レビューメディア「ジグソー」

底力もあって清らかな音。DACのシングル/デュアルの切り替えなど、音の面でも遊び心が感じられる、華があるDAP、Shanling M3X Limited Edition

cybercatが、ポタオデ復帰のきっかけとなったAstell&KernAK120

とそのバランス出力追加改造版AK120BM+(Balanced Mod+)

の後に、永くメインDAPとして使っているのは、ここZIGSOWでプレミアムレビューさせていただいたONKYO DP-X1A

 

このONKYO DP-X1A、覇権をとったあと急激に価格帯を上げたAstell&Kernに比べるとリーズナブルな価格で、中級DAPとして標準以上の音質と機能を持っていて、Bluetoothの電波が激弱ということと、夏の薄い上着のポケットに入れるには少々大きめで重め(129.0×75.9×12.7 mm、205 g)という事以外は、ほぼ不満のないスペック。音質傾向としても、クセのない素直な音質で、どちらかと言えば、EQなどをいじって音質を積極的に調整する...というよりは、出口(IEMやイヤホン/ヘッドホン)を換えて緩やかに好みの音質にするという方が好きな自分としては、バランス/アンバランス両対応であることも含めて好ましい。

 

その後今では主に車載用に使っているCayinN5

や、その予備機となっているミニサイズのDAP=COWON PLENUE D2

等を買い増しはしたが、それぞれ立ち位置というか「役割」が明確であり、重なりがほぼなかったので、メインDAPはずっとDP-X1Aだった。

 

ときどき「オーディオなんちゃってマニア道」としてレビューを書いているくらいなので、もはや音楽聴取はスマホのサブスク圧縮音源で十分、という「一般の人」よりは、オーディオに金をかけていると思うが、自分の中では音楽(再生環境)は「質より量」。音楽の嗜好が、好き嫌い無くなんでも食べると言えば聞こえが良いが、節操のない雑食性の大食漢、もはや悪食と言って良いレベルまで到達しているんではないかというブラックホール状態で、至高の音で1曲を骨までしゃぶって味わう...というよりは、普通の音で100曲...いや1000曲聴きたいというタイプなので、DAPは上を見れば(聴けば?)良いのはたくさんあったし、音の違いも確かにあったが、中級グレードのDP-X1Aで音質的には充分満足していて、あまり買い換えるつもりはなかった。その資金があれば、楽曲購入に充てたかったわけ。

 

ただ、前メインDAPのAK120(AK120BM+)が電子ヴォリュームが上手く反応しなくなり、回しても音量がなかなか変わらなかったり、逆に急に大きく/小さくなったりで使いづらくなってDP-X1Aにその座を譲ったように、DP-X1Aも少々不具合・不便の兆候が出始めた。それは連続再生時間の短縮と、放電の進みが速くなったこと。つまりバッテリー周り。公称再生時間16時間、レビュー時の検証でも10時間は軽々...と、いう感じだったDP-X1Aだったが、最近は帰省の時に使う新幹線と在来線全ての区間で聴き続けると心許ない~ギリ足りない感じになってきた(片道なら最長でも3時間少々)。また、こちらの方がより不便さは上なのだが、「少し前に充電したからまだ充電が残っている」と、確認しないで持ち出すと、放電していて出先で電源を入れるとたいして残量がない...いや、ひどいときには、そもそも電源が入らないこともある。

 

予定の外出ならあらかじめ充電しておけば良いが、急に出かけることになったときに、「前の週末使ったときには半分以上残っていたから」と持ち出したは良いが、結局聴けない...というのは切なすぎる(実際に複数回あった)。かといって、不意の外出に備えていつも充電ケーブル挿しっぱなし/もしくは/ちょっとでもバッテリーが減ったら継ぎ足し充電で満タンにする...というのではさらにバッテリーを痛めてしまう。

 

N5同様、メーカーに出してバッテリー交換での延命でも良いが、当時ONKYOの厳しい経営状況なども聞こえてきはじめていたので、せっかく国産DAPということで延命しても保証の先行きが不透明かなと感じ、そろそろ次のメインDAP探しはじめるかー...と考え出していたときに、bilibiliとweibo経由である製品の発売情報をキャッチした。

 

それが、Shanling(シャンリン)のエントリー+(プラス)クラスのDAP=M3Xの限定版、M3X Limited Editionの話。

 

Shanlingは中国深圳のオーディオメーカーで、1988年設立。アンプやSACD/CDプレーヤーあたりから始まり、現在はDAP、DAC、ポータブルアンプ、イヤホン類(UIEM、TWS)など、ポタオデ関連を中心に取り扱っている。

 

その中でも、DAPは幅広くラインアップされ、1万円台の入門機から30万クラスの上級機までラインアップするが、一番売れ筋なのはM3Xというエントリー+(プラス)クラス(売価4万円前後)のDAPと、ミドルクラスで6~8万円ほどのM6シリーズ(M6はメモリ容量や採用DACの差などによって価格に幅がある)。

 

特にM3Xは、価格と性能(音質)のバランスが絶妙で、リスニング環境のスマホからのアップグレードを考えたときに、あまり無理なく出せる価格のわりに、音質の向上は劇的...と投資対効果がわかりやすく、ちょうどこの価格帯の新型DAPがほとんど無いのも相まって(強いて言うならWALKMANのA100シリーズだが、少々発売年が古い)、オーディオショップによっては、「2021年に最も売れたDAP」となったほど「売れ筋」のDAPらしい。

 

そのM3Xの「Limited Edition」。

 

なにがLimitedなのかというと....

