現在、高価・高性能なフライトシミュレータ用ジョイスティックが各メーカーから数多く発売されているのですが、僕の中では、機能はともかくロマンでこのコントローラに勝るものはまだ登場していないと思っています。
それが、Xbox 用オリジナルタイトル『鉄騎』シリーズ専用コントローラ。
40個以上の入出力スイッチを搭載したモンスター級巨大コントローラです。
横幅 90㎝ くらい、奥行25㎝くらいの大きさで、買ったはよいものの PC デスクに置くことができず、ずっとガレージにしまっていたくらい。
専用コントローラのため(似たようなゲームタイトルが後にも先にもないため)ゲームとの親和性が高く、機体とシンクロした操縦感が味わえるのが魅力。
今でこそ、3人座れるカウンターデスクがあるので余裕で設置できるのですが、49インチモニタの前に置いてもこの迫力。
ただ大きいだけなら普通ですが、点灯するボタン、チューナーダイアル、トグルスイッチ、発射トリガー、シフトレバー、フットペダルといった装置を使ったゲーム内操作や演出が素晴らしいのです。
チューナーダイアルもある中央パネル。
このチューナーダイアルは周波数を合わせるためのものですが、周波数を合わせて個人通信ができる他、確か索敵型の電子戦装備の場合、敵をロックオンして通信チャンネルの周波数を探して特定し、敵側のリアルな通信を傍受するとかできた気がしたような。
テキストチャット機能がなく、ボイスチャットのみで味方と連携していたので、敵のリアルな会話を盗み聞くというのは意外に思いつかないアイデアでしたね。
左上の赤いボタンは、見方からの通信が入ると赤く点滅するので、ダイアルで相手を指定して一番左の通信開始ボタンを押す必要があります。
右上の青いボタン群は特殊機能で、装甲をパージしたりエネルギータンクを切り離したりして機体を軽量化し機動力を上げたりできます。リミッター解除ボタン(駆動系に負荷がかからない安全機能を外しオーバーライドする、ただし機体にダメージが蓄積する)や、夜間に視認性を上げるナイトビジョンの切り替えなどがあります。
下の青いボタン群は、メイン武器とサブ武器の選択ボタンやマガジン交換ボタン。現在の HOTAS が一般的になりつつあるコントロールシステムだといちいちパネルに手を伸ばすコントロールシステムはどうかと思うけど、これはこれでレトロな雰囲気があって良いですね。
ここには付近で爆発した際にメインカメラに付着した土砂や粉塵を洗い流すウォッシャーや、ナパームなどで機体が燃えた際に消化するための消火剤ボタン、金属片を射出して誘導ミサイルを回避するチャフなど、様々なボタンがあります。
右パネルには戦術情報を表示するモニタパネルの ON/OFF がたくさん。
右端の青いボタン3つは起動時に押すエンジンのイグニッションボタン、OS起動スイッチ。
一番上の透明カバー内にあるのが緊急脱出ボタン。
透明カバーを跳ね上げて赤いボタンを押すのですが、これはロマンありますね。
世界中で男の子が一番押してみたいボタンの形状かと思います。
このカバーを指先で跳ね上げて中のボタンを押し込むアクションが自分でも格好良い。
このボタンの使い方も良くできていて、機体を捨てて自分の生命だけ守りたい時に使用するものなのですが、ゲーム上だとバーチャルなので自分が撃墜されることについて無頓着になるはずなのですが…。このゲームでは、自分の生命=セーブデータになっているのです。つまり撃墜され死んでしまうと、今まで育てあげたパラメータや実績を捨ててゼロからスタートすることになるので、やられそうになると脱出するしかないのです。
そうすると、脱出した時点で敗退が確定するため交戦中に被弾していても相手に与えるダメージと比較して自分が脱出するか相手が脱出するかのチキンレースが発生したりして、その駆け引きが熱かったりします。
簡単そうに思えるけど、実際にやってみると交戦中は冷静じゃないからカバーを上げるのを忘れてグイグイ押してたり、念のため開けておくと思わず触ってしまって脱出してしまったりとか、いろいろ悲劇もあったりするボタンです。
コントロールスティックには、メイン武器・サブ武器の発射トリガー、ロックオンボタンがあります。この部分は結構出来が悪いですね。
左側パネルには、5段階の前進速度のための変速シフトレバー、左右にしか動かない機体旋回レバー、5つのトグルスイッチがあります。このトグルスイッチは、僕がこのコントローラで一番好きな部分。
トグルスイッチは左から、排気温度コントロールシステム、酸素供給システム、燃料流量システム、コックピット保護用緩衝材注入システム、機体位置測定システム。
