昨日、客先に向かう前の時間調整でHARD OFFに立ち寄りました。
するといくつか面白そうなものが見つかったのですが、中でも最も目を引いたのがこちらの品です。商品名は「SHURE VN35MR」。この型番はわかる人にはすぐわかる、SHURE製ベストセラーMMカートリッジ、V15 typeIII用の交換針で、後になって追加されたマイクロリッジ形状の交換針です。
ただ、実際にそこにあったのはこちらでした。
つまり、交換針ではなくきちんと針が装着されたカートリッジで、ヘッドシェルも付属しているというものでした。簡単に言うとSHURE V15 typeIII-MRというモデルです。
私自身、SHURE V15 typeIIIは以前針折れのジャンク品を買ってきて、JICO製の互換交換針を色々と買って楽しんでいるカートリッジです。
交換針のバリエーションが増えてきたので、もう一つくらいカートリッジ本体があっても良いかなと思っていたところで、SHURE純正の針が使える状態のものが、この製品としては比較的安価に売られていたわけです。ついつい買ってしまいました…。
添付品等は全く無く、輸送用に非純正のヘッドシェルスタンドと恐らくaudio-technica AT6003R用と思われるキャップで最低限保護した状態で受け取りました。
V15 typeIIIとしてはニュートラル基調にまとまる
購入時点でヘッドシェルはaudio-technica AT-LT13a、シェルリード線はAT-LT13a付属品と思われるものと組み合わされていました。
さすがに添付のシェルリード線はかなり劣化が見られましたので、最低限の同社チェックが済んだ後は丁度購入品が手元に届いていたズートコミュニケーション発売のAnalog Relax AR-LW-RS1(吟醸リード ロック スタンダード)と交換してしまいます。この製品については後日別途取り上げる予定ですが、普段からよく使わせていただいているKS-RemastaによるOEM品となります
針先の消耗が進んでいるものの再生は可能という中古品でしたので、さすがに普段使っている試聴盤を再生するのは躊躇してしまいます。そこで丁度買ってあった格安中古の「The Secret of Associtation / Paul Young」のオランダ盤LPを聴いてみることにしました。主に聴いたのは大ヒットした
こちらの曲とその前後です。普段はメインのカートリッジであるaudio-technica AT-OC9/IIIなどで聴くことが多い楽曲です。
以前購入した針折れのジャンク品には最初にJICO製S楕円針(VN35HE)を組み合わせていたのですが、ややレンジが狭めで解像度も甘い音になっていました。
しかし、純正のマイクロリッジ針VN35MRが装着されたV15 typeIIIでは、このカートリッジらしい粘っこく厚みのある低域は出ている一方で、高域方向の伸びと解像度が増していて、独特のテイストは感じさせつつもごく普通の高音質カートリッジという印象が強くなります。「Everytime You Go Away」はAT-OC9/IIIでは少しあっさりしすぎているかなという感覚があったのですが、V15 typeIIIの粘っこさを感じさせる低域の表現がこの曲にとても良くマッチしていました。オーディオ的な水準は保ちつつもV15 typeIIIならではの個性も感じさせるのがV15 typeIII-MRの良さなのかも知れません。本来のSHURE純正楕円針ではV15 typeIIIのキャラクターがより濃くなる一方で、オーディオ的な性能はVN35MRほどではないものと思います。
どうしてもオリジナルの楕円針と比較するとVN35MRはHiFi方向に変化していて、V15 typeIIIらしいパンチが効いた濃い音という印象が薄れてしまい、あまり高く評価しないユーザーも当時は多かったらしいのですが、今聴いてみるとV15 typeIII本来の音と高音質という要素をうまく好バランスにまとめた製品だったのではないかと感じます。
なお、JICOから発売されている、ジャズ喫茶「BASIE」の菅原氏が監修してSHURE純正VN35MRの完全再現を狙ったというVN35MRBIIは以前購入済みですので、後日そちらとの比較も書いてみるつもりです。
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購入金額
11,000円
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購入日
2022年06月17日
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購入場所
HARD OFF
harmankardonさん
2022/06/18
黃文字でなくて,白文字なら,更に良かったですが.
jive9821さん
2022/06/18
白文字V15 typeIIIは、正直言って長年中古を見ていて実物に遭遇した
ことすらありません。M44のカモメマークなら見たことはあるのですが…。
白文字は初期だけなので、単純に経年劣化で生存数が少なくなってきて
いるのかも知れませんが。