レビューメディア「ジグソー」

不自由を楽しみ、Leicaの「色」を味わう

昨年まで使っていたiPhoneX

から、カメラ部分しか一時期アピールできる改良内容がなかった結果、奇形的に性能が大幅アップした最新iPhoneとして、iPhone15 Pro

に切り替えて以降、出先での撮影はほとんどiPhone一択になっている。

 

それまでiPhone X(1200万画素)と併用していたコンデジ(RICOH WG-30W

の有効画素数(1600万画素)を大幅に上回っているし(iPhone15 Proのメインカメラは4800万画素)、レンズも明るい(WG-30Wのf3.5~f5.5に対してiPhone15 Proはf1.78~f2.8)と、テレ端の光学倍率以外はすべて上回っており(35mm換算で、WG-30Wが140mmに対してiPhone15 ProはMaxの方ではないので77mm)、2015年発売のコンデジと比較すると、8年間の補正技術の進歩も含めて、カメラとしての完成度が爆上がりしており、もはやWG-30Wのカメラとしての価値が、PCパーツの型番やIEMのドライバー刻印を写すための超接写以外ほとんどなくなってしまった(iPhoneの泣き所だった外部との画像を含むファイルのやり取りも、iPhone15世代になってType-C化されたため、そこも問題解決)。

 

そういった理由で、今年頭から「メインカメラ」に昇格したiPhone15 Pro、カメラアプリとしては、標準のカメラアプリに加えて、簡単に1:1のスクエアな写真が撮れ、「盛れる」フィルターが多数ある、飯テロ用?カメラアプリFoodie

を併用し、用途によって使い分けていた。

 

しかし、カメラ大好きなVTuberにも影響されて?、そこにもう一つ魅力的なカメラアプリを加えることにした。

 

それがつい先日、2024年6月6日より利用可能となったiPhone用カメラアプリ「Leica LUX」。

 

件のVTuberが機材ヲタクでもあり?チョイ撮りにはスマホやキャノンのデジイチを併用しながらも、「撮影旅行」に行くときなどは、LeicaQを持ち出すという本格派。Leicaはカメラ界のビッグネーム。某国産高級車ではないが「いつかはLeica」と言われるほど名が通ったカメラメーカーで、独自の世界観を持つ絵創りが特徴。それは、カメラシロウトの自分が見ても違いが判る、しっとりとした色合いやボケ感などがある絵画的出来栄えの写真。たしかに「Leicaの世界」はあるな、と。

 

ただ、Leica本流のカメラは下が30万超クラスから上は本体のみで150万円に届くクラス。

 

そんなの買えませんがなw

 

Panasonicとの共同開発で、内部部品はPanaのDMC-LX100とほぼ同じで「パナライカ」と揶揄されるD-LUXシリーズでさえも20万超。

 

チェキをLeicaテイストで撮れるLeica SOFORT 2は10万円以内で買えるが、元となった富士フィルムのinstax mini Evoと比較すると、ほぼ倍額と大幅なプレミア価格がつけられているし、490万画素とレトロチープな設計と、ちょっと尖り過ぎていて汎用性に欠ける(ある程度のグレードのカメラとの複数台持ちなら、複数の印画紙とフィルターの組み合わせで味がある写真をその場で得られるギミックと、単なるフィルムチェキと違って撮影データはデジタルファイルとして後でも加工・複製もできるので、逆に断然勧めるが)。

Leicaは最近スマホカメラへの技術供与もしていて、日本ではSoftBankから数世代発売されているシャープのLeitz Phoneや、先日発表された4眼レンズのカメラ機能注力ハイエンドスマホのXiaomi 14 Ultraなどがあるが、これらも現行機種は20万以上するので、「カメラのためにスマホを買う」というには高額過ぎる(つかここまで出すならD-LUXシリーズが買える)。

 

