三島屋変調百物語シリーズ五巻目。
収録されているのは五篇のお話です。
背筋も凍るような闇深いお話から、心の温まるお話まで、不思議なお話が並びます。
ネタバレになるような感想ですので、気になる方は、そっと閉じてくださいませ。
人の心の弱さと、欲に付け込んで大切なものを奪う怪異。
何かを差し出して、何かを得る。
しかし、それは、本当に必要な代償なのでしょうか?
囁くなにものかは、「本来手に入れられないものを手に入れるには大切なものを差し出しなさい」と唆しますが…。
怪異も恐ろしいのですけれども、『それ』に縋りさえすれば、何かが叶うと知った人間の心の脆さ、闇深さに身震いします。
幼い頃の思い出を語り合う兄弟。
そこには、不可思議な話がありました。
でも、それは、縁あった人の優しさが故のもの。
そして、それを語る人の優しさでもありました。
この巻をもって、第一部が終幕となり、主人公が代わります。
怪異のお話をしながらも、幸福のお話が紡がれる、良い物語だと思います。
私は、このシリーズのリズムが凄く好きですね。
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購入金額
1,056円
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購入日
2021年01月13日
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購入場所
楽天ブックス
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