レビューメディア「ジグソー」

SATIN M-18BX

SATIN かつて国内のカートリッジ・メーカーの中でも、もっとも独創性が高いとされることが多かったサテン音響のブランド。針交換可能で、高出力のMC型カートリッジが有名で、またゴム系のダンパーや鉄心磁性体の追放なども押し進めた。しかし一方で、頻繁なモデルチェンジを繰り返した時期もあり、また派生モデルも多く、一般にはあまり勧められないメーカーとみなされたこともあったようです。1980年代初頭に新製品の発売は途絶え、1980年代末に消えた。

嬉しい難点といえば、SATINカートリッジは造りが繊細過ぎるということで交換針だけ見てもとてもじゃありませんが、人間業とは思えません この製品を約1万円(M-117等)で販売していたのですから凄いと思うし、当時の若者にSATINサウンドを聴いてほしいという塚本社長の思いだったのかもしれません 

http://ohta.html.xdomain.jp/satin/tsukamoto.html 

今回のM-18BXはSATINの数あるカートリッジでも最高傑作?と言われるものです。

  


   

 

  40年近く経っていますが機能的には問題なく正常に動作します 針カバーが被せてあります        

 

 針はコニック針(シバタ針)で極小でカンチレバーの長さが短いです 0.1×2.5ミルコニック針       

  

 

 

針の構造画像(M-117 ?)  

カンチレバーの付け根 Cがカンチレバーで、下画面右上が上向きの針先になります P点は溶接されていてカンチレバーと支持部、テンションワイヤー(B)が結合されています。 

  

         太田氏のホームページから画像等お借りしてます。

         http://ohta.html.xdomain.jp/satin/satin.html

 

 

 

        

 

M-18BXは針部分も併せて全部黒色です ヤフオクなどで白い針(18E?)がついているのもありますので間違いないように確認が必要です 

         

  

SATINカートリッジM-18BXなどはプリアンプの入力を30Ω~200Ωで受けると良いです 音質が全く変わります つまりPHONO入力負荷抵抗切り替えです 音量も上がります(MCポジションで受けるので利得が上がるためですが)他のM-117,M-18E,M-21なども同じになります。MCカートリッジは出力インピーダンスの3倍くらいで受けるのが良いようです M-18BXは元気がなかった音でしたがプリアンプのインピーダンスを切り替えただけで良好な再生音になりました ちょっとボリュームで絞っても大きすぎますが(MCポジションで受けるためですが)MMカートリッジと同じような考えで47KΩで受けると実力が発揮されません。   

  

 

 

  

       

 

         カンチレバーに比重1.85の超軽金属ベリリウムが使用されています。

   

     

 

          

      

  

      左:M-18BX                                      右:M-18E    

    

  

                                 右:M-18BX        

  

  

       18BX,18Eの違いは低音の出方が違います 芯のある低音が18BXです

        

  

      

      針は接着のようですし、針先が極小です  アルコール清掃は接着剤剥離になります

       

   

     

  

  

 

任意針圧条件下のSWEEP信号再生結果  (参考程度にお願いします)

針圧の違いで音質がかなり変ると評論記事で読んだことがありますが関係ないような結果ですね   

針圧0.3~1.2gw(推奨値) 針圧が更に軽いと変るのか? 

経験上、カンチレバーを受けるアーマチュアの弾性が弱ってくると針圧を掛けるとヘタリ、F特に関係するようです ですから針交換を頻繁に行うとカートリッジが破損する結果になります。[1]

 

 針圧0.6g~1.2g  断層部分は20000Hzです  0.6gは軽すぎて難しいですがそれ程差は出ません 

 

      上画像とは測定機材が違います    

 

 

  

       SWEEP信号再生時 (SOUNDBLASTER AUDIDY FX) +TA-E86  MM入力 

      LCH                 

                 R-CH        

  

                 1KHZ再生時の高調波ですが性能としては普通です        

  

      3KHZ高調波         

   

      5KHZ高調波         

   

      10KHZ高調波          

  

      16KHZ高調波 

 

 

 

SATINカートリッジは発電コイルのグリス硬化があるので数ヶ月に一度はレコード再生してグリス貼り付きを防止する必要があります。          

 

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サテン音響
SATINのカートリッジはM-18以降 最終製品のM-20 , 21等もありますが数が出なかった所為か M-20,M-21はオークションやお店でも見かけない製品です M-21は18BXよりもおとなしい傾向の再生音とのことです 音質的にM-18BXが最高と言われています (と私的には思っています ソース次第とは思いますが)  M-18BXで聴いたところ今までになく低音が締まってガツンと聴こえます且つ豊かに出る。

ボーカルも歪が少なく自然な歌声に聴こえます レコード内周でも歪まないのは素晴らしいです(カッティングマシンと同一動作なら理論上歪まないはずですが理論は理論ですからね)

出力電圧は1.5mVですが、低いですよね このカートリッジはアンプのMCポジションで聴いた方が良いです そうでないと音量が正常に上がらないで再生できないです コイルの巻数が少ないってことでしょうね 

 

