レビューメディア「ジグソー」

普及価格帯8TB HDDでもCMR形式なのがポイント

現在修復中のメインPC。

 

元々春~夏までにはあるはずだった転勤で、実家にPCを移動させて、落ち着いたタイミングでWin11化とストレージの増強をしようと思っていたのだが、転勤が半年前倒しになったためタイミングが狂い、さらに某引越業者の雑な扱いのせいでプロの犯行で2組のRAID1が両方とも片肺になり、ついでに光学ドライヴも上手く動かなくなった..ということで、ストレージの復旧のついで?に、予定より早くWin11化とストレージ増強を行うことにした。

 

前環境は2018年の構築で、512MBのSSDですら数万円していた時代。まだ、SSDの容量は128~256GB程度が主流で、OSの起動部分はSSDでも、データはもちろんプログラムの一部でさえもHDDに逃がして、コストを抑えた構成が多かった時代。

 

そんな時代に速さと確実性を求めた結果、OSやアプリはライセンスや元CD(DVD)があるので、手間さえかければ復旧できると考え、当時まだ高価だったNVMe M.2 SSDを、容量512MBの2枚使いのRAID0で速さと広さを追求し、デスクトップやMy Documentなど「今いじっている」ファイルを置く場所は、512MBの2.5インチ SATA SSDのRAID1として、ある程度レスポンスを求めつつも二重化し安全性をとり、さらにほぼ触らなくなった過去作成ファイルやCDから起こしたFLAC、iPhoneの写真バックアップなどを置く倉庫として、4TBの3.5インチ HDDをRAID1で二重化して持つという構成にした。

 

いわゆるシステム系ストレージの見かけの容量が約1.5TB、そのうちよく使うデスクトップとMy Document系の広さが0.5TBで、その部分だけは二重化されているという感じ。長期保存系データは二重化した4TBのHDDに逃がし、速さよりも容量という選択。

 

そこを2025年のWindows 11環境でどう変えるか。

 

前環境で一番のネックは、システム系の「見かけ容量1.5TBのいわゆるCドライヴ」を、2種4枚のSSDを使ってのRAID0とRAID1の混合構成で組んだため、当時としては比較的低価格ながら速さと広さを兼ね備えた構成ではあったものの、複雑すぎてクローンが簡単には作れず、その後TBクラスのSSDが安価になっても簡単には大容量化できなかったという問題だった。

 

そこで、今度は使用中にSSD容量が足りなくなっても簡単にクローン作成と移行ができるように、システム系はnon-RAID構成で行くことは比較的早期に決めていた。

 

元々この大容量化はWindows 11化とは連動させず、昨年前半に増強しようかとも考えていたので、OSとアプリを2TB、テンポラリを1TBの計3TBにする予定で手配をしていたのだが、色々取り込んできて作業を後送りにしているうちに、QLCとはいえ4TBのSSDが予定外に安く購入できたので、システム系を2枚のSSDを使った2+1の容量3TBではなく、4TBのSSD1枚で行く方針に変更しようとしていた。

 

しかし今回の移送時のディスク破損でその方針を再修正し、やはり書き込みが嵩むテンポラリ系と読み込みの比率が高いOS+アプリ系のディスクを分けることにした。

 

次は長期保存系のデータドライヴなのだが、こちらは今回ディスク破損が起こったにもかかわらず、いかなるデータも喪わなかったRAID1の有用性を再認識し、新環境でもやはりRAID1を組むことにした。

 

長期保管系はやはり実績のあるHDDのRAID1か...
長期保管系はやはり実績のあるHDDのRAID1か...