戦闘中にこれらのボタンを触る時は滅多にないのですが(あるとしたら敵の攻撃で電気系統がシャットダウンし機体が停止してしまった時)、発進時の機体起動シークエンスで使います。これらのスイッチをパチパチと手順通りに ON して右パネルのエンジンON、スタートボタンで自機が起動するのですが、こればっかりやっていたいぐらい楽しいです。
システム的にも意味が考えられていて、これらのスイッチを OFF にして隠れていることで熱源探知やレーダー&センサーから逃れることができ、敵が移動した後に素早く起動シークエンスを行い奇襲するといった戦術も有効になっていました。酸素供給システムなどの生命を維持するシステムの電源も切っているため、一定時間が経過してしまうと死亡することになり、ここでもチキンレースの要素がありますね。
左右にしか動かないレバーの上(この左右にしか動かないレバー、という特殊性がすごく操作しづらかった)にはジョイスティックのような入力レバーがあります。一瞬、照準サイトのコントロールではなくパイロット自身の視点移動だったように思います。自信ないけど。このスティックを利用して「機体内で」左右を確認したりします。
カメラが見えなくなった時にはコクピットハッチを開けて目視したりもします。ジャミングでモニタが見えなくなるとかあったっけ? とにかくほんと良くできてますね。
ハッチを開けて敵と会話できたりしたら、もうほとんどガンダムの世界ですね。
このコントローラにはフットペダルも付いてます。これがあるため、巨大なコントローラをデスクにしか置くことができないのですけど。
右からアクセルペダル、ブレーキペダル、スライドステップペダル。
スライドステップは旋回レバーと組み合わせて押すことで前を向いたまま横移動できるようになり、照準合わせや回避で多用します。
このフットペダルがとにかく硬くて、子供の脚力ではなかなか踏み込めなかった思い出があります。
コントローラのボタンの詳細な説明やコクピット画面の説明などは、下記に詳しく掲載されていました。
■動画 - 鉄騎大戦情報サイト (starfree.jp)
http://tekkitaisen.starfree.jp/cockpit.html
■上記の動画チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC0WhoSOlU5EX5MHhTXhOxAQ
これが20年前に発売されていたデバイスだと……!
部屋を暗くしてシートに座る。トグルスイッチを弾いて計器に火を入れるとコクピットハッチが降りてきて閉まり、一瞬暗闇と静寂に包まれた後に点滅するパネル、画面に映しだされるエネルギーゲイン、コクピット内を照らすマルチモニタの戦術情報。
レバーを握り、正面スクリーンにメインカメラを映像が映し出されると外で誘導灯を振る整備員の姿が見える。発進ゲートに機体を向けると、ハッチ外には基地を奇襲した数機の1機が内部に侵入しようとしている。素早くトリガーをひき進路をクリア、格納庫からスロットルを上げて発進する──。
スイッチが多い入力装置は覚えるのが難しく敬遠されるのが常ですが、それとは逆にこのシチュエーションが喜ばれるのがロボットのコクピット。
このロマンをかなえてくれるのが、このコントローラです。
3つのブロックで構成される機器をネジで固定したものは巨大で、キーボード3つぶんほど。
このコントローラを使って二足歩行ロボットを操縦するのです。
似たようなデバイスアイテムは、もう2度と出てこないんだろうなと思わずにはいられないのが、この鉄騎コントローラ。クラウドファンディングが一般化した現代なら作って売れそうな雰囲気もあるのですが、交換部品のストックなど考えると手を出せないビジネスで、クレームや悪評を市場に広めてしまう「消費者が強い時代」では販売リスクの強い製品だと思います。Logicool がモジュール式のフライトシミュレーショタ用パネルを販売だけしていますが、あのような形の販売ならありえるのでしょうか…。
ユーザーエクスペリエンス、没入感。VR/AR などで当たり前のように使われるキーワードも、このコントローラの魅力を語る上で既に使用されていたという、時代を先駆け、登場が速すぎたゲームタイトルでもありました。
機能や造りはなんでもない、レバーとボタンがあるだけのシンプルなデバイスなのですが。
このデバイスを活かすあらゆるプロダクト面でもソフトウエア面でもデザインが優れていました。