 

萌え方向にw

 

以前ここでも紹介したことがある、中国南寧のイヤホンメーカーTANCHJIMTANCHJIMは自社萌えキャラとして、浅野天琪(浅野てんき)ちゃんがいて、彼女にちなんだ限定イヤホンをリリースしたこともある。

 

天琪ちゃんは、同社の他のイヤホンのプロモーションに登場したり、パッケージに描かれたりしているし、bilibiliで独立チャンネルも持っているので、すっかり公式キャラクターとして定着した感じ。

 

その彼女が描かれたDAP!?

 

いやいやいや、そんなオンナノコひとり描かれただけの外装差し替えで、購入するなんて....フッ

 

....もひとりいるよ?

 

??

 

同じく中国成都のイヤホンメーカー水月雨(Moondrop)TANCHJIMがあまりラインアップを広げず、価格帯も比較的収束しているのに対して、実売2000円ほどから10万弱クラスまで広くラインアップするメーカー。実はこのメーカーにも公式キャラがいる。社長がアニヲタ日本のサブカルチャーに造詣が深いのを公言していて、最近中華系の一部で流行りとなっている、自社のイヤホンパッケージに萌えキャラを描いたり、限定イヤホンに自社キャラのアクスタをつけたりしたのも、最も速かった部類であったと記憶する。

 

そんな水月雨の公式キャラ水月ゆき(水月友希)ちゃん「も」描かれている(ちなみに彼女も独自チャンネルをbilibiliで持っている)。

 

つまり、大人気DAP、M3X天琪ちゃんゆきちゃんのデコレーションを施し、いくつかのノベルティをつけ、中身にも若干手を入れたのが、Shanling M3X Limited Edition(ノーマル品と区別し、正確に内容を表すために?“Shanling M3X Tanchjim Asano Tanch & Moondrop Mitsukihimi Limited Edition”と呼ばれることもある←もっと簡単に「百合DAP」ともw)。

 

これは、買うしか...!!(義務感

 

最終的に発表された限定数は1500台、中国国内1000台、国外500台で、うち日本には150~200台(複数情報あり)の割り当てとのこと(当初は全体で限定数1000台だったみたい?)。

 

限定...これはぜひとも入手せねば...!!!(使命感

 

もともとベースのM3Xは「一昔前の中級機を完全に喰う」と言われている高音質と、連続再生ほぼ1日という驚異の長時間再生で、注目していたし、価格的にも5万以内で収まり、そろそろバッテリー保ちが怪しくなってきたDP-X1A後継としてちょうど良いだろう、ということで、購入候補ではあった。それが、このLimited Editionのリリース案内で、俄然購入意欲が高まったわけだが、有名イヤホン専門店などに優先して入るであろう日本割り当ての150台程度の争奪戦に加わるには、現在の勤務地はいささか地の利が悪い。

 

また取り扱い商社などの判断次第では、転売でなく正規販売でさえ、国内取り扱い商品はプレミア価格になることも考えられる。

 

そこで、日本発売1か月前に(国内発売日2021年7月30日)、中国のオーディオ通販サイトのHiFiGOをつかって、先に押さえてしまえと。

 

結局国内販売価格は、良心的なことに意外なほど上がらず、定価では2500~3000円のコストセーブにしかならなかったが、予想通り販売の方は瞬殺だったようなので(その後転売ヤー暗躍で価格高騰)、押さえておいて正解だったかも。

 

.....その分別の苦労したが(後述)....

 

Shanling M3X

 

裏側の革が大きく「X」型に打ち抜かれ、そこにキンキラのステンレスを使ったスリットを入れた純正ケースだけは、「正直ビミョー」と言われていたが、それ以外は基礎性能が高いスペックを持つ。

 

2021年1月に中国本国での発売開始というタイミングからは、SoCが2015年発表のSnapDragon 430、採用OSが2016年リリースのAndroid 7.1 Nougaというのが、今後、Androidアプリの導入によって機能増強...と考えているなら、ややつらいが、他は

 

・DACチップは、ESS社製エントリークラス最新のSabre ES9219Cデュアル搭載

・そのDACを、デュアルで使うかシングルで使うか、ワンタッチで切り替えられる凝ったギミック

・ネイティブ再生は、最大 384 kHz/32bit までの PCM最大 11.2MHz までの DSDに対応

・3.5mmシングルエンドに加え、4.4mmバランスアウト装備

・21形式に及ぶ多彩な再生対応ファイル形式

・比較的コンパクト(109×72×15.9mm)なわりに、4.2インチ1280×768の大きめIPS画面搭載

バランス駆動時240mW @32Ωという、ヘッドホンすら対応できる駆動力

・microSDスロットは2TBまで対応で、容量拡張性大

 

と結構ガチ。

 

採用されたDACは、ESS Sabre ES9219C。アンプ機能も内蔵しているうえ、MQAレンダラー機能も持ち、16xまでのMQAデコードをフルサポートしている。それでいて消費電力は、旧タイプのES9218Pの半分と、高音質化と長時間プレイを両立するチップ。

 

また、このクラスでは省かれることもあるバランス端子が装備されているのもよい(4.4mmなのは手持ち資産的にはアレだが、今後の流れと思えば....)。

 

このガチDAPを萌え外装に交換して、だれが詠んだが「百合DAP」化したのが、M3X Limited Edition

そもそもDAPのパッケージとは思えない
そもそもDAPのパッケージとは思えない

 

変更・追加点は

・【変更】オーディオ回路のコンデンサをAVX社製のタンタルコンデンサからPanasonic製の

     高分子コンデンサに変更

・【変更】ディティールの正確さとヴォーカル表現を重視したサウンドチューニングに調整

・【変更】本体カラーは通常ラインアップにない「メタルシルバー

     (通常版はBlack、のちにIce BlueとAurora Purple追加)

・【変更】バックパネルには浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんのイラストがプリント

・【追加】本体サイドに限定のシリアルナンバー刻印

・【追加】浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんキャラクター壁紙収録

・【追加】浅野天琪ちゃんが歌うTANCHJIMのオリジナルハイレゾ音源「星の夢」収録

・【追加】浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんオリジナルポストカード(5枚)同梱

・【追加】M3Xでは別売となるケースが同梱(限定版オリジナルデザイン)

・【変更】浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんのデザインのオリジナル外箱に封入

・【追加】浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんのオリジナルアクリルスタンド別添

と結構盛り沢山。

外箱を開けても、さらに萌えるw
外箱を開けても、さらに萌えるw

 

とのアクスタも抜かりなく付属
浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんのアクスタも抜かりなく付属

 

ふたりを並べると、はぁと????が...
ふたりを並べると、はぁと????が...