そんなわけで、Leicaの世界観には魅せられながらも、カメラをメインの趣味とはしていない自分としては、Leicaは「縁遠いメーカー」だったのだが、iPhone用カメラアプリ「Leica LUX」をリリース翌日にたまたま見つけてインストールしてみたらこれが面白い。

 

2週間ほど使ってみると、「Leica風」写真を撮るには手軽で、でも出来ることをあえて絞っているのもあり、撮影のために「ひと手間かける」面白さもあり、自分の使い方では標準カメラアプリの使用頻度を喰いそうな勢い。

 

この「Leica LUX」、フリー版と有料版(Leica LUX Pro)があるが、有料版は使えるフィルターが多くて、レンズシミュレーションも多彩、露出やホワイトバランスをマニュアル調整できるなどと、やり込み要素?満載だが、ちと...というかかなり高い(月額1,000円、年払い10,000円)。ただフリー版でもけっこう「それらしい」絵は撮れて楽しい。

 

フリー版の場合、まず大きく「Automatic Photo Mode」と「Aperture Mode」のいずれを使うのかという選択がある。前者(P Mode)はやれることは多く、その分融通はある程度効くので、iPhoneで撮れる写真にLeicaテイストをつけるモードという感じだが、A Modeこと「Aperture Mode」は、Leicaの銘玉と呼ばれるレンズのシミュレーションモードで、フリー版では非常に明るい大口径広角単焦点レンズ「Leica Summilux M f1.4/28mm ASPH.」を使っての撮影ができる。絞りが変えられるほかはできることは少なく、「単焦点」なので、原則構図は自分が動いて決めるスタイル。つまり「カメラに合わせて」写真を撮る。自分の好みの配置・色味などで撮るには、自分が一歩近づいてズームの代わりとし、絞りを調節してボケ味を調整する。元々f1.4という明るいレンズのシミュレーションなので、絞りを1.4まで全開すればかなり被写界深度が浅い前後がぼけた写真が撮れるし、8まで絞れば前後関係にうるさくない写真となる。かなりマニアックなモードと言えるが、使いこなせれば面白そう。ただ、スマホの写真の出来栄えをここまで自分で操りたい人が、露出やホワイトバランスのマニュアル調整ができなかったり、他のレンズ(Leica Noctilux-M f1.2/50mm ASPH.Leica Summilux-M f1.4/35mm ASPH.など)を使えなかったりで満足できるとは思えないので、どちらかと言えば「Aperture Mode」は、フリーで使える有料版の「お試しモード」と考えた方がよいのかもしれない。

Aperture Modeの作例のため、こうした30cm足らずの奥行きのアクスタ用意してみた
Aperture Modeの作例のため、こうした30cm足らずの奥行きに並べたアクスタ用意してみた。

 

Aperture Modeの絞りは8。中央の雫ちゃんにピンを合わせた。トは合わせた
Aperture Modeの絞りは8。中央の雫ちゃんにピントを合わせた。

 

手前や奥も顔つきがわかる(わかりやすいようにトリミング加工だけ実施)
手前や奥のアクスタも顔つきがわかる(効果をわかりやすく絵を大きくトリミング加工だけ実施)

 

A Modeの絞り8。ピントは同じく中央の雫ちゃん。
A Modeの絞り1.4。ピントは同じく中央の雫ちゃん。

 

一番手前と奥2つは完全にボケた(トリミング加工あり)
一番手前と奥2つは完全にボケた(同じく効果を判別しやすいようにトリミング加工はあり)

 

ボケ感が大きい写真は白黒フィルター(後述)を使うと雰囲気出る
ボケ感が大きい写真は白黒フィルター(ライカルックフィルター:後述)を使うと雰囲気出る

 

実際にはフリー版ではP Modeで撮ることの方が多いと思う(自分の使いこなしが「浅い」だけかもしれないが)。

 

こちらも、やれることは限られているが、ヴァーチャルレンズとフィルター(無料分でも5つ、ちなみにAperture Modeでも使える)を組み合わせれば、結構「Leicaチックな」絵が撮れる。

 