大型のボタンを配置したコクピットのようなパネルはロボットを操縦するコクピットに座っている雰囲気に浸れるし、テレビモニタ画面に映しされるコクピットハッチが閉まる演出やコンソールが手前にせり出されてくる演出、シートが実際に揺れるかのようにタイミングよく揺れる画面と耳に響く重低音。モニタにはカタパルトに誘導するため手を振っている整備員が見えていたり。
動画検索するとコントローラだけでなく、機体の起動シークエンス画面の動画なども多く出てくるのですが、コントローラを使った演出や手順などもマニアの中では評価が高いです。
材料費を抑えて生産性を上げた工業製品。
高度な機能を満載した高級製品。
そういう製品も悪くはないですが、そんなモノの品質だけなくもっと別軸のハートの部分で、製品開発メーカーは今一度、「お客様の手に何を届けるのか」という点に改めて考える必要があると思い知らさせる製品です。
コストや設置スぺースを完全無視した、デザイン性
欲しかったのはコレだ! というコントローラです。
多くのボタンや機能をコンパクトに詰め込んだ高級コントローラは市場にあるにはあるのですが、自分の目前いっぱいに広がるスイッチパネル類、コクピットをイメージさせるようなものはありませんでした。確かに狭いデスク上に置けるコンパクトさは大事なのですが、多くの男の子が求めるのはモニタ下で光り輝く計器パネルとレバーやボタンなのですよね。
開発メーカーはユーザーは高機能やかっこよさ・コンパクトさを求めていると思っている・売れると考えているように思うのですが、意外にこういうハートを熱くさせる製品って少ないですね。
そんなロマンのあるコクピットでも、ゲームデザインの問題というよりは遊ぶ側のリテラシーやコミュニケーションマナーが低い時代だったため本物の実戦のように容赦ない戦場で、初心者はあたふたしているうちにフルボッコされるような優しくない世界です。「俺はガンダムの世界でエースパイロットになれる」というような自信を持っている人も心を折られるくらいの冷徹さです。リアル会話のボイスチャットなので仲間内でも罵詈雑言が飛び交う世界でもありますね。
維持しにくい
凹凸が多く、掃除は大変。フットペダルには可動域の確保に大きな開口部があり、そこに埃や髪の毛が入り掃除が大変です。あまりメンテナンスは考えられていない設計ですね。
このコントローラにはボタンが緑の初期型、青ボタンの改良型があり、これは改良型。
耐久性の見直しなどが行われいくつかの部品が変更になっているようです。
約20年を経過しても劣化せずに使用できるので、耐久性はそこそこありそうですね。
値段に変えられない、手に入れたかったモノ
少し安っぽく見える材質やインターフェースデザイン視点で考えると無駄で悪いところも多いのですが、男の子のロマンや体験といったところの「夢を叶える」という部分で最高級のパフォーマンスだと思います。
ちなみに 端子さえ USB に変換してドライバさえ用意すれば、PC でも使用できます。
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購入金額
21,000円
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購入日
不明
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購入場所
mickeyさん
2021/12/05
yasukawaさん
2021/12/06
takamizuさん
2021/12/22
これがPCでも使えたら・・・。
supatinさん
2021/12/22
(*・ω・)*_ _)ペコリ
当時すごく憧れたのですが置いとく場所や値段とかで断念した思い出があります
その当時所有していた車にトグルスイッチやスターターボタン、
キルスイッチ等を付けて気分だけ真似していました。
yasukawaさん
2021/12/22
PCでも使用できてしまうんですよね……。
XBOX用コントローラ端子は形状が違いますが USB 規格なので、配線しなおすか変換プラグを使い、ドライバをインストールするだけです。
ドライバは以下
https://sourceforge.net/projects/steel-batallion-64/files/
yasukawaさん
2021/12/22
そんなあなたに、VR
https://store.steampowered.com/app/1192900/IRON_REBELLION/