 

付属品いっぱい
付属品いっぱい

 

のケース(PE)は、ヤローが使うにはハードルがががが
浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんの名が入るケース(PU)は、ヤローが使うにはハードルがががが

 

のてぇてぇポストカード
浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんのてぇてぇポストカード

 

萌え系以外では、オーディオ回路に使われているコンデンサが、AVX社製のタンタルコンデンサからPanasonic製の高分子コンデンサになって、ShanlingとTANCHJIM、水月雨(Moondrop)の3社でサウンドチューニングを行い、ディティールの正確さとヴォーカル表現に重きを置いたものになったとか(こっちは「素の」M3Xに関しては、周りに騒音がある店頭で、よく自分の識っている曲ではなく、もともとDAPに入っていたサンプル曲を試聴しただけなので、自分では実感しているわけではないが)。

 

大きさとしてはDP-X1Aとくらべると、厚さは3mmほど厚くなっているが、縦は2cmほど、幅は4mmほど小さくなっており、一回りコンパクト。サイドに丸みがあるデザインは、少々厚みが増していても持ちやすく、完全箱型形状のDP-X1Aと比較すると、持った感じは数値以上に小さい感じがする。重さ的にも実測で30g軽くなっており、ポケットなどに入れて持ち運びやすくなっている。

この丸み(面取)のせいで厚さを感じない
この丸み(面取)のせいで厚さを感じない

は173g
M3X Limited Editionは173g

 

対するは203g
対するDP-X1Aは203g

 

画面に関しては4.7型から4.2型に小さくはなっているのだが、解像度としてはむしろ微増している(1280×720⇒1280×768)のと、画面の使い方が上手いので、アルバムアートなどの大きさがさほどに変わらないこともあり、あまり小さくなった感じはしない。一方、発色は若干地味で、よく言えば目に優しく、悪く言えばくすんだ感じ。

ちょっとの方が色合いはいい感じ?
DP-X1Aの方が色合いはいい感じ?線がシャープなのはM3X LEだが

 

動作そのものは、曲検索などでカナ入力するときなどは、スマホのつもりでタップやフリックすると時々ついて来損なうことはあるけれど、比較対象がDP-X1Aだとさほどに遅いという感じもない。

 

総じていうと「持ち出しやすそう」なDAP。

 

では、この「百合DAP」、どういう音色なのだろうか。

 

今回の試聴環境は、DAPとしては直前にレビューしたCOWON PLENUE D2

に合わせた。イヤホンは素直なモニター系音質で、装着感が良いので、付け外し等による装着の差に起因する音質の差がほとんど無いWestone UM Pro50

評価は原則バランス接続のため、ケーブルはNICEHCKの8芯 銀メッキ銅線+高純度銅線の2.5mmバランスケーブル

ただ、M3X Limited Editionの方は、4.4mmなので、その変換にCayin PH-4X 4.4mm TRRRS to 2.5mm TRRSバランス変換アダプタ

を使用。

 

Shanling M3X Limited Editionの設定は、ローゲインでDACはデュアル。

 

この条件で、現在のメインDAP、ONKYO DP-X1Aと比較してみた。

 

まず、cybercatのハイレゾ音質評価基準曲、3ピースバンドの「近い」録音で、インタープレイの空気感もわかる良録音音源、吉田賢一ピアノトリオの“STARDUST”

から、「Never Let Me Go(わたしを離さないで)」。今までの基準DAPDP-X1Aは、とにかくリアル寄り。ベースやリムショットの音は硬く鮮やかで、フットハイハットクローズの切れもよく鮮やか。ベースソロの部分では、指板にバチバチ当たる弦の音がリアル。M3X LEは、中域は、リムショツトよりピアノが前に出る。打楽器系だとライドシンバルが結構優勢で、広がりがよい。ベースもやや引っ込む感じだが、ベースソロになるとふくよかで存在感がある音が下を支える。

 

もう一つのハイレゾ音源、宇多田ヒカルのハイレゾUSBアルバム、“Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1+2 HD”

から「First Love」(PCM24bit/96kHz)。DP-X1Aは、ベースの沈み込みも深く、シンバルの広がりもあって「開けている」感じで見通しがよい。ギターの弦を指が滑るときのノイズやピアノの音色のリアリティさが感じられる。M3X LEは...、近い、近い!。レコーディング当時、16歳だったヒカルの震える声が目の前で囁く。打ち込みで音圧が高いベースが、いい感じに「丸く」なり、存在感はあるが、バランスが素晴らしい。ベースがさらに「埋める」2nd Verseに入っても、ヒカルの声はよく通る。シンバルの広がりはやや狭いが、ストリングスの「埋め」は隙間なく、ゴージャス。

 

同じバラード系の「」は、女性声優洲崎綾のファーストファンブック“Campus”

付属CDから。DP-X1Aは、今までの印象そのままに、Aメロはいい感じの清らかさだが、サビになって音数が多くなってくると「飽和感」が出てきてしまう。バスドラのアタックが強いのは、ビートのメリハリがあって悪くはないが....一方、M3X LEは「First Love」のヒカルの声同様あやちゃんの声が近い。中~中高域がしっかりと聴こえ、声に芯と華がある。ベースはやや控えめになり、ダイナミクス感が薄れた感じだが、ヴォーカルメインと考えると悪くない。ギターの響きもよく、アルペジオが美しい。ストリングスや、薄く聴こえる鈴の音の広がりがよい...つか、鈴の方は今までこんな音が入っているのを気が付かなかったな。