 

前環境では4TBのNAS用HDDを2枚使っていたのだが、新環境ではその2倍の8TBのものを使う。

 

システム系で使うSSDは、この6年ほどで充分大容量のモノが安くなったし、SSD黎明期に報告された突発性データロストなども聞かなくなり、信頼性も向上したので、512GBのものを2枚でRAID0を組んで広さを確保していたOS+アプリ系は4TB SSDのシングル使い、512GBのSSD 2枚のRAID1で二重化していたテンポラリ系は2TB SSDのシングル使いと、両方シンプルな構成にしながらも、ともに容量は4倍化した。

 

一方、HDDの方はすでに底値を打ったのか、技術進歩による低価格化のスピードより、ここのところの円安基調の為替の問題の方が大きく響いたのか、この5年ほどで価格はさほどに下がっていない...どころか4~8TB程度の中容量HDDは、ここ1年ほどはむしろ価格上昇傾向。

 

そんな中、自分が信頼を置くブランドのHDDの製品が、当初その製品シリーズは原則SMR形式だったものが、同じシリーズなのに一部のものがより信頼性の高いCMR形式で発売になったので、ここ数年特価になるたびに、店頭・通販問わずチマチマ同型のものを買いためていた。そこでデータ倉庫としては、そのストックHDDを突っ込むことにした。

※なぜ、SMR形式よりCMR形式の方が良いのかは、CMR形式のWD Red Plusをパーツとして採用したLogitecのUSB接続外付けHDD、LHD-EN80U3WRのレビュー(↓)を参考のこと。

WD(Western Digital)の8TB HDD、WD80EAZZ。グレードは汎用性とコストを追求したBlue

このHDD、安くなるたびに買っていたので多くストックがある。
このHDD、安くなるたびに買っていたので多くストックがある。

 

今まで、データ保存用にはRAIDを組むこともあって、NAS用のRed

を使っていたが、どうやらRedブランド立ち上げ当時は、信頼性の高いCMR形式を選択していたものの、ライバル企業の低価格路線に押されたのか途中で価格容量比に優れるSMR形式の機種も混入リリースしていたらしい。その後、「NASに使うので確実にCMR形式が欲しい層」に向けて、CMR形式のものをWD Red Plusとリブランドして販売することにしたようだが、当然コスパだけはが良いSMR形式より原価も高くなるうえ、タイミング的に近年の円安相場と相まってガッツリ値上がりしてしまった。

 

そんな中、旧Greenも内包して、より低価格の方にも手を伸ばした同社のスタンダードグレードのHDD、Blueの8TB版が、同シリーズの他容量と違ってCMR形式を採用したのはアツい。容量的には8TBは今となっては「大容量」とは言いがたく、二桁TBのHDDも珍しくなくなってきたし、同社でも企業用NASに向けた高速HDD、WD Red Pro シリーズにはすでに20TBを超えるモデルもある時代では、せいぜい中容量HDDだが、普及価格帯ブランドであるBlueでは未だに8TBが最大容量なので、この容量を買いためていたのは先見の明があった??

 

さらにこのWD80EAZZは、原則として動作時保証温度が0 ~ 60℃であるBlueシリーズのなかで、Redシリーズと同じ0 ~ 65℃なのも、信頼性という意味ではマル。

 

そんな複数家にストックしてあるWD80EAZZを今回2台出してきてRAID1を組んで使うことにした(登録価格は販売店のセールで「お一人様2台限り」とされていた時に、2台一括購入した際の1台あたりの購入価)。

 

バルク品ではないので、カラーの外箱に入ってはいるが、中身は緩衝材とHDD本体のみ。あ、一応並行輸入品ではなく、正規代理店扱いなので日本代理店の保証シールがついているが、このシール、大きさが微妙で、「元々のラベルを隠さないように」貼り付けられる平面のスペースがないんだよなー...(代理店さんなんとかなりませんかね~

テックウインドさん、この製品保証シール、「貼れる」形状・大きさに出来ませんかね?
テックウインドさん、この製品保証シール、「貼れる」形状・大きさに出来ませんかね?

 

2枚同時購入品を突っ込んだ
2枚のWD Blue WD80EAZZを突っ込んだ

 

ケースは引き続きCORSAIR Air 540

を使うので、片肺で生きていたWD RedWD40EFRX-RT2から、全データを一度前述のUSB HDDに抜いた。その後、RAID再構築で復活させるのではなく、残ったWD Redを除去した後、WD BlueWD80EAZZを2枚インストール、久しぶりのRAID設定ツールRAIDXpert2でUEFI(BIOS)からRAID1設定した。

前環境の情報も残っているので、Arrayは多い
RAID設定前。8TBのHDDが2つ見える(前環境の情報も残っているので、Arrayは多い)。

 

でRAID構築!
RAIDXpert2でRAID構築!

