レビューメディア「ジグソー」

2000年頃に通販生活扱いで話題になっていた紙筒スピーカーを試した

2000年頃に通販生活扱いで大きな話題になっていたらしい。

 

 

加藤晴之さんという「そば打ち名人」が企画したらしい紙筒スピーカー。

 

 

当時の販売価格は     2本セットで27,000円

 

 

専用デジタルアンプとの  3点セットで39,200円

 

 

 

すこし前に 知り合いに勧めた英国のモニターSP PMC

 

その方は、PMCには満足されなかったらしく、 

 

ほぼ同サイズで より軽量 

 

ウェブ上で「自然な音」「宮崎駿さんも絶賛」と書かれていたこのスピーカーを手に入れた

 

のだけれど、君も 一度聞いてみるか? 試してみるか?

 

ということで お預かりしております。

 

 

 

 

PMCと紙筒スピーカー、同時に比較試聴したわけではありませんが

 

基本は半世紀近く愛用しているヤマハのNS-1000Mとの比較をお伝えしたいと思います。

 

 

 

 

更新: 2023/03/02
スペック

意欲作

 

前後バッフルはMDF素材  

 

上下の筒は、共に樹脂コーティングされた紙筒

 

その筒をつなぐ筒が確認できます。 一種のバックロードホーンかなと思いましたが

 

製品は「ダブルバスレフ」と言っています。

 

そうそう思い出しました、長岡先生も バックロードホーンとダブルバスレフは明確に分けて

 

紹介されておられたことを。

 

確か、ユニット背後の容量と同等の空気量を持つ空間を、1つのエンクロージャーの中に

 

構築する仕組みだったはず。

 

そう思うと、コストを懸けずにそれを実現する賢い仕組みに見えてきます。

 

 

リアに備わるのはワンタッチ式のターミナル 

 

磁石が反応しません。 素材は軽合金製、あるいは樹脂製だと思われます。 

 

 

底面には前後で異なる素材を採用したゴム足が計4本

 

 

ユニットはフランス・オータックス社製の8センチフルレンジ 

 

コーティングされているようですがペーパーコーンらしいです。

 

エッジは、おそらくゴム系。 ウレタンなら20年も持たないもんね。

 

 

ユニットを固定する4つのネジ穴を利用して、軽合金製のワイヤーガードが備わります。

 

固定ネジには特別なものが使われていないようなので、定期的に増し締めしたほうが良さそう。

 

 

 

実測で1,271グラム 

 

サイズ 1.6cm×奥行26cm×高さ23.2cm 

 

WEBを探すと、最大入力は10W 

 

       再生周波数帯域は、87Hz〜20000Hz

 

能率の記載はありませんので、そこは推測値となりますが おそらく85〜87dBあたりだと思います。

 

PMCより低め。 

 

と言っても許容入力は10Wなので、純正組み合わせとして推奨されていた

 

力感のあるデジタルアンプが良い相棒となるのかもしれません。

 

 

では、手持ちの機器と接続してみます。

 

 

 

更新: 2023/03/02
満足度

20年を経て、、今ならブルートゥース接続のワンボディSPをおすすめすることになります

 

ニアフィールドリスニング デスクトップオーディオを意識して テーブルの上に設置してみます。

 

バッフル効果が期待できない形状ですので、

 

本棚で書籍とぎっしり並べて設置すると、違った表情が出る可能性はあります。

 

しかし、この形状なら、回折効果が少ないので、空間表現は得意分野となる可能性があるでしょう。

 

 

試してみると 上図のようにテーブルの真ん中に設置するより、

 

       下図のように 縁ギリギリに設置したほうが、不必要な反射が減り

 

爽やかな音調に変わる印象を得ました。

 

但し 小音量再生なら そこに差は感じられません。

 

置き方で敏感に反応する印象はありません。

 

接地面の素材、硬さ、再生音量に応じて、脚に工夫を加えることは良い結果を生むかもしれませんが

 

SPが、「あまり気を使わずに、気楽に使ってくれ」 と言っているような気がします。

 

 

PMCは軸上の音と、そこから外れた時の音に明らかな差がありました。

 

 

これは、その種のスピーカーでは無いようです。

 

極端に言えば、床置きしても、壁掛けしても、天埋めしても、外に向けたり、内に向けて

 

角度を変えても、(小音量再生なら) 印象は変わらないかもしれません。

 

 

ダブルバスレフの恩恵もあり、8センチフルレンジという小口径から出る音という期待値より

 

豊かな響きは感じられます。 低音感はあります。

 

 

ソースによるかもしれませんが、SPの外に音が広がる、天地方向にも音が広がる

 

奥行きがあるな〜 という印象は得ておりません。

 

あくまでも両サイドのSPの中で展開する音場。 ちょっとヘッドホンライク。

 

 

 

さて、このスピーカー 音は良いのか? どう判断すべきか?

 

 

このフランス製オータックス社のユニットの音 それ自体が気に入るかどうかによって変わるかも。

 

 

学生のころ フォステクスの103だけでなく テクニクスの10Fやパイオニアの101など

 

いくつかのフルレンジを取り替えつつ 楽しんだ経験がありますが

 

それぞれ驚くほど 音色が違いました。 得手不得手がありました。

 

意外に ハイファイを狙った小口径フルレンジスピーカーって 難しいんだな と感じたものです。

 

 

オータックスの8センチは、固くも無く 柔らかくもなく かといってクセが無いとも言えない。

 

それなりにソースを選ぶユニットという印象を持ちました。

 

 

デスクトップオーディオじゃ無くて良いなら、

 

多少、生活スペースを侵食しても良いなら、

 

その上で、小音量で心地よい音 を目指すなら

 

ネットワークを持たないフルレンジながら 16センチの口径をもつユニット。

 

それを収める それなりのサイズの箱。

 

昔のJBLのユニットLE-8Tや、ダイヤトーンやテクニクスの16センチを入れた

 

かつてのブックシェルフサイズのスピーカーが最適解だと思うのは

 

私が古い人間だからでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

私の経験では 

 

小口径フルレンジなら ジャンルを選ぶものの BOSEの101こそが万能だと思えてなりません。

 

打ち込み系の音楽じゃなければ、パイプオルガンの超低音が鳴らなくても良いなら

 

ジャズトリオや室内楽なら、BOSEは、勘所を押さえています。

 

 

 

 

小音量で楽しむなら、デスクトップオーディオを気軽に楽しむなら

 

質の良いブルートゥース接続のアクティブスピーカーという選択肢があると思うんです。

 

それなら たとえワンボディでも 十分な音場を感じられますし

 

サイズを超えた豊かな低音を楽しめます。

 

なにより かなり安価な製品にも良品を見つけることが可能です。

 

 

かつて通販生活で超ベストセラーの地位を築いたこの紙筒スピーカー。 

 

 

20年前なら それなりの役目を果たすことができた製品だと想像しますが

 

宮崎駿さんが大絶賛されたという文言が、

 

四半世紀を過ぎた今も同じ力を持っているとは思えません。

 

 

 

だからヤフオクなどで多量に、そして安価に出品されているんだな と想像しました。

 

純正のデジタルアンプも、今なら同等品の新品が数千円で入手できますもんね。

 

 

 

一時代を彩った 変わり種スピーカーとして記憶にとどめておくことにします。

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    2023年02月25日

  • 購入場所

    ヤフオク

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