 

おなじあやちゃんが歌う打ち込み系ダンスチューン、「ヴィーナスシンドローム

は、DP-X1Aでは、バスドラのアタックが強く、ベースのボディもしっかりあって、ビート感抜群なのだが、ややクリップ気味。M3X LEでは、バスドラのアタックはやや丸くなるものの、低音の力感はある。ハイハットは軽く刺さるが、ビート感をよく出している。あやちゃんのヴォーカルはやや遠く、少し沈み気味か?左右に駆け回るシーケンスパータンの周回は広いが、やや目立たない。さらにその上の音域となる、ツリーチャイムが美しい。耳に馴染みは良いが派手目ダンスチューンと考えると...

 

激しめの曲、ということでは、ベースの他にラップもこなす、日野"JINO"賢二のプレイがが聴き所のジャパニーズフュージョン、「RADIO STAR」は、T-SQUAREのセルフカバーアルバム“虹曲~T-SQUARE plays T&THE SQUARE SPECIAL~”

から。DP-X1Aは、メリハリよい音色で、硬めでガツガツ来る。クリアな音で、JINOのタッチがよくわかる。ピアノソロは硬いが、広い音場でゴージャス。M3X LEは、ベースの音がやや丸くなるが、きちんと追える。上はクリスピーなリズムギターが目立つ感じ。ベースはプル主体のベースソロ部分よりも、プッシュが主体のつづくスキャット部分の方がグッと「くる」。ピアノはふくよかで、そのバックで小刻みに刻むバスドラのステップがいい感じだ。キレのDP-X1A、ピアノの存在感で語るM3X LE

 

打楽器系としては、ティンパニなどの低域の迫力と圧が重要なオーケストラ系楽曲は、「艦これ」BGMのオーケストラアレンジを手掛ける交響アクティブNEETsの“艦隊フィルハーモニー交響楽団”

から、激しい戦闘曲「鉄底海峡の死闘」。DP-X1Aは、クリアで、低いところの沈み込みからティンパニの破裂するようなアタック音の粒立ちもよく、しっかりとアピールする。一方M3X LEは、ティンパニの音圧より、ストリングスやブラスの下が充実していて「面」で来る感じ。若干ヴォリュームを上げた方が聴感上バランスがとれる。いままでの曲は、DP-X1Aが115/160(対最大72%)、M3X LEが60/100(対最大60%)で、ほぼ同じ音量だったが、この曲は低域の圧や打楽器の迫力が、DP-X1Aの方があるためか、M3X LEの方は65/100(対最大65%)まで上げないとならない感じ。

 

ナローなレンジで、乾いた感じの音色の古典ロック、Eaglesの「Hotel California」は同名アルバム

の24K蒸着CDから起こしたFLACで。DP-X1Aはモダンな感じで、ベースは硬く、ラインがよくわかる感じ。ティンパニの弾ける音にハッとさせられる。ツインギターソロはDon Felderのレスポールの弦にピックの当たる音がリアルな感じ。M3X LEは、シンバルが綺麗で、現代から比べるとミュート気味でローチューンのスネアが、「バシィ!」とキまるのが心地よい。ベースは薄めになるが、もともと古典的なピラミッド型音場で下が多めなので、バランス的には悪くない。エンディングのギターソロの部分は、こちらはJoe Walshのテレキャスがいい味出している。なお、もともと最近の音圧高めのマスターテープが元ではないので、DP-X1Aが135/160(対最大84%)、M3X LEが80/100(対最大80%)と、音量上げ目にした方が他とのバランスが取れるが、M3X LEの方がまだ上に余裕がある感じだ。

 

前回から評価曲に加えた圧縮音源、16bitでビットレート269kbpsのmp3は、YOASOBIのサポートベーシスト、やまもとひかるの配信シングル「NOISE

で評価。若干平坦な感じはするが隅々まで聴こえるDP-X1Aに対して、M3X LEはサビなどではちょっとコンプレス感がある。しかし、聴かせ方は上手く、バックがうるさくてもひかるちゃんの声はきちんと届く。

 

総括すると、クリアで硬め、端正な音だが上下の伸び感に優れるDP-X1Aと、中域のふくよかさとヴォーカルを中心とした清らかな響きが聴きやすさを醸成するM3X LE

 

モニター系のDP-X1A、リスニング系のM3X LE。クールなDP-X1AにあたたかなM3X LE。上下の伸び感がはっきりしているDP-X1Aと左右の広がりが美しいM3X LEという感じで結構違いがある。

 

もともとはDP-X1Aのバッテリー問題でメインDAP交代を考えていたが、結構キャラが違うので、家の中で聴く分にはバッテリー問題も大きな問題ではないので、併用もいいかもしれない。

 

ここまでがcybercat的定番評価曲だが、せっかく天琪ちゃんが歌う、24bit192kHzのハイレゾ音源がインストールされているので、それでも評価してみる。ついでなので?M3X LEはTANCHJIMと水月雨(Moondrop)のイヤホンに合うようにチューニングした、という謳い文句なので、ある意味「純正イヤホン」ともいえるTANCHJIM Oxygen ASANO TANCH LIMITED EDITION

を、添付標準ケーブルの3.5mmシングルエンド接続で評価。さらにM3X LEでは、デュアルDACシングルDACを選択できるが、その差も検証した。

TANCHJIM Oxygen ASANO TANCH LTDを使用
純正イヤホンとも言える、TANCHJIM Oxygen ASANO TANCH LTDを使用

