前回の純銀単線採用Stage3鏡面加工のKS-Stage302EVO.IIから、導体をPC-Triple C単線に変えたものに相当するのが、こちらのKS-Stage303EVO.IIです。
この前に研磨の水準だけが違う、Stage1鏡面加工のKS-Stage103EVO.II、Stage2鏡面加工のKS-Stage203EVO.IIも掲載していますので、PC-Triple C単線に関してはStage1,2,3かつ同一のハンダ採用製品を同時に聴くことになります。
(上のKS-Stage102EVO.IIのレビュー内で、KS-Stage103EVO.IIについても記述しています)
銀線のStage1鏡面加工モデルKS-Stage102EVO.IIと、Stage3鏡面加工モデルKS-Stage302EVO.IIとの比較では、鏡面加工のグレードが上がることで、
・導体固有のキャラクターが弱まる
・間接音が豊かに
・中心の音との距離が縮まる
・音量感が上がる
という傾向がありました。PC-Triple C単線でも同じ傾向がみられるのか、聴いてみることにしましょう。
素材の癖が弱まり、オーディオ性能の高さが引き出される
テストの目的がaudio-technica AT-OC9ML/IIとの組み合わせに良いものを探すことですので、試聴カートリッジはAT-OC9ML/II、ヘッドシェルはaudio-technica AT-LH15/OCCとなります。
試聴楽曲は全モデル共通で以下の3曲です。
・Together We Run / Journey (LP「FREEDOM」収録)
・Like Someone In Love / Diana Krall(LP「Turn Up The Quiet」収録)
・Born For This Moment / Chicago (LP「Born For This Moment」収録)
まずは「Together We Run」を聴きましょう。
1つ下位となるKS-Stage203EVO.IIと比較すると、違いとなるのは低域の量感でしょうか。締まりはKS-Stage203EVO.IIの方が合ったかも知れませんが、量は間違いなくKS-Stage303EVO.IIの方が出ています。
ヴォーカルとの距離は近くなりますが、反面少し口が大きく感じられるでしょうか。音量感も増していますし、S/N感も良好なのですが、少しStage2とは傾向が変わりますので、この辺りは好みによってどちらがより好ましく感じるかは分かれるかも知れません。エコー成分はより豊かに感じられます。
次に「Like Someone In Love」ですが、こちらも冒頭のベースの音色がたっぷりとした量感を感じさせるようになります。ただベースの輪郭が少しぼやける印象があります。弦の震えの表現が豊かになることによる副作用かも知れませんが。
ダイアナ・クラールの声はより低域方向の深みが出ますが、この曲では特に口が大きくなることが気になります。ピアノの音色はPC-Triple Cとしては少しだけソリッド感が弱まり、まろやかさが出るようになりました。ギターも少し柔らさがが出ます。ただ、特にKS-Stage103EVO.IIとの比較では、音量感が変わります。グレードを順々に上げていくと少しずつの差なのですが、1つ飛ばして聴くとやはり音量感が変わっていることがわかります。
そして「Born For This Moment」では、これまでのPC-Triple C採用モデルと比べると、少しホーンセクションの音色が自然になりました。どうしてもPC-Triple Cの製品ではホーンセクションの音が少し上ずるというか、安っぽさを感じるのですが、その傾向が弱まります。同じStage3鏡面加工で銀線のKS-Stage302EVO.IIと比べると硬さはありますが、バランスとしてはこれまでのPC-Triple C製品よりは良好です。
基本性能はやはりStageが上がるごとに底上げされているのは間違いないのですが、Stage2とStage3についてはAT-OC9ML/IIとの相性もあり、曲によってちょっとちぐはぐさが出る組み合わせもありました。第一世代のStageシリーズではStage4以上でこういった相性が弱まり、純粋に性能の高さが発揮されるというのが以前の一斉試聴でわかっていますので、本当に構成を求めるのであればその辺りの製品を選ぶ方が確実です。ただ、Stage1であっても一般的な製品とは比較にならないくらいの性能の高さはありますので、この辺りはカートリッジやシステムとの相性を見極めて、予算に応じて選択するということになりそうです。
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購入金額
33,000円
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購入日
2023年10月03日
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購入場所
KS-Remasta
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