レビューメディア「ジグソー」

ちょっと危険なレベルのハイ上がり

先日開催されたeイヤホン秋葉原店の中古掘り出し物市に足を運んだのですが、予算不足ということもありこれという品には出会えませんでした。

 

そこで何か手頃な価格のものを買おうと考えて買った品の一つがこのRHA製イヤフォン、CL750となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リケーブルには対応していない製品ですので、冊子類を除く添付品はイヤーピースばかりですが、このイヤーピースが妙に沢山付いてくるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

もっとも、試聴時にはこれらは使われることはありませんでした。理由は後述します。

 

 

 

RHAには近い価格帯と構造のMA750というロングセラーモデルがありますが、CL750はそれよりも圧倒的に扱いにくいという特徴があります。イヤフォンとしては極めて抵抗値が大きく150Ωもあり、アンプの駆動力をかなり要求するためヘッドフォンアンプ推奨と明言されている程です。また能率も89dBとイヤフォンとしてはかなり低く、実際に使ってみると抵抗300Ωと鳴らしにくさに定評があるヘッドフォン、SENNHEISER HD650と近いレベルの音量しか取れないほどでした。

 

 

 

 

 

 

 

そこで今回は、DAPとしてはCayin N6ii/R01、ヘッドフォンアンプとしてChord Hugoを組み合わせて試聴してみることにします。

更新: 2024/08/28
音質

長時間聴くと聴力が心配

音について触れる前に、この製品の説明書には周波数特性グラフが掲載されていますので、そちらを紹介しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

低域~中低域は比較的フラット傾向なのですが、中域が下がっている一方、中高域~高域で極端に上昇しているという傾向が見て取れます。高域も16kHz辺りは妙に落ち込んでいるのですが、18kHz以上で再び急上昇しています。

 

実際に音を聴いてみると、このグラフの信憑性は確かに高いと思います。まずはCayin N6ii/R01で聴いてみます。イヤーピースは出荷時装着品のままです。

 

 

 

 

 

 

 

思ったよりも音量は取れている(この例ではミドルゲインで音量30ですが、これで十分な音量です)のですが、聴くのが苦痛になってくる程高域が耳障りです。ヴォーカルのサ行やドラムのハイハットをこれでもかという程耳に飛び込ませてきます。1曲通して聴くのが苦痛に感じられましたので、試聴は約2分で止めました。

 

さすがにDAPでは鳴らせないのかと思い、すぐにChord Hugoでの試聴に移ります。Hugoは前述のSENNHEISER HD650程度は軽々とならしてくれるヘッドフォンアンプを持ちますので、駆動力不足ということは無いでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、多少低域方向の深さや中低域の豊かさは向上するものの、本質は全く変わらず、超ハイ上がり傾向です。何とか1曲我慢して「If You Love Somebody Set Them Free / Sting」を聴いたのですが、比較用のHD650で聴き直すと普段より高域が大きく不足したような聞こえ方になります。しばらく耳を休めると普段通りの音に感じられるようになりましたが、この音をそれこそ30分も聴いてしまうと耳の健康が心配になるレベルです。音の善し悪しのレベルではありません。

 

ひょっとするとRHAからこの製品とほぼ同時に発売されたポータブルDAC/AMP Dacamp L1と組み合わせればまともな音が出るのかも知れませんが、Hugoでここまで鳴らせないイヤフォンをまともな音にしてしまうとすれば、その製品の出来の方が気になります。

 

 

普段であれば個人的に「こんな音で音楽を聴く気にはなれないな」と思うような製品であっても、その人の好みによってはアリなのかなと考えるのですが、この製品だけは好みにかかわらずお薦めできません。この製品の音がニュートラルに聞こえてしまうとすれば、真剣に病院に行って聴力検査をした方が良いと思えるほどひどいバランスです。

 

付属のイヤーピースが刺激分をより強調しているのかと思い、一応イヤーピースを高域を減衰させる効果が大きいComplyに替えて聴いてみたのですが、耳の負担はある程度軽減されるものの、まだ十分に不快なレベルの高域の強さが残ってしまいます。

 

他のRHAの製品、例えば前述のMA750やT20などもハイ上がり傾向ではあるのですが、耳に良くないと感じる程ひどいものではありませんでした。CL750のハイ上がりは危険性を感じるものであり、興味本位でも所有はお薦めできません。

更新: 2024/08/28
イマイチ度

音の個性は尊重されるべきだが耳への悪影響は看過できない

このイヤフォンのハイ上がりは、個性として許容できる範囲は超えていると考えられます。少なくとも私はこのイヤフォンで聴いていると短時間でも耳への疲労を感じますし、健康に対して悪影響を与えるという意味で他人にお勧めは出来ません。

 

私自身「音になっていない」と切り捨てているイヤフォンは多くありますが、「耳に悪いから聴かない方が良い」と評する製品はさすがに滅多にありません。

 

一度は聴いてみないと判らないものだったとはいえ、聴かない方が良かったイヤフォンの一つです。

  • 購入金額

    4,000円

  • 購入日

    2022年03月19日

  • 購入場所

    eイヤホン

16人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • harmankardonさん

    2022/03/30

    低音番長はなんとかなりますが,高域がキツイのは辛いですね.
    きれいに伸びているのとキツイのは同じように見えて,全く別物です.
  • jive9821さん

    2022/03/30

    > harmankardon さん

    単なるハイ上がりという範疇であれば我慢できるのですが、この製品の
    高域は聴力に悪影響が出るレベルでした。

    この製品を聴いて違和感を感じなかったら、既にある程度耳の健康を
    害していると考えた方が良さそうな程極端な音ですからね…。

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