 

優しいストリングス(音色)に、わりに硬い打ち込みのドラムスが盛り上げるバラード「星の夢」。まず、デュアルDACでは、ストリングスにフワッと包まれた音場に天琪ちゃんの声が優しい。天琪ちゃんがASMR風に?少し歌う声量を落として耳元で歌うかのごとく、左右に声を散らす部分があるが、この声音が温かい。シングルDACは、ちょっと直線的。天琪ちゃんの声も、ドラム・ベースも前に出る感じ。ガツンと聴きたいときにはこちらの方が良いかもしれない。ただ、この低音増強効果?はシングルDACを選ぶと、音量が下がるため、ヴォリュームを上げるのが影響するのかもしれない(だいたい5くらいは上げないと聴感上デュアルDACと同じ音量にならない)。

 

同じ曲だがアレンジ違い、ピアノがもっとガッツリ入り、薄く部分的なストリングス以外はピアノ弾き語り状態の「星の夢(Piano Ver.)」。こちらも、デュアルDACシングルDACを比較すると前者の方がフワッとしている感じで情緒的、後者は直接的という感じ。こちらの曲は、デュアルDACの雰囲気の方が良いかなぁ...

 

デュアルDACシングルDACの切り替えは、数秒の間は発生するものの、ワンタッチで切り替えできるので、ラウドネスボタンのように、その曲調に合った方を好みで選んでも良いのかも(当然音色の変化はラウドネスほど劇的なものでは全然無いが)。

 

このDAP、(ひょっとしたら自分が購入したのが中国本土向けのものであることが、さらに状況を悪化させているかも知れないが)結構操作性が特殊DP-X1Aに関しては、「DAP on Android」というのが明確で、Android端末としては、(Androidのヴァージョン5.1.1が許せば)至って普通にアプリを追加できるし、操作性もAndroid端末としては「普通」だった。ちゃんと、Androidヴァージョン8まで画面下端にあった、「戻る」「ホーム」「タスク管理」の3ボタンナビゲーションもあり、PlayストアもGoogleアプリも最初っから入っている「普通の」Android端末。DAPとして使っていながら、タスクを切り換えてWifi-Android端末として、GoogleアプリでWebの調べものをしたり、Google Driveでファイルの受け渡しなどをすることも可能。SoCとしてのリリース当初はハイエンドとはいうものの、DAPとしてリリースされたときは、すでに少々古くなっていたSnapdragon 800ことAPQ8074の処理能力的には、無理はさせられないものの、イメージとしては、iPhoneで言えばミュージックアプリを動かしているような感覚で、ベースとなるAndroidが結構「普通」だった。

 

一方、M3X LEは、採用Androidのヴァージョン7.1.1なのだが、ジェスチャーモードがデフォルト。Androidはスマホもタブも使っておらず、DP-X1Aがほぼ唯一のAndroid端末、亜流としてAmazon Fire HD 8

を触った程度、というcybercatには、このDAPを「使いこなす」までが結構大変だった(以下の説明、Androidスマホユーザーなら「当たり前」の事かもしれないが)。

 

まず、曲をDAPに移すところから。そもそもUSB-CケーブルでPCと繋いだだけでは、充電しかされない。DP-X1Aでは、PCに繋いで認識された「DP-X1A」のアイコンをクリックするだけで、PC側から内部の構造を観ることができ、音楽ファイルを転送できたのだが、M3X LEではDAP側で「USB接続の用途」を「ファイル転送モード」にする必要がある。画面上端から(一本)指で下にスワイプすれば、「USB接続の用途」ダイアログが出てくるので、このラジオボタンを「この端末を充電する」から「ファイルを転送する」に切り換えてはじめて、PC側にM3X LEの中身が出てくる。そのあと、「内部共有ストレージ(もしSDカードを挿入してるならそちらでも良い)」の「Music」フォルダに楽曲ファイルを放り込む感じ(移した曲を聴けるようにするには、さらに「Shanling」アイコンで立ち上がる再生アプリのメニューから、「ライブラリの更新」をすれば使えるようになる)。

 

次に、ジェスチャーモードでのタスク切り替えは、画面下端から(一本)指で上にスワイプすれば、アクティヴなタスクが並ぶのでそれで選択したいタスクをタップすれば、それがフロントに出てくる。タスクを終了させるには、そのタスクを左端向けてスワイプ。

 

問題は「戻る」でフォルダの階層を戻ることができないこと。一般的なAndroidの「戻る」ジェスチャーは、左端から中央にスワイプらしいが、これをやるとホームに戻るだけで前階層には戻らない。

 

スクショはデフォルトでは有効ではない。設定アイコン⚙から、「一般」を選び、「Gesture Screenshot」をオンにすれば、三本指で上から下にスワイプするとスクショが撮れるようになる。撮ったスクショの格納場所は「\Shanling M3X\内部共有ストレージ\Pictures\Screenshots」。ここにpng形式で格納される。

これをオンにするとスクショが録れるようになる
これをオンにするとスクショが録れるようになる

 

なお、DP-X1Aように、3ボタンナビゲーションを復活させることも出来る。設定⚙の「一般」⇒「ナビゲーション設定」から、「ジェスチャーモード」を「仮想キーナビゲーションモード」に切り換えると、3ボタンが復活。端末としての操作性はDP-X1Aに近くなる。

このをにすると...
この「ナビゲーション設定」を「仮想キーナビゲーションモード」にすると...