 

Arrayひとつにまとまった!
RAID1のArrayひとつにまとまった!(作業順序的に別のRAID-Arrayも見えているが)

 

性能的には流石に?HDD、たいしたスピードではない。冗長化RAIDを組んでいるのもあって、単品使用よりさらに性能は落ちている。

 

【最新のCDM8での計測-RAID構築前-】

SSDのスコア見慣れていると...
SSDのスコア見慣れていると、単品でも遅いが...

 

【最新のCDM8での計測-RAID構築後-】

ランダム系の一部指標が誤差程度上昇しているが、他は単品使用より明確に定価
RAID1では、ランダム系の一部指標が誤差程度上昇しているが、他は単品使用より明確に低下

 

【前環境のデータがあるCDM6での計測-RAID1環境-】

数値は大幅に違うものもあり、やはりCDMはヴァージョンを合わせないと判断が難しいな。
数値は大幅に違うものもあり、やはりCDMはヴァージョンを合わせないと判断が難しいな。

 

《参考:前環境のWD40EFRX-RT2のCDM6での計測-RAID1環境-》

一部
一部ほぼ変わらない指標もあるが、容量アップによる記録密度の上昇が効いたのか新環境の方が良い

 

4TB⇒8TBの高密度化が効いているのか、多少新環境の方が速度が出ているが、SSDと比較すると速度的には全く見るべきものはない。

4TB(右)から8TBのへ
WD Red 4TB(右)から8TBのWD Blue

 

ただSSDという比較的新しいデバイスではなく、遅くとも実績があって枯れたデバイスを長期保管系のストレージに充てるのは選択として悪くない。長期保存データ系は他にNASや外付けHDD等を併用しながら、当面この8TBのHDDで行こうと思います。

 

【WD80EAZZ仕様】

フォームファクター:3.5インチ
インターフェース:SATA 6 Gb/s
フォーマット済み容量:8 TB
書き込み方式:CMR
対応機能:Advanced Format(AF)
パフォーマンス 最大インターフェース速度:6Gb/s
電源管理 平均所要電力(W) 読み取り/書き込み:6.2
電源管理 平均所要電力(W) アイドル:4.1
電源管理 平均所要電力(W) スタンバイ/スリープ:0.4
パフォーマンス キャッシュ(MB):128
パフォーマンス 回転速度(RPM):5640
パフォーマンス 最大内部転送レート:170 MB/s
信頼性/データ整合性 保証:2年
信頼性/データ整合性 ロード/ アンロードサイクル:300,000
信頼性/データ整合性 ビット読み取りあたりの回復不可能な読み取りエラー:10E14あたり1回
使用環境 温度 動作時 (℃):0 ~ 65
使用環境 温度 非動作時 (℃):-40 ~ 70
使用環境 耐衝撃性 稼動時(2 ms、書き込み) (Gs):70
使用環境 耐衝撃性 稼動時(2 ms、読み取り) (Gs):70
使用環境 耐衝撃性 非稼動時(2 ms) (Gs) :250
使用環境 動作音 アイドル (dBA):25
使用環境 動作音 シーク(平均) (dBA):30
寸法等 本体寸法:26.1 x 147 x 101.6 mm
寸法等 重量:0.75kg(±10%)
対応 RoHS:◯
対応 PSE:対象外
対応 電波法:対象外

更新: 2025/03/23
信頼性

NASで酷使前提のRedやエンタープライズ用のGold程ではないが...

Blueの中でも、この8TB版はCMR形式で信頼性が高い(メーカーの製品保証はRed系の3年間に対して、2年だが)。

 

動作保証温度もBlueでは珍しく、Red並みの0 ~ 65℃だし。

  • 購入金額

    11,980円

  • 購入日

    2022年08月11日

  • 購入場所

    パソコン工房

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