再生音は低音が出ていてもやや硬い傾向ですかね 低音は崩れるところなく音像の形を明瞭にしますまた中域はやはり明瞭さを残してハッキリした音像となります 柔らかくなくやや硬めの再生音ですね 高音は金属楽器は金属の質感が出るような再生音ですね 金属が本来持っている金属くさい再生音というべきか またトライアングルやシンバルなどが細かく振動する金属音の分解能も細かく感じ取れます この辺りはベリリウム金属の特性が出ているのかも知れないですね レコードの再生周波数特性をWaveSpectraでレコードを再生中見てみると20000HZ辺りまで再生できています さらにそれ以上も再生しているんでしょうがPCでは判り難いしレコードに録音されていないか低レベルなのでしょう  

SATINのカートリッジは40年以上経った製品ですし、作りが精緻且つ精密なので現在残っているのはあまり良いコンディションではないものが多いです また交換針は製造販売されていないので大切に聴きたいときに特別に聴く感じではありますね WAVファイルで残してハイレゾで聴くと言う方策もありですね M-18BXは私のオーディオ趣味での至宝と為りました 京都サテン音響が残した遺品ではありますが感謝しつつ季節の折々に使わせていただきたいと思います。

                                        (2017-04)

 

オークションで2個ほど針無しM18BXを落札しましたが2個とも動作しませんでした 多分コイルのグリスが硬くなっていてコイルが振動しない物と思います(-30dB位の小さい音でそれも片CH)

アルコール等流し込んでも駄目でした マグネットの間隙にグリスとコイルが挟まっているので振動させるのは難しいようです オークションでは正常品?は35,000円位しますが再生できることを確認して落札、或いは購入がよいと思います それでも40年経過している品物ですので何時壊れるか判りません。  [2]

 

 

その後、M-21(無印)を入手しました 音を聴いてみるとCDを再生してる感じがしました

ワイドレンジ、ダイナミックレンジ拡大を感じる音で、ボーカルも目の前で歌っている感じです

おとなしい感じはしませんし、明瞭快活な感じですし、リファインされた再生音と思います。 

 

 

 

レコード針のダイヤチップ落失やカンチレバーの掛け継ぎ、折れた針の補修などはJICOさんで有料ですが修理可能なようです http://www.jico.co.jp/repair/

予約制になってるようですが料金は修理ホームページでご覧ください。

 

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M-18BX仕様 

周波数範囲     8Hz~30KHz, 45KHz, 50KHz, 50KHz
クロストーク    35dB:1KHz 25dB, 30dB, 30dB:30KHz
インピーダンス   30Ω, 30Ω, 20Ω 50KHzまでほぼ純抵抗
負荷インピーダンス 30Ω~200Ω 50KΩでも可(負荷インピーダンスは低いほど
          音質良好となるが、30Ωでは出力電圧は下記の1/2となる。)
出力電圧      2.5mV, 2.0mV, 1.5mV 50mm/sec RMS 45°
コンプライアンス  20, 20, 25(×10-6cm/dyne)
針  圧      0.5~1.5gw, 0.5~1.5gw, 0.3~1.2gw(推奨値)
針  先      0.2×0.8ミル楕円針, 0.1×2.5ミルコニック針, 0.1×2.5ミルコニック針(シバタ針)
自  重      9.2g
●数値が二つ以上表示されているのは M―18E,M―18X,M―18BXの順序。


    
      針   先   交換針ホルダー  SATIN文字 
18―NE  楕 円 針    白      黒
18―NX  コニック針    黒      白
18―NBX コニック針    黒      黒
 (18―BXはカンチレバーに比重1.85の超軽金属ベリリウムが使用されています) 
カートリッジ      交換針
M―18E  ¥25,000   18―NE  ¥10,000
M―18X  ¥32,500   18―NX  ¥15,000
M―18BX ¥42,000   18―NBX ¥22,000

太田氏のホームページよりコピーしました 価格は当時(1975)の価格表示 ピンク色はM-18BX  





2017-08-16 追記 [1]
2018-02-14 追記 [2]
2018-10-9 誤記訂正 誤 AudioSpectra →正 WaveSpectra
2019-12-30 記事追記、交換針画像追加 その他





 
  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    不明

  • 購入場所

25人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • aPieceOfSomethingさん

    2017/08/08

    はじめまして。

    40年近く前のカートリッジが現役というのはすごいですね...。
    普通はダンパーなどのゴム部品が劣化してしまうとおもうのですが、
    SATINはすごいですね。驚愕です。
  • タコシーさん

    2017/08/08

    aPieceOfSomethingさん 
    はじめまして、書き込みありがとうございます。
    SATINカートリッジはM-15辺りからダンパーレス(というかベリリウム銅のスプリング効果を利用)と言うことで当時広告でも謳っていました それ以前はダンパーはありましたね
    M-18BXやM-117は基本的に構造は同じでダンパーレスです ですがダンパーがないとコイルが
    暴れるのでグリスをコイルに制動目的で若干付けているようです。

    SATINカートリッジは精密すぎて40年有余の年月を経過してますので経年劣化しているものが多いですね 精密すぎますし、これが手作りって信じられないですね お店やヤフオクで購入すときは良く調べたほうが良いです 最近私も失敗しました...(・´з`・)

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