 

3ボタンが出現(白地に白で描画なので、著しく見づらいがw)
3ボタンが出現(白地に白で描画なので、著しく見づらいがw)

 

一方、DAPのみとして使うのには、初期からドックにある「Shanling」アイコンをタップすると、全画面でDAPアプリが立ち上がるので、AK120などのように専用OSのDAPライクになる(実際にはAndroidの上でDAPアプリが走っているだけなので、下からスワイプしてタスクを並べたり、そのタスクを左にスワイプして「捨てる(閉じる)」ことも出来る)。さらにDAPに「寄せる」には、上端から一本指でスワイプし出てくるメニューから、さらにもう一度上からスワイプすると出てくる詳細メニューで、「Android⇔Prime」の切替を行い「PRIME MODE」にすると、OSとなるAndroidが完全に隠れ、起動時から単なるDAPとして使うことも可能。ま、そうすると「浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんのオリジナル百合美麗壁紙」が見えなくなるため、「M3X LEである意味」が半減してしまうので?、やらないが。なお、ドックアイコン左端は時計系機能で、アラーム、時計、タイマー、ストップウォッチ。アイコンの時計の絵がリアル時計でないのはザンネンなところ。右端の電灯アイコンはサポート系。ファームウェアヴァージョンアップやユーザーガイドなどがあるメンテ系画面。ユーザーガイドは言語設定を日本語にしていると、きちんと日本語表示されるし、言い回しや句読点の位置がおかしかったり、一部の文字が中華フォントだったりすることはなく、非常に読みやすく優秀。

DACのデュアル/シングルや「Android⇔Prime」の切替はメニュー(2段階目)にある
DACのデュアル/シングルや「Android⇔Prime」の切替はメニュー(2段階目)にある

 

標準プレイヤーはこんな感じ
標準プレイヤーはこんな感じ


このMcIntoshアンプのようなスキンは良いな
このMcIntoshアンプのようなスキンは良いな

 

時計系画面はこんな感じ
時計系画面はこんな感じ

 

メンテ系画面
メンテ系画面

 

かなり読みやすいマニュアル
かなり読みやすいユーザーガイド

 

...で、なにが問題なのかというと、初期アプリ。まず「Shanling」アイコンをタップするか、フォルダの形をした「ファイル」アイコンをタップし、楽曲を選択すると標準プレイヤーが立ち上がるが、再生/早送り/巻き戻しやEQの調整系、プレイリスト作成、歌詞・ファイル情報表示などがあるごくごく一般的なもの。EQは画面構成が悪く「一目で」全体が見通せないし、プレイリストの操作性もさほどではないが、EQもプレイリストもほとんど使わず、単純音楽再生だけで十分な自分にとっては、さほどに不足・不満はないのだが、唯一かつ致命的な問題が、この標準プレイヤーは「ギャップレス再生に対応していない」。つまりライヴアルバムのように、切れ目なく歓声が続いて、曲間が連続しているものや、クロスフェードでなだらかに次の曲に移るような演出がしてあるような作品の場合、曲間で一度無音部分が入ってしまって没入感や制作者の意図が損なわれるわけ。

EQはレイアウトが悪く使いづらい
EQはレイアウトが悪く使いづらい

 

で。それならせっかく「Android DAP」なので、世にあまたある有料・無料の音楽再生アプリを導入すれば良い...と思うかもしれないが....DP-X1Aと違って「Playストア」が...ない

 

ドックにある標準プレイヤー以外で初期にインストールされているのは、

CoolApk

Via

ギャラリー

APKPure

の4種のアプリ。

左から、
左から、「CoolApk」、「Via」、「ギャラリー」、「APKPure

 

このうち「Via」はブラウザ。軽量ブラウザとしてそこそこ有名らしい。以前はクラッシュなどが多かったらしいが、広告ブロック機能などもあって便利らしい。中華ルーツである部分を気にしなければ普通に使えるブラウザ。これにはあまり不満はない(使っていないともいう)。

 

ギャラリー」は、とても使いづらい画像ビューアで、スクショを撮った絵などを観られるが、それだけ。これなら「ファイル」アイコンから「画像」で直接ファイルを探した方がまだ楽という、「使いどころがないアプリ」だが、代替手段はあるので実害は少ない。

 

ここからが問題で....

 

CoolApk」は、中華ストアアプリ。部分的に日本語化されているが、原則中国語で、非常に使いづらい。いや、言語だけの問題ではなくて、国規制がかかっているのか、ここから日本でPlayストアに普通にあるアプリをインストールしようとしても、見つからないことも多い。さらに入れたいアプリを見つけて、「入手」ボタンを押しても次に進まない(ボタンの色は変わるが進行しない)。日本ではほぼ「使えない」と考えて良いと思う。

でを探してインストールするも...
CoolApk」で「Amazon music」を探してインストールを試みるも...

 

「インストールボタン」が押せない(端末も持ってすらない端末が表示されてるし...)
「インストールボタン」が押せない(端末も持ってすらない端末名が表示されてるし...)

 

APKPure」は、日本でも使用者がいるAndroid向けアプリパッケージファイル(.apk)配布アプリ。かつてトロイの木馬が仕込まれたアプリが掲載されていたなど、セキュリティ的にはズボスボで、玉石混淆なので「目」が必要なところはまだ良い。しかし、初期インストール済みアプリのアップデート時にも立ち上がるが、これさえも、「アップデート」ボタンを押しても次に進まないことも多い(ボタンの色は変わるが進行しない)。「Google Play Store」などGoogle系アプリを探してインストールを試みたが、「見つかるがインストールできない(ボタンを押しても何も起こらない)」。結局(そのままでは)使えないアプリ。

一応は見つかるが、インストールが進行しない
一応「Google Play Store」は見つかるが、インストールが進行しない

 

要するに、Playストアをインストールしようにも、CoolApk」経由や「APKPure」経由では、Google Play(Playストア)のインストールの進行がおこらない。

 

つまり、M3X LEは、プリインストールの「Shanling」標準再生アプリだけを使って、デフォルト機能のまま手を加えず、買ってきたまま単なるDAPとして使う分には特に問題ないが、

