ピアニストとして独自のポジションを築き、現在も精力的にツアー活動を続けているジョージ・ウィンストン。
彼の作品としてよく知られているのは「Longing / Love」(邦題は「あこがれ/愛」)と、それを収録したアルバム「AUTUMN」でしょう。
アルバム「AUTUMN」は、彼が育ったアメリカ・モンタナ州の四季を描いたアルバム4部作の第1作目となる作品で、1980年にリリースされました。その後「WINTER INTO SPRING」「DECEMBER」が1982年に相次いでリリースされたものの、最終作となる本作「SUMMER」は1991年と、かなりの時間をおいてのリリースとなりました。このインターバルは、彼がモンタナの「夏」を表現することにそれだけ苦心した表れという説もありますが、こればかりは本人以外は知り得ぬ事情でしょう。
収録曲は15曲ですが、「AUTUMN」のように圧倒的に長い曲もあれば結構短い曲もあるという構成では無く、割合普通の長さの曲が多く並びます。
01. Living in the Country
02. Loreta and Desireé’s Bouquet - Part 1
03. Loreta and Desireé’s Bouquet - Part 2
04. Fragrant Fields
05. The Garden
06. Spring Creek
07. Lullaby
08. Black Stallion
09. Hummingbird
10. Early Morning Range
11. Living Without You
12. Goodbye Montana - Part 1
13. Corrina, Corrina
14. Goodbye Montana - Part 2
15. Where Are You Now
彼のアルバムは基本的には自作曲で構成されるのですが、本作はトラディショナルや他者の作品もそこそこ含まれていて、過去の4部作の作品群とは少し異なる雰囲気を感じます。
夏の盛りを描いたものでは無く、涼しげな印象を受ける
ここで、本作のジャケット等をご覧いただきましょう。
ケース裏面やCDの盤面は彼が所属するウインダム・ヒル レコードの共通デザインとなっていますが、ブックレットの両面は写真が使われています。
そしてこの写真からも判るように、この作品で描かれている夏は、太陽が燦々と輝いている盛夏ではありません。1曲目の「Living in the Country」で受ける印象は初夏の爽やかさですし、曲が進むに従って徐々に秋口にさしかかる、夏の終わりの印象へと変わっていきます。同じ「夏」ではあっても、日本の高温多湿の過ごしにくい夏とは全く異質なイメージで描かれているのでしょう。
日本の猛暑の中でこの作品を聴いていると、こんな爽やかさが日本の夏にも欲しいと思わされます。
作品としてみた時には、以前の作品と比較してもアルバムの中での統一感のようなものは強く感じられる一方で、「Longing / Love」のような圧倒的キラーチューンはなく、高水準に全体がまとまっているという印象を受けます。
オーディオ的には以前の作品のようないかにもアナログテープ録音という感じのヒスノイズやワウ・フラッター成分が感じられず、その代わりややダイナミックさが後退した印象を受けます。どう考えてもデジタル録音でしょう。
この時期にせめて音だけでも爽やかな夏を体感したい時に、お薦めの一枚といえます。
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購入金額
350円
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購入日
2020年07月23日
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購入場所
VALUE BOOKS 楽天市場
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