レビューメディア「ジグソー」

魚より肉派な僕でも、貪るように読んだ

ここ最近読んだ中で、段違いに一番面白かった本。

 

あまりに面白かったので、会う人ごとにおススメしています。

本当に食を愛する人、老若男女、いろんな人に読んでほしい!

 

「魚ビジネス」とタイトルに書かれていると経営者でもなければ腰が引けてしまうと思うのですが、本の内容はビジネス本ではなく、魚の雑学・教養にまつわるお話です。

 

美味しい魚に興味がある、美食家な人たちに読んでいただきたいです。

 

 

 

写真は、先月に料亭で食べた「紅富士(あかふじ)」。静岡が認定するブランド「しずおか食セレクション」に認定されたプライドフィッシュです。浜松市街の創作居酒屋「凡猿」でいただきました。
美味しかったです!

 

これが綺麗な紅色の赤身もさることながら、たっぷりと脂がのりながらもさっぱり甘くて、滅茶苦茶美味しいです。これを食べたくなるから料亭に行く感じ。お酒を飲まない僕ですら魅了する魚なんて自分自身でも驚くばかり。

 

そんなトラウトを食べながら、ふと疑問に思うわけです。

──「なぜ、スーパーで売られている魚と比較して、味に違いが感じられるのか」と。

 

 基本的には鮮度という答えになるのですが、その鮮度の正体や、数値上で表すための「K値」というものさしの存在など、知れば美食を見分けやすくなる知識が満載です。

 

要は、生産者や料理人の手から手へ渡る経済活動、日本の魚料理に関する歴史を紐解くことによって、過程から結論を学び、自分なりの美食の仮説を提言できるくらいまでになるということですね。

 

内容のトピックスとしては、バナーに以下のテキストがあります。

 

  • 大間のマグロは、なぜ高級なのか?
  • サンマが食べられなくなる、は本当?
  • 急拡大する鮮魚の直販ビジネス
  • 培養魚肉で変わる天然・養殖の位置づけ
  • 繁盛している魚屋の特徴
  • 魚は日替わりメニューが原則

  

 第1章では、お寿司がなぜ世界に広まったのか。生食の文化が無い国々で、それを乗り越えて「SUSHI」がグローバルに広がり続ける理由。なんとなく流行という言葉で片づけてしまっていたのですが、そこにはあの「それ、寿司じゃない」と日本人が避難していたあのメニューがありました。

僕自身もそのメニューに対し少し嫌悪感があったのですが、本を読んでからは全く逆の意見になりました。

 

第2章はファーストペンギン的なビジネスのお話。この章はまさにビジネス本の内容ですね。

このあたりは新規ビジネスの立ち上げや漁業関係、専門家などが面白い内容だと思います。

 

第3章は、「養殖」という世界の話。養殖より天然がもてはやされる現代で、養殖のすごさについて改めて知る内容です。2018年に愛媛県の水産業者・株式会社宇和島プロジェクトが養殖ブリ「チョコブリ」を発表した時にも衝撃を受けました。魚がチョコレートを餌として食べるというのも驚いたのですが、食べたチョコレートに含まれていたカカオポリフェノールの抗酸化作用によって、切り身が変色せずに保ち続けるというのです。誰も思いつかない創意工夫によって新たな需要が作り出せた瞬間です。

 養殖という言葉が悪いようなイメージに洗脳されてしまっていたのかもしれない、そんな風に思い知らされました。

 

続く第4章ではあらためて食用魚の希少性を決める「鮮度」について。

第5章では鯖缶などの水産加工について。

第6章では魚河岸とという市場について。

第7章では流通の末端である魚屋について。

第8章では居酒屋などの飲食店。

第9章では今後の研究の先の培養魚肉という技術について。

 

このように魚をめぐる循環のような関係性の中で物語のように進んでいきます。

美食にかぎらず専門家でも興味深い内容だと思います。

 

 

これらの情報を知ることで、新鮮で美味しい魚を食べられる店をかぎ分ける。

美味しく魚を食べられる方法を知るのです。

 

加えて、過去の偉人たちがどうやって魚を美味しくしたか、文化として広めたのか、うんちくとして身に付くことのできる良本だと思います。

更新: 2024/09/22
デザイン性と機能美

ユニークな世界観と、人類の智慧の結晶

「何を読んでいるの?」と聞かれても恥ずかしくない内容の本。

さかな、という生物学的生態的な学問というわけでもなく、美食という観点が強いのですが、魚に関する情報を網羅しています。カテゴライズが難しいですが、図鑑や解説書のような生物学的ではないからタイトルに「ビジネス」という分類なのかなと思います。

 

僕は生物としての魚の生態に興味は無いし、どちらかというと魚より肉派。刺身などはわざわざ注文しないです。それでも美味しい魚とはなんぞやという疑問に思った時に、この本の存在はバックグラウンドとして自分を納得させるのに必要でした。

なんなら、カウンターで料理長と話を聞いても内容がわかる、美味しい理由がわかる、話を合わせることもできると、魚料理が少し好きになりました。

 

表紙の魚の写真とタイポグラフィも美しい装丁だと思います。

更新: 2024/09/22
パーパスと個性

アッパークラス向きでもあり、エスコート用の知識でもある

学校では学べない内容で、興味深いところも多いです。

 

活動原理である「食」を豊かにする内容で、自分の肉体・寿命を形成する要素と考えると生涯をかけて研究すべきタイトルであるともいえます。

 

改めて考えてみれば USA の大統領や世界の歌姫などの超セレブが日本の寿司・刺身に熱をあげているわけなので、そのキーパーソンを魅了する魚文化という概念を理解することはビジネス面でも重要といえますね。

更新: 2024/09/22
コストパフォーマンス

手頃な価格

分厚い本に比べたら手に取りやすい価格。

234ページとボリュームもあり、読みごたえも抜群。

 

出張・移動などの間でも読みやすく、頭を使わず読み切れるところも良い。

 

この本の他のシリーズで肉や野菜、米もあるみたいなので、そちらもぜひ読んでみたい。

  • 購入金額

    1,485円

  • 購入日

    2024年08月27日

  • 購入場所

    Kindle

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