けていて、UnityなどPCの知識も磨いて、自分で造った3Dステージで(時に弟をオペレーターにw)セルフ3Dライヴを行ったりしていた。
すでに活動を開始して3年半が経過しているが、YouTubeチャンネル始動直後に誤BAN騒動があったり、配信環境が整わなかったり、創作活動の他に生活のための活動もあって配信頻度もすごく多いわけではなく、昨年末まではチャンネル登録者も伸びが停滞していた。
この世界、事務所に所属しないVTuberを「個人勢」というが、大手事務所、とくにホロライブとにじさんじ、ぶいすぽっ!(Brave group)、あおぎり高校あたりの最大手事務所に所属していないと、チャンネル登録者や視聴者を増やすのには苦労する。
事務所所属では日本でも複数居るYouTube登録者100万人越えも、個人勢だとしぐれういとkson総長くらい?ただ、このふたりはイラストレーターとコスプレイヤーという「表の顔」があるので、そこからの導線もあるとすると、VTuber活動だけで個人勢が大きく伸ばすのがどれほど大変か。
SUGARも最初はグンと伸びて、その歌に魅せられた固定ファンもついて....と3,000人くらいまではまぁまぁ順調だったが、その後月50人程度の増加で落ち着いてしまい、5,000人に届くかどうかというあたりで長く停滞していた。
その流れが変わったのが、去年(2023年)の暮れあたりから。
「ストグラ」、「ストリートグラフィティ ロールプレイ」というコンテンツがある。
これは“グランド・セフト・オートⅤ(Grand Theft Auto V=GTA5)”というゲームを下敷きにしたネット上のロールプレイで、創り出された街“ロスサントス”で参加者が「生活」し、「交流」していくという世界。「住人」はなりたい自分になり、自己を表現したり、なりたかった職業に就いて活動している。
ストグラは以前「ストリーマーグラセフ」とも呼ばれていたように、ストリーマー(配信者・活動者)のみで住人が構成されている(管理者=市長はTwitchを中心に活動するゲーム実況者しょぼすけ氏)。「ロールプレイ」なので、舞台のロスサントスでは自分の設定した人格で生きている。元々“グランド・セフト・オートⅤ”自体がギャングが出てくるゲームのため(Grand Theft Auto=自動車大泥棒)、ギャングがいたり、逆に警察がいたり、飲食店経営や勤務、運転手やディーラー、バイトなどまでいろいろな職業につきながら「生活して」いる。
そこで生活する「住人」には、蛇足(歌い手)、らっだぁ (rader)(Twitch配信者)、ローレン・イロアス(にじさんじVTuber)などネット上で有名な人たちの他にも、ラッパーのNqrse、芸人のアメザリひらいことアメリカザリガニ平井善之、声優の中村悠一などリアル界で活躍している人たちも多く「街」で暮らしていて、24時間中だれかがロスサントスで「目覚めて」活動している。
そのロスサントスに転入したSUGARは、「さとう(イントネーションは佐藤ではなく砂糖)」として海上レストランでバイトをしていたが、歌を見出され、Twitchで27.9万人、YouTubeで34.1万人の登録者を誇るファン太が演じるボスこと 四皇シャンクズが主催するシャンクズプロモーションの所属タレントとなり、ストグラ内で単独ライヴも行い...と知名度を上げ、1年足らずでストグラ配信しているプラットフォーム=Twitchは登録者4.2万人、本家のYouTube登録者も3.45万人と爆増する。
そんな上昇期にリリースされたのが、本楽曲「The Hero」。
いままで、歌枠でもオリジナル曲は披露していなかったが、初の自作曲。作詞と作曲はSUGAROCK、編曲とギターはHIGHWAY STAR所属のKenshiro。
日英混合詞で歌われる前進力ある楽曲は、Kenshiroのハードなギターも相まって、SUGAROCKのヴォーカルの強さと表現力をよく表している。途中のブレイク気味の情感たっぷりのブリッジと、ブレイク後のラスサビへと至るSUGAROCKの力強い歌唱が強くアピールする。それを盛り上げるKenshiroのギターソロも、短いが印象が強い。
アーティストデビュー曲として非常に力が入った造りになっている。
実はこの曲、元々5月末のリリース予定だったが、作品のレヴェルを上げるためにリリース延期された経緯があり、実リリース日は2024年8月31日となった。
しかし、このことが逆に前述のストグラ初のリアルライヴイベント、“激動 ~HOT LIMIT~”の開催日と合致し、そのイベントでSUGAROCKがオープニングにこの「The Hero」をぶちかまして、会場(パシフィコ横浜 国立大ホール)に集まった5,000人もの観測者(ストグラの視聴者の事)を魅了、元々他の住人の観測者も巻き込んで盛り上がり、iTunesチャート(ロック トップソング)のロックジャンル1位を記録した(ミセスやずとまよ、優里にセカオワを従えてるのがヤヴァイ)。
2年以上伸び悩んで、生活のための時間が創作活動食いつぶしていたのを知っている身からすると、感無量だなー。
今後アーティスト活動のスピードアップも図っていくそうなので、超期待で!
本レビュー本人巡回済みっぽいw
【収録曲】
1. The Hero
「The Hero」
ヴォーカルに、力強さとキュートさを同居させている
日英チャンポンの歌詞をシームレスに歌えるのは、生い立ちをうまく活かしている。よく歌枠でもカバーしているONE OK ROCKに近いイメージもある楽曲。
あと、元々自分一人で3Dライヴ構築するほど映像にもこだわりあるSUGAROCK、歌とMV映像とのシンクロもすごい(映像はUWAN氏)。
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購入金額
408円
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購入日
2024年08月31日
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購入場所
レコチョク
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