ヴァーチャルレンズは4つ(13mm、24mm、48mm、77mm)。そう、このLeica LUXズームが出来ない

 

一般的にスマホで写真を撮るときは、対象物にスマホのカメラレンズを向けて、大まかに構図を決めて、チョイ小さいなと感じたときなど、指先でピンチイン/ピンチアウトして被写体の大きさを調整することが多いと思うが、このLeica LUXでは4つの単焦点レンズを使っているような使い勝手で、レンズを取り替えた後、最後の構図の微調整は「自分で動く」。

 

13mm~77mmの切り替えは結構“劇的”で、ズームのシームレスな構図変化とは全く違う。

Automatic Photo Mode(P Mode)でのワイド端13mm。広がりが良い。
Automatic Photo Mode(P Mode)でのワイド端13mm。広がりが良い。

 

同じくテレ端の77mm。同じ位置に立っているのに、全く構図が違う。
同じくテレ端の77mm。同じ位置に立っているのに、全く構図が違う。

 

 

13mmから77mmを並べると、同じ位置で撮ってもこれだけ違う
13mmから77mmを並べると、同じ位置で撮ってもこれだけ違う

 

あとフィルターも充実しており、フリー版で5種(カラー3種、モノクロ2種)、有料版のLeica LUX Proだとフリー版のものをすべて含んで合計11種(カラー6種、モノクロ系5種)の「Leica Looks フィルター」が使える。このうちモノクロ系が特に「らしい」。

 

Leica LUX(フリー版)Leica Looks フィルター】

・LEICA STD = LEICA LOOK STANDARD

・LEICA VIV = LEICA LOOK VIVID

・LEICA NAT = LEICA LOOK NATURAL

・LEICA BW NAT = LEICA LOOK BW NATURAL(モノクロ)

・LEICA BW HC= LEICA LOOK BW HIGH CONTRAST(モノクロ)

Leica LUX Pro(有料版)追加Leica Looks フィルター】

・LEICA CLS = LEICA LOOK CLASSIC

・LEICA CNT = LEICA LOOK CONTEMPORARY

・LEICA ETN = LEICA LOOK ETERNAL

・LEICA BLU = LEICA LOOK BLUE(モノクロ系)

・LEICA SEL = LEICA LOOK SELENIUM(モノクロ系)

・LEICA SEP = LEICA LOOK SEPIA(モノクロ系)

一番よく使うフィルター、LEICA STDことLEICA STANDARD
一番よく使うフィルター、LEICA STDことLEICA LOOK STANDARD

 

メリハリ付けたいならLEICA VIV=VIVID
メリハリ付けたいならLEICA VIV=LEICA LOOK VIVID

 

よく撮れた新聞写真のようなLEICA BW HC=BW HIGH CONTRAST
よく撮れた新聞写真のような、LEICA BW HC=LEICA LOOK BW HIGH CONTRAST

 

無料フィルターは、色調補正という感じだが、Leica LUX Proで増えるものは「味付け」という感じのものも多い。特に、カラーの「LEICA LOOK ETERNAL」とモノクロの「LEICA LOOK SEPIA」がいい感じなので、思わず課金しそうになる?←フリー版だとLeica LUX Pro版の「Leica Looks フィルター」を使っての撮影は出来ないが、ファインダー画面?では確認できる。

Leica LUX Proのフィルターだが、画面確認は出来る。これはLEICA ETN=ETERNAL。
Leica LUX Proのフィルターは、画面確認は可能。これはLEICA ETN=LEICA LOOK ETERNAL。

 

ちょっと脚色過剰気味だがLEICA SEP(LEICA SEPIA)も味がある。
ちょっと脚色過剰気味だが、LEICA SEP(LEICA LOOK SEPIA)も味がある。

 

あと地味に便利なのが水平器機能。地面など入れた構図で撮るときに、三脚なしのときにやりがちな「地面がナナメっていて気持ち悪い」というのがない。

このレベル機能をオンにしていると....
このレベル機能をオンにしていると....