・自分の好みの再生アプリを使いたい(ギャップレス再生をしたい)

・好きなサブスクアプリを入れて音楽を聴きたい

・DAPとしてだけでなく、Wifi-Android端末として使いたい

場合には、極めて使いづらい端末、ということになる。

 

これを解決するには、Playストアをインストールして「普通の」Android DAPにする必要がある

 

ただPlayストアの導入には、いろいろ手順を踏まなければならない。

まず、「APKPure」が使えないので、APKを別に用意する。このとき必要なのは、「Google Play Store」のAPKなのだが、「GooglePlay開発者サービス」も用意しておく方が良いようだ。「GooglePlay開発者サービス」は、M3X LEに最初っから入っているのだが、Web情報では最新版ではダメで、旧版でのみ「Google Play Store」のインストールに成功した事例もあるようなので、こっちは古い方が無難か。

 

さらに、「Google Play Store」は、「Android TV devices」対応のものでは不具合があるとの情報もあるので、APKは[0]・・・「For all devices.」のものを拾ってくる必要がある。

 

そこで、PCで古いAPKを配布しているサイトを使って、

・「Google Play Store 30.7.19-21 [0]」

・2021/09/17リリースの「Google Play開発者サービス 21.33.14.040300.395723304」

のAPKを入手した。

 

次に、PCとをUSBケーブルで繋ぎ、上からメニューを引き出して「USB接続の用途」から「ファイルを転送する」モードにし、上記2つのAPKを「\Shanling M3X\内部共有ストレージ\Download」に移動、PCとの接続を遮断。その後M3X LEの「APKPure」の「私」から、「アプリ管理」→「APK/XAPKファイルの管理」と進むと、2つのAPKファイルが見つかるので、それをインストール。そうすると、無事「Playストア」が出現!

今度は「インストール」出来る
今度は「インストール」出来る

 

Googleアカウントを設定すると、なじみのPlayストアも使えるようになり、普通にAndroid DAPとして使えるようになる。

なじみのPlayストアインストール画面
なじみのPlayストアのインストール画面

 

これで、「Amazon music」のようなサブスクアプリや、他のギャップレス再生対応可能な音楽再生アプリを入れることも可能となった。

※現在HiBy Musicの「海貝音楽」で運用中。

PlayストアからAmazon musicをインストール
PlayストアからAmazon musicをインストール

 

Amazon musicで聴取中(やまもとひかる「ZERO」)
Amazon musicで配信楽曲聴取中(やまもとひかる「ZERO」

 

ここまで手をかけてやれば、

・とても使いやすく

・音質も価格としては最上位の部類で

百合百合な

DAPを手に入れることが出来る。

 

一方、日本製のDAPと同様、手をかけずに、箱出しポン!で使おうと考えているのなら、結構苦労するかな...

日本に入って来ているのは、分母が/1500なんだよな...
日本に入って来ているのは、分母が/1500なんだよな...

 

※cybercatのM3X Limited Editionは前述のように、中国仕様のもののため上記の手順が必要なのかもしれない。手元にあるM3X Limited Editionの側面シリアルは「0XXX/1000」となっており、フリマサイトなどで転売された日本向けM3X Limited Editionの画像に見える「12XX~13XX/1500」と言う表記からは、中国国外仕様は「追加生産」っぽいのと、日本仕様の「素の」MX3に関しては使用感をつづった個人ブログに、Playストアを使っているような記載があるので、導入アプリ選定など仕様違いの可能性がある。

 

ShanlingのベストセラーハイコスパDAP=M3Xに、イヤホンメーカーTANCHJIM水月雨(Moondrop)の公式キャラクター浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんをあしらった美麗な外装や専用ケース、限定音源を仕込んだ1500台限定のレア百合DAPShanling M3X Limited Edition。アイテムとしてかなりレアで、所有欲を満たすものだったが、DAPとしての基礎性能も優れていて、ちょうど、バッテリーが弱ってきていたそれまでのメインDAPONKYO DP-X1Aの代替を探していた自分にとっては、価格的にも性能的にも満足できるDAPだった。

 

このShanling M3X Limited Editionは、

◎ヴォーカルが近く感じる中域重視の音造り

◎その中域は左右に広く、残響や部屋の大きさ感といった「雰囲気」も描き出す

◎コンパクトで持ちやすい形状で軽量なわりに、駆動力が高いアンプ部

◎高域の清らかな音色

◎温かみがありファットな低域

◎限定版なのに5万を切る価格

浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんの美麗イラストを使った背面パネルや壁紙

◎おなじく浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんのノベルティ系添付物多数

という、価格を超えるバリューを持ち、さらにレアものハンターの琴線をかき鳴らすDAPだった

 

一方

■音のクリアさはONKYO DP-X1Aに敵わない

■低域のスピード感はあまりない

■超高域に向けて開けるような、ヘッドルームの広さはあまり感じない

■標準プレイヤーアプリはギャップレス再生未対応

■標準アプリ以外を使ったり、カスタマイズするには相当の手間と知識と覚悟が必要

と、音の傾向がハイレゾプレイヤーらしく上下に伸び切った感というのが希薄なのと、Android DAPとしては特殊な構成で「そのまま使う」のでなければ結構情報収集とスキルが必要なので万人に進められるかと言うと...