 

水平のものを検知するとこういう線が出る(今は─ / ─なので「合って」ない)
水平のものを検知するとこういう線が出る(今は─ / ─なので「合って」ない)

 

水平が取れると─ / ─ ⇒ ─ ─ ─となって赤く変わる
水平が取れると、─ / ─ ⇒ ─ ─ ─となって赤く変わる

 

このLeica LUX、色味とボケ感が良くて、非常に絵画的な写真が撮れる。課金しなくてもiPhone標準のカメラアプリより「味」がある写真が簡単に撮れるので、オススメ!

 

※以下の作例は、フリー版Leica LUXでの「撮って出し」(長辺642ピクセルにリサイズのみ実施)

 

【Leica LUXの機能】

Automatic Photo ModeとAperture Modeでの撮影

Aperture Modeレンズ:Leica Summilux M f1.4/28mm ASPH.

5種類のLeica Looks フィルター

--------------

有料版(LUX Pro)月額1,000円(年額10,000円)の追加機能:

露出、フォーカス、ホワイトバランスなどのマニュアル設定

追加Aperture Modeレンズ:Leica Summilux-M 35mm f/1.4、Leica Noctilux-M 50mm f/1.2、

           Leica Noctilux-M 75mm f/1.25、Leica APO-Telyt-M 135mm f/3.4

11種類すべてのLeica Looks フィルター

定期的なアップデートで新しいレンズプロファイルやライカルック、機能追加を予定

更新: 2024/06/21
雰囲気

iPhoneの標準カメラアプリにはない「味」がある

フィルターも用意されているが、Foodieの「盛り」フィルターではなく、「Leica風にする」フィルターなので、方向性が異なる。

 

特に、BW(Black-and-White)系フィルターは古き良きフィルムLeicaの世界。

更新: 2024/06/20
操作性

メニューの出し方が独特で、とくに有料版のマニュアル調整は苦労しそう

メニューは、この「―」を引き下げる(画面外へスワイプ)することで出現。

このバー、いつも表示されているわけではない
このバー、いつも表示されているわけではないし、表示が薄く見づらい

 

ホワイトバランスやの調整が可能(有料版ならw)
フォーカスや露出、ホワイトバランスの調整が可能(有料版ならw)

 

あと厳密には「操作性」ではなくて「機能」かも知れないが、ズームがないのは「その不便さを楽しめるか否か」で、大きく評価が分かれると思う。

更新: 2024/06/22
汎用性

どうやらiPhoneの機種によって使える機能やレンズ数が異なる⇒新しめの機種でないと効果が薄いかも

有料モードを開放した時のAperture Modeレンズ数は、レビューによって差があり、公式では4つ追加、つまり計5種のはずだが、iPhone13をつかったレビューや自分の環境では3つしか追加が表示されなかった。

 

実際、iPhone SE (2nd)

では、そもそも「Aperture Mode」自体がなくレンズが選べないし、Automatic Photo Modeでも28mmしかない(←iPhone15 Proは「24mm」だったので、そこも違う)。

iPhone SE(2nd)では、そもそもだけでがない。
iPhone SE(2nd)では、そもそもAutomatic Photo ModeだけでAperture Modeが選べない。

 

Automatic Photo Modeのヴァーチャルレンズもしか選べない
Automatic Photo Modeのヴァーチャルレンズも28mmしか選べない

 

どうやらLeica LUXをインストールしたiPhoneのカメラ性能によって、出来ることが違う⇒最大限使いこなすには、ある程度のカメラ性能を持った、世代が新しいiPhone(SE除く)が必要なようだ。

 

ひょっとしたら原文のリリースにある最大望遠の「Leica APO-Telyt-M 135mm f/3.4」が使えるのは、現時点ではiPhone15 Pro Maxだけ??

 

P Modeのヴァーチャルレンズも、iPhone15 Pro Maxの場合は77mmの「上」があるのだろうか?

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2024年06月07日

  • 購入場所

    App Store

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