 

ただ、基礎性能の高さと浅野天琪ちゃん水月ゆきちゃんの美麗装飾やノベルティ、そして1500台限定というレアさは、充分価格以上にてぇてぇ「百合DAP」と言える。

 

これは苦労して入手、そしてセットアップした甲斐があったアイテムでした。

 

【Shanling M3X Limited Edition(M3X LE)仕様】

OS:Android 7.1 AGLO(Android Global Lossless Output)採用
ディスプレイ:4.2インチ、1280×768
CPU(SoC):8コア Qualcomm SnapDragon 430
メモリ:2 GB RAM + 32 GB ROM

DAC/AMP:ESS Sabre ES9219C×2

メモリカード:microSDカード×1(最大2TBまで対応)

対応フィル形式:DSF、DFF、ISO、DXD、APE、FLAC、WAV、AIFF、AIF、DTS、MP3

        WMA、AAC、OGG、ALAC、MP2、M4A、AC3、M3U、M3U8、OPUS

周波数特性:20Hz~40kHz(0.5dB)

S/N比:121dB

THD+N:0.00085%

クロストーク(@ 32Ω):75dB(シングルエンド)、115dB (バランス)

出力レベル(@ 32Ω):80mW(シングルエンド、シングルDAC)、

           101mW(シングルエンド、デュアルDAC)、240mW (バランス)
出力インピーダンス: < 1Ω

対応ハイレゾオーディオ:最大PCM 32bit/384kHz、DSD256(11.2MHz)までネイティヴ再生
MQAサポート:16xフルサポート
出力:シングルエンド3.5mmジャック、バランス4.4mmジャック
Wi-Fi:2.4GHz / 5GHz

Bluetooth:Ver.4.2
Bluetoothトランスミッターコーデック:LDAC、LHDC、aptX HD、aptX、SBC
Bluetoothレシーバーコーデック:LDAC、SBC
USB:USB-C、USB DACおよびUSBトランスポート機能付き
バッテリー容量:3200 mAh
バッテリー寿命:最大23時間 (シングルエンド、シングルDAC) /

        最大20時間 (シングルエンド、デュアルDAC) /

        最大19時間 (バランス) / 最大46時間(Bluetooth)
寸法(縦×横×厚さ):109×72×15.9mm
重量:168g
付属品:USBケーブル×1、液晶保護フィルム×2(表面・背面用各1)、クイックスタートガイド

    製品保証書、専用レザーケース、オリジナルポストカード

 

「てぇてぇ♥DAPこと『Shanling M3XLE』を 浅野てんき ちゃんが紹介♥」

更新: 2022/06/03
音質

価格を考えると★5でもよいかも

左右分離よく各楽器の配置がよくわかる音像と、高域の美しさ、ヴォーカルを取り巻く空気感の演出は、数年前のミドルクラスDAP、DP-X1Aをしのぐ部分もあり、2021~2022年の5万以下DAPとしては一択かも。

 

クリア音質志向の人、および低域がガンガン来て欲しい人には物足りないかもしれないが....

更新: 2022/06/26
操作性

反応性はイマイチ。Android DAPなのに、Google Playがないなど、ちょっと独特の操作性。使いこなすにはかなりスキルが必要。

SnapDragonとしてはエントリー...というよりエコノミークラス?の400番台、しかもミドルクラスの600番台に迫るくらいまで性能が上がったと言われる、2021年発表のSnapdragon 480ではなく、2015年発表のSnapDragon 430なので、非力。画面スクロールなどはチョイチョイ引っかかるし、タップへの反応も「打てば響く」ではない。

 

また、Andoroid端末で下端にあることが多いボタン(3ボタンナビゲーション)が、Android 7系端末なのに無く、ゼスチャー操作であること、初期導入アプリが日本ではなじみのないものばかりであることなどもふくめて、「DAPのデフォルトに合わせて使われる」のではなく、「思い通りに能動的に使いこなす」のは相当に難関。

 

ただ、使いこなしに関しては、Playストアが導入できれば★3つに昇格するので、苦労する甲斐はある←自分の持つのが、日本向けのシリアル1200~1300番台のものではなく、3ケタ前半の中国本国版であることが影響している可能性もあり。

更新: 2022/06/26
調整幅

DACのシングル切り替えが面白い

EQなどは、むしろDP-X1Aの方が細かく調整できたり、アーティストが設定したプリセットEQがあったりと面白いが、DACをシングル使いもできるというのは、なかなか他のDAPではない機能。

 

DACシングル使いにすると、中~高域のふくよかさや空気感は減るが、ベースなどは直線的に前に出る感じになって、ビート感強調されるので、曲によってはガッツがある感じになる。

 

単に、DACのシングル使いは消費電力を抑えて稼働時間を延ばすだけで、音質的にはシングル<デュアル...と一言で片づけられないのが面白い。

更新: 2022/06/26
コンパクト度

ものすごく小さいわけではないが、DP-X1Aよりはかなりコンパクト

ShanlingにはQ1という、iPhone SEの半分ほどの筐体の超小型ハイレゾDAPもあったので、絶対的な大きさでいえばそれよりは大きいが、機能と音質とバッテリーライフのバランスで考えるとかなり高レベル。

 

サイドの面取りも、実寸以上に小さく感じさせる設計。

  • 購入金額

    46,725円

  • 購入日

    2021年06月21日

  • 購入場所

    HiFiGO

23人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • jive9821さん

    2022/06/03

    ベースのM3Xと中身は変わらないと思っていたので、これは
    試聴していませんでした。中身まで手を入れているのであれば
    一度聴いておくべきでした…。

    M3Xを聴いた限りでは割と幅広いジャンルをそつなくこなす一方、
    やや音の輪郭が暈けて分解能も低い感がありました。
    M3X LEで手を入れている部分は、その辺りを少し改善しようと
    しているように見えます。
  • cybercatさん

    2022/06/03

    ま、もともとがエントリー+クラスのDAPなので、音のシャープさや明瞭さはミドルクラスのDP-X1の方が良い部分も多いです。

    ただ、コンパクトさと、ヴォーカルフォーカスの音造り、ロングバッテリーライフは自分の使い方では充分なので、当面これでいこうかなと考えています。
  • harmankardonさん

    2022/06/04

    レビュー,お疲れ様です.
    プレミアムレビューの募集って,ありました?
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